医師の「やめとけ」、「お金のためだと続かない」——報酬を重く見る業界の1位

中身を先に(5項目)

「割に合わない、と現役の人から言われた」 「動機が不純だと続かない、とも言われた」 「どちらも実感が湧かないまま、決めろと言われている」

動機が不純だと言われて、それに反論できなかった。報酬を重く見る度合いで37業界を並べると、医師・歯科医師がいちばん高く、2位の金融とも差がついています。


「医師はやめとけ」の中身は、だいたい5つです

このデータで答えられるデータの外で確かめる
#言われていることこのデータで見えること
①労働時間が長すぎる求人票で確かめる
②責任が重すぎる働いている人に聞く
③資格を取るまでが長い公表資料で確かめる
④お金のためだと続かない満足の置きどころなら言える
⑤人が好きでないと務まらない向きなら比べられる

この表で見ているのは、興味の向きと、仕事で大事にしている度合いです。表の「向き」を、この先では「関心」と呼びます。人と関わる・手を動かす・調べて突き止めるなど、その仕事をしている人がどこに興味を置いているかの数値です。①の労働時間は求人票、③の資格までの長さは公表資料で確かめるものです。②の責任は、働いている人に聞くと重さが分かります。

④ 「お金のためだと続かない」——続くかは測っていない。報酬を重く見る度合いは37業界で最高

医師・歯科医師で、報酬を大事にする度合いは、比較した37業界の中で、最も高い数値です。2番目の金融とも、はっきり差があります。外からどう見られるかを大事にする度合いも、37業界で最も高い。

続くかどうかはこのデータの外です。言えるのは、いまこの仕事をしている人が、報酬を37業界でいちばん重く見ている、というところまでです。 もちろん、それだけで成立しているわけでもありません。

人の役に立つことは37業界で福祉・相談支援と並んで最も高く、雇用の安定は3番目です。報酬・社会的な認知・人の役に立つこと・雇用の安定という、外から返ってくる側の4項目が、そろって上位に来ています。専門性が積み上がることは、大事にしていること11項目の中では1位です。報酬は、この業界の11項目の中では7番目に来ます。動機を1つに絞る必要はありません。

⑤ 「人が好きでないと務まらない」——務まるかは測っていない、比べるのは人と関わる関心

務まるかどうかは測っていません。比べられるのは関心のほうで、人と関わる関心は、医療の周辺にある5つの業界の中で最も低く出ました。並べたのは、リハビリ・治療、医療・介護・保育、福祉・相談支援、臨床検査・医療技術、そして医師・歯科医師です。最も高いリハビリ・治療とは、はっきり離れています。「医療の仕事=人と関わることが好き」という前提のほうが、業界の平均とずれているようです。

手を動かして物や人の身体に働きかける関心と、調べて突き止める関心が、ほぼ同じ高さで並びます。人と関わる関心は、その2つより少し高い程度にとどまります。決まった手順を正確に回す関心は、37業界の下から11番目です。

手順がどこまで決まっていて、相手ごとにどれだけ判断を組み替えるかは、科と職場で違います。人当たりの良さより先に見ておきたいのは、手を動かすことと調べて突き止めることへの関心のほうです。


このデータの範囲で当たるのは、人と関わることを増やしたくて来た人

  • 人と関わることを増やすのを目的に動く人。人と関わる関心は、医療の周辺5業界の中ではいちばん低い業界です
  • 決まった手順を正確に回すことを、満足の中心に置きたい人
  • 自分で決める場面を減らしたい人。自分で決められることを大事にする度合いは、11項目で達成感と並ぶ2番目です
  • 「ここまでやったら終わり」という区切りが要る人。専門性が積み上がることを大事にする度合いが、11項目の1位に来る業界です

動機を1つに絞らずに来た人には、④と⑤は当たりません。関心と、大事にするものの形で見て当たらないのは、次のような人です。

  • 報酬や、外からどう見られるかを、動機に入れてよいと思っている人。この2項目は37業界で最も高く、それを隠す必要がある業界ではありません
  • 決めた結果の責任を、自分で持つつもりの人
  • 手を動かすことと、突き止めることの両方を、同じくらい欲しいと思う人

まとめ——報酬を重く見ることは、この業界では隠す話ではない

  • ⑤「人が好きでないと務まらない」は、向きなら比べられる(務まるかどうかは測っていません)。人と関わる関心は、医療の周辺5業界の中では最も低い
  • ④「お金のためだと続かない」は、満足の置きどころなら言える。報酬を大事にする度合いが比較した37業界の中で最も高く、2位の金融とも差がある
  • 専門性が積み上がることを大事にする度合いは、11項目の1位。「ここまでやったら終わり」という区切りを求める人とは、重みの置き方がずれる

反論の材料になるのは、「やめとけ」が正しいかどうかより、消耗している理由が、人と関わることの側にあるのか、区切りが来ないことの側にあるのかのほうです。お金のことでいえば、この業界は報酬を重く見る度合いが37業界でいちばん高く、金融よりも高い並びです。動機が不純だという話は、その並びを知ったうえで聞けば足ります。

どちらの側かが決まったら、医師・歯科医師の転職エージェントの選び方へ。


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この記事の根拠

判定の元になった数値

このデータが測っているのは、その仕事をしている人の興味の向きと仕事で大事にしたいことです。年収・労働時間・年齢・求人の数は測っていません(→このサイトのデータについて)。

数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。

業界平均(向き方)

業界現実的研究的芸術的社会的企業的慣習的
医師・歯科医師3.373.332.873.532.983.08
リハビリ・治療3.313.522.694.203.073.12
医療・介護・保育3.072.942.594.112.933.18
福祉・相談支援2.872.902.753.823.072.99
臨床検査・医療技術3.763.362.593.782.793.47
金融3.063.422.343.593.423.19
士業2.603.262.263.863.493.50
コンサル2.893.192.653.493.632.69
飲食3.253.052.963.593.063.15
農林水産3.773.412.442.942.883.20
組立・生産ライン3.522.832.452.652.643.07
物流・ドライバー3.182.612.402.872.543.20

太字は、比較した37業界の中での最高・最低です。

医療の周辺5業界の、人と関わる向き方:リハビリ・治療 4.20 / 医療・介護・保育 4.11 / 福祉・相談支援 3.82 / 臨床検査・医療技術 3.78 / 医師・歯科医師 3.53。5業界の幅は 0.67 です。

決まった手順を正確に回す向き方の順位(37業界の中で):下から順に コンサル 2.69 / マスコミ・放送・出版 2.87 / クリエイティブ 2.91 / IT・エンジニア 2.93 / 福祉・相談支援 2.99 / 研究職 3.01 / メーカー技術職 3.01 / 美容・理容 3.06 / 製造技能(金属加工)3.07 / 組立・生産ライン 3.07 / 医師・歯科医師 3.08(下から11番目)。

仕事価値観(医師・歯科医師・11項目)

項目値
専門性が積み上がること4.01
達成感3.78
自律性3.78
人の役に立つこと3.74
雇用や生活の安定性3.69
自己成長3.68
報酬3.65
社会的認知・地位3.62
対人関係3.54
労働安全3.28
私生活との両立3.22

37業界での順位

項目医師・歯科医師順位(37業界の中で)前後の業界
報酬3.651位2位は金融 3.48(3位は営業と管理部門(課長級)が 3.26 で同値)
社会的認知・地位3.621位2位は士業 3.56、3位は研究職 3.50
人の役に立つこと3.74同率1位福祉・相談支援 3.75 と差0.01(同率として数えています)、3位は警察・消防・自衛隊 3.72
雇用や生活の安定性3.693位1位は警察・消防・自衛隊 4.09、2位は公務員(行政)3.80
専門性が積み上がること4.01上位帯1位は研究職 4.22

この11項目は「その仕事をしている人が、何をどれだけ重視しているか」の数値です。実際の給与額・労働時間・休日数ではありません。

医師・歯科医師に含めた職業:歯科医師/外科医/小児科医/内科医/精神科医/産婦人科医の6職業の平均です。

このデータに含まれていないもの:給与・年収・労働時間・当直や夜間対応・責任や訴訟のリスク・求人数・年齢構成・開業の可否・資格取得の難易度や合格率・診療の成績や患者さんの状態。この記事は、治療や健康への効果について一切何も述べていません。

近い業界の出し方:上の表の6つの向き方を業界どうしで見比べ、離れ方が小さい順に並べたものです。医師・歯科医師に最も近いのが飲食、次が社内SE、その次がIT・エンジニアでした。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)