金融に向いてる人、「数字に強い」では決まらない——両端はアクチュアリーと銀行窓口

この記事の見出し(11項目)

「数字に強くないと無理だと思っている」 「銀行から出たいが、金融の外は考えられない」 「同じ金融でも、部署によって話がまったく違う」

「金融 向いてる人」で調べても、業界の話しか出てこない。業界の話では、8つの職種を分けられません。分かれ目は、金融の中のどこに行くかのほうにあります。


30秒でわかること

37業界の中で高い
人を動かす7位
37業界の中で低い
表現する33位

年収・労働時間・求人数は測っていません。読み方

数字を根拠にして、人に説明することが好きな人

金融の8職種すべてに共通しているのは、そこだけです。

  • 突き詰めることが動機の中心にある人
  • 相手の事情に合わせて説明したい人
  • 正確に処理することに手応えを感じる人
  • 決めて動かしたい人

この4つは、同じ「金融」の中にあります。


業界で最も高いのは、調べる向きではなく人と関わる向き

8職種を並べたとき、いちばん割れたのは「調べて突き止めることへの向き方」でした。向き(向き方)は、8職種の関心がどこを向いているかの数値です。最も高いのはアクチュアリー、最も低いのは銀行等窓口事務で、同じ業界の両端にいます。アクチュアリーは、このデータのどの職業と比べても最上位帯。一方の銀行等窓口事務は、営業の業界平均より低い。

業界をまたいで平均を比べたときの幅より、金融の中の8職種の幅のほうが大きく出ました。この領域では、どの業界を選ぶかより、金融の中でどの職種に行くかのほうが、差として大きい。 「金融=数字に強い人」で括ると、この差が丸ごと消えます。

ただ、金融で最も高いのは、調べて突き止める向き方ではありません。人と関わる向き方です。調べることと、人を動かすことが、そのすぐ下に並びます。分析そのものより、相手が納得して動くところまでが範囲になっているわけです。


数理で突き詰める型、人に説明する型、正確に処理する型、動かす型

① 数理で突き詰める型

アクチュアリー・ファンドマネージャー・証券アナリストが、この型です。アクチュアリーは、調べて突き止める向き方も、人を説得し動かす向き方も、8職種でいちばん高い。この組み合わせは珍しく、数理を突き詰めながら、その結果で人を動かすところまでが仕事に入っています。

証券アナリストは、決まった手順を回す向き方が8職種で最も低い。枠が決まっていないところで判断する側です。

ちなみにこの型は、金融の外にも近い形があって、メーカー技術職の分析化学技術者などが同じ帯にいます。

② 人に説明する型

ファイナンシャル・プランナーと証券外務員は、ここに入ります。FPは人と関わる向き方が8職種の上端(アクチュアリーとほとんど並ぶ)で、手を動かす向き方は最も低い。モノを扱わず、相手の状況に合わせて説明する。ここが中心です。「数字を扱う」より「人の事情を扱う」に近い位置だと思います。

③ 正確に処理する型

銀行等窓口事務と損害保険事務の型です。銀行等窓口事務は、決まった手順を回す向き方が8職種で最も高く、調べて突き止める向き方は最も低い。決まった処理を、間違いなく、期日どおりに。 ここに重みが置かれている側です。

④ 動かす型

銀行支店長は、人を説得し動かす向き方と、人と関わる向き方が高い一方、調べて突き止める向き方は低い。分析より、決めて動かすことが中心で、管理職とほぼ同じ形をしています。


数字を見たあと、最初にやりたいことは何ですか

もっと深く分析したいなら①。誰かに説明したいなら②④。処理を終わらせたいなら③です。

  • 手順が決まっていることに安心するなら③。窮屈なら①
  • 相手の事情に合わせて話を変えることが苦にならないなら②。面倒なら①③

まとめ——突き詰める・説明する・処理する・動かす

  • 調べて突き止める向き方が大きく割れる。37業界の平均どうしの幅より大きい。業界を選ぶより、金融の中で職種を選ぶほうが効く
  • 業界として最も高いのは、人と関わる向き方。「数字の仕事」というイメージと違う
  • 数理で突き詰める型(アクチュアリーほか)。結果で人を動かすところまで入る

「金融に向いているか」で止まっているなら、止まっている場所が違うのかもしれません。8つのうち、自分がどれに近いか。こっちのほうが、先に答えが出ます。

近い型が見えたら、金融の転職エージェントの選び方へ。


関連ページ


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この記事の根拠

数値の内訳をひらく

数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。

1位37位現実的30位(3.06)研究的8位(3.42)芸術的33位(2.34)社会的15位(3.59)企業的7位(3.42)慣習的17位(3.19)濃い点=上位4分の1(9位以内)
図:金融は37業界の中でどのあたりか(左が1位、右が37位)

金融の職業別(向き方)

職業現実的研究的芸術的社会的企業的慣習的
アクチュアリー2.954.592.273.804.203.56
ファンドマネージャー3.504.122.423.583.773.00
証券アナリスト3.403.782.473.203.292.78
ファイナンシャル・プランナー2.503.072.283.833.503.03
損害保険事務3.053.072.183.392.893.09
証券外務員2.753.022.303.442.953.04
銀行支店長2.862.892.443.733.793.29
銀行等窓口事務3.482.802.323.782.983.74

表の太字は金融8職種の中での最大・最小であって、37業界での順位ではありません。

業界平均:現実的3.06/研究的3.42/芸術的2.34/社会的3.59/企業的3.42/慣習的3.19。上の8職種の平均です。

保険営業と銀行・信用金庫渉外担当は、営業のほうに含めています。重複を避けるため、こちらでは数えていません。

比較に使った37業界の幅:調べて突き止めることは 研究職 4.14 ←→ 物流・ドライバー 2.61 で 1.53。8職種の幅 1.79 は、これを上回ります。 ただし、業界の中の幅が業界どうしの幅を上回るのは37業界のうち8業界(業界どうしの幅と0.01差で並ぶ鉄道・航空・海運を数えると9業界)で、金融だけに起きていることではありません。

業界内の幅としての位置:37業界それぞれの「業界の中で最も開いた領域の幅」を並べると、1位が公務員(行政)1.92、2位が研究職 1.83、3位が金融 1.79 です(17業界だった時点では1位でした)。収録職種は金融が8、公務員(行政)が6、研究職が7で、職種数が少ないほど幅は小さく出ます。一覧は 業界別の向き・不向き一覧 へ。

比較に使った業界平均:営業の研究的は 2.97、管理部門(担当)の慣習的は 3.36、管理部門(課長級)の企業的は 3.78。

業界間の距離:金融に最も近いのは 法律・会計(弁護士・会計士)0.227、次が 公務員(行政)0.469、その次が 営業 0.589、士業 0.646・管理部門(課長級)0.654(この2つは差0.01以内で同率)。6つの向きの値をそのまま使い、どれだけ離れているかを測ったものです。小さいほど近い値です。

仕事価値観(上位3項目):専門性 3.85/自己成長 3.71/労働安全衛生 3.67・達成感 3.66(差0.01で同率)。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)