国税専門官の「やめとけ」、「人と関わらない」は逆——説得の向きは6職業で1位

「自分の仕事をどう見ているか」を聞いた調査(厚生労働省 job tag)の値です。読み方

「受かっても、数年ごとの転勤でどこへ行くか分からない」と書いてある。

「税務調査で納税者に嫌われて、感謝されることがない」という話も出てくる。

「給料がいいから我慢しているだけ」と言い切る書き込みもある。

国税専門官は、厚生労働省の job tag では「税務事務官」という職業名の中に入っています。この「税務事務官」には、高校卒業者を主な対象とする税務職員採用試験で採用された人も含まれています。ここで使う数値は、採用区分を分けずに「税務事務官」という1つの職業として集計された値です。これから受ける人も、いま中で働いている人も、読んでいるのは同じ言い分です。言われていることは5つに分かれ、数値で返せるのはそのうち4つです。


「国税専門官はやめとけ」の中身——専門性の重みは、6職業で2番目

#言われていることこのデータで見えること
①転勤が多くて、住む場所を選べない働いている人に聞く
②人とはあまり関わらない仕事だ同じ業界の6職業の中では逆に出ます
③納税者に嫌われて、感謝されることがない満足の置きどころなら言える。ただし別の項目
④給料がいいから、我慢して続ける仕事だこの職業の11項目の中では逆に出ます
⑤行政職の国家公務員と、向いている人は同じだ2職業で割れます

判定にある「向き(向き方)」は、税務事務官として働く人の関心がどこへ向いているかの値です。③の「満足の置きどころ」は、この仕事に就いている人が何を重く見ているかの並びのほうを指します。

比べている相手は、公務員(行政)に分類した6つの職業です。税務事務官のほかに、国家公務員(行政事務)・地方公務員(行政事務)・労働基準監督官・国際公務員・社会教育主事が並びます。

相手の言い分を聞いたうえで、こちらの結論に納得してもらう。そこに手応えを置ける人は、人を説得し動かす向き方が6職業で最も高いこの職業の側にいます。

報酬の重みは6職業で最も高いのに、この職業の11項目では下から2番目です。稼ぎを働く理由のいちばん上に置きたい人は、この並びとは合いません。この職業が11項目の上位2つに置いているのは雇用や生活の安定性と専門性で、専門性の重みは6職業でも2番目です。

① 転勤が多い——私生活の重みは、6職業で2番目

転勤の範囲や回数は、採用案内などの公表資料で確かめ、あとは中で働いている人に聞く側です。受ける前に気になる試験の難しさや合格率も、ここでは測っていません。

数値で言えるのは、私生活との両立をどれだけ大事にしているかです。公務員(行政)に分類した6職業の中で税務事務官は上から2番目で、社会教育主事とほとんど並びます。いちばん上は労働基準監督官です。

私生活との両立も、④で出てくる報酬や雇用の安定性も、「どれだけ大事にしているか」の値です。実際の異動の多さや給与の額を表すものではありません。

生活の側を軽く見ている職業ではない、というところまでは言えます。住む場所が動くことをどう受け止めるかは、その先の、人それぞれの話だと思います。

② 人と関わらない——説得の向きは、6職業で最も高い

机で申告書の数字を追う姿が浮かびやすい職業ですが、並びは人の側に出ます。

人を説得し、動かす向き方は、6職業の中で税務事務官が最も高く、2番目の地方公務員(行政事務)とははっきり離れています。人と関わる向き方も、労働基準監督官に次ぐ2番目です。「人とはあまり関わらない」は、6職業に並べると逆を向きます。

数字の側が弱いわけでもありません。調べて突き止める向き方は上から2番目、決まった手順を正確に回す向き方は3番目です。数字を読む側と、相手に納得してもらう側が、どちらも上のほうにある形です。調査に出る時間の割合までは、測っていません。

③ 感謝されない——役に立つ重みは、6職業で3番目

感謝されるかどうかは、相手と場面しだいです。数値には出てこないので、働いている人に聞く話になります。

人の役に立つことをどれだけ大事にしているかは、6職業の中で上から3番目です。外からどう見られるかの重みも3番目で、社会教育主事とほとんど並びます。どちらも、上か下にはっきり振れた位置ではありません。

はっきり上に出ているのは、専門性のほうです。専門性が積み上がることの重みは、6職業で労働基準監督官に次ぐ2番目で、この職業の11項目の中でも上から2番目に来ます。感謝の量より、専門が積み上がることのほうに重みがある並びです。

④ 給料のために我慢——報酬の重みは、この職業の下から2番目

給与の額や上がり方は、公表されている資料で確かめる側です。

報酬をどれだけ大事にしているかを6職業で並べると、税務事務官は最も高い位置にいます。ところが、この職業の11項目の中で並べ直すと、報酬は下から2番目です。1番目は雇用や生活の安定性、2番目は専門性です。

「給料のために続ける」は、この職業の11項目の中では逆に出ます。 6職業の中で報酬を重く見ていることと、自分の中で報酬が上に来ないことは、同時に成り立っています。

⑤ 「行政職の国家公務員と同じ」——向きは3対3、満足は10対1

受ける前に、行政職の国家公務員と並べて迷うこともあると思います。同じ国家公務員の枠でも、6つの向き方はちょうど半分ずつに分かれます。

税務事務官のほうが高いのは、人を説得し動かす、人と関わる、調べて突き止めるの3つ。国家公務員(行政事務)のほうが高いのは、決まった手順を正確に回す、手を動かして形にする、表現するの3つです。いちばん開くのは説得する向き方と手順を回す向き方で、開き方は同じ大きさでした。

満足の11項目は、どれも大事にしている度合いの値です。こちらは10対1で税務事務官のほうが上に出て、国家公務員(行政事務)のほうが上なのは、良好な対人関係だけです。

手順の側に立つか、相手を動かす側に立つかで、同じ枠の中でも並びが分かれます。 決まった手順を正確に回すことに落ち着く人には、国家公務員(行政事務)のほうが近い並びです。


興味の向き——公務員(行政)の6職業の中では、人を動かすが1位

手を動かす
5位
調べて突き止める
2位
表現する
5位
人と関わる
2位
人を動かす
1位
決まった手順を正確に回す
3位

これは同じ業界の職業の中での順位です。ごくわずかな差は同率として数えています。

満足の置きどころ——いちばん高いのは雇用安定

1位
雇用安定
2位
専門性
3位
自己成長

これは、その職業に就いている人が何を大事にしているかです。

まとめ——「人と関わらない」は逆、行政職とは3対3

  • 「人とはあまり関わらない」は、6職業に並べると逆に出る。人を説得し動かす向き方は最も高く、人と関わる向き方も2番目。調べて突き止める向き方と手順を回す向き方も、上から2番目と3番目
  • 「給料がいいから我慢して続ける」は、この職業の11項目の中では逆に出る。報酬の重みは6職業で最も高いが、この職業の中では下から2番目
  • 「行政職の国家公務員と向いている人は同じ」は、2職業で割れる。6つの向き方は3対3、満足の11項目は10対1

数字を読み込む側にいたいのか、相手に結論を飲み込んでもらう側に立ちたいのか。そこが決まらないまま転勤や給料の話を調べても、「やめとけ」の数が増えるだけかもしれません。

いま公務員として働いていて、民間への転職を考えるときの相談先の選び方は、公務員の転職エージェントの選び方にまとめています。


この記事の根拠

この職業の数値をひらく

比べている相手:公務員(行政)に分類した6職業(国家公務員(行政事務)・地方公務員(行政事務)・税務事務官・国際公務員・社会教育主事・労働基準監督官)。国税専門官は、job tag では「税務事務官」の職業名の中に含まれています。「税務事務官」には税務職員採用試験(主に高校卒業者が対象)で採用された人も含まれ、数値は採用区分を分けずに、「税務事務官」という1つの職業として集計された値です。本文の「最も」「上から◯番目」「下から2番目」は、6職業の中の順位か、税務事務官1職業の11項目どうしの順位のどちらかです。どちらの順位かは、それぞれの文で断っています。他の業界や、job tag 全体の中での順位ではありません。

職業興味(6領域)

項目回答の平均が高い順(左から)
人を説得し、動かす(企業的)税務事務官 3.43地方公務員 3.26国家公務員 3.21社会教育主事 3.05労働基準監督官 2.90国際公務員 2.77
人と関わる(社会的)労働基準監督官 4.74税務事務官 3.72国家公務員 3.55地方公務員 3.49社会教育主事 3.16国際公務員 2.82
調べて突き止める(研究的)労働基準監督官 4.26税務事務官 3.24国家公務員 3.10国際公務員 3.00社会教育主事 2.98地方公務員 2.86
決まった手順を正確に回す(慣習的)労働基準監督官 4.32国家公務員 3.74税務事務官 3.52地方公務員 3.35国際公務員 2.96社会教育主事 2.89
手を動かして形にする(現実的)労働基準監督官 3.90国家公務員 3.07社会教育主事 3.05地方公務員 3.04税務事務官 2.91国際公務員 2.73
表現する(芸術的)社会教育主事 2.98国際公務員 2.73国家公務員 2.43地方公務員 2.37税務事務官 2.29労働基準監督官 1.87

満足の置きどころ(仕事価値観のうち、6職業で並べて本文に使った7項目)

項目回答の平均が高い順(左から)
報酬税務事務官 3.23国際公務員 3.18国家公務員 3.07地方公務員 3.02社会教育主事 2.88労働基準監督官 2.61(国際公務員との差 0.05 は、同率にも「ほとんど並ぶ」にも当たらない差として読んでいます)
専門性労働基準監督官 4.65税務事務官 3.89社会教育主事 3.71国際公務員 3.36国家公務員 3.23地方公務員 3.10
雇用や生活の安定性労働基準監督官 4.84税務事務官 3.94国家公務員 3.82地方公務員 3.61社会教育主事 3.32国際公務員 3.25
私生活との両立労働基準監督官 4.07税務事務官 3.42社会教育主事 3.38国際公務員 3.21国家公務員 3.20地方公務員 3.20(社会教育主事との差 0.04 が、本文①の「ほとんど並びます」です)
奉仕・社会貢献労働基準監督官 4.26社会教育主事 3.77税務事務官 3.39国際公務員 3.29地方公務員 3.22国家公務員 3.09
社会的認知・地位労働基準監督官 3.68社会教育主事 3.32税務事務官 3.29国際公務員 3.18国家公務員 2.96地方公務員 2.95(社会教育主事との差 0.03 が、本文③の「ほとんど並びます」です)
良好な対人関係社会教育主事 3.47国家公務員 3.18国際公務員 3.14税務事務官 3.12地方公務員 3.12労働基準監督官 2.90
項目回答の平均が高い順(左から)注
税務事務官自身の11項目の並び(本文③④)雇用や生活の安定性 3.94専門性 3.89自己成長 3.64達成感 3.50労働安全衛生 3.46私生活との両立 3.42奉仕・社会貢献 3.39社会的認知・地位 3.29自律性 3.27報酬 3.23良好な対人関係 3.12専門性は上から2番目、報酬は下から2番目です。

⑤の内訳(税務事務官 − 国家公務員(行政事務))

項目回答の平均が高い順(左から)注
6領域企業的 + 0.22社会的 + 0.17研究的 + 0.14慣習的 − 0.22現実的 − 0.16芸術的 − 0.14最も開くのは企業的と慣習的で、どちらも 0.22 です
  • 仕事価値観11項目:税務事務官のほうが高いのは10項目(達成感 3.50 対 2.84・自律性 3.27 対 2.79・専門性 3.89 対 3.23・自己成長 3.64 対 3.00・社会的認知 3.29 対 2.96・奉仕や社会貢献 3.39 対 3.09・労働安全衛生 3.46 対 3.41・私生活との両立 3.42 対 3.20・雇用や生活の安定性 3.94 対 3.82・報酬 3.23 対 3.07)。国家公務員(行政事務)のほうが高いのは、良好な対人関係 3.18 対 3.12 の1項目です

順位の数え方:同じ値には同じ順位を与えています。0.01以内の差は同率として数え、それより大きい差だけを順位として読んでいます。本文で「ほとんど並ぶ」と書いたのは差が0.05未満のところです。 良好な対人関係は、税務事務官と地方公務員(行政事務)が同じ 3.12 で並びます。

このデータに含まれていないもの:年収・俸給の決まり方・昇給・労働時間・時間外の量・休日・転勤や異動の範囲と頻度・部署ごとの違い・税務調査の件数・採用試験の難易度や合格率・採用区分(国税専門官採用と税務職員採用)ごとの違い・研修の内容・離職率・年齢構成・退職後の進路。「報酬」「雇用や生活の安定性」「私生活との両立」「専門性」「奉仕・社会貢献」「社会的認知・地位」「良好な対人関係」は、いずれも「どれだけ大事にしているか」の値で、実際の給与の額も、雇用の安定度も、勤務の実態も、職場の人間関係の良し悪しでもありません。能力・スキルも測っていないので、「務まるかどうか」も「受かるかどうか」もこのデータでは答えられません。この記事は、税務調査の権限や、個別の事案の扱いについて一切何も述べていません。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構/当サイトの取得日 2026年8月13日)