「広告運用だけの毎日で、市場を見る仕事から遠ざかっている」 「クリエイティブ寄りに行くのか、データ寄りに行くのか決まらない」 「自分はマーケターなのか、それとも運用担当なのか」
求人票の「マーケティング」という言葉が、会社ごとに違う意味で使われている。違う意味で使われているのは事実で、その2つの意味は、数値の上でも分かれています。
作ることも調べることも、捨てたくない人
数字が動いた理由を、自分で突き止めたくなる人は向いています。そのうえで、原因が分かったあとに次の一手まで決めたくなるなら、この仕事の真ん中にいます。
予算の確保も、他部署との調整も、経営への説明も、作ったものを通すための仕事です。そこを回り道だと思わない人も、この業界に合っています。
一方で、表現だけに集中したい人や、分析だけをやりたい人は、この業界の両方が上位にある形とはずれます。毎回やり方が変わるのが落ち着かない人も、条件が毎回違うこの仕事では消耗しがちです。
2職種のどちらに寄るかは、マーケティングに向いてる人へ。
表現と分析がどちらも上位なのは、37業界で5つだけ
向き(向き方)は、その仕事の人たちの興味がどの方向に出ているかです。マーケティングの「表現することへの向き方」の上にいるのは、クリエイティブ、マスコミ、美容という、表現そのものを専門にする職種群だけです。マーケティングはその次の層にいます。分析の側、つまり「調べて突き止める向き方」も、上位の層にあります。
マーケティングの位置は、突き抜けている側ではありません。
5業界の中で、手を動かす向きだけが最も低い
表現と分析を両方持つのは、クリエイティブ/マスコミ/美容/教育/マーケティングの5つ。この5つを並べると、マーケティングだけが両端に来る領域が2つあります。
- 人を動かす向き方が、5業界の中で最も高い
- 手を動かす向き方が、5業界の中で最も低い
残る4業界は、手を動かして形にする度合いが、マーケティングより高く出ています。デザイン、番組、髪型と、目の前に残るものがある仕事です。
表現と分析のどちらか一方に重心がある人は、広告・デザイン寄りか、データ分析・エンジニアリング寄りの職種のほうが近くなります。両方を手放したくない人が、マーケティングの中心にいます。
人を動かす向き方も高い層です
マーケティングの、人を説得し動かす向き方は、比較した37業界の中では3番目です。営業とほぼ同じで、コンサルのすぐ下にあります。作ったものを社内に通す仕事でもあるからです。ここが動機に入っていないと、「良いものを作ったのに通らない」で消耗しやすくなります。
満足の中心に、達成感は来ていません
仕事で何を大事にしているかを見ると、マーケティングで最も高いのは「専門性が積み上がること」、次が「自分の裁量で決められること」です。目立つのは、そこに「やり遂げた手応え」が入ってこないことです。隣に置いたクリエイティブでは、達成感が専門性のすぐ次に来ます。施策と数字は残りますが、「これを作り終えた」という形にはなりにくい、とよく言われます。
区切りごとの達成感を必要とする人は、この業界の中心とは少しずれることになります。そういう人は、同じ表現と分析を使う5業界のうち、手を動かして形にする度合いが高いほうへ寄せたほうが合うと思います。
この3つに当てはまるなら、消耗しやすくなります
① 手を動かして形が残ることに満足を感じる人
手を動かして形にする向き方は、IT・エンジニアや建設・施工管理より低い層です。成果物は施策と数字で、モノとして残りません。
② 決まった手順を正確に回したい人
決まった手順を正確に回す向き方は、士業や管理部門(担当)より低い層です。毎回条件が変わり、その都度やり方を決めるのが常態です。面談で「既存チャネルの運用と、新規施策の企画は、どのくらいの比率ですか」を1つ聞いておけば、同じマーケティング職でも答えがまったく違うことが分かります。
③ 一人で完結させたい人
人と関わる向き方は、IT・エンジニアより高い層です。
エージェントの選び方——2軸で見る
「マーケティング」という求人名は、会社ごとに違う意味で使われています。その意味を相手と揃えられるかどうか。エージェント選びで見るのは、知名度や求人数よりそこです。
| 業界の解像度 | 扱う求人のレンジ | |
|---|---|---|
| 総合型 | 低い | 広いが、業界の外へ流れやすい |
| 特化型(上位帯) | 高い | 上に偏る |
| 特化型(幅広) | 高い | 広い |
この2軸は公的データではなく、運営者自身の転職1回分の経験から立てた見方です(→転職エージェントを使うメリット)。
「マーケティング」の中に、広告運用・SEO・CRM・ブランド・商品企画・リサーチが全部入っています。事業会社と支援会社では、同じ職種名でも働き方が別です。面談で「私の経歴だと、事業会社と支援会社のどちらの求人が中心になりますか」と聞いてみるといいです。どちらかを名指しできない相手だと、職種名のまま求人が並びます。
この業界で、いま紹介できるエージェント
提携できているのは、いま1社だけです。
上の2軸でいえば、この1社は「特化型」にあたります。この記事で見てきた分かれ目は、面談の最初に聞かれる前に伝えてしまうほうが早いです。
まとめ——決めるのは、表現側か、分析側か、その両方か
- 表現する向き方も調べて突き止める向き方も上位の層。両方が上位の層にある業界は、37業界のうち5つだけ
- その5業界の中で、人を動かす向き方は最も高く、手を動かす向き方は最も低い
- 片方だけに関心が寄っているなら、近い形の業界は別にある。両方ならこの業界の中心にいる
表現側なのか、分析側なのか、その両方なのか。エージェント選びより、これが先です。
三つのうちどれかを、面談の席で最初に言えるようにしておく。求人の話はそこから始まります。
次に読むもの
- マーケティングに向いてる人——2職種を型に分けました
- マーケティングは「やめとけ」と言われる理由——言われていることが、どこまで数値と合うか
- 業界別の向き・不向き一覧——37業界を1枚の表で
近い業界(興味の形の近さで、転職しやすさではありません)
マーケティングの職業を1つずつ見る
マーケティングが出てくる「向き方から探す」のページ
この記事の根拠
並べた数値を見る
数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。
業界平均(向き方)
| 業界 | 現実的 | 研究的 | 芸術的 | 社会的 | 企業的 | 慣習的 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| マーケティング | 3.07 | 3.43 | 3.22 | 3.44 | 3.59 | 3.09 |
| IT・エンジニア | 3.45 | 3.42 | 2.75 | 3.15 | 3.17 | 2.93 |
| コンサル | 2.89 | 3.19 | 2.65 | 3.49 | 3.63 | 2.69 |
| 営業 | 3.02 | 2.97 | 2.58 | 3.84 | 3.57 | 3.20 |
| 建設・施工管理 | 3.58 | 3.13 | 2.76 | 3.46 | 3.36 | 3.14 |
| 士業 | 2.60 | 3.26 | 2.26 | 3.86 | 3.49 | 3.50 |
| 管理部門(課長級) | 3.25 | 3.12 | 2.32 | 3.73 | 3.78 | 3.58 |
| クリエイティブ | 3.58 | 3.40 | 3.93 | 3.41 | 3.33 | 2.91 |
| メーカー技術職 | 3.61 | 3.54 | 2.55 | 3.04 | 3.08 | 3.01 |
| 教育 | 3.19 | 3.35 | 3.20 | 3.92 | 3.30 | 3.16 |
| マスコミ・放送・出版 | 3.47 | 3.47 | 3.70 | 3.78 | 3.43 | 2.87 |
| 美容・理容 | 3.44 | 3.43 | 3.60 | 4.09 | 3.10 | 3.06 |
| 金融 | 3.06 | 3.42 | 2.34 | 3.59 | 3.42 | 3.19 |
「表現と分析がどちらも 3.2 以上」の5業界:37業界のうち、芸術的も研究的も 3.2 以上あるのは クリエイティブ・マスコミ・放送・出版・美容・理容・教育・マーケティング の5つです。この5業界の中では、企業的はマーケティングの 3.59 が最も高く、現実的はマーケティングの 3.07 が最も低い(上の表で再現できます)。
マーケティングに含めた職業:Webマーケティング担当/マーケティングリサーチャーの2職業の平均です。
業界間の距離:上の表の6つの向き方を業界どうしで見比べ、離れ方を測ったものです。小さいほど近い値です。教育 0.58、飲食 0.74。
このデータに含まれていないもの:年収・労働時間・求人数・事業会社と支援会社の待遇差・扱うチャネルや予算の規模・成果指標の置かれ方。数値はすべて業界の平均です。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)