営業以外の仕事、事務職だけではない——人を動かす向きで、営業は上から4番目

この記事の内容(9項目)

「人と接するのは嫌じゃない。でも売り込むのは無理」 「ノルマに追われる働き方から離れたい」 「営業以外に、自分の経験が使える場所はあるのか」

「営業 以外」で検索すると、出てくるのは事務職ばかり。 行き先がそこしか無いように見えます。

実際には、もっと広い。ただし「売り込まない」で絞った先に、いちばん大きい差がそのまま残っています。


相手の判断を変えに行くことに、負荷を感じる人

相手に何かを勧めること自体が苦しい人は、この方向が合います。商品が良いかどうかとは関係なく、「こちらから働きかけて相手の判断を変える」という行為に負荷を感じるタイプです。

「頼まれてから動くほうが力を出せる」人も同じです。自分で機会を作りに行くより、来たものを確実に処理するほうが自然に集中できる。この形は、売り込みが中心にある仕事では評価されにくくなります。

成果より、間違えないことに価値を感じる人も向いています。誰かを動かした量ではなく、任された範囲が崩れなかったことで一日を締められるかどうか。ここが噛み合うかどうかが、この方向の分かれ目です。

一方、「相手が動かなかった日は無駄だった」と感じる人は、この方向に来ると物足りなくなります。売り込みを外すと、動かした手応えも一緒に外れるからです。


12業界の中に、人と関わる量の最低と上から2番目が同居する

向き(向き方)は、興味がどこに向くかを37業界で並べた数値です。「人を説得し動かすことへの向き方」で37業界を並べると、最も低いのは物流・ドライバー。最も高いのは管理部門(課長級)です。営業は、上から4番目。

低いほうから12業界を取ると、12番目に入るのは医師・歯科医師です。医療も、製造も、農林水産も、この帯に入ります。売り込まない側に並ぶのは、事務職だけではありません。

この12業界に「人と関わることへの向き方」を重ねると、最も低いのは組立・生産ラインで、これは37業界の最低値。最も高いのは医療・介護・保育で、37業界では2番目です(最高はリハビリ・治療)。売り込まない業界だけを集めたのに、その中に残る「人と関わる量」の差のほうが、売り込みそのものの差より大きい。 ここを混ぜたまま求人を見ると、正反対の2つが同じ検索結果に並びます。


3つの側——深く関わる/相手が入れ替わらない/人が少ない

① 人と深く関わるのに、押す場面が無い

医療・介護・保育、臨床検査・医療技術、医師・歯科医師。

人と関わる向き方は、医療・介護・保育と臨床検査・医療技術が、どちらも37業界の上位帯にあります。それでいて、人を動かす向き方は下から数えたほうが早い位置です。

話す相手は多いのに、相手の判断をこちらから変えにいく場面がほとんど無い。売り込みが苦しい人にとって効くのは、この組み合わせです。人を減らさずに、押す行為だけを外せるからです。

いちばん極端なのが臨床検査・医療技術です。人と関わる向き方は上位10に入るのに、人を動かす向き方は37業界で4番目に低い。

同じ形は、この12業界の外にも続いています。リハビリ・治療と福祉・相談支援は、人と関わる向き方が上位10に入りながら、人を動かす向き方は37業界の下半分。下位12にわずかに届かないだけで、中身は同じ塊です。押さずに人と関わる場所を探すなら、業界を1つに絞らないほうが選択肢が広がると思います。

→ 医療・介護・保育に向いてる人/臨床検査・医療技術に向いてる人/医師・歯科医師に向いてる人/リハビリ・治療に向いてる人/福祉・相談支援に向いてる人/医療・介護・保育の転職エージェントの選び方/臨床検査・医療技術の転職エージェントの選び方/医師・歯科医師の転職エージェントの選び方/リハビリ・治療の転職エージェントの選び方/福祉・相談支援の転職エージェントの選び方

② 人はいるが、相手が入れ替わらない

一般事務・オフィスワーク、ビルメンテナンス・施設管理、建設技能・職人、食品製造。

人と関わる向き方は、4業界とも狭い帯に収まります。人がいないわけではなく、同じ相手と同じ仕事を続ける形です。

社内の誰か、入居者、同じ現場の職人、同じラインの担当者。相手が毎回変わらないので、そもそも売り込む相手がいません。

売り込みが苦しい理由が「初対面の相手に働きかけること」にあるなら、合うのは①より②のほうです。関わる量そのものを下げなくても、働きかける場面だけが消えます。

ビルの設備、現場の職人、食品の製造ライン。同じ帯の中に、まったく違う4つの働き方が入っています。「事務職しかない」と思って探すのをやめると、いちばん取りこぼしやすいのがこの3つです。

そのかわり、相手を選べません。売り込む場面が無くなるのと引き換えに、合わない相手も固定されます。それでも構わないかどうかが、②を選ぶときの実際の条件です。

→ 一般事務・オフィスワークに向いてる人/ビルメンテナンス・施設管理に向いてる人/建設技能・職人に向いてる人/食品製造に向いてる人/一般事務・オフィスワークの転職エージェントの選び方/ビルメンテナンス・施設管理の転職エージェントの選び方/建設技能・職人の転職エージェントの選び方/食品製造の転職エージェントの選び方

③ そもそも人が少ない

農林水産、物流・ドライバー、化学・素材・日用品製造、製造技能(金属加工)、組立・生産ライン。

人と関わる向き方が、5業界とも低い側にあります。「売り込みたくない」の理由が「押すのが嫌」ではなく「人そのものが負荷」なら、行き先はここです。①とは、同じ帯にいながら中身が正反対になります。

この5業界の選び分けは 人と関わらない仕事 にあります。 下げ方が2通りあって、手放すものが違います。

→ 農業に向いてる人/ドライバー・倉庫に向いてる人/化学・素材・日用品製造に向いてる人/製造技能(金属加工)に向いてる人/組立・生産ラインに向いてる人/農業の転職エージェントの選び方/ドライバー・倉庫の転職エージェントの選び方/化学・素材・日用品製造の転職エージェントの選び方/製造技能(金属加工)の転職エージェントの選び方/組立・生産ラインの転職エージェントの選び方


人を動かす向き、職業の最低は鉄道車両清掃

320職業のうち、人を動かす向き方が最も低いのは、ビルメンテナンス・施設管理の鉄道車両清掃です。業界平均より、さらに下です。

各業界の中でいちばん低い職業を並べていくと、業界名からは想像しにくい職種が出てきます。臨床検査・医療技術なら歯科助手、組立・生産ラインなら自動車組立、製造技能(金属加工)なら検査工。どれも、その業界を代表する職業ではありません。

逆の見落としもあります。金融の損害保険事務は、この帯に入ります。金融の業界平均は、37業界では上から7番目。業界名だけ見ていたら、候補に入りません。

業界で外し、職種で拾う。この2段が要ります。


社会的認知を重く見る側に出るのは、資格のある2業界だけ

この方向の代償は、外から認められることを、どれだけ重く見るかに出ます。人を動かす向き方が下位12の業界のうち、業界の平均で見て社会的認知を重いほうに置いているのは2業界だけです。最も低いのは物流・ドライバーで、37業界の最低値です。「頑張っても評価されない」という不満は、たぶんここから出ます。

これは、その仕事をしている人がそこをどれだけ重く見ているかの数値で、世間が実際にどう評価しているかではありません。

その2業界のうち、医師・歯科医師は37業界の最高値です。売り込みの向き方は下位12に入っているのに、外から認められることの重みは、37業界のどこよりも高い。認知を作っているのは、売り込みではなく資格です。もう1つの医療・介護・保育も、入口に資格がある領域です。

売り込みを外して、なお外からの評価も欲しいなら、資格でそれを作る側に回ること。裏返すと、資格を取らずにこの方向へ行くなら、外から認められることの重みは、最初から計算に入れないほうがいい。


隣にある業界——医療・介護・保育の隣は福祉・相談支援

医療・介護・保育でこの形を探している人にとって、最も近い業界は福祉・相談支援です。人と関わる向き方の高さは、そのまま隣まで続いています。ただし距離は転職しやすさではありません。資格や実務の要件は、このデータの外にあります。

③の側は、もっと近い。製造技能(金属加工)と組立・生産ラインは、37業界666組の中で2番目に近い組み合わせです。

「業界を変える」つもりで動いても、距離の上ではほとんど動いていないことがあります。 隣を先に知っておくと、動く幅を決めやすくなります。


まとめ

  • 人を動かす向き方の下位12業界の中で、人と関わる向き方は大きく開く。人を動かす向き方が37業界全体で開く幅より大きい
  • つまり「営業以外」で絞っても、いちばん大きい差は残ったまま。医療も、製造も、農林水産も同じ帯に入る
  • 3つに割れる。人と深く関わる側/相手が入れ替わらない側/そもそも人が少ない側
  • 売り込みを外すと、外から認められることの重みが薄い側に入る。下位12業界で社会的認知を重く見る度合いが高い側に出るのは2業界だけ

「営業以外で」と言う代わりに、しんどいのが「人」なのか「押すこと」なのかを先に言葉にしてみる。それだけで、同じ「営業以外」でも行き先が割れます。

しんどいのが「押すこと」なら①か②、「人」そのものなら③へ。


関連ページ


この記事の根拠

数値の内訳をひらく

数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。分母は37業界320職業。

人を説得し動かすこと(企業的)・低い順の12業界と、人と関わること(社会的)

順位業界企業的社会的社会的認知・地位
1物流・ドライバー2.542.872.20
2組立・生産ライン2.642.652.60
3製造技能(金属加工)2.672.742.64
4臨床検査・医療技術2.793.782.83
5ビルメンテナンス・施設管理2.823.302.52
6化学・素材・日用品製造2.852.822.68
7農林水産2.882.942.72
8建設技能・職人2.903.222.84
9一般事務・オフィスワーク2.923.352.58
10(同値)医療・介護・保育2.934.113.08
10(同値)食品製造2.933.182.64
12医師・歯科医師2.983.533.62

比較のための上位側

順位業界企業的社会的
1管理部門(課長級)3.783.73
2コンサル3.633.49
3マーケティング3.593.44
4営業3.573.84
7金融3.423.59
13販売・小売3.243.98

37業界での幅

領域最高最低幅
人を説得し動かすこと(企業的)管理部門(課長級) 3.78物流・ドライバー 2.541.24
人と関わること(社会的)リハビリ・治療 4.20組立・生産ライン 2.651.55
社会的認知・地位(仕事価値観)医師・歯科医師 3.62物流・ドライバー 2.201.42

下位12業界の中での「人と関わること」の幅:医療・介護・保育 4.11 ←→ 組立・生産ライン 2.65 で 1.46。企業的が37業界全体で開く幅 1.24 を上回る。

職業別(人を動かす向き方・低い側)

職業業界企業的その業界の平均
鉄道車両清掃ビルメンテナンス・施設管理2.24(320職業の最低)2.82
歯科助手臨床検査・医療技術2.32(業界内の最低)2.79
自動車組立組立・生産ライン2.33(業界内の最低)2.64
検査工(工業製品)製造技能(金属加工)2.36(業界内の最低)2.67
トラック運転手物流・ドライバー2.51(業界内の最低)2.54
損害保険事務金融2.893.42

距離:医療・介護・保育に最も近いのは福祉・相談支援 0.455。製造技能(金属加工)↔ 組立・生産ライン 0.274 は、37業界666組で2番目に近い組み合わせ(1位は金融 ↔ 法律・会計 0.227)。距離は6つの向きの値をそのまま使って離れ方を出したもので、重み付けはしていません。小さいほど近い値です。

社会的認知・地位が 3.00 を超える下位12業界:医療・介護・保育 3.08 と 医師・歯科医師 3.62 の2業界のみ。

下位12には入らないが、同じ形の2業界(人と関わる向き方が上位10・人を動かす向き方は37業界の下半分)

業界社会的(37業界での順位)企業的(37業界での順位)
リハビリ・治療4.20(1番目)3.07(22番目・福祉・相談支援と同値)
福祉・相談支援3.82(9番目)3.07(22番目・リハビリ・治療と同値)

このデータで答えられないこと

  • 年収・労働時間・求人数は、このデータに入っていません。「ノルマが無い=収入が安定している」も、ここからは言えません
  • 将来性も測っていません。ここでの高い・低いは、いまその仕事をしている人の回答の平均であって、伸びる・縮むの話ではありません
  • 同じ業界でも、会社ごとに売り込みの量は変わります。 業界平均は、その差を平らにならした値です

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)