マスコミ・放送・出版に向いてる人——9職業で揃うのは、手順を回さないことでした

「記者と編集と放送技術が、同じ業界として出てくる」 「アナウンサーと舞台照明が同じ棚にあるのは、さすがに違う気がする」 「自分に近いのがどれなのか、分からない」

中を割らないと決められない。 そう感じている人も多いのではないでしょうか。

割ってみたら、割れる部分より、揃っている部分のほうが目立ちました。


向いているのは、こういう人です

決まった手順を回すことに、価値を感じない人。 ここが、9つの職業すべてに共通しています。

そのうえで、出来上がりの形を自分で決めたい人。 どこまで作り込むかを他人が決める状態が、苦痛ではなく違和感になる人が噛み合います。

そして、その作り込みの精度が上がっていく実感を、続ける燃料にできる人。 ここが、この業界の満足のいちばん太い部分です。

逆に、手順が決まっていることを安心だと感じる人は、噛み合いにくくなります。成果の出方が読めないと落ち着かない人も、方向が違います。

ここまでは、業界としての話です。 ここから、中を割ります。


9つの職業で、いちばん揃ったのは「手順を回す向き方」でした

厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag」には、約500の職業について、実際にその仕事をしている人がどんな方向に興味を持っているかの調査結果が入っています。

この業界には、9つの職業が入っています。 新聞記者・雑誌記者・図書編集者・テレビ・ラジオ放送技術者・録音エンジニア・アナウンサー・放送ディレクター・舞台美術スタッフ・舞台照明スタッフです。

6つの領域のうち、いちばん揃ったのは「決まった手順を正確に回す向き方」で、幅は 0.43 でした。

これは、新しく加えた20業界の120通りの組み合わせの中で、下から4番目の狭さです。

そして、揃っている位置が低いところにあります。

業界内で最も手順寄りなのはテレビ・ラジオ放送技術者で 3.05。 これを37業界の業界平均に並べると、下から8番目あたりに来ます。

つまり——この業界で最も手順を回す側の職業でも、他の業界の平均と比べれば、手順を回さない側にいます。

「マスコミの中でも、堅い仕事なら手順どおりに進む」という選び方は、数値の上では成立しません。


表現する向き方も、下端が他業界の上端でした

同じ形が、もう1つの領域でも出ます。

「表現する向き方」で業界内の最も低い職業は、新聞記者で 3.28 でした。

この 3.28 を、37業界の業界平均に並べてみます。

クリエイティブ・マスコミ・放送・出版・美容・理容の3業界を除けば、それより高い業界平均はありません。

つまり——この業界で最も表現から遠い職業でも、他の業界の平均で見れば上位に入ります。

「記者だから、表現の仕事ではない」という言い方は、数値と合いません。

そして、この事実は選び方を変えます。 「表現の仕事がしたいが、自分にはセンスがない」と思っている人にとって、この業界の下端は入り口になります。


満足の中身も、8職業で揃いました

job tag には、その仕事をしている人が何を大事にしているかのデータも入っています。

上下の端に出た8つの職業すべてで、「専門性が積み上がること」と「やり遂げた手応え」が、満足の上位3に入りました。

うち7職業では、その2つがそのまま上位2に並びます。 専門性が先に来るのが4職業、手応えが先に来るのが3職業です。残る1つはテレビ・ラジオ放送技術者で、ここだけ2番目に自己成長が割り込みます。

3番目に来る項目は割れます。 自分の裁量が4職業、自分が成長していく実感が3職業。

ここまで揃うと、「どの職業を選ぶか」で満足の中身は変わりません。

変わるのは、そこにたどり着く手段のほうです。 そこを、次の型で割ります。


4つの型に分かれます

上下の端に出た8つの職業から、4つの型に分けました。

型1:音と物を作る側(録音エンジニア・テレビ・ラジオ放送技術者)

録音エンジニアは、手を動かす向き方 4.01 と、表現する向き方 4.15 が、どちらも業界内の最も高い値です。そして、決まった手順を正確に回す向き方 2.62 は業界内の最も低い値でした。

3つの領域で端に立つ、この業界で唯一の職業です。

テレビ・ラジオ放送技術者は、決まった手順を正確に回す向き方が業界内で最も高い職業でした。満足の並びは、専門性が1位で 3.85、2番目に自己成長。

共通しているのは、機材を通して形を作ることです。

この型に近い人は、機材に触れない役割に回されると、いちばん早く消耗します。

型2:調べて書く側(新聞記者・図書編集者)

図書編集者は、調べて突き止める向き方が 3.94 で業界内の最も高い値を持ちます。満足の並びは、専門性が1位、2番目に手応え、3番目に自分の裁量。

新聞記者は、表現する向き方が業界内の最も低い値でした。それでも、他業界の平均と比べれば上位に入る水準です。

共通しているのは、外に出て集めたものを、言葉にすることです。

型3:場を動かす側(放送ディレクター・アナウンサー)

放送ディレクターは、人と関わる向き方 4.33 と、人を説得して動かす向き方 4.10 が、どちらも業界内の最も高い値です。

アナウンサーは、手を動かす向き方が 2.86 で業界内の最も低い値でした。満足の1位は手応えと専門性が同じ値で並びます。

共通しているのは、自分ではなく人が動くことで、ものが出来上がることです。

「作りたいのは自分の手でか、人を動かしてか」。 ここが型1との分かれ目になります。

型4:裏で支える側(舞台美術スタッフ・舞台照明スタッフ)

舞台美術スタッフは、人と関わる向き方が 3.30 で業界内の最も低い値を持ちます。

舞台照明スタッフは、調べて突き止める向き方と人を説得して動かす向き方が、どちらも 3.00 で業界内の最も低い値でした。

この2つは、満足の3番目に自分の裁量が来ます。

表に出ないことと、裁量が無いことは別です。 この型は、表に出ないまま裁量を持つ側にいます。


自分がどれに近いか、確かめる3つの問い

問い1:出来上がったものに、自分の名前が出ないとしたら

気にならないなら型1か型4。それだと張り合いがないなら型2か型3に近い動機を持っています。

問い2:作るとき、誰かに動いてもらう必要があるとしたら

そのほうが大きいものが作れると感じるなら型3。自分の手で完結させたいなら型1です。

問い3:手順が決まっていない状態は、どう感じますか

落ち着かないなら、この業界そのものが合わない可能性があります。そのほうが自由だと感じるなら、9つのどの職業でも噛み合います。


「割れ方」を、どう使うか

この業界では、職種を移しても満足の中身は変わりません。 上位2項目が、8職業とも同じだからです。

だから、いま「積み上がっていない」と感じているとしたら——原因は職種ではなく、職場の側にある可能性が高くなります。

逆に「作り方が合っていない」と感じているなら、そちらは職種で変わります。 自分の手で作るのか、人を動かして作るのか、集めて言葉にするのか。そこは業界の中で移すことで動きます。

判断する順番は、こうなります。

  1. 手順が決まっていない状態が苦にならないかどうか——苦になるなら、業界の側の問題
  2. ならないうえで、作り方が合っていないか——合っていないなら、職種の側の問題

まとめ

  • 9つの職業で、いちばん揃ったのは決まった手順を正確に回す向き方。幅は 0.43 で、新しく加えた20業界の120通りの中では下から4番目
  • 業界内で最も手順寄りのテレビ・ラジオ放送技術者 3.05 でも、37業界の業界平均に並べると下から8番目あたり
  • 表現する向き方の業界内最小は新聞記者 3.28。 これも、他業界の平均と比べれば上位
  • 上下の端に出た8職業すべてで、専門性と手応えが満足の上位3に入る。 うち7職業では、その2つがそのまま上位2
  • 型1(録音エンジニア・テレビ・ラジオ放送技術者)は、機材を通して形を作る側
  • 型2(新聞記者・図書編集者)は、集めたものを言葉にする側
  • 型3(放送ディレクター・アナウンサー)は、人が動くことでものが出来上がる側
  • 型4(舞台美術スタッフ・舞台照明スタッフ)は、表に出ないまま裁量を持つ側

決めるべきなのは、どの媒体を選ぶかではありません。作り方が、自分の手なのか、人を動かしてなのか、集めて言葉にすることなのかです。


関連ページ


この記事の根拠

数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。

マスコミ・放送・出版の業界平均(職業興味・RIASEC)

業界現実的研究的芸術的社会的企業的慣習的
マスコミ・放送・出版3.473.473.703.783.432.87

9職業の平均です。 収録しているのは、新聞記者/雑誌記者/図書編集者/テレビ・ラジオ放送技術者/録音エンジニア/アナウンサー/放送ディレクター/舞台美術スタッフ/舞台照明スタッフ。

業界内の最大・最小と、その幅

領域業界内で最も高い職業業界内で最も低い職業
現実的録音エンジニア4.01アナウンサー2.861.15
研究的図書編集者3.94舞台照明スタッフ3.000.94
芸術的録音エンジニア4.15新聞記者3.280.87
社会的放送ディレクター4.33舞台美術スタッフ3.301.03
企業的放送ディレクター4.10舞台照明スタッフ3.001.10
慣習的テレビ・ラジオ放送技術者3.05録音エンジニア2.620.43

太字は、この業界の中での端です。37業界の中での端という意味ではありません。

6領域の幅の平均は 0.92。 最も開くのは現実的(1.15)、最も揃うのは慣習的(0.43)です。

この幅の分母について:上の6つの値は、新しく加えた20業界について同じ形で並べたものの一部です。新20業界の120通りの組み合わせの中で、慣習的 0.43 は下から4番目に狭いという位置になります。既存17業界の職業別の幅は、この並びに入っていません。

職業の値と、37業界の業界平均を並べた比較について:本文では2箇所で、この業界の職業の値を、37業界の業界平均の並びに置いています。

  • テレビ・ラジオ放送技術者の慣習的 3.05:37業界の業界平均を下から並べると、コンサル 2.69 / マスコミ・放送・出版 2.87 / クリエイティブ 2.91 / IT・エンジニア 2.93 / 福祉・相談支援 2.99 / メーカー技術職 3.01 / 研究職 3.01 の次、美容・理容 3.06 の手前に来ます(下から8番目あたり
  • 新聞記者の芸術的 3.28:37業界の業界平均を上から並べると、クリエイティブ 3.93 / マスコミ・放送・出版 3.70 / 美容・理容 3.60 の次で、マーケティング 3.22 と教育 3.20 より上に来ます

単位の違う値を同じ並びに置いた比較なので、順位の意味が他の箇所とは異なります。本文でもその旨を書いています。

仕事価値観(上下の端に出た8職業・上位3項目)

職業上位3項目上位23番目
新聞記者達成感 3.98/専門性 3.92/自己成長 3.85達成感・専門性自己成長
図書編集者専門性 4.14/達成感 4.12/自律性 3.75専門性・達成感自律性
テレビ・ラジオ放送技術者専門性 3.85/自己成長 3.42/達成感 3.39専門性・自己成長達成感
録音エンジニア専門性 4.33/達成感 4.26/自己成長 4.18専門性・達成感自己成長
アナウンサー達成感 4.00/専門性 4.00/自己成長 3.86達成感・専門性(同値)自己成長
放送ディレクター専門性 4.14/達成感 4.12/自律性 3.98専門性・達成感自律性
舞台美術スタッフ達成感 4.14/専門性 4.05/自律性 3.91達成感・専門性自律性
舞台照明スタッフ達成感 3.84/専門性 3.81/自律性 3.65達成感・専門性自律性

業界平均の上位3項目は、専門性 4.05/達成感 4.00/自己成長 3.80 です。(4番目は自律性 3.76)

この8職業は、6領域の最大か最小に出た職業です。 残る1職業(雑誌記者)は、どの領域でも上下の端に来なかったため、個別の数値は載せていません。本文の「8職業すべてで」も、この8つを分母にしています。

この11項目は「その仕事をしている人が、何をどれだけ重視しているか」の数値です。実際の給与額・休日数ではありません。

このデータに含まれていないもの:収入・労働時間・休日数・番組や刊行のスケジュール・求人数・年齢構成・正社員か業務委託かの別・各社の採用基準・媒体ごとの市場規模。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年2月10日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)