総務の「やめとけ」、「何でも屋」は向き方なら当たる——6つの向きが3職業の1番上

「自分の仕事をどう見ているか」を聞いた調査(厚生労働省 job tag)の値です。読み方

「総務は会社の何でも屋で、雑用ばかり」と書いてある。

「いろいろやるわりに、専門と呼べるものが何も残らない」とも言われる。

同じ画面に、「定時で帰れる勝ち組」という記事も並んでいる。

「やめとけ」と「勝ち組」が同じ職業に向けて言われていて、どちらが自分の話なのか決めきれない。言い分を拾い直すと、5つに割れます。


「総務はやめとけ」の中身——労働安全の重みは、3職業で1番上

#言われていることこのデータで見えること
①雑用ばかりの、会社の何でも屋だ向き方なら言える
②いろいろやるぶん、専門と呼べるものが残らない同じ業界の3職業の中では下側に出ます
③社内のあちこちから頼まれて、板挟みで疲れる働いている人に聞く
④定時で帰れて楽だが、そのぶん給料は上がらない求人票で確かめる
⑤裏方で、誰の役に立っているのか見えない満足の置きどころなら言える。ただし別の項目

①で使う「向き(向き方)」は、総務事務に就いている人の興味がどこへ向いているかを表す値です。

比べている相手は、経理・人事・総務に分類した3つの職業です。経理事務・人事事務・総務事務で、課長級の3職業は別の業界として数えています。3つしか並ばないので、この記事で「1番上」と書いても、3つの中の1番目という意味にとどまります。安全に働けることの重みが総務事務でいちばん上、というのも、この3つの中での順位です。

人の役に立つことを大事にする度合いは、3職業で総務事務がいちばん上です。頼まれたことを片づけて、誰かが助かるところに手応えを置く人は、この職業と重みの置き方が重なります。専門性が積み上がることの重みは、3職業で最も低い位置です。1つの分野を深く掘ることを働く理由にしたい人とは、ここで合わなくなります。

① 何でも屋——6つの向きは、3職業のすべてで1番上

「何でも屋」という言い分には、向き方の並びがいちばん素直に答えます。手を動かして形にする、調べて突き止める、表現する、人と関わる、人を説得し動かす、決まった手順を正確に回す。この6つのどれで並べても、総務事務は3職業の1番上に来ます。

どれか1つが突き出た形ではなく、全部が経理事務と人事事務より上にある形です。人事事務との差がいちばん開いたのは、手を動かして形にする向き方でした。形のあるものを扱う側にも、ほかの2職業より関心が寄っているのかもしれません。

3職業で並べるかぎり、この言い方は並びと合っています。 仕事の中身が雑用かどうかまでは、測っていません。

② 専門が残らない——専門性の重みは、3職業で最も低い

何が身につくかは職場と担当しだいで、身についたかどうかそのものは測っていません。

数値で見えるのは、専門性が積み上がることをどれだけ大事にしているかの位置です。3職業の中で総務事務は最も低く、いちばん上は経理事務です。自分が伸びていくことの重みも3職業で最も低く、こちらのいちばん上は人事事務です。

言われていることと数値が、ここでは同じ方向を指しています。 1つの分野を掘り下げることを満足の中心にしたい人には、3職業の中では経理事務の重みの置き方のほうが合います。

③ 板挟みで疲れる——関係を大事にする度合いは、人事事務より下

どれだけ頼まれごとが来るか、部署の間に立つ場面がどれくらいあるかは、働いている人に聞くのがいちばん早いところです。

向き方で言えるのは、人と関わることへの関心の強さです。総務事務は3職業で最も高く、2番目は人事事務です。一方で、まわりと良い関係でいられることを大事にしている度合いは、人事事務のほうが上に出ます。総務事務は経理事務と同率です。

人とは関わるけれど、関係がうまくいくこと自体を満足のいちばん上には置いていない。そういう並びだと思います。

④ 楽な勝ち組——大事にする上位3つは、安全・安定・私生活

定時に帰れるか、給料がどこまで上がるかは、求人票で確かめる側です。

見えるのは、この職業の平均が何を上に置いているかです。11項目を高い順に並べると、1番目が安全に働けること、2番目が雇用や生活の安定性、3番目が私生活との両立です。安全に働けることの重みは、3職業の中でも総務事務が最も高く出ています。

どれも「どれだけ大事にしているか」の値で、実際の勤務時間や雇用の形、給与の額ではありません。

報酬を大事にする度合いも、3職業では総務事務が最も高い位置です。ただ、この職業の11項目の中では下から2番目に来ます。稼ぎより、崩れずに働けることのほうを上に置いた並びです。 「勝ち組」と呼ぶかどうかは読む人しだいでも、重みが条件の側に寄っているところまでは言えます。

⑤ 役に立っているか見えない——貢献の重みは、3職業で1番上

感謝の声が届くかどうかは職場ごとの話で、このデータの外です。

人の役に立つことをどれだけ大事にしているかなら、並びに出ます。3職業の中で総務事務は最も高く、いちばん下の経理事務とは大きく離れています。「誰の役に立っているか見えない」と言われる仕事のほうが、役に立つことを重く見ている。3職業に並べると、そういう組み合わせです。

ただし、この職業の11項目の中で並べると、人の役に立つことは下から3番目で、自分が伸びていくことと同率です。3職業の中での位置と、自分の中での順番は、分けて読んだほうがいいと思います。


興味の向き——経理・人事・総務の3職業の中では、手を動かすが1位

手を動かす
1位
調べて突き止める
1位
表現する
1位
人と関わる
1位
人を動かす
1位
決まった手順を正確に回す
1位

これは同じ業界の職業の中での順位です。ごくわずかな差は同率として数えています。

満足の置きどころ——いちばん高いのは労働安全

1位
労働安全
2位
雇用安定
3位
私生活

これは、その職業に就いている人が何を大事にしているかです。

まとめ——「何でも屋」と「専門が残らない」は同じ側、貢献の重みは3職業で1番上

  • 「雑用ばかりの何でも屋」は、向き方なら言える。6つの向き方のどれでも、総務事務は3職業の1番上
  • 「専門と呼べるものが残らない」は、3職業に並べると下側に出る。専門性の重みも、伸びていくことの重みも、3つの中で最も低い
  • 「誰の役に立っているか見えない」は、満足の置きどころなら言える。ただし別の項目。見えるかどうかはデータの外で、人の役に立つことを大事にする度合いは、3つの中で最も高い

何でも引き受けることを、幅が広がると感じるのか、専門が削られると感じるのか。総務の求人を何社見比べても決め手が見つからないなら、止まっているのは会社選びより、こちらの問いのほうだと思います。

経理・人事・総務の業界で転職エージェントをどう選ぶかは、経理・人事・総務の転職エージェントの選び方にまとめています。


この記事の根拠

この職業の数値をひらく

比べている相手:経理・人事・総務(管理部門の担当)に分類した3職業(経理事務・人事事務・総務事務)。本文の「1番上」「最も高い」「最も低い」「同率」は、3職業の中の順位か、総務事務1職業の11項目どうしの順位のどちらかです。どちらの順位かは、それぞれの文で断っています。3職業しかないので、職業どうしの順位は1番目から3番目までしかありません。課長級の3職業(経理課長・人事課長・総務課長)は別の業界として数えています。他の業界や、job tag 全体の中での順位ではありません。

職業興味(6領域)

項目回答の平均が高い順(左から)
手を動かして形にする(現実的)総務事務 3.36人事事務 3.02経理事務 2.89
調べて突き止める(研究的)総務事務 3.25人事事務 3.00経理事務 2.70
表現する(芸術的)総務事務 2.74人事事務 2.49経理事務 2.17
人と関わる(社会的)総務事務 3.33人事事務 3.27経理事務 2.78
人を説得し、動かす(企業的)総務事務 3.41人事事務 3.24経理事務 3.02
決まった手順を正確に回す(慣習的)総務事務 3.44人事事務 3.39経理事務 3.23

人事事務との差が最も大きいのは手を動かして形にする向き方の 0.34 です。最も小さいのは決まった手順を正確に回す向き方の 0.05 と人と関わる向き方の 0.06 で、差 0.01 のため同率です。

満足の置きどころ(仕事価値観のうち、3職業で並べて本文に使った項目)

項目回答の平均が高い順(左から)
専門性経理事務 3.60人事事務 3.38総務事務 3.26
自己成長人事事務 3.44経理事務 3.22総務事務 3.15
良好な対人関係人事事務 3.44総務事務 3.29経理事務 3.28(総務事務と経理事務は 0.01 差で同率)
労働安全衛生総務事務 3.58経理事務 3.50人事事務 3.38
報酬総務事務 3.11人事事務 2.96経理事務 2.95
奉仕・社会貢献総務事務 3.16人事事務 2.91経理事務 2.48(経理事務との差は 0.68)
項目回答の平均が高い順(左から)注
総務事務自身の11項目の並び(本文④⑤)労働安全衛生 3.58雇用や生活の安定性 3.47私生活との両立 3.40自律性 3.31良好な対人関係 3.29専門性 3.26達成感 3.22奉仕・社会貢献 3.16自己成長 3.15報酬 3.11社会的認知・地位 3.07報酬は下から2番目、奉仕・社会貢献と自己成長は 0.01 差の同率で下から3番目です。

順位の数え方:同じ値には同じ順位を与えています。0.01以内の差は同率として数え、それより大きい差だけを順位として読んでいます。本文で「ほとんど並ぶ」と書くのは差が0.05未満のところで、この記事では使っていません。

このデータに含まれていないもの:年収・給与の上がり方・労働時間・残業・休日・雇用の形・求人の数・担当する業務の範囲・社内での評価のされ方・身につくスキル・会社の規模や業種ごとの違い・年齢構成。「専門性」「自己成長」「良好な対人関係」「労働安全衛生」「雇用や生活の安定性」「私生活との両立」「報酬」「奉仕・社会貢献」は、いずれも「どれだけ大事にしているか」の値で、実際に身につくものや、職場の人間関係や、勤務の実態ではありません。能力・スキルも測っていないので、「務まるかどうか」もこのデータでは答えられません。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構/当サイトの取得日 2026年8月13日)