マーケティングは「やめとけ」と言われる——どこまで本当か

「何でも屋になるだけ、と言われた」 「成果が自分のものにならない気がする」 「未経験から入るのは無理だと書いてある」

「マーケティング 転職」で調べると、華やかな話と地獄の話しか出てこない。 そんな経験がある人も多いのではないでしょうか。

「やめとけ」は、雑な言葉です。 中身が5つくらい混ざっていて、そのうち3つは数値と合っています。

先に、分けます。


最初に——このデータで答えられないこと

この記事が使うのは、厚生労働省の「job tag」に入っている職業別の調査データです。 実際にその仕事をしている人が、どんな方向に興味を持っているかと、何を大事にしているかが入っています。

逆にいうと、次のことは測っていません。

  • 年収がいくらか
  • 残業がどれくらいか
  • 未経験から入れるか
  • 求人がどれくらいあるか

この4つは答えられないと、先に書いておきます。


「やめとけ」の中身は、だいたい5つです

#言われていること数値との関係
未経験からは無理答えられない
何でも屋になる合っている
社内調整ばかり合っている。しかも仕事の一部
手に職がつかない合っている
クリエイティブかデータかで悩む問いの立て方が違う

② 「何でも屋になる」——合っています

マーケティングの「決まった手順を正確に回すことへの向き方」は 3.09。 士業や管理部門・担当より低い層です。

毎回条件が変わり、その都度やり方を決めるのが常態だということです。

「まず正解を教えてほしい」と感じるタイプにとって、これは終わらない負荷になります。

ただし、この振れ幅は職場でかなり変わります。

面談で1つ聞いてください。既存チャネルの運用と、新規施策の企画は、どのくらいの比率ですか」。同じマーケティング職でも、答えがまったく違います。


③ 「社内調整ばかり」——合っています。しかも仕事の一部です

マーケティングの「人を説得し動かすことへの向き方」は 3.59。 営業とほぼ同じ、コンサルに近い水準です。

2職種とも高い(Webマーケティング3.49/リサーチャー3.69)。片方だけの話ではありません。

作ったものを社内に通すのが、仕事の一部です。 予算を取り、他部署を動かし、経営に説明する。

「良いものを作れば通るはず」と考えている場合、ここで消耗します。 数値の上では、通すことのほうが本体に近い。

この「やめとけ」が当たるのは、作ることだけに集中したい人です。


④ 「手に職がつかない」——合っています

マーケティングの「手を動かして形にすることへの向き方」は 3.07。 IT・エンジニアや建設・施工管理より低い層です。

成果物が施策と数字で、モノとして残りません。

「今期何をしたのか」を説明できても、「これを作った」と見せられるものが無い。 そこに不足を感じる人にとっては、構造的な問題です。


⑤ 「クリエイティブかデータかで悩む」——問いの立て方が違います

17業界の中で、表現することと調べて突き止めることの両方で上位3に入っているのは、マーケティングだけです。

  • クリエイティブは表現で1位(3.93)だが、調べる向き方は5位(3.40)
  • メーカー技術職は調べる向き方で1位(3.54)だが、表現は下位(2.55)

二択ではなく、両方を同時に要求される場所です。

そして業界の中を見ると、そこがまた割れます。

  • Webマーケティング担当 — 表現3.65・調べる3.63
  • マーケティング・リサーチャー — 表現2.78・人を動かす3.69

0.87 の差があります。「マーケティングが向いていない」と判断する前に、職種を変える余地があります。


「やめとけ」が当たる人と、当たらない人

当たりやすいのは、こういう人です。

  • 作ることだけに集中したい人。 通すところまでが仕事です
  • 決まった手順を正確に回したい人。 慣習的 3.09 は低い層で、毎回やり方が変わります
  • 手を動かして形が残らないと落ち着かない人。 現実的 3.07 は下位です
  • 一人で完結させたい人。 社会的 3.44 はIT・エンジニア(3.15)より高く、社内調整の量は想像より多くなります

当たらないのは、こういう人です。

  • 作ることも調べることも、どちらかを捨てたくない人
  • 予算を取り、他部署を動かすところまでを、自分の仕事だと思える人

まとめ

  • このデータでは、年収・残業・未経験可否・求人数は答えられない
  • 「何でも屋になる」は合っている。 慣習的 3.09 で、毎回やり方が変わる
  • 「社内調整ばかり」も合っている。 企業的 3.59 は営業とほぼ同じ水準で、通すのが仕事の一部
  • 「手に職がつかない」も合っている。 現実的 3.07 は下位で、モノが残らない
  • 「クリエイティブかデータか」は問いの立て方が違う。 両方で上位3に入るのは17業界でマーケだけ
  • 業界内でも 0.87 割れる。 業界を辞める前に、職種を変える余地がある

決めるべきなのは、「やめとけ」が正しいかどうかではありません。通すところまでを自分の仕事だと思えるかです。


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この記事の根拠

数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。

業界平均(職業興味・RIASEC)

業界現実的研究的芸術的社会的企業的慣習的
マーケティング3.073.433.223.443.593.09
クリエイティブ3.583.403.933.413.332.91
メーカー技術職3.613.542.553.043.083.01
営業3.022.972.583.843.573.20
コンサル2.893.192.653.493.632.69
士業2.603.262.263.863.493.50
管理部門(担当)3.092.982.473.133.223.36
IT・エンジニア3.453.422.753.153.172.93
建設・施工管理3.583.132.763.463.363.14

マーケティングの職業別

職業現実的研究的芸術的社会的企業的慣習的
Webマーケティング(ネット広告・販売促進)3.073.633.653.403.493.21
マーケティング・リサーチャー3.073.222.783.473.692.96

このデータに含まれていないもの:年収・残業時間・未経験からの採用可否・求人数。本文で「答えられない」と書いた項目は、すべてこれに当たります。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年2月10日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)