研究職の「やめとけ」、「どれも同じ」は7職種で割れる——手順の幅は37業界で2位

中身を先に(6項目)

「調べれば調べるほど、続けるなという話しか出てこない」 「好きなことを仕事にしたはずなのに、続ける前提が崩れていく」 「いま抜けたほうがいいのか、抜けたら何も残らないのか」

外に出た人の話が、そもそも見つからなかった。見つからない理由の一部は、数値のほうに出ているように思います。


「研究職はやめとけ」の中身は、だいたい5つです

このデータで答えられるデータの外で確かめる
#言われていることこのデータで見えること
①任期が切れたら終わり/ポストが無い公表資料で確かめる
②割に合わない求人票で確かめる
③潰しが効かない近い業界は挙げにくい
④不安定な仕事だ満足の置きどころなら言える
⑤どうせ「研究職」はどれも同じ7職種で割れます

①の任期やポストは公表資料、②の割に合うかどうかは求人票。「向き(向き方)」と書いているのは、その仕事をしている人の興味がどの方向に厚く出ているかです。調べて突き止める・手を動かす・手順を回すといった6つの方向ごとに、数字で置いたものです。

③ 「潰しが効かない」——いちばん近いメーカー技術職でも、遠い

研究職に興味の形がいちばん近い業界でも、まだかなり離れていました。いちばん近いのはメーカー技術職、次がIT・エンジニアです。いちばん近い相手がここまで遠い業界は、37業界の中では研究職とコンサルの2つで、リハビリ・治療もほとんど並びます。興味の形の近さから挙げられるのは、この遠い隣までです。実際に移れるかは、求人と経験しだいで、このデータの外です。

④ 「不安定な仕事だ」——安定の重みは、37業界で5番目

任期も、契約の長さも、ポストの数も測っていません。そこは公表されている統計で確かめてください。測れているのは1つだけ。「雇用や生活の安定性を、どれだけ大事にしているか」です。これは実際の安定性ではなく、その仕事をしている人が何を重視しているかの数値です。

そのうえで見ると、研究職は、37業界の中で5番目です。上位に入ります。上にいるのは 警察・消防・自衛隊、公務員(行政)、医師・歯科医師、金融の4業界だけです。

⑤ 「研究職はどれも同じ」——手順を回す向きが、最も離れる

研究職として収録されている7職種を並べると、「決まった手順を正確に回すことへの向き方」が大きく開いていました。最も高いのは科学捜査研究所鑑定技術職員、最も低いのは情報工学研究者です。業界の中でどれだけ開くかを37業界すべてで測ると、研究職は公務員(行政)に次いで2番目です。同じ「研究職」の中に、手順が厳密に決まっている仕事と、ほとんど決まっていない仕事が、両方入っているわけです。

「研究職に向いていなかった」と感じたとき、それが研究そのものへの向き不向きなのか、手順の決まり方への向き不向きなのかは、分けて考えられます。 後者なら、変える先は職種のほうです。7職種でどう割れるかは、研究職に向いてる人へ。


「専門に閉じる」は、そのとおりです

「専門に閉じる」は、欠点として言われがちですが、数値の上では、この仕事が選ばれている理由そのものだと思います。問題になるのは、それが自分の求めているものと違ったときだけです。

研究職が大事にしていることの1位は専門性で、37業界の中で最も高い数値です。2位は自律性と自己成長が同率で、4位は達成感。上位4項目が、すべて「自分の中に積み上がる」側で埋まっています。外から返ってくるもの、認知や報酬は、そのあとです。


「やめとけ」が当たる人と、当たらない人

  • いくつもの業界を渡り歩いて、経験を組み合わせたい人
  • 人と話しながら進める仕事を、中心に置きたい人。人と関わる向き方は37業界で26番目です
  • 積み上がる感覚より、外から返ってくるものを上に置いている人

専門に閉じることを、欠点だと思っていない人には、この5つは当たりません。

  • 何年かかっても、一つのテーマから目を離さない人
  • 実験や測定で自分の手を通すまで、結論を出さない人。手を動かす向き方は37業界で4番目です
  • 手順の決まり方が合わないだけの人

まとめ——研究そのものか、手順の決まり方か

  • 「研究職はどれも同じ」は、7職種で割れる。手順への向き方は業界の中で大きく開き、37業界で2番目
  • 「潰しが効かない」は、近い業界は挙げにくい。最も近い業界でも遠く、コンサルと並んで37業界でいちばん遠い(リハビリ・治療もほとんど並ぶ)。移れるかどうかは求人と経験しだいで、このデータの外
  • 「不安定」は、満足の置きどころなら言える。重視の度合いは37業界で5番目と上位

合っていないのが研究なのか、手順の決まり方なのか。この2つを分けないと、外に出た人の話をいくら探しても、自分の答えは出てこないと思います。

どちらかが決まったら、研究職の転職エージェントの選び方へ。


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この記事の根拠

判定の元になった数値

このデータが測っているのは、その仕事をしている人の興味の向きと仕事で大事にしたいことです。年収・労働時間・年齢・求人の数は測っていません(→このサイトのデータについて)。

数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。

業界平均(向き方)

業界現実的研究的芸術的社会的企業的慣習的
研究職3.704.142.683.283.203.01
メーカー技術職3.613.542.553.043.083.01
IT・エンジニア3.453.422.753.153.172.93
農林水産3.773.412.442.942.883.20
臨床検査・医療技術3.763.362.593.782.793.47
建設技能・職人3.742.982.843.222.903.20
コンサル2.893.192.653.493.632.69

37業界での位置:調べて突き止める向き方 4.14 は1位(2位は 法律・会計 3.55)。手を動かして形にする向き方 3.70 は4番目(上は 農林水産 3.77/臨床検査・医療技術 3.76/建設技能・職人 3.74)。人と関わる向き方 3.28 は26番目。決まった手順を回す向き方 3.01 は下から6番目(メーカー技術職と同値)。

仕事価値観(11項目・研究職)

項目値37業界での位置
専門性4.221番目
自律性3.842番目(1位は士業)
自己成長3.832番目(1位は美容・理容)
達成感3.815番目
奉仕・社会貢献3.655番目
雇用や生活の安定性3.595番目
社会的認知3.503番目
良好な対人関係3.3913番目(販売・小売 3.40・マスコミ・放送・出版 3.39 と同率)
労働安全衛生3.3512番目(建設・施工管理/販売・小売と同値)
私生活との両立3.3410番目(一般事務・オフィスワークと同値)
報酬3.217番目

雇用や生活の安定性で上にいる4業界:警察・消防・自衛隊 4.09/公務員(行政)3.80/医師・歯科医師 3.69/金融 3.62。

「自分の中に積み上がる側」とは、達成感・自律性・専門性・自己成長の4項目です。研究職では、この4項目がそのまま上位4位を占めます。

業界内の幅:研究職の中で最も開くのは、決まった手順を回す向き方の 1.83(科学捜査研究所鑑定技術職員 4.27 ←→ 情報工学研究者 2.44)。37業界それぞれの「業界の中で最も開いた向き方の幅」を並べると2番目です(1位は 公務員(行政)1.92、3位は 金融 1.79)。職種ごとの内訳は 研究職に向いてる人 へ。

近い業界の出し方:上の表の6つの向き方を業界どうしで見比べ、離れ方が小さい順に並べたものです。研究職に最も近いのがメーカー技術職、次がIT・エンジニア。37業界の中で「最も近い相手までが遠い」業界は、研究職 0.676 とコンサル 0.676 の2つで、3番目のリハビリ・治療 0.660 もほとんど並びます。

研究職に含めた職業:土木・建築工学研究者/情報工学研究者/医学研究者/科学捜査研究所鑑定技術職員/薬学研究者/バイオテクノロジー研究者/社会学研究者の7職業の平均です。分析化学技術者・高分子化学技術者・バイオテクノロジー技術者は、メーカー技術職のほうに含めており、こちらでは数えていません。

このデータに含まれていないもの:年収・労働時間・求人数・任期や雇用形態・ポストの数・学位や業績の要件・研究費の状況。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)