「この仕事は好きだ。ただ、10年後に同じ働き方はできない」 「制作の外に出たいのか、制作のまま条件を変えたいのか、自分でも分からない」 「他業界の求人を見ても、何を書けば伝わるのか分からない」
転職サイトを開いて、職種の欄で手が止まった。手が止まるのは、無理もないと思います。この業界は、やり遂げた手応えをいちばん重く見ているのに、続けられることには重みを置いていません。その開き方が、37業界でいちばん大きい業界です。クリエイティブもほとんど並びます。
1本終わったときの手応えが、いちばん大きい人
段取りが決まっていない状態から始めるのが苦にならない人が、この業界の中心にいます。手応えは1本ごとに来ます。企画も取材も現場も、前回と同じやり方が通じることのほうが少ない。
作るために人に会える人。一人で机に向かう仕事だと思っているなら、人と関わる向き方がクリエイティブよりはっきり高いことを、先に見ておいてください。
5年後の自分の居場所を先に決めておきたい人は、消耗しがちです。この業界の数値は、そこがいちばん弱い。
9職業のどこに立っているかは、マスコミ・放送・出版に向いてる人へ。
達成感の重みは、37業界で最も高い——次は美容・理容とクリエイティブ
マスコミ・放送・出版の「達成感」は、比較した37業界を全部並べても、これが最も高い数値です。2番目に来るのは美容・理容とクリエイティブで、この2つは同率です。どれも、自分の手を通ったものが形になって外に出る業界です。発行日があり、放送時間があり、初日がある。終わりが目に見える形で来るからだと思います。
安定の重みで下は、クリエイティブと物流・ドライバーだけ
一方で、「雇用や生活の安定性」の重みは、37業界の下から3番目です。これより低いのは、クリエイティブと物流・ドライバーの2つだけです。「やりがいはあるが続かない」は、個人の根性の話として語られがちです。ただしこれは、離職率でも在職期間でもありません。この仕事をしている人が、達成感と安定のどちらに重みを置いているかの差です。
「続けられるかどうか」を、気持ちで決めないほうがいいのはそのためです。先に見るのは、どの条件が揃えば続けられるかのほうです。
この3つに当てはまるなら、消耗しやすくなります
① 決まった手順を正確に回したい人
向き方は、興味がどちらへ強く出ているかの度合いです。決まった手順を正確に回す向き方は、比較した37業界の中で下から2番目です。これより低いのはコンサルだけです。毎回、要件も相手も締め切りの形も変わります。 手順を整えることで安心を作るタイプの人には、足場が無いように感じられます。
② 私生活の側を先に固定したい人
この業界の「私生活との両立」は、37業界の下から2番目で、建設・施工管理と並びます。ただしこれは、実際の労働時間ではありません。
③ 表現だけしていたい人
人と関わる向き方は、クリエイティブよりはっきり高く出ます。取材、出演、現場の調整。作る前にも作ったあとにも、人とのやりとりが入る仕事です。面談で「この求人は、企画から入るのか、動いているものに入るのか」を1つ聞いておけば、職種でどれだけ動くかが出ます。
エージェントの選び方——2軸で見る
この業界で確かめるべきなのは、上の落差がその求人でどう出るかです。知名度や求人数を見比べても、そこまでは見えてきません。エージェント選びで見るのも、その求人の「続けられる条件」を具体的に返せるかどうかになります。
| 業界の解像度 | 扱う求人のレンジ | |
|---|---|---|
| 総合型 | 低い | 広いが、業界の外へ流れやすい |
| 特化型(上位帯) | 高い | 上に偏る |
| 特化型(幅広) | 高い | 広い |
この2軸は公的データではなく、運営者自身の転職1回分の経験から立てた見方です(→転職エージェントを使うメリット)。
ここで差がつくのは、1軸目のほうです。 「マスコミ」という1つの名前の中に、新聞や雑誌の取材、書籍の編集、放送の技術、アナウンス、舞台の美術や照明までが入っているからです。面談で「私の職種では、発注する側と請け負う側のどちらの求人が中心になりますか」と1つ聞いてみるといいです。どちらとも言えない答えが返るなら、9職業をまとめて見ている相手です。
この業界で、いま紹介できるエージェント
提携できているのは、いま1社だけです。
上の2軸でいえば、この1社は「特化型」にあたります。この記事で見てきた分かれ目は、面談の最初にご自身から伝えてください。
いちばん近いのは、クリエイティブでした
美容・理容もほとんど並び、3番目が教育です。表現が本体にある業界どうしは、隣り合っています。興味の形が近い業界なら、こうして名前を挙げられます。実際に移れるかは、求人と経験しだいで、このデータの外です。ただ、クリエイティブとは分かれる部分があります。人と関わる向き方が離れています。マスコミ・放送・出版のほうが、人に会って形にする比重が重い。
隣も同じ弱点を持っています。クリエイティブの「雇用や生活の安定性」は 37業界で最も低い数値です。移った先も含めて、安定を先に置く並びではありません。
- 作る内容を変えたいなら、隣は近い
- 安定を重く見たいなら、隣も安定の重みが低い側にある
内容を変える転職と、条件を変える転職は、分けて考えたほうがいい。
まとめ——決めるのは、変えたいのが内容か、条件か
- 達成感は、比較した37業界の中で最も高い
- 一方で、雇用や生活の安定性は下から3番目。これより低いのはクリエイティブと物流・ドライバーだけ
- この2つの差は、37業界で最大(クリエイティブとほとんど並ぶ)
変えたいのは作る内容なのか、続けられる条件なのか。どちらなのかが自分で言えないうちは、面談の話も条件の側へ流れていきます。
面談の前に、どちらなのかをひとことにしておく。それで足ります。
次に読むもの
- マスコミは「やめとけ」と言われる理由——言われていることが、どこまで数値と合うか
- マスコミ・放送・出版に向いてる人——9職業を型に分けました
- 業界別の向き・不向き一覧——37業界を1枚の表で
マスコミ・放送・出版が出てくる「向き方から探す」のページ
この記事の根拠
並べた数値を見る
数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。
業界平均(向き方)
| 業界 | 現実的 | 研究的 | 芸術的 | 社会的 | 企業的 | 慣習的 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| マスコミ・放送・出版 | 3.47 | 3.47 | 3.70 | 3.78 | 3.43 | 2.87 |
| クリエイティブ | 3.58 | 3.40 | 3.93 | 3.41 | 3.33 | 2.91 |
| 美容・理容 | 3.44 | 3.43 | 3.60 | 4.09 | 3.10 | 3.06 |
| 教育 | 3.19 | 3.35 | 3.20 | 3.92 | 3.30 | 3.16 |
| マーケティング | 3.07 | 3.43 | 3.22 | 3.44 | 3.59 | 3.09 |
| コンサル | 2.89 | 3.19 | 2.65 | 3.49 | 3.63 | 2.69 |
| IT・エンジニア | 3.45 | 3.42 | 2.75 | 3.15 | 3.17 | 2.93 |
| メーカー技術職 | 3.61 | 3.54 | 2.55 | 3.04 | 3.08 | 3.01 |
| リハビリ・治療 | 3.31 | 3.52 | 2.69 | 4.20 | 3.07 | 3.12 |
| 物流・ドライバー | 3.18 | 2.61 | 2.40 | 2.87 | 2.54 | 3.20 |
| 組立・生産ライン | 3.52 | 2.83 | 2.45 | 2.65 | 2.64 | 3.07 |
太字は、比較した37業界の中での最高・最低です。芸術的が 3.5 を超えるのは3業界だけ(クリエイティブ 3.93 / マスコミ・放送・出版 3.70 / 美容・理容 3.60)で、4番目はマーケティングの 3.22 です。
慣習的の順位(37業界の中で):最も低いのはコンサル 2.69、マスコミ・放送・出版 2.87 が下から2番目、クリエイティブ 2.91 が3番目、IT・エンジニア 2.93 が4番目です。
仕事価値観(マスコミ・放送・出版・11項目)
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 専門性が積み上がること | 4.05 |
| 達成感 | 4.00 |
| 自己成長 | 3.80 |
| 自律性 | 3.76 |
| 対人関係 | 3.39 |
| 社会的認知 | 3.15 |
| 人の役に立つこと | 3.10 |
| 労働安全 | 3.07 |
| 私生活との両立 | 2.89 |
| 報酬 | 2.76 |
| 雇用や生活の安定性 | 2.68 |
達成感の順位(37業界の中で):マスコミ・放送・出版 4.00 が最も高く、2番目が美容・理容 3.95 とクリエイティブ 3.94(差0.01で同率)、4番目が士業 3.90 です。最も低いのは物流・ドライバー 2.79 で、幅は 1.21 です。
雇用や生活の安定性の順位(37業界の中で):最も低いのはクリエイティブ 2.66、2番目が物流・ドライバー 2.67、3番目がマスコミ・放送・出版 2.68 です。最も高いのは警察・消防・自衛隊 4.09 で、幅は 1.43 です。
達成感と雇用や生活の安定性の開き(37業界の中で):マスコミ・放送・出版の 1.32 が最も大きい。2番目のクリエイティブ 1.28 とは0.04差でほとんど並び、3番目は美容・理容 1.04、4番目はホテル・観光・ブライダル 0.91 です。
私生活との両立(37業界の中で):最も低いのは警察・消防・自衛隊 2.82、マスコミ・放送・出版 2.89 は建設・施工管理 2.89 と並んで下から2番目です。この項目は「その仕事をしている人が私生活との両立をどれだけ重視しているか」であって、実際の労働時間ではありません。
業界間の距離:上の表の6つの向き方を業界どうしで見比べ、離れ方を測ったものです。小さいほど近い値です。マスコミ・放送・出版とクリエイティブは 0.467、美容・理容は 0.504、教育は 0.681、マーケティングは 0.763。37業界の全組み合わせで最も近いのは、金融と法律・会計(弁護士・会計士)の 0.227 です。
マスコミ・放送・出版に含めた職業:新聞記者/雑誌記者/図書編集者/テレビ・ラジオ放送技術者/録音エンジニア/アナウンサー/放送ディレクター/舞台美術スタッフ/舞台照明スタッフの9職業の平均です。
この11項目は「その仕事をしている人が、何をどれだけ重視しているか」の数値です。雇用や生活の安定性 2.68 は、離職率や定着率ではありません。
このデータに含まれていないもの:給与・労働時間・求人数・業界の規模やその増減・離職率・定着率・在職期間。数値はすべて業界の平均です。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)