「資格を取っても、それだけで食べていける人はほとんどいない」と書いてある。
「相談者の重い話を毎日受け止めて、こっちが先に参る」という声もある。
「話を聞くのが好き、だけでは務まらない」とも言われる。
ここで見るのは、job tag で「キャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント」と呼ばれている職業です。人材紹介会社で求人を紹介するキャリアアドバイザーは別の仕事で、この記事には入っていません。資格を取るかどうかの話と、仕事そのものの話が一緒に語られていて、ほどいてみると言い分は5つあります。
「キャリアコンサルタントはやめとけ」の中身——安定の重みは、この職業でいちばん下
| # | 言われていること | このデータで見えること |
|---|---|---|
| ① | 資格を取っても、それだけでは食べていけない | 求人票で確かめる |
| ② | 相談者の重い話を受け止め続けて、心がすり減る | 働いている人に聞く |
| ③ | 話を聞くのが好き、だけでは務まらない | 向き方なら言える |
| ④ | 成果が見えにくく、手応えがない | 満足の置きどころなら言える。ただし別の項目 |
| ⑤ | 心理カウンセラーと、向いている人は同じだ | 2職業で割れます |
ここでいう「向き(向き方)」は、この職業に就いている人の関心が、どちらへ向いているかを表した値です。
比べている相手は、福祉・相談支援に分類した18の職業です。ケアマネジャー・児童相談所相談員・スクールカウンセラー・医療ソーシャルワーカーのように、相談を受ける仕事が多く並びます。
人と関わる向き方は18職業で最も高く、人を説得し動かす向き方も上から2番目です。相手の話を聞いたうえで、次の一歩まで一緒に押し出したい人は、この並びの側にいます。手を動かして形にする向き方は、18職業の下の端です。道具や身体を使って支えることに手応えがある人は、その向き方が18職業で最も高い福祉用具専門相談員のほうに近くなります。
働く理由の先頭に雇用や生活の安定を置きたい人は、この職業が11項目のいちばん下に置いている項目とぶつかります。
① 資格だけでは食べていけない——報酬の重みは、18職業で2番目
資格を取ったあとの収入や雇われ方、独立して仕事が来るかどうかは、求人票や募集の条件で確かめる側です。資格を取る損得そのものも、ここでは測っていません。
数値で見えるのは、報酬をどれだけ大事にしているかです。福祉・相談支援に分類した18職業の中で上から2番目にいて、保育補助者とは同率です。ただ、この職業の11項目の中で並べ直すと、報酬は下から2番目です。いちばん下は雇用や生活の安定性で、こちらは18職業の中でも下から3番目に来ます。
報酬も、雇用や生活の安定性も、②で出てくる安全や私生活との両立も、「どれだけ大事にしているか」の値です。実際の収入や雇用の形、心身の負担を表すものではありません。
安定の重みが18職業で下の3つに入るのは、スクールカウンセラー、カウンセラー(医療福祉分野)、そしてこの職業です。相談を受ける職業の中でも、名前に「カウンセラー」が付く3つがそろって下に並んでいます。
② 心がすり減る——関わる向きは、18職業で最も高い
重い相談がどれくらい続くのか、気持ちをどう切り替えているのかは、実際に相談を受けている人に聞くのが確かです。
数値が答えられるのは、人と関わることへの関心の強さのほうです。18職業の中でこの職業が最も高く、2番目は児童発達支援管理責任者です。安全に、健康を損なわずに働けることの重みは18職業で上から3番目で、私生活との両立も3番目に来ます。
人に深く関わることと、自分を崩さずに働くことを、両方とも上のほうに置いた並びです。
③ 聞くのが好き、だけでは務まらない——説得の向きは、18職業で2番目
務まるかどうかは能力の話で、測っていません。
見えるのは、聞くことの先にある向き方です。人を説得し動かす向き方は、18職業で上から2番目にいます。すぐ上の児童発達支援管理責任者とはほとんど並び、3番目の福祉用具専門相談員とは大きく離れています。
話を受け止めたところで終わらず、相手が動き出すところまでを含んだ並びです。 「聞くのが好き、だけでは」という言い方は、この並びと同じ方向を向いています。聞くことそのものに手応えを置きたい人には、少し広すぎる仕事に見えるかもしれません。
④ 手応えがない——達成感の重みは、18職業で1位
相談の結果がいつ、どんな形で返ってくるかは、相手の人生の側で決まります。そこはこのデータの外です。
やり遂げた手応えをどれだけ大事にしているかは、18職業の中でこの職業が最も高く出ています。自分の裁量で決められることの重みも、18職業で最も高い位置です。
「手応えがない」と言われる職業で、手応えを重く見る度合いは18職業のいちばん上に来ます。 手応えを大事にしているからこそ、結果の見えにくさが引っかかるのかもしれません。
⑤ 「心理カウンセラーと同じ」——上に出る向きが、3つずつ入れ替わる
医療や福祉の分野で働く心理カウンセラーは、job tag では「カウンセラー(医療福祉分野)」の名前で、同じ18職業の中に入っています。学校で相談を受けるスクールカウンセラーは、18職業の中の別の職業です。
キャリアコンサルタントの側に出るのは、人と関わる、人を説得し動かす、決まった手順を正確に回すの3つ。カウンセラー(医療福祉分野)の側には、表現する、手を動かして形にする、調べて突き止めるの3つが出ます。開きがいちばん大きいのは表現する向き方と説得する向き方の2つで、同率です。
満足の11項目で比べると9対1で、残る1つは同率です。カウンセラー(医療福祉分野)のほうが上なのは専門性だけで、どれも大事にしている度合いの値です。
調べて突き止めることを仕事の中心に置きたい人には、18職業の中ではカウンセラー(医療福祉分野)の側が合います。調べて突き止める向き方は、18職業であちらが最も高いからです。
興味の向き——福祉・相談支援の18職業の中では、人と関わるが1位
- 手を動かす
- 18位
- 調べて突き止める
- 5位(同率2)
- 表現する
- 17位
- 人と関わる
- 1位
- 人を動かす
- 2位
- 決まった手順を正確に回す
- 16位
これは同じ業界の職業の中での順位です。ごくわずかな差は同率として数えています。
満足の置きどころ——いちばん高いのは専門性
- 1位
- 専門性
- 2位
- 自己成長
- 3位
- 達成感
これは、その職業に就いている人が何を大事にしているかです。
同じところに満足を置く職業を、業界をまたいで見る:手に職をつけたい人へ、資格から探すと外す
まとめ——手応えの重みは18職業で1位、心理職とは3対3
- 「成果が見えにくく、手応えがない」は、満足の置きどころなら言える。ただし別の項目。手応えが得られるかどうかはデータの外で、やり遂げた手応えの重みも、自分で決められることの重みも、18職業で最も高い
- 「話を聞くのが好き、だけでは務まらない」は、向き方なら言える。人と関わる向き方は18職業で最も高く、人を説得し動かす向き方も2番目
- 「心理カウンセラーと向いている人は同じ」は、2職業で割れる。6つの向き方は3対3、満足の11項目は9対1で、1つは同率
話を受け止めるところで止まりたいのか、相手が一歩踏み出すところまで付き合いたいのか。資格の損得を比べるのは、その答えが出てからで間に合うと思います。
福祉・相談支援の業界で転職エージェントをどう選ぶかは、福祉・相談支援の転職エージェントの選び方にまとめています。
この記事の根拠
この職業の数値をひらく
比べている相手:福祉・相談支援に分類した18職業(児童相談所相談員・福祉事務所ケースワーカー・介護支援専門員(ケアマネジャー)・キャリアカウンセラー(キャリアコンサルタント)・福祉用具専門相談員・児童指導員・障害者福祉施設指導専門員・老人福祉施設生活相談員・医療ソーシャルワーカー・福祉ソーシャルワーカー・施設管理者(介護施設)・カウンセラー(医療福祉分野)・スクールカウンセラー・ベビーシッター・保育補助者・訪問介護のサービス提供責任者・障害者グループホーム世話人・児童発達支援管理責任者)。job tag の職業名は「キャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント」で、本文ではキャリアコンサルタントと書いています。人材紹介会社のキャリアアドバイザーは、この18職業に入っていません。本文の「最も」「上から◯番目」「下の端」は、18職業の中の順位か、この職業1つの11項目どうしの順位のどちらかです。どちらの順位かは、それぞれの文で断っています。他の業界や、job tag 全体の中での順位ではありません。
職業興味(6領域)
| 項目 | 回答の平均が高い順(左から) | |||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 人と関わる(社会的) | キャリアコンサルタント 4.46 | 児童発達支援管理責任者 4.39 | 福祉事務所ケースワーカー 4.20 | 保育補助者 4.17 | スクールカウンセラー 4.00 | 児童相談所相談員 3.97 | 介護支援専門員 3.97 | 訪問介護のサービス提供責任者 3.96 | 福祉用具専門相談員 3.94 | カウンセラー(医療福祉分野) 3.93 | 障害者グループホーム世話人 3.73 | 老人福祉施設生活相談員 3.65 | 施設管理者(介護施設) 3.60 | 福祉ソーシャルワーカー 3.56 | 児童指導員 3.53 | ベビーシッター 3.28 | 障害者福祉施設指導専門員 3.23 | 医療ソーシャルワーカー 3.15 |
| 人を説得し、動かす(企業的) | 児童発達支援管理責任者 3.58 | キャリアコンサルタント 3.56 | 福祉用具専門相談員 3.21 | 介護支援専門員 3.19 | 児童相談所相談員 3.17 | スクールカウンセラー 3.16 | 老人福祉施設生活相談員 3.15 | 保育補助者 3.13 | 福祉ソーシャルワーカー 3.10 | 児童指導員 3.08 | 施設管理者(介護施設) 3.02 | 医療ソーシャルワーカー 2.96 | 障害者福祉施設指導専門員 2.95 | 福祉事務所ケースワーカー 2.91 | カウンセラー(医療福祉分野) 2.91 | ベビーシッター 2.85 | 訪問介護のサービス提供責任者 2.71 | 障害者グループホーム世話人 2.65(児童発達支援管理責任者との差 0.02 を、本文③で「ほとんど並び」と書いています) |
| 手を動かして形にする(現実的) | 福祉用具専門相談員 3.54 | 保育補助者 3.42 | 児童発達支援管理責任者 3.27 | 施設管理者(介護施設) 3.18 | 児童指導員 3.00 | カウンセラー(医療福祉分野) 2.95 | 老人福祉施設生活相談員 2.91 | ベビーシッター 2.87 | 障害者福祉施設指導専門員 2.81 | 介護支援専門員 2.80 | 医療ソーシャルワーカー 2.79 | 福祉ソーシャルワーカー 2.74 | 福祉事務所ケースワーカー 2.72 | 障害者グループホーム世話人 2.65 | 訪問介護のサービス提供責任者 2.61 | スクールカウンセラー 2.58 | 児童相談所相談員 2.46 | キャリアコンサルタント 2.44(児童相談所相談員との差が 0.02 なので、本文では「最も低い」と言い切らず「下の端」と書いています) |
| 調べて突き止める(研究的)・上から6つ | カウンセラー(医療福祉分野) 3.37 | 老人福祉施設生活相談員 3.15 | 児童発達支援管理責任者 3.09 | 児童指導員 3.05 | スクールカウンセラー 3.04 | キャリアコンサルタント 3.03(スクールカウンセラーとは 0.01 差で同率。最も低いのは訪問介護のサービス提供責任者 2.36) | ||||||||||||
満足の置きどころ(仕事価値観のうち、18職業で並べて本文に使った項目)
| 項目 | 回答の平均が高い順(左から) | |||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 達成感 | キャリアコンサルタント 3.98 | ベビーシッター 3.88 | 児童発達支援管理責任者 3.85 | 保育補助者 3.63 | 訪問介護のサービス提供責任者 3.54 | カウンセラー(医療福祉分野) 3.46 | 福祉用具専門相談員 3.40 | 児童相談所相談員 3.34 | 老人福祉施設生活相談員 3.31 | 児童指導員 3.28 | 障害者グループホーム世話人 3.23 | スクールカウンセラー 3.22 | 福祉ソーシャルワーカー 3.21 | 施設管理者(介護施設) 3.19 | 介護支援専門員 3.18 | 医療ソーシャルワーカー 3.18 | 障害者福祉施設指導専門員 3.14 | 福祉事務所ケースワーカー 2.58 |
| 自律性・上から5つ | キャリアコンサルタント 3.94 | スクールカウンセラー 3.83 | カウンセラー(医療福祉分野) 3.77 | 児童発達支援管理責任者 3.76 | ベビーシッター 3.67(最も低いのは障害者福祉施設指導専門員 3.10) | |||||||||||||
| 報酬・上から5つ | 児童発達支援管理責任者 3.12 | キャリアコンサルタント 2.93 | 保育補助者 2.92(0.01 差で同率) | ベビーシッター 2.86 | 児童相談所相談員 2.81(最も低いのは医療ソーシャルワーカー 2.10) | |||||||||||||
| 雇用や生活の安定性・低い順に5つ | スクールカウンセラー 2.44 | カウンセラー(医療福祉分野) 2.67 | キャリアコンサルタント 2.87 | 医療ソーシャルワーカー 2.92 | 介護支援専門員 3.04(最も高いのは児童相談所相談員 3.91) | |||||||||||||
| 労働安全衛生・上から4つ | 保育補助者 3.71 | ベビーシッター 3.67 | キャリアコンサルタント 3.54 | 児童発達支援管理責任者 3.49(最も低いのは福祉事務所ケースワーカー 2.34) | ||||||||||||||
| 私生活との両立・上から4つ | スクールカウンセラー 3.72 | ベビーシッター 3.72 | キャリアコンサルタント 3.67 | 保育補助者 3.58(最も低いのは児童相談所相談員 2.47) | ||||||||||||||
| 項目 | 回答の平均が高い順(左から) | 注 | ||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| キャリアコンサルタント自身の11項目の並び(本文①) | 専門性 4.00 | 自己成長 4.00 | 達成感 3.98 | 自律性 3.94 | 奉仕・社会貢献 3.94 | 良好な対人関係 3.70 | 私生活との両立 3.67 | 労働安全衛生 3.54 | 社会的認知・地位 3.24 | 報酬 2.93 | 雇用や生活の安定性 2.87 | 報酬は下から2番目、雇用や生活の安定性がいちばん下です。 |
⑤の内訳(キャリアコンサルタント − カウンセラー(医療福祉分野))
| 項目 | 回答の平均が高い順(左から) | 注 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 6領域 | 企業的 + 0.65 | 社会的 + 0.53 | 慣習的 + 0.11 | 芸術的 − 0.66 | 現実的 − 0.51 | 研究的 − 0.34 | 最も開くのは芸術的の 0.66 と企業的の 0.65 で、差 0.01 のため同率として扱っています |
- 仕事価値観11項目:キャリアコンサルタントのほうが高いのは9項目(達成感 3.98 対 3.46・自律性 3.94 対 3.77・自己成長 4.00 対 3.90・社会的認知 3.24 対 3.18・良好な対人関係 3.70 対 3.46・労働安全衛生 3.54 対 3.28・私生活との両立 3.67 対 3.28・雇用や生活の安定性 2.87 対 2.67・報酬 2.93 対 2.56)。カウンセラー(医療福祉分野)のほうが高いのは専門性 4.13 対 4.00 の1項目。奉仕・社会貢献は 3.94 と 3.93 で、差 0.01 のため同率です
順位の数え方:同じ値には同じ順位を与えています。0.01以内の差は同率として数え、それより大きい差だけを順位として読んでいます。本文で「ほとんど並ぶ」と書いたのは差が0.05未満のところです。
このデータに含まれていないもの:年収・資格を取る費用と損得・資格の更新にかかる手間・雇用の形・独立したあとの収入や集客・労働時間・休日・求人の数・相談の件数や内容・勤め先ごとの違い・年齢構成・離職率。「報酬」「雇用や生活の安定性」「私生活との両立」「労働安全衛生」「達成感」「自律性」は、いずれも「どれだけ大事にしているか」の値で、実際の収入も、雇用の安定度も、心身の負担も、手応えを得られているかどうかでもありません。能力・スキルも測っていないので、「務まるかどうか」もこのデータでは答えられません。この記事は、相談の効果や、相談された方の状態について一切何も述べていません。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構/当サイトの取得日 2026年8月13日)