「営業に向いている性格ではない気がする」 「人と話すのは好きだけど、売り込むのは苦手」 「営業しか経験が無いのに、営業が向いていない気がする」
「営業に向いてる人の特徴」を読むたびに、自分と違うと感じる。 そんな経験がある人も多いのではないでしょうか。
違って当然です。 そこに書かれているのは、たいてい7職種のうち1つか2つの話だからです。
「営業に向いてる人」は、ひとつではありません
厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag」には、約500の職業について、実際にその仕事をしている人がどんな方向に興味を持っているかの調査結果が入っています。
営業を構成する7職種を並べると、大きく割れました。
人を説得し動かすことへの向き方は、いちばん高い広告営業と、いちばん低い保険営業で 0.75 の差。
表現することへの向き方にいたっては、広告営業とMRで 1.17 の差があります。
「営業=押しが強い人」というイメージは、この幅を1つに潰しています。
4つの型に分かれます
① 説明して、納得してもらいたい人
MR(医薬情報担当者)が、この型の中心です。
人と関わる向き方が 4.14 で、7職種の中で最も高い。 これは医療・介護・保育の業界平均(4.11)を上回る水準です。
そして調べて突き止める向き方も 3.32 で、7職種の中で最も高い。
押すのではなく、正確に説明することで動いてもらう仕事。 表現への向き方は 2.27 で7職種の最低——自分の色を出す場面はほとんどありません。
専門知識を積み上げて、それで信用を得たい人に噛み合います。
② 作って、売る人
広告営業が、この型です。
表現することへの向き方が 3.44 で、他の6職種から1.0近く離れています。
そして人を動かす向き方も、7職種で最高。
売るものが「まだ無い」ところから始まる営業です。 何を提案するかを自分で作り、それを通す。
この型は、営業の外にも同じ形があります。 マーケティング(表現3.22・人を動かす3.59)が近い位置にいます。
③ モノを扱いたい人
自動車営業と商社営業が、この型です。 どちらも手を動かす向き方が7職種の上位にあります。
扱っているものが具体的で、手に取れる。 製品そのものへの関心が動機に入っている人が続きます。
商社営業は人と関わる向き方が 3.66 で7職種の中では低いほう。「人が好き」より「商材が好き」で成立する側です。
④ 関係そのものを作る人
住宅・不動産営業と、銀行・信用金庫の渉外担当が、この型です。
住宅・不動産営業は人と関わる向き方が高い一方、手を動かす向き方も、調べて突き止める向き方も、7職種で最も低い。
商品知識や分析より、相手との関係が中心にある形。 一度の取引が大きく、決まるまでが長い仕事です。
自分がどれに近いか、確かめる3つの問い
問い1:商談がうまくいった日、何が嬉しかったですか
相手が納得したことなら①、自分の提案が通ったことなら②、関係ができたことなら④です。
問い2:扱っているものに、興味がありますか
あるなら③の要素が強い。 商材が変わると続かないタイプです。
問い3:資料を作る時間は、苦痛ですか楽しいですか
楽しいなら②。 苦痛なら、そこは動機の中心ではありません。
「営業が向いていない」と思ったときに、見るところ
向いていないのが「営業」なのか、「いまの営業」なのかで、行き先が変わります。
7職種の幅(人を動かす向き方で 0.75)は、17業界の幅の6割にあたります。 職種を変えるだけで、体感はかなり変わります。
業界そのものが合わない可能性があるのは、こういう場合です。
- 人と関わること自体が消耗する — 営業の業界平均は 3.84 で、17業界の上位です
- 相手が動くかどうかに、手応えを感じない — 人を動かす向き方 3.57 が動機に無いということです
この2つとも当てはまらないなら、まだ営業の中に選択肢があります。
まとめ
- 「営業に向いてる人」はひとつではない。 人を動かす向き方で 0.75、表現する向き方で 1.17 割れる
- 説明して納得してもらう型(MR)——人と関わる向き方 4.14 は医療業界の平均より上
- 作って売る型(広告営業)——表現への向き方 3.44 が他の6職種から1.0近く離れる
- モノを扱う型(自動車・商社)——商材への関心が動機に入る
- 関係を作る型(住宅・不動産)——人と関わる向き方は高いが、分析への向き方は7職種で最低
- 保険営業は、人を動かす向き方が7職種で最も低い。 「押しが強くないと」が当てはまらない職種もある
決めるべきなのは、営業に向いているかではありません。7つのうち、自分がどれに近いかです。
関連ページ
- 営業の転職エージェントの選び方——型が決まったあとの話
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- 業界別の向き・不向き一覧——17業界を1枚の表で
この記事の根拠
数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。
営業の職業別(職業興味・RIASEC)
| 職業 | 現実的 | 研究的 | 芸術的 | 社会的 | 企業的 | 慣習的 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 医薬情報担当者(MR) | 2.76 | 3.32 | 2.27 | 4.14 | 3.77 | 3.33 |
| 広告営業 | 3.03 | 3.11 | 3.44 | 3.98 | 3.97 | 3.00 |
| 住宅・不動産営業 | 2.71 | 2.55 | 2.39 | 4.01 | 3.52 | 3.33 |
| 自動車営業 | 3.44 | 3.07 | 2.55 | 3.95 | 3.47 | 3.15 |
| 銀行・信用金庫渉外担当 | 2.96 | 2.80 | 2.43 | 3.71 | 3.43 | 3.21 |
| 商社営業 | 3.36 | 2.97 | 2.30 | 3.66 | 3.60 | 3.18 |
| 保険営業(生命保険、損害保険) | 2.91 | 2.98 | 2.67 | 3.46 | 3.22 | 3.18 |
太字は営業7職種の中での最大・最小であって、17業界での順位ではありません。
業界平均:営業は 現実的3.02/研究的2.97/芸術的2.58/社会的3.84/企業的3.57/慣習的3.20。上の7職種の平均です。
比較に使った17業界の幅:人を説得し動かすことは 管理部門(課長級)3.78 ←→ 物流・ドライバー 2.54 で 1.24。営業7職種の幅 0.75 は、その6割にあたります。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年2月10日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)
