「安定しているのは分かるが、自分に向いているかは別の話だと思う」 「同じ役所にいた同期と、やっている仕事がまるで違った」 「向いていないのは仕事のせいなのか、配属のせいなのか」
「公務員 向いてる人」で調べても、業界の話しか出てこない。 そんな経験がある人も多いのではないでしょうか。
この業界は、業界の話で決まるところと、決まらないところが、はっきり分かれます。 先に分けます。
向いているのは、こういう人です
決められた手順を、決められたとおりに回すことが苦にならない人。 公務員(行政)として収録されている6つの職種に、いちばん広く共通しているのはそこです。
そして、同じ場所に長くいられることを、価値の側に数えている人。
逆にいうと、それ以外はあまり共通していません。
- 人と直接向き合って、その場で決着をつけたい人——相手が目の前にいる職種があります
- 人からいちばん遠いところで、制度そのものを扱いたい人——相手の顔が見えない職種があります
- 決まった様式の外で、人に向けて何かを作りたい人——手順がほとんど決まっていない職種があります
- 窓口と制度を、正確に回し続けたい人——手順が仕事の中心にある職種があります
この4つは、同じ「公務員」の中にあります。 そして求められるものが、まるで違います。
以下、どこが業界名で決まって、どこが決まらないのかを説明します。
決まるところと、決まらないところを、幅で判定します
厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag」には、約500の職業について、実際にその仕事をしている人がどんな方向に興味を持っているかの調査結果が入っています。
「業界名で決められるか」は、2つの幅を比べれば分かります。
- 業界の中の幅——その業界の職種どうしで、どれだけ開いているか
- 業界どうしの幅——37業界の平均を並べたとき、最高と最低がどれだけ開いているか
業界の中の幅のほうが大きければ、業界名では決まりません。 逆なら、業界名で決めていい。
公務員(行政)は、6つの領域のうち2つが「決まらない」側に落ちます。
人と関わる向き方は、業界名では決まりません
6職種の幅は 1.92。 これに対して、37業界の平均どうしの幅は 1.55 です。
業界の中の幅が、業界どうしの幅を超えています。
37業界それぞれについて「業界の中で最も開いた領域の幅」を出して並べると、この 1.92 が1位でした(2位は 研究職の 1.83)。
つまり——「公務員は人と関わる仕事だ」も、「人と関わらない仕事だ」も、どちらも業界名では言えません。
業界の中でいちばん高い職種の値は 4.74 で、これは本サイトが収録している320職業の中で最も高い数値でした。いちばん低い職種は 2.82。 同じ業界の中に、この2つが入っています。
決まった手順への向き方も、業界名では決まりません
同じことが、もうひとつの領域で起きています。
6職種の幅は 1.43。 これに対して、37業界の平均どうしの幅は 0.89 しかありません。
業界の中の幅が、業界どうしの幅の1.5倍を超えています。
「公務員は前例主義だ」も、業界名では言えません。 手順が厳密に決まっている職種と、ほとんど決まっていない職種が、同じ業界の中に入っています。
逆に、業界名で決めていい領域もあります
表現することへの向き方は、業界の中の幅が 1.11。 37業界の平均どうしの幅 1.75 より、はっきり小さい。「決められた様式が先にある」は、業界名で言い切れます。
説得して人を動かすことへの向き方は、業界の中の幅が 0.66 しかありません。 37業界の平均どうしの幅 1.24 の半分ほどです。ここは6職種でほぼ揃っています。
手を動かすことへの向き方だけは、両者がほぼ同じ大きさでした。 どちらとも言いにくい領域です。
4つの型に分かれます
以下は、6つの領域それぞれで業界の中の端に来た5職種です。 残る1職種(国家公務員(行政事務))は、どの領域でも端に来なかったため、この両端の間に入ります。
① 法と手順で、人に向き合う型
労働基準監督官が、この型です。
6領域のうち4つ——手を動かすこと、調べて突き止めること、人と関わること、決まった手順を回すこと——で、業界の中の最大値でした。表現することだけが、業界の中の最小値です。
人と関わる向き方 4.74 は、本サイトが収録している320職業の中で最も高い。 決まった手順を回す向き方 4.32 も、320職業の中で最も高い数値でした。
人に向き合いながら、同時に手順で押す。 この2つが同時に最上位に来るのが、この職種の形です。
大事にしているものは、雇用や生活の安定性 4.84 が1位、専門性が2位、奉仕・社会貢献が3位。 1位の数値自体が、この業界でいちばん高く出ています。
② 人からいちばん遠い型
国際公務員が、この型です。
手を動かすこと、人と関わること、説得して人を動かすこと——この3領域で、業界の中の最小値でした。人と関わる向き方は 2.82 です。
扱う相手が、目の前の人ではなく制度や枠組みの側にあります。
この型だけ、大事にしているものの並びが違います。 ほかの4職種はすべて1位が雇用や生活の安定性なのに、この職種だけ、上位3項目に安定が入りません。 達成感・自律性・専門性が 3.36 で並びます。
③ 手順の外で、人に向ける型
社会教育主事が、この型です。
表現することへの向き方は 2.98 で、業界の中で最も高い。 逆に決まった手順を回す向き方は 2.89 で、業界の中で最も低い。
この2つが同時に来ているのが、この職種だけです。 様式が決まっていないところで、人に向けて組み立てる側にあります。
大事にしているものは、自己成長と奉仕・社会貢献が同値で並び、次が専門性。 安定が上位3に入る点は、①④と同じです。
④ 窓口と制度を、回し続ける型
税務事務官と地方公務員(行政事務)が、この型です。
税務事務官は、説得して人を動かす向き方が 3.43 で業界の中で最も高い。 相手と交渉する比重が、この業界の中では大きい側です。
地方公務員(行政事務)は、調べて突き止める向き方が 2.86 で業界の中で最も低い。 問いを立てるより、決まっているものを正確に回すほうに寄ります。
2職種とも、大事にしていることの1位は雇用や生活の安定性でした。
5つに共通していたのは、安定でした——ただし1つだけ例外がある
端に来た5職種のうち4職種で、大事にしていることの1位は雇用や生活の安定性でした。
業界平均でも 3.80 で、37業界の中で2番目です。上にいるのは警察・消防・自衛隊だけでした。
例外は国際公務員だけ。 この職種では、上位3項目に安定が入りません。
「公務員に向いているか」を測るなら、安定をどこに置くかは業界名で答えが出ます。 分かれるのは、その安定した場所で、人に向き合うのか、制度に向き合うのか、様式の外へ出るのかです。
自分がどれに近いか、確かめる3つの問い
問い1:相手は、目の前にいてほしいですか
目の前にいて、その場で決着をつけたいなら①。顔が見えなくてもいいなら②です。ここが、この業界でいちばん割れます。
問い2:手順や様式が決まっていることを、どう感じますか
安心するなら①④。窮屈なら③です。同じ業界の中に、両方あります。
問い3:安定は、あなたにとって前提ですか、それとも選んだ理由ですか
選んだ理由なら①③④。前提でしかなく、その先に達成感や裁量を求めるなら②に近い形です。
まとめ
- 人と関わる向き方は、業界名では決まらない。 業界の中の幅 1.92 は、37業界の平均どうしの幅 1.55 を超える
- 決まった手順への向き方も、業界名では決まらない。 業界の中の幅 1.43 は、業界どうしの幅 0.89 の1.5倍を超える
- 表現することと、説得して動かすことは、業界名で決めていい。 業界の中の幅は 1.11 と 0.66
- 法と手順で人に向き合う型(労働基準監督官)——4領域で業界の中の最大値
- 人からいちばん遠い型(国際公務員)——ここだけ、安定が上位3に入らない
- 手順の外で人に向ける型(社会教育主事)——表現が最大で、手順が最小
- 窓口と制度を回す型(税務事務官・地方公務員)——安定が1位
決めるべきなのは、公務員に向いているかではありません。4つのうち、自分がどれに近いかです。
関連ページ
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- このサイトのデータについて——数値の出典と、測っていないこと
この記事の根拠
数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。
公務員(行政)の業界内の最大・最小(職業興味・RIASEC)
| 領域 | 業界内で最も高い職業 | 値 | 業界内で最も低い職業 | 値 | 幅 |
|---|---|---|---|---|---|
| 現実的(手を動かす) | 労働基準監督官 | 3.90 | 国際公務員 | 2.73 | 1.17 |
| 研究的(調べて突き止める) | 労働基準監督官 | 4.26 | 地方公務員(行政事務) | 2.86 | 1.40 |
| 芸術的(表現する) | 社会教育主事 | 2.98 | 労働基準監督官 | 1.87 | 1.11 |
| 社会的(人と関わる) | 労働基準監督官 | 4.74 | 国際公務員 | 2.82 | 1.92 |
| 企業的(説得し動かす) | 税務事務官 | 3.43 | 国際公務員 | 2.77 | 0.66 |
| 慣習的(手順を回す) | 労働基準監督官 | 4.32 | 社会教育主事 | 2.89 | 1.43 |
太字は公務員(行政)6職種の中での最大・最小であって、37業界での順位ではありません。国家公務員(行政事務)は、どの領域でも端に来なかったため、上の両端の間に入ります。
業界平均:現実的3.11/研究的3.24/芸術的2.44/社会的3.58/企業的3.10/慣習的3.46。上の6職種の平均です。
比較に使った37業界の幅:手を動かすことは 農林水産 3.77 ←→ 士業 2.60 で 1.17。調べて突き止めることは 研究職 4.14 ←→ 物流・ドライバー 2.61 で 1.53。表現することは クリエイティブ 3.93 ←→ 警察・消防・自衛隊 2.18 で 1.75。人と関わることは リハビリ・治療 4.20 ←→ 組立・生産ライン 2.65 で 1.55。説得し動かすことは 管理部門(課長級)3.78 ←→ 物流・ドライバー 2.54 で 1.24。手順を回すことは 管理部門(課長級)3.58 ←→ コンサル 2.69 で 0.89。
業界の中の幅と、業界どうしの幅の比較
| 領域 | 業界の中 | 業界どうし | 判定 |
|---|---|---|---|
| 現実的 | 1.17 | 1.17 | ほぼ同じ |
| 研究的 | 1.40 | 1.53 | 業界名で決めていい |
| 芸術的 | 1.11 | 1.75 | 業界名で決めていい |
| 社会的 | 1.92 | 1.55 | 業界名では決まらない |
| 企業的 | 0.66 | 1.24 | 業界名で決めていい |
| 慣習的 | 1.43 | 0.89 | 業界名では決まらない |
**「業界の中」の列の太字は、6領域の中での最大(1.92)と最小(0.66)**です。判定の列を太字にした2領域が、業界の中の幅が業界どうしの幅を上回ったところです。
業界内の幅としての位置:37業界それぞれの「業界の中で最も開いた領域の幅」を並べると、1位が公務員(行政)1.92、2位が 研究職 1.83、3位が 金融 1.79、4位が 教育 1.69、5位が 美容・理容 1.61 です。一覧は 業界別の向き・不向き一覧 にあります。
職業単位での位置:労働基準監督官の社会的 4.74 は、本サイトが収録している320職業の中で最も高い数値です(2位は エステティシャン 4.49、3位は 麻薬取締官 と キャリアカウンセラー が同値で 4.46)。同じく慣習的 4.32 も、320職業の中で最も高い数値です。
端に来た5職種の仕事価値観(上位3項目)
| 職業 | 上位3項目 |
|---|---|
| 地方公務員(行政事務) | 雇用や生活の安定性 3.61/奉仕・社会貢献 3.22/私生活との両立 3.20 |
| 税務事務官 | 雇用や生活の安定性 3.94/専門性 3.89/自己成長 3.64 |
| 国際公務員 | 達成感 3.36/自律性 3.36/専門性 3.36 |
| 社会教育主事 | 自己成長 3.77/奉仕・社会貢献 3.77/専門性 3.71 |
| 労働基準監督官 | 雇用や生活の安定性 4.84/専門性 4.64/奉仕・社会貢献 4.26 |
業界平均の上位3項目:雇用や生活の安定性 3.80/専門性 3.65/奉仕・社会貢献 3.50。雇用や生活の安定性 3.80 は37業界で2番目です(1位は 警察・消防・自衛隊 4.09、3位は 医師・歯科医師 3.69)。専門性 3.65 は37業界で20番目で、こちらは真ん中でした。
業界間の距離:公務員(行政)に最も近いのは 法律・会計(弁護士・会計士)0.469 と 金融 0.469、次が 警察・消防・自衛隊 0.490。6領域の値をそのままユークリッド距離で算出したものです。
公務員(行政)に含めた職業:国家公務員(行政事務)/地方公務員(行政事務)/税務事務官/国際公務員/社会教育主事/労働基準監督官の6職業の平均です。警察官・消防官・自衛官・刑務官・海上保安官・麻薬取締官は、警察・消防・自衛隊のほうに分けています。
このデータに含まれていないもの:年収・労働時間・求人数・採用試験の内容や難易度・倍率・職階や役職・異動や配属の仕組み。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年2月10日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)
