「医師に向いているかどうか、という聞き方が雑なのは分かっている」 「科によって全然違う、とは言われる。でもどう違うのかが言葉になっていない」 「自分がいまの科にいるのは、選んだからなのか、流れただけなのか」
「手を動かしたいなら外科」と言われて、科の話がそこで終わってしまう。6つの科を並べ直すと、手を動かす関心の先頭にいたのは歯科医師で、外科医が先頭に立つのは、人を動かすことと手順のほうでした。
自分の判断が、そのまま結果に乗ることを引き受ける人
どの科を見ても共通しています。そのうえで、専門性が積み上がることを、満足の真ん中に置きたい人。6つの科のうち5つで、専門性が満足の1位です。
外からどう見られるかを、動機に入れてよい人。ここを無理に消そうとしなくていい人です。一方で、合議で決めたい人や、手順どおりに回すこと自体を満足の中心に置きたい人は、合いにくくなります。
6つの関心の端は、上を4つの科、下を精神科医と産婦人科医が分け合う
ここで言う関心は、この仕事をしている人の興味が何に向いているかの数値です。6つの関心の上の端は、歯科医師が2つ、外科医が2つ、小児科医が1つ。残る調べて突き止める関心は、小児科医と内科医が同じ値で並びます。下の端のほうは2人で、精神科医と産婦人科医が3つずつ、ちょうど半分に分け合っています。
6つの中で最も開いたのは、手を動かす関心でした。 最も高いのが歯科医師、最も低いのが精神科医です。最も揃ったのは人を説得して動かす関心で、科の差は出るものの、6つの中ではいちばん小さい幅です。
4つの型に分けると、内科医だけが外に残る
6つの科のうち5つを、4つの型にまとめました。残る内科医は、調べて突き止める関心で小児科医と並んで上の端に立ちますが、ほかの5つの関心では、どちらの端にも出ません。
型1:手で形を作る側(歯科医師)
歯科医師は、手を動かして形にする関心が業界内で最も高い職業です。しかも、表現する関心も、業界内で最も高い側にあります。この2つが同時に上に出るのは、この業界では歯科医師だけです。
満足の並びは、専門性が1位、次に自分の裁量、3番目に手応え。自分の手で決めて、自分の手で形にするところまでが1つになっています。手を動かす部分を減らす方向に動くと、この型の人はいちばんずれると思います。
型2:場と手順を回す側(外科医)
手技の科でありながら、上に出ているのは手ではなく「場」のほうです。 外科医は、人を説得して動かす関心と、決まった手順を正確に回す関心が、どちらも業界内で最も高い職業です。
満足の並びも、この業界では独特です。専門性が1位で、2位に報酬が来ます。報酬が上位2に入るのは、6つの職業の中で外科医だけです。チームと手順が回っていること自体に手応えを感じる人は、この型に近い可能性があります。
型3:人と関わる関心がいちばん高い側(小児科医)
小児科医は、人と関わる関心が業界内でいちばん高い職業です。歯科医師とはほとんど並び、業界平均からは頭ひとつ出ています。満足の並びは、専門性が1位、2位に雇用の安定、3位に自分の裁量。専門性を1位に置く5つの科の中で、雇用の安定が2位に来るのは小児科医だけです。
この業界の中で、人と関わる関心がいちばん高く出るのはこの科です。
型4:関心の下の端を分け合う側(精神科医・産婦人科医)
精神科医は、手を動かして形にする関心と決まった手順を正確に回す関心が業界内で最も低く、調べて突き止める関心も産婦人科医とほとんど並んで下の端にあります。3つの関心が揃って業界の下の端に来る形です。
満足の1位は雇用の安定で、専門性がその次に来ます。この順番は、6つの職業の中でここだけです。
産婦人科医は、表現する関心、人と関わる関心、人を説得して動かす関心の3つが、業界内で最も低い職業です。人と関わる関心が業界内で最も低いのに、専門性が積み上がることは6職業の中で最も高い。外に開くのではなく、内側に積むほうへ極端に振れている形です。
「人と関わることを減らして、専門を深くしたい」という動機にも、この業界の中に近い形があります。
うまくいった日に、何を思い出しますか
自分の手の感触なら型1、チームが噛み合ったことなら型2、相手の反応なら型3、分からなかったことが分かったことなら型4に近い動機を持っています。
- 人と話す時間が半分になって楽になると感じるなら型4、手応えが減ると感じるなら型3
- 手順が細かく決まっている場に入って回しやすくなると感じるなら型2、窮屈だと感じるなら型1か型4
科を変えるか、業界を出るか——決めるのは2つを見てから
同じ業界の中でも、科ごとに関心の形はかなり違います。
- まず、手を動かすことと、人と関わること。動機の中心にあるのはどちらか。ここで型が2つに絞れます
- 絞れた側で、いまの科がその型に合っているか。合っていないなら、業界の平均より先に、科ごとの形を見比べる番です
まとめ——外科医の関心が先頭に立つのは、手ではなく場
- 6つの関心の上の端は、歯科医師2つ・外科医2つ・小児科医1つ(調べて突き止める関心は小児科医と内科医が同値)。下の端は精神科医と産婦人科医が3つずつ
- 最も開くのは手を動かして形にする関心(歯科医師 ←→ 精神科医)。最も揃うのは人を説得して動かす関心
- 型2(外科医)は、報酬が満足の2位に来る唯一の科
手か、場か、相手か、それとも内側か。動機の中心がどれかが決まっていないと、どの科が優れているかの話をいくら聞いても、自分の話になりません。「手を動かしたいなら外科」で決める前に、一度並べ直しておく意味はあります。6つの科で手の関心がいちばん高く出るのは、外科医ではなく歯科医師のほうです。
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この記事の根拠
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数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。
医師・歯科医師の業界平均(向き方)
| 業界 | 現実的 | 研究的 | 芸術的 | 社会的 | 企業的 | 慣習的 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 医師・歯科医師 | 3.37 | 3.33 | 2.87 | 3.53 | 2.98 | 3.08 |
6職業の平均です。収録しているのは、歯科医師/外科医/小児科医/内科医/精神科医/産婦人科医。
業界内の最大・最小と、その幅
| 領域 | 業界内で最も高い職業 | 値 | 業界内で最も低い職業 | 値 | 幅 |
|---|---|---|---|---|---|
| 現実的 | 歯科医師 | 3.91 | 精神科医 | 2.80 | 1.11 |
| 研究的 | (下記の注を参照) | 3.63 | 精神科医 | 2.85 | 0.78 |
| 芸術的 | 歯科医師 | 3.28 | 産婦人科医 | 2.60 | 0.68 |
| 社会的 | 小児科医 | 3.90 | 産婦人科医 | 3.04 | 0.86 |
| 企業的 | 外科医 | 3.27 | 産婦人科医 | 2.73 | 0.54 |
| 慣習的 | 外科医 | 3.37 | 精神科医 | 2.67 | 0.70 |
6領域の幅の平均は 0.78。最も開くのは現実的(1.11)、最も揃うのは企業的(0.54)です。
この幅は、37業界すべてで同じ形(業界内の最大−最小)で出しています。
仕事価値観(6職業・上位3項目)
| 職業 | 上位3項目 |
|---|---|
| 歯科医師 | 専門性 4.00/自律性 3.83/達成感 3.80 |
| 外科医 | 専門性 4.13/報酬 3.93/達成感 3.91 |
| 小児科医 | 専門性 4.18/雇用安定 4.02/自律性 4.00 |
| 内科医 | 専門性 3.83/達成感 3.71/自律性 3.65/報酬 3.65(3位が同値のため4項目) |
| 精神科医 | 雇用安定 3.75/専門性 3.67/奉仕貢献 3.60/報酬 3.60(3位が同値のため4項目) |
| 産婦人科医 | 専門性 4.24/達成感 3.93/自律性 3.80 |
業界平均の上位3項目は、専門性 4.01/自律性 3.78/達成感 3.78 です。
「報酬が上位2に入るのは外科医だけ」「専門性を1位に置く5つの科の中で、雇用の安定が2位に来るのは小児科医だけ」「雇用の安定が1位なのは精神科医だけ」は、いずれもこの6職業を分母にした話です。精神科医だけ、専門性が1位ではありません。
この11項目は「その仕事をしている人が、何をどれだけ重視しているか」の数値です。実際の給与額・労働時間・休日数ではありません。
このデータに含まれていないもの:給与・年収・労働時間・当直や夜間対応の有無・求人数・年齢構成・科ごとの人数や需給・開業の可否・資格取得の難易度・診療の成績や患者さんの状態。この記事は、治療や健康への効果について一切何も述べていません。 数値が示しているのは、その仕事をしている人の興味の方向と、重視していることだけです。
業界間の距離(6つの向きの値がどれだけ離れているか。小さいほど近い):飲食 0.340、社内SE 0.454、IT・エンジニア 0.482。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)