経理・人事・総務に向いてる人——3職種は「守備範囲の広さ」で並びます

「事務職が向いていると言われるが、どれを選べばいいのか分からない」 「経理も人事も総務も、同じ管理部門でひと括りにされている」 「いまの仕事は回せている。でもこの先が見えない」

求人で「管理部門」と書かれていても、中身が想像できない。 そんな経験がある人も多いのではないでしょうか。

想像できないのは、3つの職種がかなり違うからです。


経理はすべてで最も低く、総務はすべてで最も高い

厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag」には、約500の職業について、実際にその仕事をしている人がどんな方向に興味を持っているかの調査結果が入っています。

管理部門の担当3職種を並べると、珍しい形になりました。

6つの領域のうち、経理事務が最も低いのは——6領域すべてです。 そして総務事務が最も高いのも、6領域すべてでした。

人事事務は、そのあいだに入ります。

普通、こういう並び方はしません。 どの職種にも「ここは高い」という領域があるのが一般的だからです。

つまり——この3職種は「何が得意か」ではなく、「守備範囲がどれだけ広いか」で並んでいます。


3つの型に分かれます

① 範囲を限定して、正確に回したい人

経理事務が、この型です。

6領域すべてで3職種の最低値ですが、これは「向いていない」という意味ではありません。扱う範囲が限定されているという意味です。

人と関わる向き方は 2.78。 17業界の平均で見ても低い層で、物流・ドライバー(2.87)より低い。

決まった範囲を、決まった手順で、間違いなく終わらせたい人。 割り込みが少ないほうが力を出せる人に噛み合います。

「事務職だから人と接するのが好きなはず」という前提が、いちばん当てはまらない職種です。

② 人に関わる制度を回したい人

人事事務が、この型です。

人と関わる向き方は 3.27 で、経理事務より 0.49 高い。制度と人の両方を扱う位置にいます。

決まった手順を回す向き方も 3.39 と高く、**「人に関わるが、その扱い方は決まっている」**という形です。

採用や労務は、感情の話ではなく規程の話だということが、数値の側から出ています。

③ 何でも来る場所で、回したい人

総務事務が、この型です。

6領域すべてで3職種の最高値。 手を動かすことも、調べることも、人と関わることも、人を動かすことも、すべて上にあります。

守備範囲がいちばん広い。 決まった型が無いものが回ってくる場所です。

何が来るか分からない状態が苦にならない人。 ここが向き・不向きの分かれ目になります。

逆にいうと——「決まったことだけをやりたい」なら、総務はいちばん遠い選択肢です。


昇進したあとが、職種で違います

経理・人事・総務は、担当と課長級が別々に収録されています。 人と関わる向き方の変化を見ると、こうなりました。

人事は +0.85、総務は +0.64。 課長になると大きく上がります。人事課長にいたっては、医療・介護・保育の業界平均を超える水準に達します。

ところが経理は +0.32 で、ほとんど動きません。(3職種の数値は末尾の「この記事の根拠」にあります)

「いまの仕事が合っている=昇進後も合っている」ではない、という話はよく言われます。 ただし経理については、その話が弱い。 担当のときと同じ方向のまま、範囲が広がります。

逆にいうと——人事と総務では、昇進が職種の変更に近くなります。


自分がどれに近いか、確かめる3つの問い

問い1:予定どおりに終わった日と、色々あったけど何とかなった日。どちらが満足ですか

前者なら①後者なら③です。

問い2:割り込みの依頼が来たとき、最初に何を感じますか

「いまじゃない」と感じるなら①「何だろう」と思うなら③です。

問い3:この先、人を動かす側に回りたいですか

回りたいなら人事・総務。 経理は、課長になっても人と関わる量があまり変わりません。


まとめ

  • 経理事務は6領域すべてで最低、総務事務は6領域すべてで最高。 3職種は守備範囲の広さで並ぶ
  • 範囲を限定して回したい型(経理事務)——人と関わる向き方 2.78 は物流・ドライバーより低い
  • 人に関わる制度を回したい型(人事事務)——人に関わるが、扱い方は決まっている
  • 何でも来る場所で回したい型(総務事務)——決まった型が無いものが回ってくる
  • 昇進後の変化は職種で違う。 人事 +0.85、総務 +0.64 に対し、経理は +0.32 でほとんど動かない

決めるべきなのは、事務職に向いているかではありません。守備範囲を狭くしたいのか、広くしたいのかです。


関連ページ


この記事の根拠

数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。

管理部門(担当)の職業別(職業興味・RIASEC)

職業現実的研究的芸術的社会的企業的慣習的
総務事務3.363.252.743.333.413.44
人事事務3.023.002.493.273.243.39
経理事務2.892.702.172.783.023.23

総務事務が6領域すべてで最大、経理事務が6領域すべてで最小です。

管理部門(課長級)の職業別

職業現実的研究的芸術的社会的企業的慣習的
総務課長3.733.092.333.974.003.76
人事課長3.153.272.464.124.043.27
経理課長2.863.002.173.103.313.72

太字は各3職種の中での最大・最小であって、17業界での順位ではありません。

業界平均:管理部門(担当)は 現実的3.09/研究的2.98/芸術的2.47/社会的3.13/企業的3.22/慣習的3.36。管理部門(課長級)は 3.25/3.12/2.32/3.73/3.78/3.58。それぞれ上の3職種の平均です。

比較に使った業界平均:物流・ドライバーの社会的は 2.87、医療・介護・保育は 4.11。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年2月10日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)