営業のミスまで自分の責任になる、と書いてある。
何年やっても手元に何も残らない、とも言われる。
そのうち全部システムに置き換わる、という言い方も並ぶ。
辞めた理由が並んでいるだけで、自分の話にならない。理由を5つに分けて、どれが自分の話かを見ます。
「営業事務はやめとけ」の中身——裁量の重みは、11職業で5番目
| # | 言われていること | このデータで見えること |
|---|---|---|
| ① | 雑用の寄せ集めで、やり切った感じがない | 向き方なら言える |
| ② | 何年やっても、専門性が積み上がらない | 同じ業界の11職業の中では下側に出ます |
| ③ | 営業と取引先の板挟みで消耗する | 働いている人に聞く |
| ④ | そのうちシステムに置き換わる | これは、この先の話です |
| ⑤ | 指示されたことをやるだけで、自分では決められない | 向き方なら言える。ただし別の項目 |
①⑤の判定にある「向き(向き方)」という語は、雑用かどうかや決められるかどうかの答えではありません。いま営業事務でいる人の関心と、何を重く見ているかの並びを指す、この記事の中の呼び名です。
比べている相手は、一般事務・オフィスワークに分類した11の職業です。一般事務・秘書・受付事務・データ入力・貿易事務・生産、工程管理事務・通信販売受付事務・コールセンターオペレーター・出荷、受荷事務・郵便局郵便窓口業務と、営業事務が並びます。
一日の終わりに「やり切った」と言えることを支えにしている人は、並びとずれます。やり遂げた手応えの重みが、11職業の下から3番目だからです。自分で決められる範囲の狭さを不満の中心に置いている人にとって、そこは分かれ目になりません。裁量の重みは、11職業で上から5番目です。
① やり切った感じがない——達成感の重みは、下から3番目
やり遂げた手応えをどれだけ大事にしているかで、営業事務は11職業の下から3番目に来ます。上位3つは通信販売受付事務・秘書・貿易事務です。
ただし、仕事の中身が雑用だという意味ではありません。読めるのは、この職業の平均が、やり切ることを11職業の中ではあまり上に置いていない、というところまでです。
② 積み上がらない——専門性の重みは、11職業で7番目
専門性が積み上がることの重みは11職業で7番目、自分が成長していくことの重みは下から3番目です。
どちらの項目でも、上位3つは貿易事務・生産、工程管理事務・秘書です。同じ顔ぶれが、2回とも並びます。「積み上がらない」という言い方は、この2つの並びと同じ向きに出ます。
③ 取引先との板挟み——労働安全の重みは、11職業で7番目
安全に、健康を損なわずに働けることをどれだけ大事にしているかは、11職業の中で7番目です。コールセンターオペレーターと同率です。上位2つは通信販売受付事務と秘書で、営業事務は上側ではありません。
④ システムに置き換わる——表現する向きは、11職業で4番目
自動化の進み方は、このデータの外です。分かるのは、いまこの職業の関心がどんな形をしているかだけです。調べて突き止める向き方は11職業で上から5番目、表現する向き方は上から4番目で、一般事務と同率です。
決まった形に収めるだけの職業を11職業から挙げるとき、先に来るのは営業事務ではありません。ただし、この2つの位置と、置き換わりの見通しは、別の話です。
⑤ 自分では決められない——下に出るのは、達成感と成長の重み
自分の裁量で決められることをどれだけ大事にしているかは、11職業の上から5番目です。上にも下にも、はっきりとは振れていません。
はっきり下に振れているのは、やり遂げた手応えと、積み上がる側のほうです。「決められない」という言い方は、この職業で下に振れているのとは別の項目を指しているように思います。
興味の向き——一般事務・オフィスワークの11職業の中では、人を動かすが1位
- 手を動かす
- 8位
- 調べて突き止める
- 5位
- 表現する
- 4位(同率2)
- 人と関わる
- 5位
- 人を動かす
- 1位(同率2)
- 決まった手順を正確に回す
- 9位
これは同じ業界の職業の中での順位です。ごくわずかな差は同率として数えています。
満足の置きどころ——いちばん高いのは対人関係
- 1位
- 対人関係
- 2位
- 私生活
- 3位
- 雇用安定
これは、その職業に就いている人が何を大事にしているかです。
同じところに満足を置く職業を、業界をまたいで見る:安定した職業、「安定」はデータで2つに割れる
まとめ——「積み上がらない」が当たる、「決められない」は別の項目
- 「雑用の寄せ集めで、やり切った感じがない」は、向き方なら言える。やり遂げた手応えの重みは、事務11職業の下から3番目
- 「専門性が積み上がらない」も、11職業に並べると下側に出る。専門性は7番目、自分が成長していくことは下から3番目で、上に出るのは同じ3職業
- 「自分では決められない」は、向き方なら言える。ただし別の項目。裁量の重みは上から5番目で、下に出ているのは、やり遂げた手応えと積み上がる側のほう
この職業で下がるのは、決められるかどうかではありませんでした。積み上がるかどうかです。
やり切った手応えと積み上がる実感を、どこで受け取るつもりなのか。そこを決めずに向き不向きを調べても、辞めた人の話を読み続けることになります。
積み上がる側を条件に入れた話し方は、一般事務・オフィスワークの転職エージェントの選び方のほうで。
この記事の根拠
この職業の数値をひらく
比べている相手:一般事務・オフィスワークに分類した11職業(一般事務・秘書・受付事務・データ入力・営業事務・貿易事務・コールセンターオペレーター・生産、工程管理事務・通信販売受付事務・出荷、受荷事務・郵便局郵便窓口業務)。本文の「上から◯番目」「下から3番目」は、すべてこの11職業の中での順位です。他の業界や、job tag 全体の中での順位ではありません。
| 項目 | 回答の平均が高い順(左から) | ||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| やり遂げた手応え(達成感) | 通信販売受付事務 3.30 | 秘書 3.09 | 貿易事務 3.09 | データ入力 3.07 | 生産、工程管理事務 3.06 | 郵便局郵便窓口業務 2.93 | 一般事務 2.93 | 受付事務 2.89 | 営業事務 2.84 | コールセンターオペレーター 2.79 | 出荷、受荷事務 2.41(営業事務は11職業中9位=下から3番目) |
| 専門性が積み上がること | 貿易事務 3.50 | 生産、工程管理事務 3.30 | 秘書 3.25 | コールセンターオペレーター 3.02 | 通信販売受付事務 2.91 | 一般事務 2.85 | 営業事務 2.82 | 郵便局郵便窓口業務 2.78 | データ入力 2.73 | 受付事務 2.57 | 出荷、受荷事務 2.32 |
| 自分が成長していくこと(自己成長) | 秘書 3.37 | 貿易事務 3.31 | 生産、工程管理事務 3.06 | 通信販売受付事務 3.02 | コールセンターオペレーター 2.93 | 受付事務 2.87 | 郵便局郵便窓口業務 2.85 | 一般事務 2.81 | 営業事務 2.71 | データ入力 2.65 | 出荷、受荷事務 2.50(9位=下から3番目。上位3つは専門性と同じ顔ぶれです) |
| 自分の裁量で決められること(自律性) | 生産、工程管理事務 3.30 | 貿易事務 3.17 | 秘書 3.14 | 一般事務 3.10 | 営業事務 3.02 | 郵便局郵便窓口業務 2.96 | 通信販売受付事務 2.83 | コールセンターオペレーター 2.82 | 受付事務 2.76 | データ入力 2.73 | 出荷、受荷事務 2.68(営業事務は5位) |
| 安全に、健康を損なわずに働けること(労働安全衛生) | 通信販売受付事務 3.65 | 秘書 3.49 | データ入力 3.43 | 生産、工程管理事務 3.37 | 受付事務 3.33 | 貿易事務 3.31 | 営業事務 3.14 | コールセンターオペレーター 3.13(0.01 差で同率7位) | 郵便局郵便窓口業務 3.11 | 一般事務 3.00 | 出荷、受荷事務 2.77 |
| 調べて突き止める(研究的) | 生産、工程管理事務 3.11 | 秘書 2.98 | 貿易事務 2.97 | データ入力 2.87 | 営業事務 2.82 | 一般事務 2.79 | 出荷、受荷事務 2.64 | コールセンターオペレーター 2.55 | 受付事務 2.48 | 通信販売受付事務 2.24 | 郵便局郵便窓口業務 2.19 |
| 表現する(芸術的) | データ入力 2.87 | 受付事務 2.71 | 秘書 2.67 | 営業事務 2.63 | 一般事務 2.62(0.01 差で同率4位) | 生産、工程管理事務 2.53 | 貿易事務 2.50 | 出荷、受荷事務 2.41 | 通信販売受付事務 2.27 | コールセンターオペレーター 2.04 | 郵便局郵便窓口業務 2.00 |
順位の数え方:同じ値には同じ順位を与えています。0.01以内の差は同率として数え、それより大きい差だけを順位として読んでいます。
このデータに含まれていないもの:年収・労働時間・残業・休日・雇用の形・求人の数・選考の通り方・必要な資格や経験・自動化やシステム導入の見通し・年齢構成・企業ごとの違い。「専門性が積み上がること」「自分が成長していくこと」「やり遂げた手応え」「自分の裁量」「労働安全衛生」は、いずれも「どれだけ大事にしているか」の値で、実際に身につくものや、任される範囲や、職場の環境ではありません。能力・スキルも測っていないので、「務まるかどうか」もこのデータでは答えられません。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構/当サイトの取得日 2026年8月13日)