「センスがある人だけの世界だと思っている」 「デザイナーと編集とライター、どれが自分に近いのか分からない」 「手を動かすのは好きだが、絵は描けない」
「向いている人=センスがある人」という説明しか出てこない。 そんな経験がある人も多いのではないでしょうか。
その説明では、12の職種を分けられません。 そしてそもそも、センスの話でもありません。
向いているのは、こういう人です
自分の手で形にしたものが、そのまま自分の評価になる。 それに耐えられる人が、12職種すべての土台にいます。
そのうえで、4つに分かれます。
- 実物と工程を扱いたい人——画面の中で完結しない職種があります
- 作ることに集中したい人——通す作業の比重が小さい職種があります
- 企画から関わりたい人——人を巻き込むことが仕事の一部になる職種があります
- 正確に伝えたい人——決まった型があるほうが力を出せる職種があります
この4つは、同じ「クリエイティブ」の中にあります。 そして求められるものが、かなり違います。
以下、なぜこの分け方になるのかを説明します。
業界の中の差が、業界どうしの差を超えている
厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag」には、約500の職業について、実際にその仕事をしている人がどんな方向に興味を持っているかの調査結果が入っています。
12職種を並べたとき、いちばん割れたのは「手を動かすことへの向き方」でした。
最も高いのはインダストリアルデザイナー、最も低いのは広告デザイナー。 その差は 1.31 あります。17業界の平均どうしで比べたときの幅(1.01)を超えます。
そして、ここが重要です。
インダストリアルデザイナーは、手を動かす向き方も、調べて突き止める向き方も、メーカー技術職の業界平均を大きく超えます。
「クリエイティブ=文系の仕事」という括りが、この1職種で壊れます。
業界としての形は、表現に集中しています
クリエイティブの「表現することへの向き方」は 3.93 で、17業界で最も高い。
注目すべきは順位ではなく、差のほうです。
他の5つの領域では、1位と2位がほとんど並んでいます。 表現することだけが 0.71 開いていて、桁が違います。
つまり——この向き方は、業界をまたいで薄く分布しているのではなく、クリエイティブ職に集中しています。
12職種の中で最も低いテクニカルライターでも、マーケティングの業界平均より上にあります。
ここが動機に無いなら、12職種のどれも噛み合いません。
4つの型に分かれます
① 手を動かして、形にする型
インダストリアルデザイナー・映像編集者・商業カメラマンが、この型です。
インダストリアルデザイナーは、手を動かす向き方も、調べて突き止める向き方も、12職種でいちばん高い。
「作る」が、画面の中で完結しない。 実物と工程を扱う仕事です。
映像編集者と商業カメラマンも、手を動かす向き方が上位で同じ側にいます。
メーカー技術職から来られる型でもあります。 手を動かすことと突き止めることが、どちらも高いという形が共通しています。
② 描く・作る型
イラストレーター・グラフィックデザイナーが、この型です。
イラストレーターは、表現することへの向き方が12職種で最も高く、人を説得し動かす向き方は最も低い。 人と関わる向き方も低いほうです。
作ることに集中でき、通す作業の比重が小さい位置です。
逆にいうと、提案や合意形成が動機にある人には物足りなくなります。
③ 言葉と企画の型
雑誌編集者・コピーライターが、この型です。
雑誌編集者は、人と関わる向き方も、人を説得し動かす向き方も、12職種でいちばん高い。
イラストレーターとは、人を動かす向き方で 0.70 離れます。
「クリエイティブ職は人と関わらない」が、いちばん当てはまらない側です。
コピーライターは、調べて突き止める向き方が高い。書く前に調べる時間が長い形です。
④ 伝える型
テクニカルライターが、この型です。
表現することへの向き方は12職種で最も低い(それでもマーケティングの業界平均より上)。代わりに、決まった手順を回す向き方が最も高い。
表現より、正確に伝えることが中心にあります。
「作りたいが、決まった型があるほうが力を出せる」——この組み合わせに、いちばん近い職種です。
自分がどれに近いか、確かめる3つの問い
問い1:完成したものは、手に取れますか
取れてほしいなら①。画面の中でいいなら②です。
問い2:他人を巻き込む作業を、どう感じますか
面白いなら③。邪魔だと感じるなら②です。
問い3:正解が決まっている仕事を、どう感じますか
楽だと感じるなら④。つまらないなら①②③です。
まとめ
- 手を動かす向き方が 1.31 割れる。 17業界の幅(1.01)を超える
- インダストリアルデザイナーの 4.42/4.21 は、メーカー技術職の業界平均を超える。 「文系の仕事」という括りが壊れる
- 手を動かして形にする型(インダストリアル・映像編集・商業カメラマン)
- 描く・作る型(イラストレーター・グラフィック)——通す作業の比重が小さい
- 言葉と企画の型(雑誌編集・コピーライター)——人と関わる向き方が最も高い
- 伝える型(テクニカルライター)——決まった手順を回す向き方が最も高い
- 業界としては表現への向き方が 3.93 で17業界の最高。 1位と2位の差 0.71 は他の5領域(0.03〜0.15)と桁が違う
決めるべきなのは、センスがあるかではありません。表現が動機にあるかを先に確かめて、そのあと4つのどれかを選ぶことです。
関連ページ
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この記事の根拠
数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。
クリエイティブの職業別(職業興味・RIASEC)
| 職業 | 現実的 | 研究的 | 芸術的 | 社会的 | 企業的 | 慣習的 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| インダストリアルデザイナー | 4.42 | 4.21 | 4.25 | 3.63 | 3.58 | 2.42 |
| 映像編集者 | 3.95 | 3.44 | 4.20 | 3.67 | 3.22 | 2.89 |
| 商業カメラマン | 3.83 | 3.30 | 3.96 | 3.52 | 3.47 | 2.88 |
| イラストレーター | 3.59 | 3.73 | 4.42 | 3.14 | 2.98 | 2.69 |
| テクニカルライター | 3.59 | 3.11 | 3.56 | 3.37 | 3.11 | 3.22 |
| インテリアデザイナー | 3.58 | 3.25 | 3.71 | 3.46 | 3.32 | 3.03 |
| Webデザイナー(Web制作会社) | 3.56 | 3.41 | 3.65 | 3.20 | 3.26 | 3.20 |
| グラフィックデザイナー | 3.56 | 3.28 | 4.20 | 3.33 | 3.33 | 3.05 |
| 雑誌編集者 | 3.35 | 3.51 | 3.84 | 3.86 | 3.68 | 2.91 |
| ファッションデザイナー | 3.25 | 3.08 | 3.86 | 3.10 | 3.37 | 2.94 |
| コピーライター | 3.21 | 3.52 | 3.86 | 3.52 | 3.50 | 2.74 |
| 広告デザイナー | 3.11 | 3.00 | 3.67 | 3.16 | 3.18 | 2.91 |
太字はクリエイティブ12職種の中での最大・最小であって、17業界での順位ではありません。
業界平均:現実的3.58/研究的3.40/芸術的3.93/社会的3.41/企業的3.33/慣習的2.91。上の12職種の平均です。
各領域の1位と2位の差(17業界)
| 領域 | 1位 | 2位 | 差 |
|---|---|---|---|
| 現実的 | 3.61 | 3.58 | 0.03 |
| 慣習的 | 3.58 | 3.50 | 0.08 |
| 研究的 | 3.54 | 3.43 | 0.11 |
| 社会的 | 4.11 | 3.98 | 0.13 |
| 企業的 | 3.78 | 3.63 | 0.15 |
| 芸術的 | 3.93 | 3.22 | 0.71 |
比較に使った17業界の幅:手を動かすことは メーカー技術職 3.61 ←→ 士業 2.60 で 1.01。12職種の幅 1.31 はこれを超えます。
比較に使った業界平均:メーカー技術職は 現実的3.61/研究的3.54、マーケティングの芸術的は 3.22。
仕事価値観(上位3項目):専門性 4.02/達成感 3.94/自己成長 3.73。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年2月10日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)
