弁護士に向いてる人は、仕事を取るか、案件を回すか——弁護士は10職業の端に出ない

この記事の見出し(14項目)

「弁護士と会計士と司法書士が、同じ枠で語られることが多い」 「実務の中身が違うのは分かる。でも、向いている人まで違うのか」 「資格を先に決めてしまっていいのかが分からない」

資格の話ばかりで、向き方の話が出てこない。


30秒でわかること

37業界の中で高い
調べて突き止める2位
37業界の中で低い
手を動かす34位

年収・労働時間・求人数は測っていません。読み方

どの規則が当たるかを、突き止めたい人

規則の当てはめ先を探したい気持ちは、10の職業すべてに共通しています。そのうえで、答えが1つに決まるまで手を止めない人。 だいたい合っている状態が、気持ち悪いと感じる人が噛み合います。その突き止め方が年々速くなっていくことに、続ける理由を置ける人。

一方、形を作ることに手応えを感じる人は、合いにくくなります。その日のうちに結果が返ってこないと落ち着かない人も、方向が違います。


動かす向きの両端は、中小企業診断士とパラリーガル

調べて突き止める向き方では、10の職業の開きは小さめです。最も高いのが公認会計士、最も低いのはパラリーガル(コンプライアンス推進担当と同率)で、この業界で最も「調べる側」から遠い職業でも、他の業界の平均と比べれば上半分にいます。向き(向き方)は、10の職業の関心がどこへ向かうかを見た数値です。

人を説得して動かす向き方では、最も高いのが中小企業診断士、最も低いのがパラリーガルです。この差が、仕事の入り口の違いに対応しています。

  • 自分で相手を見つけて、話をつけて、仕事にする側
  • 来た案件を、正しく処理する側

同じ「法律・会計の仕事」でも、この2つは日々やっていることが違います。資格の名前からは、この差が読めません。

もう1つ、逆向きに開く領域があります。「決まった手順を正確に回す向き方」でした。 最も高いのが司法書士、最も低いのが中小企業診断士です。人を説得して動かす向き方でいちばん高い中小企業診断士が、こちらではいちばん低い側に来ます。


パラリーガルは、4つの領域で業界内の下端に立ちます

パラリーガルは、手を動かす向き方・調べて突き止める向き方・人と関わる向き方・人を説得して動かす向き方の4つで、業界内の最も低い値を持ちます。この4つで下端に立つ職業は、この業界で唯一です。これは「劣っている」という意味ではありません。

満足の1位は専門性。次に労働安全衛生と私生活との両立が、同じ値で並びます。外に出て相手を見つける部分を持たないかわりに、働く条件のほうが上位に来ている。 そういう形の職業として、同じ業界の中に存在しています。


満足の1位は、端に出た6職業すべてで専門性

6つの向き方のどれかで、この業界の中でいちばん高いか低いかに出た職業が6つあります(同率で端に並ぶ職業も数えています)。中小企業診断士・司法書士・土地家屋調査士・公認会計士・パラリーガル・コンプライアンス推進担当です。その6つすべてで、「専門性が積み上がること」が満足の1位です。

ところが、2位は割れます。達成感が来るのが2職業、自分の裁量が来るのが1職業、自分が成長していく実感が来るのが1職業。残る2職業では2つの項目が同じ値で2位に並び、パラリーガルは労働安全衛生と私生活との両立、コンプライアンス推進担当は私生活との両立と雇用や生活の安定性です。6職業で、2位に来る項目は6種類あります。

「専門性を重く見るかどうか」では、この6職業を選び分けられません。 選び分けられるのは、その次に何を求めるかのほうです。


仕事を取りに行く側と、来た案件を回す側に分かれます

弁護士は、6つの向き方のどれを見ても、10職業の上下の端に出てきません。 だから分かれ目は資格ではなく、仕事の取り方のほうにあります。

型1:自分で仕事を作りに行く側(中小企業診断士)

人を説得して動かす向き方が業界内で最も高く、決まった手順を正確に回す向き方が業界内で最も低い職業です。表現する向き方も業界内で最も高い側にあります。満足の並びは、専門性・達成感・自分の裁量。この3つがどれも高い水準です。

規則を扱う仕事の中で、いちばん営業に近い形でしょう。この型に近い人は、来た案件を処理するだけの立場に入ると、いちばんずれると思います。

型2:決まった様式を完成させる側(司法書士・土地家屋調査士)

司法書士は、決まった手順を正確に回す向き方が業界内の最も高い値です。表現する向き方は業界内の最も低い値です。満足の1位は専門性で、公認会計士とほとんど並んで、6職業の中で高い水準です。2位に自分の裁量が来ます。

土地家屋調査士は、手を動かす向き方が業界内の最も高い値を持ちます。現場に出て測る仕事があるためです。共通しているのは、決まった様式を、間違いなく成立させることに手応えがあることです。

型3:人と組織に入っていく側(公認会計士)

調べて突き止める向き方と、人と関わる向き方が、どちらも業界内の最も高い値です。「数字と向き合う仕事」というイメージとは、逆を向きます。理由は、監査が組織の中に入っていく仕事だからです。 帳簿だけを見るのではなく、人に聞いて、確かめて、突き合わせる。その部分が数値に出ています。

満足の並びは、専門性が1位、2番目に自分が成長していく実感、3番目に報酬。報酬が上位3に入るのは、上下の端に出た6職業でこの職業だけです。

型4:案件を回す側(パラリーガル)

4つの向き方で業界内の下端に立つ職業です。満足の2位と3位に、労働安全衛生と私生活との両立が来ます。この2つがそろって上位3に入るのも、6職業でこの職業だけです。

「規則を扱う仕事に関わりたいが、自分で仕事を取りに行く部分は持ちたくない」という人にとって、この型は選択肢になるかもしれません。


目の前に案件が無いとき、どうしますか

探しに行くなら型1。次に来るまでの準備をするなら型2か型4に近い動機を持っています。

  • 確かめたいことがあるとき、書類や記録を見るなら型2。人に聞くなら型3
  • 働く条件が上位3に入るなら型4。入らないなら型1から型3のどれか。この問いは、この業界では特にはっきり分かれます

職種を移しても、専門性が満足の1位なのは変わらない

いま「積み上がっていない」と感じているなら、職種を移しても、専門性が満足の1位であることは変わりません(10職業すべてで1位です)。先に見るのは職場の側です。

「営業のような部分が合わない」あるいは「案件を待つだけがつらい」と感じているなら、見るのは職種の側です。 幅があるので、業界の中で移すだけで、その向きの値は大きく動きます。


まとめ——自分で仕事を取るか、来た案件を回すか

  • 調べて突き止める向き方は10の職業で開きが小さい。いちばん開いたのは人を説得して動かす向き方(中小企業診断士 ←→ パラリーガル)
  • 上下の端に出た6職業すべてで専門性が満足の1位。ただし2位は6種類に割れる
  • パラリーガルは、4つの向き方で業界内の下端に立つ唯一の職業

自分で仕事を取りに行きたいのか、来た案件を正しく処理したいのか。資格の名前を先に調べていたなら、順番は逆のほうが早いと思います。

どちらで行くかが決まったら、法律・会計の転職エージェントの選び方へ。


関連ページ


法律・会計(弁護士・会計士)が出てくる「向き方から探す」のページ

この記事の根拠

数値の内訳をひらく

数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。

1位37位現実的34位(2.96)研究的2位(3.55)芸術的27位(2.45)社会的14位(3.62)企業的8位(3.36)慣習的11位(3.28)濃い点=上位4分の1(9位以内)
図:法律・会計(弁護士・会計士)は37業界の中でどのあたりか(左が1位、右が37位)

法律・会計(弁護士・会計士)の業界平均(向き方)

業界現実的研究的芸術的社会的企業的慣習的
法律・会計(弁護士・会計士)2.963.552.453.623.363.28

10職業の平均です。収録しているのは、中小企業診断士/司法書士/土地家屋調査士/弁護士/公認会計士/弁理士/不動産鑑定士/パラリーガル(弁護士補助職)/企業法務担当/コンプライアンス推進担当。

業界内の最大・最小と、その幅

領域業界内で最も高い職業値業界内で最も低い職業値幅
現実的土地家屋調査士3.62パラリーガル2.481.14
研究的公認会計士3.83パラリーガル(コンプライアンス推進担当 3.26 と同率)3.250.58
芸術的中小企業診断士2.71司法書士2.150.56
社会的公認会計士4.19パラリーガル3.290.90
企業的中小企業診断士3.93パラリーガル2.621.31
慣習的司法書士3.71中小企業診断士2.770.94

太字は、この業界の中での端です。37業界の中での端という意味ではありません。

6領域の幅の平均は 0.91。最も開くのは企業的(1.31)、最も揃うのは芸術的(0.56)です。

パラリーガルが4領域で下端に立つことについて:現実的・研究的・社会的・企業的の4つです。

この幅の分母について:37業界すべての業界内の幅は、業界別の向き・不向き一覧 にあります。

職業の値と、37業界の業界平均を並べた比較について:パラリーガルの 3.25 は、37業界の業界平均の並びに置くと、士業 3.26 のすぐ下に来ます。上から順に、研究職 4.14 / 法律・会計 3.55 / メーカー技術職 3.54 / リハビリ・治療 3.52 / マスコミ・放送・出版 3.47 / マーケティング 3.43 / 美容・理容 3.43 / IT・エンジニア 3.42 / 金融 3.42 / 農林水産 3.41 / クリエイティブ 3.40 / 臨床検査・医療技術 3.36 / 教育 3.35 / 医師・歯科医師 3.33 / 社内SE 3.31 / 士業 3.26。単位の違う値を同じ並びに置いた比較なので、順位の意味が他の箇所とは異なります。

仕事価値観(上下の端に出た6職業・上位3項目)

職業1位2位3位
中小企業診断士専門性 4.12達成感 4.08自律性 4.04
司法書士専門性 4.23自律性 4.05自己成長 3.74
土地家屋調査士専門性 3.98達成感 3.77自律性 3.75
公認会計士専門性 4.20自己成長 3.78報酬 3.76
パラリーガル専門性 3.61労働安全 3.56私生活 3.56
コンプライアンス推進担当専門性 3.48私生活 3.44雇用安定 3.44

6職業すべてで専門性が1位。2位は達成感(2職業)・自律性(1職業)・自己成長(1職業)に、同値で2位に並ぶ労働安全衛生と私生活との両立(パラリーガル)、私生活との両立と雇用や生活の安定性(コンプライアンス推進担当)を加えた6種類に割れます。

業界平均の上位3項目は、専門性 3.97/自律性 3.64/自己成長 3.60 です。

この6職業は、6領域の最大か最小に出た職業です。コンプライアンス推進担当は、調べて突き止める向き方でパラリーガルと差0.01の同率で最小に並ぶため、端に数えています。残る4職業(弁護士・弁理士・不動産鑑定士・企業法務担当)は、どの領域でも上下の端に来なかったため、個別の数値は載せていません。本文の「6職業すべてで」も、この6つを分母にしています。

この11項目は「その仕事をしている人が、何をどれだけ重視しているか」の数値です。公認会計士の報酬 3.76 は、実際の年収額ではありません。 パラリーガルの労働安全衛生 3.56 と私生活との両立 3.56 も、実際の事故率や休日数ではありません。

このデータに含まれていないもの:収入・労働時間・休日数・求人数・年齢構成・資格試験の難易度や合格率・独立や開業の条件・事務所の規模や取扱分野。

業界間の距離(6つの向きの値がどれだけ離れているか。小さいほど近い):金融 0.227、公務員 0.469、士業 0.610。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)