研究職に向いてる人、「研究が好き」では決まらない——科捜研と情報工学が手順の両端

この記事の見出し(13項目)

「研究が好きなのは確かだが、この分野で合っているのか分からない」 「同じ研究職でも、隣の研究室とは働き方がまるで違う」 「向いていないのは分野のせいなのか、自分のせいなのか」

「研究職 向いてる人」で調べても、業界の話しか出てこない。


30秒でわかること

37業界の中で高い
調べて突き止める1位
37業界の中で低い
決まった手順を正確に回す31位

年収・労働時間・求人数は測っていません。読み方

答えの出ない問いを、出るまで抱えていられる人

研究職として収録されている7つの職種すべてに共通しているのは、そこです。積み上げたものが自分の中に残ることを、いちばん上に置いている人。

  • 決まった手順の中で、精度を突き詰めたい人
  • 手順そのものを自分で作りたい人
  • 人や社会に向けて結果を出したい人
  • 現物の構造や設備を対象にしたい人

この4つは、同じ「研究職」の中にあります。


調べて突き止める向き方は、業界名で決めていい

向き方は、この仕事に就いている人の興味の方向を示す数値です。研究職の平均は、比較した37業界の中で最も高い数値です。7職種の中でいちばん高いのと、いちばん低いのとの差は、37業界の平均どうしを並べたときの差より小さく出ました。「どの研究に就いても、調べる向き方は高い」というところは、業界名で言い切れます。

決まった手順への向き方は、どの研究に就くかで決まります

決まった手順を回す向き方は、37業界の平均どうしを並べたときの差の、2倍を超えて開きます。「研究職は手順がゆるい仕事だ」と言われることも、「厳密に決まっている仕事だ」と言われることもあります。どちらの研究も、同じ業界名の中に入っています。


枠を自分で作る側と、決まった手順の中で突き止める側があります

この業界の両端にいるのは、次の4職種です。

① 決まった手順の中で、突き止める型(科学捜査研究所鑑定技術職員)

科学捜査研究所鑑定技術職員は、調べて突き止める向き方が、アクチュアリーとほとんど並んで、このデータの職業の中でいちばん高い数値です。手を動かす向き方も、決まった手順を回す向き方も、7職種でいちばん高い。手順が厳密に決まっているところで、精度を突き詰める。ここが中心だと思います。

一方、表現することへの向き方と、人を説得し動かす向き方は7職種で最も低い。決められた様式の外へ出る仕事ではありません。この型だけ、大事にしているものの順番が違います。

② 枠を自分で作る型(情報工学研究者)

情報工学研究者は、決まった手順を回す向き方が7職種の中で最も低い。 人と関わる向き方も最も低く出ています。何をどう進めるかが決まっていない。そこを自分で決めることが仕事に含まれます。

大事にしているものは、専門性・自律性・達成感の順。自分で決められる範囲が、満足の中心近くにあります。

③ 人と社会へ向く型(社会学研究者)

社会学研究者は、人と関わる向き方も、人を説得し動かす向き方も、表現することへの向き方も、7職種で最も高い。逆に手を動かす向き方は最も低い。対象が人と社会で、成果物が言葉になる側です。7職種の中では、いちばん研究室から離れた形でしょう。

④ 現物を対象にする型(土木・建築工学研究者)

土木・建築工学研究者は、調べて突き止める向き方が7職種の中で最も低い。それでも37業界のうち23業界の平均より上にあります。扱う対象が図面と現場と構造物で、研究と実装の距離がいちばん近い側かもしれません。


2番目に安定が来るのは、端の4職種では科捜研だけ

端に来た4職種すべてで、大事にしていることの1位は専門性です。業界平均でも、37業界の中で最も高い。割れるのは2番目です。情報工学研究者と社会学研究者は自律性、土木・建築工学研究者は達成感で、科学捜査研究所鑑定技術職員だけが雇用や生活の安定性です。

「研究職に向いているか」を測るなら、専門性のほうは業界名で答えが出ます。 分かれるのは、その専門性を、決められた枠の中で積むのか、枠を自分で作りながら積むのかです。


いま追いかけている問いは、誰が決めたものですか

外から来た問いに精度で応えたいなら①④。問いそのものを自分で立てたいなら②③です。

  • 手順や様式が決まっていることに安心するなら①。窮屈なら②。ここが、この業界でいちばん割れます
  • 結果を最後に渡す先が人や社会なら③。現場の構造物や設備なら④。次の検証なら①②

まとめ——枠の中で積むか、枠を自分で作りながら積むか

  • 調べる向き方は、どの研究に就いても高い。いちばん低い職種でも、37業界のうち23業界の平均より上
  • 決まった手順を回す向き方は、どの研究に就くかで大きく割れる。ここは同じ業界名の中で上下に割れる
  • 手順の中で突き止める型(科学捜査研究所鑑定技術職員)。2番目に大事なものが、ここだけ安定になる

「研究職に向いているか」で悩んでいるなら、調べる向き方はどの研究に就いても高いので、そこで悩んでも分かれません。4つのうち、自分がどれに近いか。分かれるのはこっちです。

どの型に近いかが決まったら、研究職の転職エージェントの選び方へ。


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この記事の根拠

数値の内訳をひらく

数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。

1位37位現実的4位(3.70)研究的1位(4.14)芸術的16位(2.68)社会的26位(3.28)企業的15位(3.20)慣習的31位(3.01)濃い点=上位4分の1(9位以内)
図:研究職は37業界の中でどのあたりか(左が1位、右が37位)

研究職の業界内の最大・最小(向き方)

領域業界内で最も高い職業値業界内で最も低い職業値幅
現実的(手を動かす)科学捜査研究所鑑定技術職員4.61社会学研究者3.351.26
研究的(調べて突き止める)科学捜査研究所鑑定技術職員4.63土木・建築工学研究者3.331.30
芸術的(表現する)社会学研究者3.04科学捜査研究所鑑定技術職員1.931.11
社会的(人と関わる)社会学研究者3.69情報工学研究者2.940.75
企業的(説得し動かす)社会学研究者3.54科学捜査研究所鑑定技術職員2.850.69
慣習的(手順を回す)科学捜査研究所鑑定技術職員4.27情報工学研究者2.441.83

表の太字は研究職7職種の中での最大・最小であって、37業界での順位ではありません。医学研究者・薬学研究者・バイオテクノロジー研究者の3職種は、どの領域でも端に来なかったため、上の両端の間に入ります。

業界平均:現実的3.70/研究的4.14/芸術的2.68/社会的3.28/企業的3.20/慣習的3.01。上の7職種の平均です。

比較に使った37業界の幅:調べて突き止めることは 研究職 4.14 ←→ 物流・ドライバー 2.61 で 1.53。決まった手順を回すことは 管理部門(課長級)3.58 ←→ コンサル 2.69 で 0.89。

業界内の幅としての位置:37業界それぞれの「業界の中で最も開いた領域の幅」を並べると、1位が 公務員(行政)1.92、2位が研究職 1.83、3位が 金融 1.79、4位が 教育 1.69、5位が 美容・理容 1.61 です。一覧は 業界別の向き・不向き一覧 へ。

土木・建築工学研究者 3.33 より平均が低い23業界:コンサル 3.19/社内SE 3.31/建設・施工管理 3.13/営業 2.97/医療・介護・保育 2.94/士業 3.26/管理部門(担当)2.98/管理部門(課長級)3.12/物流・ドライバー 2.61/販売・小売 2.77/飲食 3.05/公務員(行政)3.24/警察・消防・自衛隊 3.04/福祉・相談支援 2.90/ホテル・観光・ブライダル 2.82/鉄道・航空・海運 2.98/建設技能・職人 2.98/製造技能(金属加工)2.99/組立・生産ライン 2.83/食品製造 3.02/化学・素材・日用品製造 3.03/一般事務・オフィスワーク 2.69/ビルメンテナンス・施設管理 2.81。

職業単位での位置:科学捜査研究所鑑定技術職員の研究的 4.63 は、本サイトが収録している320職業の中で最も高い数値です(2位の アクチュアリー 4.59 とは0.04差で、ほとんど並びます)。

端に来た4職種の仕事価値観(上位3項目)

職業上位3項目
土木・建築工学研究者専門性 4.14/達成感 3.89/自律性 3.80
情報工学研究者専門性 4.09/自律性 4.00/達成感 3.92
科学捜査研究所鑑定技術職員専門性 4.81/雇用や生活の安定性 4.76/奉仕・社会貢献 4.22
社会学研究者専門性 4.15/自律性 4.12/達成感 4.08

業界平均の上位3項目:専門性 4.22/自律性 3.84・自己成長 3.83(同率)。専門性 4.22 は37業界で最も高い数値です。

業界間の距離:研究職に最も近いのは メーカー技術職 0.676、次が IT・エンジニア 0.781。6つの向きの値をそのまま使い、どれだけ離れているかを測ったものです。小さいほど近い値です。

このデータに含まれていないもの:年収・労働時間・求人数・任期や雇用形態・学位や業績の要件・研究費の状況。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)