一般事務の「やめとけ」、「積み上がらない」と重なるのは、能力ではなく重みの並び

中身を先に(6項目)

「事務は楽そうでいいね、と言われた」 「でも別の人には、キャリアにならないからやめとけと言われた」 「そして、そもそも倍率が高くて入れないぞ、とも」

職務経歴書の「身につけたスキル」の欄で、ペンが止まる。大事にするものを並べ直すと、働いた結果が自分に残る4つの項目は、どれも上位3の外にありました。


「一般事務はやめとけ」の中身は、だいたい5つです

このデータで答えられるデータの外で確かめる
#言われていることこのデータで見えること
①給料が上がらない求人票で確かめる
②仕事がなくなる。置き換えられるこれは、この先の話です
③キャリアにならない。何も積み上がらない満足の置きどころなら言える
④誰にでもできる仕事半分だけ言える
⑤倍率が高くて、そもそも入れない公表資料で確かめる

①の給料は求人票、⑤の倍率は公表資料で確かめてください。②の置き換えはこの先の話です。このあと出てくる「向き(向き方)」は、その仕事に就いている人の興味がどこに向かいやすいかを、6つに分けて数値で表したものです。手順を回すこと、調べて突き止めること、人と関わることなどがあります。以下の見出しと本文では、これを「関心」と呼びます。

③ 「何も積み上がらない」——能力は測っていない。専門性を重く見る度合いは下から2番目

能力が身につくかどうかは、このデータでは測っていません。測っているのは、何をどれだけ重く見るかです。達成感・自律性・専門性・自己成長の4つは、この業界の上位3に1つも来ません。この形になるのは37業界で2業界だけで、もう1つは販売・小売です。

「専門性が積み上がること」を重く見る度合いは、37業界の下から2番目。達成感も、自己成長も、自律性も、同じく下から2番目にあります。

ただし、意味は限定されます。これは「この仕事をしている人が、仕事選びで何を重く見ているか」の数値です。「この仕事をすると能力が下がる」という話ではありません。

④ 「誰にでもできる」——資格の要否は測っていない。手順の関心は37業界で7番目

一般事務・オフィスワークの「決まった手順を正確に回す関心」は、比較した37業界の中で上から7番目です。上にいるのは、管理部門の課長級・士業・鉄道・警察・臨床検査・公務員の6業界だけです。「誰にでもできる」と言うとき、多くの場合は「特別な資格が要らない」という意味で使われているようです。資格の要否や、仕事の難しさは測っていません。数値のほうが指しているのは、資格ではなく関心です。手順を正確に回すことへの関心で見れば、この業界は37業界の上のほうにいます。


上位3に残ったのは、ほかが下がったから

上位3に入っているのは、私生活との両立、労働安全衛生、良好な対人関係です。3つとも、働く条件と、まわりの環境についての重みです。この3つを37業界で並べると、私生活との両立は上から10番目ですが、労働安全衛生は20番目、良好な対人関係は下から11番目です。

同じ形をしている販売・小売とは、ここが違います。あちらは上位3の3項目が、どれも37業界の上から13番目あたりに並んでいて、対人関係を重く見る度合いがそもそも上のほうにある形です。一般事務のほうは、ほかの項目がそろって低い側にあるので、相対的に上に残っています。 職場ごとにどうかは、このデータの外で、働いている人に聞く話です。


関心と大事にするものの形で、当たるのは中身で満たされたい人

  • 専門性が積み上がることを、仕事選びの上に置きたい人
  • 分からないことを突き止めるのが面白い人。調べて突き止める関心は37業界で下から2番目です
  • 仕事の中身そのもので満たされたい人

働いた結果より、私生活との両立を先に置くなら、③は、大事にするものの側では当たりません。大事にするものと関心の形で、当たらない側にいるのは次のような人です。

  • 手順を、書かれたとおりに回したい人
  • 抜けや漏れがあると落ち着かず、自分で気づきたい人
  • 私生活との両立を、仕事選びの先に置きたい人

まとめ——重なるのは能力ではなく、何を重く見るか

  • 「何も積み上がらない」は、満足の置きどころなら言える。達成感・自律性・専門性・自己成長の4項目が満足の上位3に1つも入らないのは37業界で2業界だけで、そのうちの1つがこの業界。専門性を重く見る度合いも、37業界で下から2番目
  • 「誰にでもできる」は、向き方なら半分だけ言える。決まった手順を正確に回す関心は37業界で7番目
  • 上位3は私生活・労働安全衛生・対人関係。2番目と3番目は37業界の真ん中より下で、高いから上位なのではなく、ほかが低いぶん上に残った並び

「やめとけ」のうちデータで言える部分を知ったうえで、それでも働き方のほうを取るのか。バラバラな言われ方のどれが本当かより、答えを出すのはこちらだと思います。「何も積み上がらない」と言われて重なるのは、働いた結果が自分に残る4項目の重みの低さで、能力を測った数値ではありません。

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関連ページ


一般事務・オフィスワークが出てくる「向き方から探す」のページ

この記事の根拠

判定の元になった数値

このデータが測っているのは、その仕事をしている人の興味の向きと仕事で大事にしたいことです。年収・労働時間・年齢・求人の数は測っていません(→このサイトのデータについて)。

数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。

業界平均(向き方)

業界現実的研究的芸術的社会的企業的慣習的
一般事務・オフィスワーク3.022.692.483.352.923.40
販売・小売3.282.772.843.983.243.26
管理部門(担当)3.092.982.473.133.223.36
管理部門(課長級)3.253.122.323.733.783.58
士業2.603.262.263.863.493.50
鉄道・航空・海運3.502.982.433.473.013.48
警察・消防・自衛隊3.433.042.183.753.133.47
臨床検査・医療技術3.763.362.593.782.793.47
公務員(行政)3.113.242.443.583.103.46
ビルメンテナンス・施設管理3.372.812.303.302.823.37
物流・ドライバー3.182.612.402.872.543.20
研究職3.704.142.683.283.203.01
コンサル2.893.192.653.493.632.69

太字は、比較した37業界の中での最高・最低です。

決まった手順を正確に回す向き方の順位(37業界の中で):最も高いのは管理部門(課長級)3.58、2番目が士業 3.50、3番目が鉄道・航空・海運 3.48、4番目が警察・消防・自衛隊と臨床検査・医療技術で、どちらも 3.47、6番目が公務員(行政)3.46、7番目が一般事務・オフィスワーク 3.40。最も低いのはコンサル 2.69 で、幅は 0.89。

調べて突き止める向き方の順位(37業界の中で下から):物流・ドライバー 2.61 / 一般事務・オフィスワーク 2.69(下から2番目) / 販売・小売 2.77 / ビルメンテナンス・施設管理 2.81 / ホテル・観光・ブライダル 2.82。最も高いのは研究職 4.14 で、幅は 1.53。

「働いた結果が本人の側に残る項目」とは、達成感・自律性・専門性・自己成長の4つです。社会的認知は含めません(外からの評価であり、本人の側に残るものではないため)。この4項目が満足の上位3に1つも入らないのは、37業界で販売・小売と一般事務・オフィスワークの2業界だけです。物流・ドライバーとビルメンテナンス・施設管理は、自律性が上位3に入るため該当しません。

仕事価値観の比較(上位3項目と、その37業界での順位)

業界1位2位3位
一般事務・オフィスワーク私生活との両立 3.34(10番目)労働安全 3.25(20番目)対人関係 3.22(下から11番目)
販売・小売対人関係 3.40(13番目)労働安全 3.35(12番目)私生活との両立 3.30(13番目)

同じ形でも、順位の並びが違います。どちらも37業界の中での順位です。

仕事価値観(一般事務・オフィスワーク・11項目)

項目値37業界での位置
私生活との両立3.34上から10番目(研究職と同値)
労働安全3.25上から20番目
良好な対人関係3.22下から11番目
雇用や生活の安定性3.10下から16番目
自律性(自分の裁量で決められること)2.96下から2番目(組立・生産ラインと同値)
達成感(やり遂げた手応え)2.94下から2番目
自己成長2.92下から2番目
専門性が積み上がること2.91下から2番目
奉仕貢献2.78下から6番目
報酬2.70下から11番目
社会的認知2.58下から3番目

太字が、働いた結果が本人の側に残る4項目です。4つとも、業界の中では下位に沈んでいます。

専門性の順位(37業界の中で下から):物流・ドライバー 2.56 / 一般事務・オフィスワーク 2.91 / 食品製造 3.04 / ビルメンテナンス・施設管理 3.05 / 組立・生産ライン 3.11。

達成感の順位(37業界の中で下から):物流・ドライバー 2.79 / 一般事務・オフィスワーク 2.94 / ビルメンテナンス・施設管理 3.02 / 社内SE 3.06。

自己成長の順位(37業界の中で下から):物流・ドライバー 2.67 / 一般事務・オフィスワーク 2.92 / ビルメンテナンス・施設管理 2.95 / 食品製造 3.00。

この11項目は「その仕事をしている人が、何をどれだけ重視しているか」の数値です。報酬は実際の給与額ではなく、私生活との両立も実際の休日数ではありません。

一般事務・オフィスワークに含めた職業:コールセンターオペレーター/秘書/受付事務/一般事務/データ入力/営業事務/生産・工程管理事務/貿易事務/通信販売受付事務/出荷・受荷事務/郵便局郵便窓口業務の11職業の平均です。

販売・小売に含めた職業:デパート店員/スーパー店長/スーパー店員/電器店店員/書店員/メガネ販売/スポーツ用品販売/ホームセンター店員/衣料品販売/コンビニエンスストア店員の10職業の平均です。

このデータに含まれていないもの:収入・雇用形態・労働時間・休日数・求人数・応募倍率・年齢構成・必要なソフトの操作技能・自動化や業務システムの導入状況・これから仕事がどう変わるか。

近い業界の出し方:上の表の6つの向き方を業界どうしで見比べ、離れ方が小さい順に並べたものです。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)