マーケティングに向いてる人——「クリエイティブかデータか」の二択が、そもそも違います

「向いてる人の特徴を読むと、半分しか当てはまらない」 「数字も見るし、コピーも書く。どっちが本業なのか自分でも分からない」 「マーケティングが向いているのか、たまたま任されているだけなのか」

適性診断を受けても、結局「あなたはバランス型です」で終わった。 そんな経験がある人も多いのではないでしょうか。

バランス型と出るのには、理由があります。 マーケティングとして収録されている2職種が、そもそも正反対の形をしているからです。


業界平均は、実在しない値です

厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag」には、約500の職業について、実際にその仕事をしている人がどんな方向に興味を持っているかの調査結果が入っています。

マーケティングとして収録されているのは2職種です。 表現することへの向き方を並べると、こうなりました。

  • Webマーケティング担当 3.65
  • マーケティング・リサーチャー 2.78

0.87 の差があります。業界平均の 3.22 は、この2つの真ん中の値で、どちらの実態でもありません。

この 0.87 が、どれくらい大きいか。

  • Webマーケティング側は、クリエイティブ業界の平均に迫る水準
  • リサーチャー側は、飲食や販売・小売より低い

同じ「マーケティング」という言葉の中に、クリエイティブ寄りと分析寄りが同居しています。


2つの型に分かれます

① 作る側

Webマーケティング担当が、この型です。

表現することへの向き方も、調べて突き止める向き方も、どちらも高い。

この組み合わせが、この職種の中身です。

数字を見て「なぜこうなったのか」を突き止めたくなる人。 ただし突き止めて終わりではなく、そこから何を出すかまでを自分で作りたい人です。

「作ることも、調べることも、どちらかを捨てたくない」——この形に、いちばん近い職種です。

② 調べて、設計する側

マーケティング・リサーチャーが、この型です。

表現することへの向き方は 2.78。 作る側とは 0.87 離れます。

代わりに、人を説得し動かす向き方が業界平均より高い。

自分で作るのではなく、調べた結果をもとに「何をすべきか」を決めて、通す。 ここが中心です。

「良いものを作りたい」より「正しい判断をさせたい」が動機に近いなら、こちら側です。


どちらにも共通していること

人を説得し動かす向き方が、2職種とも高い。 業界平均 3.59 は営業とほぼ同じで、コンサルに近い水準です。

施策を出すだけでは終わりません。 予算を確保し、関係部署の合意を取り、経営に説明する。そこまでが1つの仕事として数えられます。

この工程を「本業の邪魔」と感じるか「本業の一部」と感じるかで、続き方が変わります。

そしてもう1つ。決まった手順を正確に回す向き方は低い層で、士業や管理部門の担当を下回ります。同じやり方が二度通用しない、という前提で動く仕事です。


自分がどちらに近いか、確かめる3つの問い

問い1:数字を見たあと、最初にやりたいことは何ですか

何を作るか考えるなら①何が起きているのか整理するなら②です。

問い2:他人が作ったクリエイティブに、口を出したくなりますか

なるなら①判断材料として見るだけなら②です。

問い3:資料を作る時間は、苦痛ですか楽しいですか

どちらでもないなら、そこは動機の中心ではありません。 マーケティングは、どちらの型でも作る時間が長い仕事です。


「二択」で悩む必要がない理由

17業界の中で、表現することと調べて突き止めることの両方で上位3に入っているのは、マーケティングだけです。

  • クリエイティブは表現で1位だが、調べる向き方は5位
  • メーカー技術職は調べる向き方で1位だが、表現は下位

どちらかを選ぶ、という問いの立て方が合っていません。 数値の上では、両方が要る位置にこの業界があるからです。

片方だけが得意な場合、行き先は業界の外にあります。


まとめ

  • 2職種しかないのに、表現する向き方が 0.87 割れる。 業界平均 3.22 はどちらの実態でもない
  • 作る側(Webマーケティング)——表現も分析もどちらも高い
  • 調べて設計する側(リサーチャー)——表現は低く、代わりに人を動かす向き方が高い
  • 共通しているのは、社内に通すところまでが仕事だということ(企業的3.59)
  • 17業界で、表現と分析の両方が上位3に入るのはマーケティングだけ

決めるべきなのは、クリエイティブかデータかではありません。自分が作る側なのか、決める側なのかです。


関連ページ


この記事の根拠

数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。

マーケティングの職業別(職業興味・RIASEC)

職業現実的研究的芸術的社会的企業的慣習的
Webマーケティング(ネット広告・販売促進)3.073.633.653.403.493.21
マーケティング・リサーチャー3.073.222.783.473.692.96

業界平均:現実的3.07/研究的3.43/芸術的3.22/社会的3.44/企業的3.59/慣習的3.09。上の2職種の平均です。

比較に使った業界平均

業界芸術的研究的
クリエイティブ3.933.40
マーケティング3.223.43
教育3.203.35
飲食2.963.05
販売・小売2.842.77
メーカー技術職2.553.54
IT・エンジニア2.753.42

マーケティングは表現で2位、調べて突き止めることで2位。 どちらも1位ではありませんが、両方で上位3に入るのは17業界でここだけです。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年2月10日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)