飲食に向いてる人、「飲食=接客」は半分——ソムリエは調べる向きで研究職に次ぐ

この記事の見出し(12項目)

「調理は好きだが、接客が向いているとは思えない」 「同じ店にいるのに、隣の人とやりたいことが全然違う」 「向いていないのか、この店が合わないだけなのか」

「飲食に向いている人」を調べると、体力と根性の話しか出てこない。その話では、11の職種を分けられません。 それにこの業界は、中の差がとても大きい。


30秒でわかること

37業界の中で高い
表現する6位
37業界の中で低い
人を動かす24位

年収・労働時間・求人数は測っていません。読み方

手を動かして形にしたいが、一人きりでは物足りない人

11職種に共通するのは、この一点です。そのうえで、4つに分かれます。

  • 知識を積み上げて、それで応えたい人
  • 作ることに集中したい人
  • 場を回したい人
  • 裏側で支えたい人

この4つは、同じ「飲食」の中にあります。


手を動かす向きと人と関わる向きが、どちらも高い側

「調べて突き止めることへの向き方」は、11職種のあいだで最も大きく割れます。向き(向き方)は、11職種の関心がどちらへ強く出るかの数値です。最も高いのはソムリエ、最も低いのは飲食チェーン店店員です。

下端の飲食チェーン店店員は、37業界のどの業界平均よりも低い。上端のソムリエは、37業界でこの領域が最も高い研究職に次ぐ高さにあります。業界平均は、この幅の真ん中でしかない。

人と関わる向き方も大きく割れます。いちばん上はソムリエとバーテンダーがほとんど並び、最も低いのが調理補助。「飲食=接客」も、職種次第です。

業界としては、手を動かす向き方と、人と関わる向き方が、どちらも高い側にあります。この2つが、どちらも飲食と同じ水準以上にある業界は、8つしかありません。IT・エンジニアは手を動かす向きは高くても人と関わる向きが低い側で、営業はその逆です。

表現することへの向き方が37業界の6番目。上にいるのは5業界だけです。何を出すか、どう見せるか、店をどんな空気にするか。 決められた手順の外側に、決める余地があります。


突き詰める型、作る型、回す型、支える型

① 突き詰める型

ソムリエと日本料理調理人(板前)が、この型です。ソムリエは、調べて突き止める向き方が11職種でいちばん高く、人と関わる向き方もバーテンダーとほとんど並んでいちばん上にあります。表現することへの向き方も上位にあります。知識を積み上げて、それを相手に合わせて出す。 3つが同時に要ります。

板前も同じ側で、調べる向き方と表現がどちらも上位。決まった型を覚え込んだうえで、その日の素材に合わせる仕事です。「積み上がるものが欲しい」なら、この型がいちばん近いと思います。

② 作る型

中華料理調理人・ラーメン調理人・西洋料理調理人・そば/うどん調理人は、ここに入ります。中華とラーメンは、手を動かす向き方が11職種の上位。ラーメン調理人は人と関わる向き方も高く、作ることと人と関わることの両方に、関心が出ています。西洋料理調理人は、6つの向き方が均等に並ぶという珍しい形。どれかに偏らない仕事です。

③ 回す型

ホールスタッフと飲食チェーン店店員の型です。ホールスタッフは、手を動かす向き方が11職種で最も低い。調理ではなく、場を回す側です。

飲食チェーン店店員は、調べて突き止める向き方が最も低い。「工夫の余地が欲しい」なら、この型はいちばん遠いでしょう。

④ 支える型

調理補助と給食調理員です。調理補助は、人と関わる向き方も、人を説得し動かす向き方も、11職種で最も低い。


同じものを毎日作ることを、どう感じますか

極めたいと思うなら①②。退屈なら、そこは動機の中心ではありません。

  • 客の顔が見えることが嬉しいなら①③。気が散るなら②④
  • 献立や見せ方を決める余地が必要なら①②。無くていいなら③④

「飲食しかやってこなかった」と思っているなら

数値の上で飲食にいちばん近いのは、医師・歯科医師です。その場に人がいて、手を動かして、その日のうちに区切りがつく形が共通しています。ただ、隣として読めるのは、次に近い建設・施工管理のほうかもしれません。現場に立ち、その日の状況で判断し、期限までに形にする。

その次が福祉・相談支援と販売・小売で、同じ近さです。どちらも人と関わる向きが高い点で共通しています。近さは興味の形だけで、経験がそのまま通じるかや、転職しやすさは入っていません。


まとめ——突き詰めたいのか、回したいのか

  • 調べて突き止める向き方が大きく割れる。下端は37業界のどの業界平均よりも低く、上端は研究職に次ぐ高さ
  • 業界平均は、この幅の真ん中でしかない
  • 表現することへの向き方が37業界の6番目。上にいるのは、表現を本体にする5業界だけ

突き詰めたいのか、回したいのか。飲食に向いているかどうかより、この2つのどちらが自分の言葉に近いか。そこが決まれば、あとは探し方の話です。

どちらかが決まったら、飲食の転職エージェントの選び方へ。


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この記事の根拠

数値の内訳をひらく

数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。

1位37位現実的22位(3.25)研究的21位(3.05)芸術的6位(2.96)社会的15位(3.59)企業的24位(3.06)慣習的21位(3.15)濃い点=上位4分の1(9位以内)
図:飲食は37業界の中でどのあたりか(左が1位、右が37位)

飲食の職業別(向き方)

職業現実的研究的芸術的社会的企業的慣習的
ソムリエ3.303.803.524.183.422.89
バーテンダー3.083.223.384.153.123.04
日本料理調理人(板前)3.383.523.493.753.213.28
ラーメン調理人3.513.172.893.863.223.26
中華料理調理人3.513.012.783.463.013.25
西洋料理調理人(コック)3.393.393.393.603.323.40
そば・うどん調理人3.383.002.853.563.063.27
給食調理員3.272.712.583.292.853.29
調理補助3.212.752.722.932.672.97
飲食チェーン店店員2.972.332.393.282.852.97
ホールスタッフ(レストラン)2.762.632.583.452.923.05

表の太字は飲食11職種の中での最大・最小であって、37業界での順位ではありません。

業界平均:現実的3.25/研究的3.05/芸術的2.96/社会的3.59/企業的3.06/慣習的3.15。上の11職種の平均です。

比較に使った37業界の値(研究的):業界平均の最高は 研究職 4.14、最低は 物流・ドライバー 2.61 で、幅は 1.53。ソムリエ 3.80 は研究職に次ぐ位置に、飲食チェーン店店員 2.33 はどの業界平均よりも下に来ます。

比較に使った業界平均(芸術的):クリエイティブ 3.93 > マスコミ・放送・出版 3.70 > 美容・理容 3.60 > マーケティング 3.22 > 教育 3.20 > 飲食 2.96 > 販売・小売 2.84 > IT・エンジニア 2.75。

現実的 3.25 と社会的 3.59 の両方が、飲食と同じ水準以上にある業界は、飲食を入れて 37業界のうち8つ(臨床検査・医療技術/マスコミ・放送・出版/美容・理容/警察・消防・自衛隊/リハビリ・治療/販売・小売/管理部門(課長級)/飲食)。

業界間の距離:飲食に近い順に 医師・歯科医師 0.340、建設・施工管理 0.512、福祉・相談支援 0.538、販売・小売 0.539。3位と4位は差が0.01以内なので同率です。6つの向きの値をそのまま使い、どれだけ離れているかを測ったものです。小さいほど近い値です。

仕事価値観(上位3項目):良好な対人関係 3.44/達成感 3.43/労働安全衛生 3.36。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)