弁護士の「やめとけ」、「資格の仕事はどれも同じ」は比べると逆

中身を先に(5項目)

「資格を取っても割に合わない、と何度も書いてある」 「AIに置き換わる筆頭だと言われた」 「安定を求めて資格を取ったのに、いちばん安定していない気がする」

掲示板では、弁護士と税理士と社労士の悩みが、同じスレッドに並んでいた。業界の平均の関心で比べると、士業の側は手順を回すほうへ、法律・会計は調べて突き止めるほうへ、それぞれ寄っています。


「法律・会計(弁護士・会計士)はやめとけ」の中身は、だいたい5つです

このデータで答えられるデータの外で確かめる
#言われていることこのデータで見えること
①割に合わない求人票で確かめる
②激務で生活が無くなる満足の置きどころなら言える
③AIに置き換わる/独立しないと意味がないこれは、この先の話です
④資格職だから安定している満足の置きどころなら言える
⑤どうせ「資格の仕事」はどれも同じ比べると逆でした。ここが最大のズレ

①の割に合うかどうかは求人票で確かめる話で、③のAIと独立はこの先の話。⑤で出てくる「向き(向き方)」は、その仕事に就いている人の関心がどこへ集まりやすいかを、比べられるようにした値です。調べて突き止める・手順を回す・手を動かすといった、6つの方向があります。この先では、これを「関心」と呼びます。

② 「激務」——労働時間は測っていない。私生活を重く見る度合いは37業界で同率の7番目

労働時間も休日数も測っていません。そちらは求人票で確かめてください。測れているのは1つだけ。「私生活との両立を、どれだけ大事にしているか」です。法律・会計は、37業界の中では、管理部門(課長級)と同率の7番目です。上のほうに入ります。

私生活との両立は、仕事に求めるもの11項目の中で、業界による差がいちばん小さい項目です。実際の働き方がどうかは、業界より職場や業務構成ごとに確かめる話になります。

④ 「資格職だから安定している」——安定しているかは測っていない。重く見る度合いは37業界で10番目

実際に安定しているかどうかは、このデータでは測っていません。法律・会計の「雇用や生活の安定性をどれだけ大事にしているか」は、37業界で10番目です。上位ではありますが、上には9業界あります。 警察・消防・自衛隊、公務員(行政)、医師・歯科医師、金融が、そこに入ります。

報酬を大事にする度合いも同じで、37業界で10番目。やはり上に9業界あります。法律・会計の11項目の中で最も高いのは専門性で、自律性と自己成長がそれに続きます。ただ法律・会計の11項目の中では、雇用の安定を重く見る度合いは同率の8番目、報酬を重く見る度合いはいちばん下です。この業界は、11項目のうち8項目で、重く見る度合いが37業界の上の3分の1に入る、全体に高く答える業界です。

⑤ 「資格の仕事はどれも同じ」——士業は手順、法律・会計は調べるほうへ寄る

法律・会計の「調べて突き止めることへの関心」は、比較した37業界の中で、メーカー技術職と同率の2番目です。上にいるのは研究職だけです。一方、「決まった手順を正確に回すことへの関心」は中位。

同じ資格の仕事でも、社会保険労務士・行政書士・税理士を集めた「士業」のほうは、決まった手順を回す関心が37業界の2番目です。数値の上でいちばん近い業界は、士業より金融です。 37業界のどの2つを比べても、この組み合わせがいちばん近い。同じ「資格の仕事」でも、形が逆を向いています。

  • 士業 — 手順を回す関心が、調べる関心より高い
  • 法律・会計 — 調べる関心が、手順を回す関心より高い

「資格の仕事」というくくりで見ていると、この違いは見えにくくなります。


安定と報酬を、この業界より重く見る人、手を動かしたい人、手順で選びたい人

関心と大事にするものの並びで見て、「やめとけ」が当たるのは次のような人です。

  • 雇用の安定と報酬を、仕事選びのいちばん上に置いている人。どちらも、重く見る度合いは37業界の10番目です
  • 手を動かすことに、強く関心が向く人。手を動かす関心は37業界で下から4番目です。ただし土地家屋調査士や弁理士は、手を動かす関心が業界の平均よりはっきり高く出ます
  • 決まった手順を回すことへの関心で、仕事を選びたい人。この業界の手順の関心は37業界の中位で、調べる関心ほど高くは出ません

調べて突き止めることに関心が向く人には、⑤は、関心の側では当たりません。①の割に合うかどうかと、③のAIや独立は、このデータでは測っていない側です。当たらない側にいるのは、次のような人です。

  • 調べ物が長引いても、答えが出るまで手を離したくない人
  • 人の判断を処理するより、自分で結論を出す側にいたい人
  • 一件で覚えたことが次の件で役に立つと、手応えを感じる人

まとめ——資格でくくると、調べる関心の高さが消える

  • 「激務」は、満足の置きどころなら言える。労働時間は測っていない。私生活との両立を重く見る度合いは、11項目の中で業界による差が最も小さい。実際の働き方は職場ごとに確かめる話
  • 「資格職だから安定」は、満足の置きどころなら言える。安定しているかは測っていない。安定も報酬も、重く見る度合いでは37業界の10番目。上にそれぞれ9業界ある
  • 「資格の仕事はどれも同じ」は、比べると逆でした。調べて突き止める関心は37業界で同率の2番目で、数値の隣は士業ではなく金融(37業界の中で最も近い2業界)

私が応募者なら、「やめとけ」が正しいかどうかを調べ直すより、自分が求めているのが「突き止めること」なのか「正確に回すこと」なのかを先に決めます。何年もかけた資格を、どちら側で使うかの話ですから。「資格の仕事」でひとくくりにされても、士業と法律・会計では、手順を回す関心と調べる関心のどちらが高いかが入れ替わります。

どちらを求めているかが決まったら、法律・会計の転職エージェントの選び方へ。


関連ページ


法律・会計(弁護士・会計士)が出てくる「向き方から探す」のページ

この記事の根拠

判定の元になった数値

このデータが測っているのは、その仕事をしている人の興味の向きと仕事で大事にしたいことです。年収・労働時間・年齢・求人の数は測っていません(→このサイトのデータについて)。

数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。

業界平均(向き方)

業界現実的研究的芸術的社会的企業的慣習的
法律・会計(弁護士・会計士)2.963.552.453.623.363.28
金融3.063.422.343.593.423.19
公務員(行政)3.113.242.443.583.103.46
士業2.603.262.263.863.493.50
研究職3.704.142.683.283.203.01
メーカー技術職3.613.542.553.043.083.01
コンサル2.893.192.653.493.632.69
管理部門(課長級)3.253.122.323.733.783.58

37業界での位置:調べて突き止める向き方 3.55 は2番目(1位は研究職 4.14。メーカー技術職 3.54 とは差0.01で同率)。手を動かして形にする向き方 2.96 は下から4番目(下は 士業 2.60/福祉・相談支援 2.87/コンサル 2.89)。決まった手順を正確に回す向き方 3.28 は11番目で中位帯、士業 3.50 は管理部門(課長級)3.58 に次ぐ2番目です。

業界の中で逆向きに出る職業:手を動かす向き方は、土地家屋調査士 3.62(業界内最高)と弁理士 3.54 が高く出ます。土地家屋調査士の 3.62 は、37業界の業界平均の並びに置くと上から5番目あたり(メーカー技術職 3.61 の上)に来ます(職業の値と業界平均を同じ並びに置いた比較です)。

私生活との両立 3.36 より高いのは、士業 3.52/金融 3.50/美容・理容 3.46/リハビリ・治療 3.43/公務員(行政)3.41/農林水産 3.41 の6業界。管理部門(課長級)3.37 とは差 0.01 なので、同率の7番目として数えています。

仕事価値観(11項目・法律・会計)

項目値37業界での位置
専門性3.978番目
自律性3.6411番目
自己成長3.6014番目(医療・介護・保育と同値)
達成感3.5116番目(営業・IT・エンジニアと同率)
労働安全衛生3.379番目(ホテル・観光・ブライダルと同値)
私生活との両立3.367番目(管理部門(課長級)と同率)
社会的認知3.335番目
良好な対人関係3.3219番目(医療・介護・保育と同値)
雇用や生活の安定性3.3110番目
奉仕・社会貢献3.3011番目(金融・美容・理容と同率)
報酬3.1710番目

雇用や生活の安定性で上にいる9業界:警察・消防・自衛隊 4.09/公務員(行政)3.80/医師・歯科医師 3.69/金融 3.62/研究職 3.59/管理部門(課長級)3.50/管理部門(担当)3.42/メーカー技術職 3.38/鉄道・航空・海運 3.33。

報酬で上にいる9業界:医師・歯科医師 3.65/金融 3.48/営業 3.26/管理部門(課長級)3.26/士業 3.25/警察・消防・自衛隊 3.23/研究職 3.21/コンサル 3.20/メーカー技術職 3.20。

私生活との両立の幅:37業界の最高は士業 3.52、最低は警察・消防・自衛隊 2.82 で、差は 0.70。これは仕事価値観11項目の中で最も小さい幅です(最大は専門性の 1.66)。

法律・会計に含めた職業:中小企業診断士/司法書士/土地家屋調査士/弁護士/公認会計士/弁理士/不動産鑑定士/パラリーガル(弁護士補助職)/企業法務担当/コンプライアンス推進担当の10職業の平均です。社会保険労務士・行政書士・税理士は「士業」のほうに含めており、こちらでは数えていません。

近い業界の出し方:上の表の6つの向き方を業界どうしで見比べ、離れ方が小さい順に並べたものです。法律・会計に最も近いのが金融、次が公務員(行政)、その次が士業。金融との組み合わせは、37業界のどの2つよりも近い形です。

このデータに含まれていないもの:年収・労働時間・求人数・試験の難易度・自動化による影響・独立後の収入。

職種別の数値は弁護士に向いてる人へ。上に出した数値は、すべて業界平均です。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)