営業の「やめとけ」、「人と話すのが好き」では足りない——関わる向きは37業界8位

中身を先に(5項目)

「ノルマに追われる生活を、あと何年やるのか」 「向いていないのか、この会社が合わないのかが分からない」 「営業しかやってこなかった、と思っている」

辞めた人の話ばかり出てきて、判断材料にならなかった。そう感じるのは、辞めた理由が1つに混ざって書かれているからかもしれません。数値の側から言えるのは、「断られ続けるのが辛い」と「手元に何も残らない」の2つです。しかも、この2つは別の方向を向いています。


「営業はやめとけ」の中身は、だいたい5つです

#言われていることこのデータで見えること
①ノルマがきつい働いている人に聞く
②断られ続けるのが辛い向き方なら言える
③手元に何も残らない満足の置きどころなら言える
④人と話すのが好きなら向いてる比べると逆でした。ここがいちばん外しやすい
⑤どの営業も同じ7職種で大きく割れます

向き(向き方)というのは、人と関わる・人を動かす・手を動かすといった方向のことです。その仕事をしている人の興味が、そのどれに寄っているかを表した数値です。①のノルマは、いま働いている人に聞くのがいちばん確かです。

② 「断られ続けるのが辛い」——辛さの意味が2つに分かれる

辛さそのものは、このデータでは測っていません。ただ、辛さの意味が人によって違うことは、数値の側から言えます。営業の「人を説得し動かすことへの向き方」は、37業界の中では高い層です。この数値が指しているのは、相手が動くこと自体に手応えを感じる向き方が中心にある、という形です。

同じ「断られた」が、次に何を変えるかという問いになる人と、消耗だけが残る人に分かれます。 分かれ目は、この向き方が動機の中にあるかどうかだと思います。

③ 「手元に何も残らない」——手を動かす向きは37業界の下位

営業の「手を動かして形にすることへの向き方」は、37業界の中では下位の層です。IT・エンジニアや建設・施工管理とは、はっきり離れます。「今日何をしたのか分からない」という感覚があるなら、この位置と重なっているのかもしれません。

④ 「人と話すのが好きなら向いてる」——ここがいちばん外しやすい

人と関わる向き方で見ると、営業の上に別の業界が並びます。 営業は、比較した37業界の中では8番目です。医療・介護・保育も、その上にあります。ただ、この2つは人を説得し動かす向き方で大きく離れます。

医療・介護・保育も人と関わるが、売り込みの比重が小さい。営業はそこに、相手を動かすところまでが乗る。

「人と話すのが好き」で入った人が消耗するとしたら、話している最中ではなく、決まらなかった帰り道のほうだと思います。営業が求めているのは、話すことそのものより、話して相手が動くところまでです。辛さの正体があるとすれば、そちらです。

⑤ 「どの営業も同じ」——7職種で大きく割れます

営業7職種の中で、人を動かす向き方は割れます。上端が広告営業で、下端が保険営業です。表現することへの向き方はその1.5倍以上開いて、下端ではMRと商社営業がほとんど並びます。人を動かす向き方で見ると、37業界をまたぐ差 1.24 の6割が、営業7職種の中だけで起きています。

「営業が向いていない」と判断する前に、職種を変える余地があります。

  • 押すことに関心が向かない → 保険営業は7職種で人を動かす向き方が最も低い(ノルマや働き方は、働いている人に聞く話です)
  • 説明で納得させたい → MRは人と関わる向き方も、調べる向き方も7職種で最高
  • 作るところからやりたい → 広告営業は表現への向き方が突出

「やめとけ」が当たる人と、当たらない人

  • 手を動かして形が残らないと落ち着かない人。営業の業界平均では、この向き方は37業界の下位です
  • 相手が動いたかどうかに、手応えを感じない人
  • 自分のペースで進めたい人。相手の都合で予定が動き続けます

営業をやめるかどうかより先に、どの営業かを決めたい人には、この5つは当たりません。

  • その場の空気がよかったかより、結果が出たかのほうが引っかかる人
  • 断られた翌日には、やり方のどこを直すかを考え始めている人

まとめ——合っていないのは営業か、いまの営業か

  • 「人と話すのが好きなら向いてる」は、それだけでは足りない。医療とは人と関わる向き方が近いのに、人を説得し動かす向き方で大きく離れる
  • 「断られ続けるのが辛い」は、向き方なら言える。人を説得し動かす向き方が動機にあるかどうかで、同じ出来事の意味が変わる
  • 「どの営業も同じ」も、7職種で大きく割れる。7職種で人を動かす向き方も表現する向き方も割れるので、業界を辞める前に職種を変える余地がある

合っていないのが営業なのか、いまの営業なのか。「やめとけ」が正しいかを考えるのは、そこが分かってからでも遅くないと思います。

どちらかが決まったら、営業の転職エージェントの選び方へ。


関連ページ


この記事の根拠

判定の元になった数値

このデータが測っているのは、その仕事をしている人の興味の向きと仕事で大事にしたいことです。年収・労働時間・年齢・求人の数は測っていません(→このサイトのデータについて)。

数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。

業界平均(向き方)

業界現実的研究的芸術的社会的企業的慣習的
営業3.022.972.583.843.573.20
医療・介護・保育3.072.942.594.112.933.18
IT・エンジニア3.453.422.753.153.172.93
建設・施工管理3.583.132.763.463.363.14

営業の職業別

職業現実的研究的芸術的社会的企業的慣習的
広告営業3.033.113.443.983.973.00
医薬情報担当者(MR)2.763.322.274.143.773.33
商社営業3.362.972.303.663.603.18
住宅・不動産営業2.712.552.394.013.523.33
自動車営業3.443.072.553.953.473.15
銀行・信用金庫渉外担当2.962.802.433.713.433.21
保険営業(生命保険、損害保険)2.912.982.673.463.223.18

表の太字は営業7職種の中での最大・最小であって、37業界での順位ではありません。

比較に使った37業界の幅:人を説得し動かすことは 管理部門(課長級)3.78 ←→ 物流・ドライバー 2.54 で 1.24。人と関わる向き方では、営業 3.84 は37業界で8番目です。

このデータに含まれていないもの:ノルマ・精神的負荷・年収・労働時間。

近い業界の出し方:上の表の6つの向き方を業界どうしで見比べ、離れ方が小さい順に並べたものです。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)