「テーマが変わった。もう自分がやりたかったことではない」 「このまま続けるのか、企業側へ移るのか、研究から離れるのか」 「求人票に『研究開発』と書いてあっても、中身が何なのか分からない」
「研究者はお金に興味がないでしょう」と、転職の相談をした知人に言われた。37業界で並べると、研究職が報酬を重く見る度合いは7番目で、上のほうにいます。
締切より先に、問いのほうが立っている人
答えの無い問いを抱えたままの状態が、平気な人。手を動かして確かめないと納得できない人も、この業界の関心の形に近い側です。ここで言う関心は、表の「向き方」のことで、興味が何に向かっているかの度合いを指します。調べることだけでなく、手を動かすことへの関心も、この業界では高く出ます。
同じ対象を、何年も掘り続けたい人。積み重ねたものが、自分の中に蓄えられていくこと。この業界の人がいちばん重く見るのも、そこです。
7職種のどこで分かれるかは、研究職に向いてる人へ。
調べて突き止める関心は37業界の頂点、次に法律・会計とメーカー技術職
研究職の「調べて突き止めることへの関心」は、比較した37業界の中で最も高い数値です。上から2番目に来るのは、法律・会計(弁護士・会計士)とメーカー技術職で、この2つは同率です。そこまでの段差は、6つの関心のどの1位と2位の差よりも大きい。調べて突き止める関心で37業界を並べると、先頭はここです。
手を動かす関心も、上にいるのは3業界だけ
もうひとつ高いのが、手を動かすことへの関心です。37業界の中で4番目で、上にいるのは農林水産・臨床検査・建設技能の3業界だけ。現物を扱う業界と、同じ帯にいます。手で確かめることへの関心が、この業界では強く出ています。
決まった手順を正確に回すことへの関心のほうは、37業界の下から6番目です。 メーカー技術職と同じ水準です。この関心は、業界の平均としては低いのに、業界の中ではいちばん大きく割れます。職種ごとの内訳は研究職に向いてる人へ。
大事にする1位は専門性、報酬を重く見る度合いも37業界の7番目
何をどれだけ重く見ているかで並べると、1位は専門性で、その度合いは37業界の中で最も高い数値です。2位は自律性と自己成長が同率で、4位は達成感です。外から返ってくる項目のうち、認知と安定はその後に続き、報酬は11項目の最後に来ます。
ただ、37業界の中で比べると、報酬を重く見る度合いは7番目です。11項目の中で最後になるのは、ほかの項目がそれ以上に高いからです。11項目の中の順番と、37業界の中の位置は、別の物差しです。
人と関わること、決まった手順、業界をまたぐこと。先に求めるとずれやすい
① 人と関わることが、仕事の中心であってほしい人
人と関わる関心は、37業界の中では26番目です。極端に低いわけではありませんが、真ん中より下にあります。調べて突き止める関心と比べると、はっきり下の段です。
② 手順や様式が決まっていないと落ち着かない人
決まった手順を回す関心は、業界の平均では低いままです。 手順が決まっていることに落ち着きを求める人とは、この業界の関心の形は離れています。ただ7職種の中では、科学捜査研究所鑑定技術職員のように、手順の関心が高い職種もあります。
③ いくつもの業界の経験を、組み合わせていきたい人
いちばん近い業界までの離れ方が、37業界の中でいちばん大きく、同じ大きさなのはコンサルです。リハビリ・治療もほとんど並びます。近い業界の名前は挙げにくいところで、実際に移れるかは、求人と経験しだいで、このデータの外です。
研究を続ける求人の数を、面談の最初に聞く
研究そのものを続ける求人と、研究の周辺へ移る求人は、別のものです。エージェント選びも、その2つを分けて出せるかどうかを最初に確かめます。知名度と求人の件数を見るのは、その後でいいと思います。
| 業界の解像度 | 扱う求人のレンジ | |
|---|---|---|
| 総合型 | 低い | 広いが、業界の外へ流れやすい |
| 特化型(上位帯) | 高い | 上に偏る |
| 特化型(幅広) | 高い | 広い |
この2軸は公的データではなく、運営者自身の転職1回分の経験から立てた見方です(→転職エージェントを使うメリット)。
1軸目に見るものが、この業界では少し違います。 業界知識の量ではありません。研究を続ける求人と、周辺へ移る求人。この2つを分けて扱わない相手だと、いつのまにか後者が並んでいることがあります。面談の最初に「私の経験だと、研究そのものを続けられる求人と、研究から離れる求人は、それぞれどれくらいありますか」と聞いてみるといいです。数の話にならないなら、分けて扱っていないのかもしれません。
この業界で、いま紹介できるエージェント
この業界に特化した提携先は、いまありません。業界を問わない総合型を1社だけ置いています(上の表でいう「総合型」です)。この記事で見た区別は、面談の最初に自分から伝えてください。
まとめ——研究を続けたいのか、そばにいられればいいのか
- 調べて突き止める関心は、37業界で最も高い。2番目との差も大きい
- 大事にする1位は専門性で、これも37業界の最高。報酬を重く見る度合いも、37業界で7番目と上のほう
- いちばん近い業界までの離れ方が、コンサルと並んで37業界でいちばん大きい(リハビリ・治療もほとんど並ぶ)。近い業界の名前は挙げにくい
研究そのものを続けたいのか、研究のそばにいられればいいのか。答えは二つに一つで、エージェントに決めてもらうものではありません。
専門性も報酬も、37業界の中では重く見る側にいる業界です。この問いの答えは、面談の前に一行にしておく。
次に読むもの
- 研究職に向いてる人——7つの職種で、どこが割れてどこが揃うか
- 研究職は「やめとけ」と言われる理由——言われていることが、どこまで数値と合うか
- 業界別の向き・不向き一覧——37業界を1枚の表で
近い業界(興味の形の近さで、転職しやすさではありません)
最も近いのはメーカー技術職です。次がIT・エンジニアです。ただし、その最も近い相手までの距離自体が遠い。最も近い相手までがここまで開く業界は、研究職とコンサルで、リハビリ・治療もほとんど並びます。メーカー技術職とは、調べて突き止める関心の高さが共通しています。違うのは、その先に何を置くかです。
研究職が出てくる「向き方から探す」のページ
この記事の根拠
並べた数値を見る
数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。
業界平均(向き方)
| 業界 | 現実的 | 研究的 | 芸術的 | 社会的 | 企業的 | 慣習的 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 研究職 | 3.70 | 4.14 | 2.68 | 3.28 | 3.20 | 3.01 |
| メーカー技術職 | 3.61 | 3.54 | 2.55 | 3.04 | 3.08 | 3.01 |
| IT・エンジニア | 3.45 | 3.42 | 2.75 | 3.15 | 3.17 | 2.93 |
| 社内SE | 3.47 | 3.31 | 2.60 | 3.22 | 3.10 | 3.19 |
| 法律・会計(弁護士・会計士) | 2.96 | 3.55 | 2.45 | 3.62 | 3.36 | 3.28 |
| 建設・施工管理 | 3.58 | 3.13 | 2.76 | 3.46 | 3.36 | 3.14 |
| 金融 | 3.06 | 3.42 | 2.34 | 3.59 | 3.42 | 3.19 |
| コンサル | 2.89 | 3.19 | 2.65 | 3.49 | 3.63 | 2.69 |
| 物流・ドライバー | 3.18 | 2.61 | 2.40 | 2.87 | 2.54 | 3.20 |
37業界での位置:研究的 4.14 は1位(2位は 法律・会計 3.55 とメーカー技術職 3.54 の同率、最低は 物流・ドライバー 2.61)。現実的 3.70 は4番目(上は 農林水産 3.77/臨床検査・医療技術 3.76/建設技能・職人 3.74)。
社会的 3.28 は26番目。慣習的 3.01 は下から6番目(メーカー技術職と同値。下は コンサル 2.69/マスコミ・放送・出版 2.87/クリエイティブ 2.91/IT・エンジニア 2.93/福祉・相談支援 2.99)。
仕事価値観(11項目・研究職)
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 専門性 | 4.22 |
| 自律性 | 3.84 |
| 自己成長 | 3.83 |
| 達成感 | 3.81 |
| 奉仕・社会貢献 | 3.65 |
| 雇用や生活の安定性 | 3.59 |
| 社会的認知 | 3.50 |
| 良好な対人関係 | 3.39 |
| 労働安全衛生 | 3.35 |
| 私生活との両立 | 3.34 |
| 報酬 | 3.21 |
この11項目は「その仕事をしている人が、何をどれだけ重視しているか」の数値です。報酬 3.21 は実際の給与額ではありません。
専門性 4.22 は37業界で最も高い数値です(2位は 士業 4.10、3位は 美容・理容 4.07)。上位4項目(専門性・自律性・自己成長・達成感)は、本サイトが「積み上がる系」と呼んでいる4項目そのものです。
報酬 3.21 は、37業界で並べると7番目です(1位は医師・歯科医師 3.65)。
37業界の1位と2位の差は、研究的 0.59 がいちばん大きく、ほかは芸術的 0.23・企業的 0.15・社会的 0.09・慣習的 0.08・現実的 0.01 です。
業界内の幅:研究職の中で最も開くのは、決まった手順を回す向き方の 1.83(科学捜査研究所鑑定技術職員 4.27 ←→ 情報工学研究者 2.44)。業界の中での開き方としては、37業界で2番目に大きい値です(1位は 公務員(行政)1.92)。職種ごとの内訳は 研究職に向いてる人 にあります。
業界間の距離:上の表の6つの向き方を業界どうしで見比べ、離れ方を測ったものです。小さいほど近い値です。研究職は メーカー技術職 0.676、IT・エンジニア 0.781。この 0.676 は、37業界の中で「最も近い相手までの距離」が最大の値で、コンサル(営業まで 0.676)と同率1位です。3番目のリハビリ・治療(医療・介護・保育まで 0.660)とは0.016差で、ほとんど並びます。
研究職に含めた職業:土木・建築工学研究者/情報工学研究者/医学研究者/科学捜査研究所鑑定技術職員/薬学研究者/バイオテクノロジー研究者/社会学研究者の7職業の平均です。
分析化学技術者・高分子化学技術者・バイオテクノロジー技術者は、メーカー技術職のほうに入っていて、こちらの平均には含めていません。
このデータに含まれていないもの:年収・労働時間・求人数・任期や雇用形態・学位や業績の要件・研究費の状況。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)