農業の「やめとけ」、満足の上位は手応えと専門性——9職業中7で、1位はこの2つ

中身を先に(5項目)

「食べていけないぞ、と言われた」 「体が動くうちだけの仕事だ、とも言われた」 「やってみたい気持ちはある。でも、反対する人の言い分に反論できない」

反論できないまま、話を出すのをやめた。反対する人の言い分を、数値で返せるものから見ていきます。


「農業・林業・漁業はやめとけ」の中身は、だいたい5つです

このデータで答えられるデータの外で確かめる
#言われていることこのデータで見えること
①食べていけない求人票で確かめる
②休みが無い・天候に振り回される働いている人に聞く
③体力仕事だから、長くは続かない向きなら比べられる。ただし別の項目
④未経験から入っても、何も積み上がらない満足の置きどころなら言える
⑤閉鎖的で、人間関係がきつい位置なら言える

①の食べていけるかどうかは求人票で確かめるほかなく、②の休みや天候は働いている人に聞く話です。「向き(向き方)」は、いまその仕事をしている人が、どれに引かれて働いているかの数値です。手を動かすこと、調べて突き止めること、人と関わることなどを指します。

③ 「体力仕事だから続かない」——体力は測れない。向きは技術職の隣

何歳まで続けられるかは測っていません。そこは働いている人に聞いてみてください。農林水産の「手を動かして、物に働きかける向き方」は、比較した37業界の中で、臨床検査・医療技術と同率の1位です。ここまでは、言われているとおりです。

「調べて突き止める向き方」も、比較した37業界の中では、IT・エンジニアや金融と同率の8番目です。この2つが同時に高い形は、IT・エンジニアや社内SE、メーカー技術職と同じ並びです。向き方の近さで見ても、農林水産にいちばん近いのはメーカー技術職です。

向き方の形で見ると、この業界は「技術職の隣」にあります。体力がどれだけ要るか、何歳まで続けられるかは、この形からは言えません。 土や水や個体の様子を見て、原因を考え、次の手に反映させる。その部分は、体力とは別の向き方だと思います。

④ 「何も積み上がらない」——満足の上位は、やり遂げた手応えと専門性

農林水産で最も高いのは「やり遂げた手応え」で、「専門性が積み上がること」もほとんど並びます。3番目が「自分の裁量で決められること」。この仕事をしている人は、積み上がることを軸の上位に置いています。実際に積み上がるかどうかは、また別の話です。

業界の中を職業まで割っても、9職業のうち7職業で、満足の1位は手応えか専門性です。 畜産技術者は、専門性の重みが業界平均を大きく上回ります。

⑤ 「閉鎖的で、人間関係がきつい」——関わる向きは下から5番目

特定の地域や職場の人間関係は、職場ごとの話です。農林水産の「人と関わる向き方」は、比較した37業界の中では下から5番目です。この数値が指しているのは、関わりの有無より、手応えの出どころのほうです。同じ数字が、来た理由によって逆に読めます。

  • 話す量を減らしたい人から見れば、望みどおりの位置
  • 人とのつながりで満たされたい人から見れば、反対側の位置

ただ、業界の中でも差はあります。農業技術者のように、人と関わる向き方と人を説得して動かす向き方が、どちらも業界内で最も高い職業もあります。人と関わるかどうかは、どの職業に就くかで変わります。

職種の割り方は農業に向いてる人へ。


「やめとけ」が当たる人と、当たらない人

  • 人に会う場面を増やしたくて、仕事を変えようとしている人
  • 外から認められることを、続ける燃料にしている人。社会的な認知は、この業界で大事にされている11項目の中で10番目です
  • 割り振られた作業だけをこなす立場にいる人

手を動かすことと、調べて突き止めることの両方に引かれる人に、この5つは当たりません。

  • 植えたものや育てたものが、実になるまで付き合いたい人
  • 天気や土の具合を見て段取りを組み替えることに、張り合いを感じる人
  • 今年の工夫の答えが来年に出る、その長い間隔に面白さを感じる人

まとめ——手を動かす手応えか、人との関係か

  • 「体力仕事だから続かない」は、向きなら比べられる。ただし別の項目。体力と続けられる年数はデータの外。手を動かす向き方は37業界で臨床検査・医療技術と同率の1位だが、調べて突き止める向き方も同率の8番目で、向き方の近さで見るといちばん近いのはメーカー技術職
  • 「何も積み上がらない」は、満足の置きどころなら言える。ただし別の項目。満足の上位3が 手応え/専門性/自分の裁量
  • 「人間関係」は職場ごとの話。人と関わる向き方は37業界で下から5番目で、人と関わりたい動機とは方向が逆

自分が求めているのが、手を動かす手応えなのか、人との関係なのか。ここを自分の言葉で言えるなら、反対する人の言い分にも、もう一度話を出せると思います。

どちらかが決まったら、農林水産の転職エージェントの選び方へ。


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この記事の根拠

判定の元になった数値

このデータが測っているのは、その仕事をしている人の興味の向きと仕事で大事にしたいことです。年収・労働時間・年齢・求人の数は測っていません(→このサイトのデータについて)。

数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。

業界平均(向き方)

業界現実的研究的芸術的社会的企業的慣習的
農林水産3.773.412.442.942.883.20
臨床検査・医療技術3.763.362.593.782.793.47
建設技能・職人3.742.982.843.222.903.20
研究職3.704.142.683.283.203.01
メーカー技術職3.613.542.553.043.083.01
IT・エンジニア3.453.422.753.153.172.93
社内SE3.473.312.603.223.103.19
組立・生産ライン3.522.832.452.652.643.07
製造技能(金属加工)3.322.992.472.742.673.07
化学・素材・日用品製造3.443.032.822.822.853.11
物流・ドライバー3.182.612.402.872.543.20
士業2.603.262.263.863.493.50

太字は、比較した37業界の中での最高・最低です(0.01以内の差は同率として、両方を太字にしています)。

手を動かして形にする向き方の順位(37業界の中で):最も高いのは農林水産 3.77 と臨床検査・医療技術 3.76 で、差が 0.01 のため同率の1位として扱っています。その次が建設技能・職人 3.74。最も低いのは士業 2.60 で、幅は 1.17 です。

調べて突き止める向き方の順位(37業界の中で):上から 研究職 4.14 / 法律・会計(弁護士・会計士)3.55 / メーカー技術職 3.54 / リハビリ・治療 3.52 / マスコミ・放送・出版 3.47 / マーケティング 3.43 / 美容・理容 3.43 / IT・エンジニア 3.42 / 金融 3.42 / 農林水産 3.41。農林水産は IT・エンジニアと金融とは差が 0.01 で同率です。0.01 を超えて上にいるのは7業界なので、同率の8番目として数えています(同率を分けずに並べると10番目)。

人と関わる向き方の順位(37業界の中で下から):組立・生産ライン 2.65 / 製造技能(金属加工)2.74 / 化学・素材・日用品製造 2.82 / 物流・ドライバー 2.87 / 農林水産 2.94(下から5番目)。

型:いちばん高い2つの向き方を並べたものです。農林水産は「手を動かして形にする×調べて突き止める」で、同じ形になるのはIT・エンジニア・社内SE・メーカー技術職です。

仕事価値観(農林水産・11項目)

項目値
達成感(やり遂げた手応え)3.76
専門性が積み上がること3.73
自律性(自分の裁量で決められること)3.68
自己成長3.62
私生活との両立3.41
対人関係3.30
雇用や生活の安定性3.01
奉仕貢献2.89
労働安全2.88
社会的認知2.72
報酬2.58

この11項目は「その仕事をしている人が、何をどれだけ重視しているか」の数値です。報酬は実際の給与額ではなく、私生活・労働安全も実際の休日数や事故率ではありません。

畜産技術者は専門性 4.19 が1位。農業技術者は、人と関わる向き方 3.33 と人を説得して動かす向き方 3.33 が、どちらも業界内で最も高い値です。職種ごとの割り方は農業に向いてる人へ。

近い業界の出し方:上の表の6つの向き方を業界どうしで見比べ、離れ方が小さい順に並べたものです。農林水産に最も近いのがメーカー技術職、次が社内SEでした。

農林水産に含めた職業:農業技術者/林業作業/酪農従事者/稲作農業者/ハウス野菜栽培者/果樹栽培者/花き栽培者/畜産技術者/沿岸漁業従事者の9職業の平均です。

このデータに含まれていないもの:収入・労働時間・休日数・年齢構成・求人数・気象や災害のリスク・就農の制度や支援・農地や設備にかかる費用・地域ごとの事情。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)