介護職の「やめとけ」、手応えの重みは訪問と施設で割れる——11項目すべて訪問が上

中身を先に(5項目)

「介護職はやめとけ、と何度も出てくる」 「給料が安い、体力が続かない、人間関係がきつい」 「介護なんて誰でもできる、とも言われた」

施設で働くのと、家を回るのとでは、同じ「介護職」でも別の仕事です。「やめとけ」の5つも、どちらの話をしているかで答えが変わります。


「介護職はやめとけ」の中身は、だいたい5つです

#言われていることこのデータで見えること
①介護も看護も保育も、向いている人は同じだ同じ業界の6職業の中では下側に出ます
②給料が安い求人票で確かめる
③体力的に続かない働いている人に聞く
④人間関係がきつい満足の置きどころなら言える。ただし別の項目
⑤誰でもできるから、続けても何も残らない満足の置きどころなら言える。ただし別の項目

比べている相手は、医療・介護・保育に分類した6職業です。「介護職」という職業名はこのデータにはなく、いつも2つに分かれます。表の「向き方」は、6職業それぞれで、その仕事をしている人の興味がどちらを向いているかを表す数値です。

仕事の満足の置きどころ11項目の高い・低いは、その項目を大事にしている度合いであって、職業としての優劣ではありません。

① 「介護も看護も保育も、向いている人は同じだ」——重なるのは、人と関わる向き方までです

人と関わる向き方なら、6職業のどれも高い層にあります。訪問介護員も、薬剤師や看護師とほとんど並ぶ位置にいます。ここを見るかぎり、言い分は当たっています。

割れるのは、別の向き方です。 調べて突き止める向き方では、訪問介護員が6職業で最も低く、施設介護員が下から2番目。上端にいるのは理学療法士です。手を動かして形にする向き方でも、介護の2職業が同率で下端です。

② 「給料が安い」——報酬の重みは2職業とも11項目の最下位

いくらもらえるかは、求人票の給与の帯で見るところで、このデータの外です。ここにあるのは、仕事の満足をどこに置いているかの11項目です。

その11項目の中で、報酬はどちらの職業でも最下位です。6職業を横に並べても、報酬が最も低いのは施設介護員です。

いまこの仕事をしている人の満足の真ん中に、報酬は置かれていません。報酬を仕事選びの中心に置きたい人には、はじめから合わないと思います。「やめとけ」と言った人は、たぶんそこに立っているのでしょう。

③ 「体力的に続かない」——労働安全の重みは、6職業の下2つ

夜勤の回数も、持ち上げる重さも、人員の配置も、働いている人に聞くのがいちばん早いです。隣にある値なら、1つだけあります。労働安全を大事にする度合いで、介護の2職業が6職業の下2つです。安全に働けるかどうかを最優先に職場を選びたい人は、この6職業の中で、その度合いが下2つの職業を見ている形です。

④ 「人間関係がきつい」——人と関わる重みは、訪問が上

言えるのは別の項目のほうです。人と関わることを満足の置きどころにどれだけ置いているか。 ここでも介護の2職業は離れます。訪問介護員は保育士と同率で6職業の上から2番目、施設介護員は6職業で最も低い。職場の人間関係がきついかどうかはこのデータの外で、訪問と施設で割れるのは、人と関わることを大事にする度合いのほうです。

⑤ 「誰でもできるから、続けても何も残らない」——手応えを大事にしている度合いなら、訪問介護員が上に出ます

やり遂げた手応えを大事にする度合いは、訪問介護員が6職業で上から3番目、施設介護員が最も低い。訪問と施設の開きは、11項目の中でここが最大です。

専門を積み上げることを満足に置く度合いも、同じ向きです。訪問介護員は看護師とほとんど並び、施設介護員が6職業で最も低い。自分が伸びることを満足に置く度合いでも、訪問介護員は上のほうに来ます。

何かが実際に残るかどうかは、このデータの外です。手応えを大事にする度合いなら、どちらの働き方を指しているのかで大きく違います。


「やめとけ」が当たる人と、当たらない人

ここから先は、訪問介護員と施設介護員の話です。

  • 報酬を仕事選びの真ん中に置きたい人
  • 調べて突き止めることに手応えを感じる人
  • 外からの認知を支えにしたい人。社会的な認知を大事にしている度合いは、施設介護員が6職業で最も低い

訪問と施設、どちらの話かを決めている人には、この5つは当たりません。

  • 目の前の人の生活が回ることが、そのまま手応えになる人。2職業とも、人の役に立つことが満足のいちばん上に来ます(施設介護員は、専門を積み上げることとほとんど並びます)
  • 相手ごとに手順を変えることを、面倒だと思わない人

まとめ——施設に勤めるか、家を回るか

  • 「介護も看護も保育も同じ」は半分。人と関わる向き方は近いが、調べて突き止める向き方で介護の2職業が下側に出る
  • 「人間関係がきつい」は、職場の実態ではなく、人と関わることを満足に置く度合いなら言える。訪問は上から2番目、施設は最も低い
  • 「誰でもできるから何も残らない」は、満足の置きどころなら言える。ただし別の項目。やり遂げた手応えを大事にする度合いは、訪問と施設が11項目の中で最も大きく開くところで、訪問介護員が上に出る
  • 「給料が安い」は求人票、「体力が続かない」は働いている人に聞く側。報酬を大事にしている度合いなら、2職業とも11項目の最下位

施設に勤めるのか、家を回るのか。ここが決まっていないと、「やめとけ」が正しいかどうかを誰に聞いても、返ってくる答えは毎回違います。同じ言葉で呼ばれているだけで、仕事に求めているものが違いますから。

そこが決まったら、医療・介護・保育の転職エージェントの選び方へ。


関連ページ


医療・介護・保育が出てくる「向き方から探す」のページ

この記事の根拠

判定の元になった数値

このデータが測っているのは、その仕事をしている人の興味の向きと仕事で大事にしたいことです。年収・労働時間・年齢・求人の数は測っていません(→このサイトのデータについて)。

数値が高いほど、その方向への興味が強いこと、またはその項目を大事にしていることを示します。

医療・介護・保育の6職業——向き方

職業現実的研究的芸術的社会的企業的慣習的
訪問介護員/ホームヘルパー2.762.422.394.122.693.18
施設介護員2.762.502.513.872.993.04
保育士2.952.863.334.152.973.27
看護師3.332.792.424.082.813.18
薬剤師3.223.362.254.093.103.49
理学療法士(PT)3.403.692.644.373.032.92

医療・介護・保育の6職業——仕事の満足の置きどころ(11項目)

職業達成感自律性専門性自己成長社会的認知奉仕貢献対人関係労働安全私生活雇用安定報酬
訪問介護員/ホームヘルパー3.553.353.653.732.983.823.482.973.423.222.63
施設介護員2.792.883.313.192.523.343.002.713.093.032.17
保育士3.713.243.823.843.073.633.473.483.313.102.24
看護師3.483.343.683.363.273.493.073.152.813.443.03
薬剤師3.183.183.753.643.183.443.213.533.023.513.38
理学療法士(PT)3.943.744.063.873.433.873.663.493.603.472.93

比べた集合:「医療・介護・保育」に分類した6職業(保育士・訪問介護員/ホームヘルパー・施設介護員・看護師・薬剤師・理学療法士)です。他の業界の数値は使っていません。介護支援専門員(ケアマネジャー)はこのデータでは福祉・相談支援に入るため、この6職業には含めていません。

判定ごとの裏づけ

  • ①(人と関わる):理学療法士4.37 > 保育士4.15 > 訪問介護員4.12 > 薬剤師4.09 > 看護師4.08 > 施設介護員3.87
  • ①(調べて突き止める):理学療法士3.69 が最高、訪問介護員2.42 が最低。施設介護員2.50 が下から2番目
  • ①(手を動かして形にする):訪問介護員・施設介護員がともに2.76で同率の下端。次に低い保育士は2.95
  • ②:報酬は訪問介護員2.63・施設介護員2.17で、どちらもその職業の11項目の最下位。6職業の中でも施設介護員2.17が最も低い(次が保育士2.24)
  • ③:労働安全は 薬剤師3.53 > 理学療法士3.49 > 保育士3.48 > 看護師3.15 > 訪問介護員2.97 > 施設介護員2.71
  • ④:対人関係は 理学療法士3.66 > 訪問介護員3.48 > 保育士3.47 > 薬剤師3.21 > 看護師3.07 > 施設介護員3.00。訪問介護員と保育士の差は0.01なので同率として数えています
  • ⑤(達成感):理学療法士3.94 > 保育士3.71 > 訪問介護員3.55 > 看護師3.48 > 薬剤師3.18 > 施設介護員2.79
  • ⑤(専門性):訪問介護員3.65が看護師3.68とほとんど並び、施設介護員3.31が6職業で最も低い
  • ⑤(自己成長):訪問介護員3.73が6職業で3番目
  • 奉仕貢献は訪問介護員3.82・施設介護員3.34で、訪問介護員は11項目の1位、施設介護員は専門性3.31とほとんど並ぶ1位(訪問介護員は6職業でも理学療法士3.87に次ぐ2番目)
  • 社会的認知は 理学療法士3.43 > 看護師3.27 > 薬剤師3.18 > 保育士3.07 > 訪問介護員2.98 > 施設介護員2.52

0.01以内の差は同率として数え、それより大きい差だけを順位として読んでいます。「ほとんど並ぶ」としたのは、差が0.05未満のところです。

訪問介護員と施設介護員は、上の11項目すべてで訪問介護員のほうが高く出ています。開きがいちばん大きいのは達成感、いちばん小さいのは雇用の安定性です。

このデータに含まれていないもの:年収・夜勤の回数・身体的な負荷・人員配置・職場の人間関係・資格の要否・求人の数。この記事は、介護の質や、利用者への効果について一切何も述べていません。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)