税理士に向いてない人、「両立向き」が逆——両立を大事にする度合いは3職業で最下

「自分の仕事をどう見ているか」を聞いた調査(厚生労働省 job tag)の値です。読み方

「向いているのは数字に強い人だ、とどこにも書いてある」 「こつこつ型の人の資格だ、とも言われる」 「独立すれば時間の融通が利く、という説明も見かける」

どれも当たっているように読めて、選ぶ材料にならない。当たっているかどうかを、5つの条件に分けて確かめます。


「税理士に向いてない人」の中身——報酬の重みは、3職業で最も高い

#言われていることこのデータで見えること
数字に強い人が向いている働いている人に聞く
細かい処理をこつこつ続けられる人が向いている向き方なら言える
押しが強くなくても務まる向き方なら言える
家庭と両立したい人に向いている同じ業界の3職業の中では逆に出ます
行政書士より上の資格だから、迷うならこちら2職業で割れます

②③の判定にある「向き方」を、得意・不得意と読むと外れます。いま税理士でいる人の興味が、どの方向に多く向いているかを数えたものだからです。

比べている相手は、士業に分類した3つの職業です。税理士・社会保険労務士・行政書士です。

決着がついた形にしてから次へ進みたい人は、調べて突き止める向き方が士業3職業で最も高いという位置と重なります。生活の側を守るために資格を取ろうとしている人は、私生活との両立を大事にしている度合いが3職業で最も低いという並びとずれます。

① 数字に強い——確かめる先は、学習と実務のほうです

計算の速さも、簿記の理解も、測っていません。実際の学習と実務のほうです。向いていると出た人ができないことも、その逆も起こります。数字への強さを条件にして進路を決めたい人は、その2つと、実際に働いている人の話で確かめることになります。

② こつこつ続けられる——調べる向きは、3職業で最も高い

決まった手順を正確に回す向き方は、士業3職業の中で高いほうです。社会保険労務士と同じ値で、行政書士より上にあります。

調べて突き止める向き方も、3職業の中では最も高く出ています。次に来るのが行政書士で、いちばん低いのが社会保険労務士です。

期日どおりに正確に通す側と、根拠を当たって確かめる側が、どちらも3職業の上側にある。 「こつこつ」を、同じ作業の反復という意味で受け取ると少しずれます。数値が指しているのは、確かめながら積む側でした。

③ 押しが強くなくてもいい——説得の向きは、3職業で最も低い

6つの向き方の中で、3職業がいちばん大きく開いたのがここでした。 上にいるのは社会保険労務士で、行政書士がその間に入ります。

ただし、人と会わない仕事という意味にはなりません。人と関わる向き方は3職業の中では最も低いものの、6つの向き方の中でいちばん差がつかなかったのもここです。3職業とも、人と関わる向き方は6つの中で高い側にあります。

聞かれたら答える、という関わり方で足りると考えている人には、3職業の中でここがいちばん近い位置だと思います。

④ 家庭と両立したい人向け——両立の重みは、3職業で最も低い

言えるのは、何を大事にしているかのほうです。私生活との両立を大事にしている度合いは、士業3職業の中で最も低く出ています。しかもこの開き方は、満足の項目の中で2番目に大きいものです。労働安全衛生を大事にしている度合いも、3職業の中で最も低い位置です。

私生活との両立・報酬・雇用や生活の安定性は、いずれも「どれだけ大事にしているか」の値です。

代わりに上に出るのは、報酬と社会的認知を大事にしている度合いで、どちらも3職業の中で最も高い位置です。「生活の側を守るために資格を取る」という組み立ては、3職業の中ではこの職業といちばん遠いところにあります。

⑤ 「行政書士より上の資格」——満足の重みは、3対4に分かれる

6つの向き方を並べると、この2職業はほとんど差がつきませんでした。最も開いたところでも、開き方は小さいままです。

税理士のほうが高いのは、調べて突き止める向き方と、決まった手順を正確に回す向き方。行政書士のほうが高いのは、人を説得し動かす向き方と、人と関わる向き方、それに手を動かして形にする向き方です。ただし手を動かす向き方は、ほとんど並びます。表現する向き方は、同率でした。

分かれるのは、満足の置きどころのほうです。

  • 税理士のほうが高いのは、報酬、雇用や生活の安定性、社会的認知
  • 行政書士のほうが高いのは、私生活との両立、奉仕・社会貢献、達成感、労働安全衛生
  • 自律性・自己成長・良好な対人関係は、ほとんど並びます

上下ではなく、満足の中心が逆向きに出ています。


興味の向き——士業の3職業の中では、調べて突き止めるが1位

手を動かす
2位
調べて突き止める
1位
表現する
2位(同率2)
人と関わる
3位
人を動かす
3位
決まった手順を正確に回す
1位(同率2)

これは同じ業界の職業の中での順位です。ごくわずかな差は同率として数えています。

満足の置きどころ——いちばん高いのは専門性

1位
専門性
2位
自律性
3位
達成感

これは、その職業に就いている人が何を大事にしているかです。

まとめ——「両立向き」が逆、「行政書士より上」は3対4

  • 「こつこつ続けられる人」は、向き方なら言える。決まった手順を正確に回す向き方は社会保険労務士と同じ値で高い側、調べて突き止める向き方は3職業の中で最も高い
  • 「家庭と両立したい人向け」は、3職業に並べると逆を向く。私生活との両立を大事にする度合いが最も低く、開き方は満足の置きどころの中で2番目に大きい
  • 「行政書士より上の資格」は、2職業で割れる。6つの向き方はほとんど分かれず、割れるのは満足の置きどころのほう

「向いてないのでは」と思って調べ始めたなら、確かめるのは、生活の側を守るために選ぶという1つが自分の話かどうかです。

条件と評価を積みにいくのか、生活と手応えを守りにいくのか。そこが決まっていれば、向いているかどうかの答えは、その中に入っています。

エージェントを業界の側から見た話は、士業の転職エージェントの選び方で。


この記事の根拠

この職業の数値をひらく

比べている相手:士業に分類した3職業(税理士・社会保険労務士・行政書士)。本文の「最も」「上側」は、すべてこの3職業の中での順位です。他の業界や、job tag 全体の中での順位ではありません。弁護士・公認会計士・司法書士などは別の業界(法律・会計)に入れているので、ここでは数えていません。3職業しかないため、順位の言葉は「3つのうちどれか」以上の意味を持ちません。

職業興味(6領域)

項目回答の平均が高い順(左から)
手を動かして形にする(現実的)行政書士 2.65税理士 2.61社会保険労務士 2.54
調べて突き止める(研究的)税理士 3.33行政書士 3.28社会保険労務士 3.18
表現する(芸術的)社会保険労務士 2.38税理士 2.21行政書士 2.20
人と関わる(社会的)行政書士 3.90社会保険労務士 3.87税理士 3.81
人を説得し、動かす(企業的)社会保険労務士 3.71行政書士 3.45税理士 3.32
決まった手順を正確に回す(慣習的)社会保険労務士 3.54税理士 3.54行政書士 3.42
項目回答の平均が高い順(左から)
6領域の幅(3職業の最大−最小)企業的 0.39芸術的 0.18研究的 0.15慣習的 0.12現実的 0.11社会的 0.09

税理士の6領域を、高い順に:人と関わる 3.81 / 決まった手順を正確に回す 3.54 / 調べて突き止める 3.33 / 人を説得し動かす 3.32 / 手を動かして形にする 2.61 / 表現する 2.21。社会保険労務士も行政書士も、人と関わる(社会的 3.87/3.90)が6領域の最高です。

満足の置きどころ(仕事価値観11項目)

項目回答の平均が高い順(左から)
専門性社会保険労務士 4.25行政書士 4.05税理士 4.00
達成感行政書士 4.00社会保険労務士 3.90税理士 3.81
自律性社会保険労務士 3.93行政書士 3.93税理士 3.90
自己成長社会保険労務士 3.83行政書士 3.83税理士 3.79
社会的認知税理士 3.68社会保険労務士 3.63行政書士 3.36
奉仕・社会貢献行政書士 3.69社会保険労務士 3.68税理士 3.48
良好な対人関係税理士 3.65社会保険労務士 3.63行政書士 3.62
労働安全衛生社会保険労務士 3.56行政書士 3.53税理士 3.42
私生活との両立行政書士 3.72社会保険労務士 3.68税理士 3.16
雇用や生活の安定性社会保険労務士 3.40税理士 3.34行政書士 2.91
報酬税理士 3.53社会保険労務士 3.39行政書士 2.85
項目回答の平均が高い順(左から)
11項目の幅(3職業の最大−最小)報酬 0.68私生活との両立 0.56雇用や生活の安定性 0.49社会的認知 0.32専門性 0.25奉仕・社会貢献 0.21達成感 0.19労働安全衛生 0.14自己成長 0.04自律性 0.03良好な対人関係 0.03

行政書士との差:税理士が上回るのは研究的(3.33/3.28)・慣習的(3.54/3.42)、行政書士が上回るのは企業的(3.45/3.32)・社会的(3.90/3.81)・現実的(2.65/2.61。差 0.04 は 0.05 未満)。芸術的は 2.21/2.20 で、0.01 差を同率として数えています。6領域で最も開いたのは企業的の 0.13 です。満足の置きどころは、税理士が上回るのが報酬(3.53/2.85)・雇用や生活の安定性(3.34/2.91)・社会的認知(3.68/3.36)、行政書士が上回るのが私生活との両立(3.72/3.16)・奉仕・社会貢献(3.69/3.48)・達成感(4.00/3.81)・労働安全衛生(3.53/3.42)。専門性 4.05/4.00 は差 0.05 で、どちらの側にも入れていません。

順位の数え方:同じ値には同じ順位を与えています(慣習的の 3.54、自律性の 3.93、自己成長の 3.83 は2職業が同値)。0.01以内の差は同率として数え、それより大きい差だけを順位として読んでいます。 研究的の 3.33 と 3.28 は差がちょうど 0.05 で、0.05 未満にはあたりません。

このデータに含まれていないもの:年収・顧問料・労働時間・繁忙期の波・休日・求人の数・試験の合格率・独立後の働き方・年齢構成・事務所ごとの違い。「報酬」「雇用や生活の安定性」「私生活との両立」「社会的認知」は、いずれも「どれだけ大事にしているか」の値で、実際の金額や勤務の実態ではありません。能力・スキルも測っていないので、「務まるかどうか」もこのデータでは答えられません。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構/当サイトの取得日 2026年8月13日)