コンサルの転職エージェント、「分析」では足りない——手より、人を動かす仕事

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「このまま事業会社にいて、市場価値は上がるんだろうか」 「コンサルって、結局は激務なだけじゃないのか」 「そもそも自分の経歴で、書類が通るのか」

求人サイトのコンサル求人を開いて、年収だけ見て閉じた。そこから先に進むために決めておくことは、1つだけです。この業界のどこに、自分が立てそうなのか。

私自身、総合型と業界特化型を両方使い、特化型の紹介で現職に入りました。特化型でも1社は自分から降りています。


30秒でわかること

37業界の中で高い
人を動かす2位
37業界の中で低い
決まった手順を正確に回す37位

年収・労働時間・求人数は測っていません。読み方

正しい答えを出すだけでは、終われない人

答えを出して終わりにはできない人が、この仕事の中心にいます。相手が実際に動いたかどうかが気になって仕方なくて、そこまでを自分の仕事だと思える人です。

やり方が決まっていないほうが動きやすい人も向いています。手順書が無い状態を、不安ではなく余白として受け取れるなら、この業界の向き方とは噛み合います。向き(向き方)というのは、その職業の人の興味がどこへ強く出ているかのことです。

一方で、決まった型があるほうが力を出せる人は、外から見えるほど合いません。手を動かして形が残らないと落ち着かない人も、成果物が資料と意思決定になるこの仕事では手応えを失いがちです。

4職種のうちどれの話かは、コンサルに向いてる人へ。


まず3つの質問。だいたいここで分かれます

深く考えず、直感で構いません。

Q1. 何かを提案するとき、どちらに近いか

  • A:まず正しい答えを出すことに集中する
  • B:相手が実際に動くかどうかが、いちばん気になる

Q2. 仕事の進め方について、どちらが近いか

  • A:自分のやり方で進めたい。細かく決められると窮屈
  • B:決まった型があるほうが、力を出しやすい

Q3. 扱う対象として、面白いと感じるのはどちらか

  • A:仕組み・数字・データ
  • B:人・組織・関係

結果

回答近いタイプ職種の傾向
Q1=B・Q3=A場を動かしたい人経営コンサルタント
Q1=A・Q3=A仕組みを突き止めたい人ITコンサルタント
Q3=B人と組織を扱いたい人人事コンサルタント
Q1=B・数字が中心取引をまとめたい人M&Aアドバイザー

この4職種は、頭の良さでは並べ替えられません

コンサル転職の記事には、だいたいこう書いてあります。

論理的思考力が高く、地頭のいい人が向いています

これはほとんど何も言っていません。数値で出てくるのは、頭の良さとは別の軸です。コンサルは、手を動かすことへの向き方が、IT・建設・営業・医療介護のどれと比べても明確に低い。人を説得し、動かすことへの向き方は、その4つのどれよりも高い。「ものを扱う」より「人と場を動かす」職種なんです。手を動かす向き方が下位3に、人を動かす向き方が上位3に同時に入るのは、37業界でコンサルだけです。

ITが好きだからITコンサル、ではない

ITコンサルタントは、人を動かすことへの向き方が、コンサル4職種の中でも高い部類です。「システムに詳しいからITコンサル」で入ると求められるものが違って、技術を突き詰める仕事ではなく、技術の話を使って組織を動かす仕事に近い。

人事コンサルだけ、調べる向きが低い

人事コンサルタントだけ、調べて突き止めることへの向き方が明確に低い。経営コンサルやITコンサルと比べて、分析よりも人と組織に寄っています。「コンサルに向いているか」という問いは粗すぎて、どの領域かで必要なものが変わります。

自律性の重み——M&Aアドバイザーだけ、上位3を外れる

IT・エンジニアでは、9職種のうち7職種で「専門性が積み上がること」が1位です。技術が自分の中に溜まっていく手応えが、満足の中心にあります。

経営コンサルタント、人事コンサルタント、ITコンサルタント。この3職種の「自律性」の水準に並ぶのは、IT・エンジニア9職種と建設・施工管理2職種を合わせて、データサイエンティスト1つだけです。ITの残り8職種も、建設の2職種も届いていません。IT側で次に高いのはプロジェクトマネージャ、建設側は土木施工管理です。

自分の裁量で進められること。IT・エンジニア、建設・施工管理と並べたとき、上から4つのうち3つをコンサルが占める満足の中心です。M&Aアドバイザーだけは、上位3つが「専門性・達成感・自己成長」で、自律性が入っていません。 業界の中の幅は興味の方向だけの話ではなくて、満足の中心そのものが、M&Aだけ他業界に近い形をしています。


この3つに当てはまるなら、消耗しやすくなります

① 手を動かして、形が残ることに満足を感じる人

成果物は資料で、実装は基本的にクライアント側です。面談で「入社1年目は、具体的に何をしますか」を1つ聞いておけば、実行支援まで入るファームと戦略提言で終わるファームの違いが出ます。

② 決まった型があるほうが、力を出せる人

やり方が定義されないまま任される場面が多く、「まず正解を教えてほしい」と感じるタイプは消耗しやすくなります。

③ 正しさが認められることが、いちばんの動機の人

正しい答えを出しても、相手が動かなければ評価されません。人を説得し動かす向き方が37業界で最も高い層にあるのは、そこと合っています。「論理的に正しいことを示したのに、通らなかった」で消耗するなら、この職種は向き方が合っていないのかもしれません。

面接官として見ていたときの話

落ちていたのは「頭が良くない人」ではありませんでした。自分がどちら側なのかを言葉にできていない人でした。

「なぜコンサルなんですか」と聞いて、一段掘ると答えが続かない。適性が無いのではなく、整理されていないだけのことが多かったと思っています。


エージェントの選び方——2軸で見る

総合型に登録したとき、コンサル以外の業界を勧められました。その理由が、次の2軸で説明できます。

業界の解像度扱う求人のレンジ
総合型低い広いが、業界の外へ流れやすい
特化型(上位帯)高い上に偏る
特化型(幅広)高い広い

この2軸は公的データではなく、運営者自身の転職1回分の経験から立てた見方です(→転職エージェントを使うメリット)。

1軸目が低いと、コンサル業界の外へ流されます。 ただ、1社目の特化型は解像度が十分に高くて、レンジが合っていなかっただけでした。

コンサルは、上位帯のファームから小規模ファームまで層がはっきり分かれています。業界の地図を先に見せてくれるかどうかを見るのが、この2軸を面談1回で見分けるのにいちばん分かりやすい指標だと思います。


この業界で、いま紹介できるエージェント

提携できているのは、いま1社だけです。


ここまで読んで、たいてい出てくる2つの疑問

Q. 事業会社からコンサルへの転職は、実際に可能ですか

可能です。ただ、レンジの話が先に来ます。現在の経歴から狙える層がどこかはエージェントによって見立てが変わるので、1社の判断で決めないほうがいいです。私は1社目に「難しい」と言われましたが、2社目で決まりました。

Q. 総合型と特化型、どちらに登録すべきですか

決めなくて構いません。総合型は市場の全体像、特化型は自分の位置と、見えるものが違います。片方で足りないと感じたときにもう片方を足せば十分で、最初から複数に登録する必要はありません。


まとめ——決めるのは、4職種のどこに立つか

  • コンサルは「ものを扱う」より「人と場を動かす」職種。手を動かすことへの向き方は、37業界で下から3番目(最低は士業)
  • コンサル3職種の「自律性」に並ぶIT・建設の職種は、データサイエンティストだけ。M&Aアドバイザーだけは、満足の上位3に自律性が入らない
  • エージェント選びは「業界の解像度」と「扱う求人のレンジ」の2軸。解像度が高くても、レンジが合わなければ落ちる

コンサル業界の中で、自分がどこに立てそうなのか。 ここが決まっていないと、どのエージェントに行っても、相手の持っている求人の話から始まります。

どの領域に近いのかを、面談の前にひとこと言えるようにしておく。それで足ります。


次に読むもの

近い業界(興味の形の近さで、転職しやすさではありません)

  • 営業——人を動かすことへの向き方が、どちらも高い層。分かれるのは、決まった手順を回す向き方のほう
  • 金融——人と関わり、数字を根拠に動かす点が近い。ただし満足の上位に安定が残るのはあちらだけ

37業界を1枚の表で見るなら、業界別の向き・不向き一覧へ。


この記事の根拠

並べた数値を見る

数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。

現実的研究的芸術的社会的企業的慣習的手を動かす調べて突き止める表現する人と関わる人を動かす手順を正確に回す2.893.192.653.493.632.69中心2.0/外周4.5(0.5刻み)
図:コンサルの職業興味6領域(中心2.0・外周4.5/0.5刻み)

「ものを扱う」より「人と場を動かす」を、位置で見る

2.753.003.253.503.003.253.503.75現実的(ものを扱う)→企業的(人を動かす)→コンサル士業営業管理部門(課長級)IT・エンジニア建設・施工管理医療・介護・保育
図1:横軸が現実的(ものを扱う方向)、縦軸が企業的(人を動かす方向)。7業界を配置すると、コンサルは左上に離れて位置する。IT・エンジニアと建設・施工管理は右下寄りで、真逆の側にある

コンサルとIT・エンジニアは、図の対角線上にあります。「ITが好きだからITコンサル」で入ると求められるものが違うのは、ここが理由です。

業界現実的企業的
コンサル2.893.63
IT・エンジニア3.453.17
建設・施工管理3.583.36
営業3.023.57
医療・介護・保育3.072.93
士業2.603.49
管理部門(課長級)3.253.78

37業界で見ると、現実的の最低は士業(2.60)、企業的の最高は管理部門の課長級(3.78)です。コンサルは現実的が下から3番目・企業的が2番目。手を動かす向き方が下位3、人を動かす向き方が上位3に同時に入るのは、37業界でコンサルだけという位置づけになります。

コンサルとIT・エンジニアを重ねる

現実的研究的芸術的社会的企業的慣習的手を動かす調べて突き止める表現する人と関わる人を動かす手順を正確に回す
図2:職業興味6領域の比較。青がコンサル4職種の平均、オレンジがIT・エンジニア9職種の平均。外側の六角形が4.0、中心が2.0を表す。コンサルは現実的(手を動かす)側が内側に縮み、企業的(人を動かす)側が外へ張り出す

同じ「専門職」でも、伸びている方向が違います。

コンサル系4職業の平均:現実的 2.89/研究的 3.19/芸術的 2.65/社会的 3.49/企業的 3.63/慣習的 2.69

職業現実的研究的芸術的社会的企業的慣習的
経営コンサルタント2.983.512.743.723.892.72
ITコンサルタント3.223.552.713.553.732.88
人事コンサルタント2.472.662.453.343.252.68
M&Aアドバイザー2.883.042.713.333.672.46

「自律性」は、どこまで高いのか

3.003.253.503.754.00経営コンサル人事コンサルITコンサルPM(IT)土木施工管理SE(組込み)パッケージ開発建築施工管理SE(受託開発)M&Aアドバイザー4.003.883.863.693.673.603.553.553.253.36未満(上位3項目の外)「自律性」の数値(横軸は3.00から)
図3:仕事価値観「自律性」が上位3項目に入る職業を、数値の高い順に並べたもの。青がコンサル、灰色がIT・建設の職種。この一覧の中では上位3つをコンサルが占めている。データサイエンティストは自律性が本人の11項目で4番目なので一覧に入らないが、値はITコンサル・人事コンサルより高い。M&Aアドバイザーだけは上位3項目に自律性が入らないため、上限値(3.36未満)を破線で示した。横軸は3.00から始まっている

この一覧の中では、上位3つをコンサルが占めています。一覧の外にいるデータサイエンティストは、自律性の値だけ見ればITコンサルと人事コンサルより高く、経営コンサルには届きません。M&Aアドバイザーは、この並びに入りません。

仕事価値観(コンサル4職種の上位3項目)

職業上位3項目
経営コンサルタント専門性 4.13/達成感 4.06/自律性 4.00
ITコンサルタント自己成長 3.93/専門性 3.89/自律性 3.86
人事コンサルタント自律性 3.88/専門性 3.77/自己成長 3.73
M&Aアドバイザー専門性 3.42/達成感 3.39/自己成長 3.36

M&Aアドバイザーの上位3項目には、自律性が入っていません。自律性は 3.21 で、11項目の中では5番目です(良好な対人関係と同じ値)。

このデータに含まれていないもの:年収・労働時間・残業や休日数・求人数・ファームごとの実態・選考の通過率・入社後の定着率。数値はすべて業界の平均です。

業界間の距離(6つの向きの値がどれだけ離れているか。小さいほど近い):営業 0.676、金融 0.694。この2つは、37業界の中では近いほうではありません。いちばん近い相手までの遠さは、37業界で最も遠い部類です。研究職が同じ位置に並びます。異業種から入るときも、異業種へ出るときも、向き方の重なりは小さくなります。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)