「支店が減っていく一方だと言われた」 「ノルマがきつくて続かない、と何度も見た」 「金融しか知らないから、外に出られない気がする」
求人を見ても、いまと何が違うのか判断できずに閉じた。違いが見えないのは、「金融」という括りが8職種をひとまとめにしているからだと思います。
「金融はやめとけ」の中身は、だいたい5つです
| # | 言われていること | このデータで見えること |
|---|---|---|
| ① | ノルマがきつい | 働いている人に聞く |
| ② | 支店が減っていく | これは、この先の話です |
| ③ | 数字に強くないと無理 | 向き方なら言える |
| ④ | 金融の外に出られない | 近さの側からは、逆でした |
| ⑤ | 人と関わらない仕事だと思った | 正反対 |
数値で確かめられるのは③④⑤です。
③ 「数字に強くないと無理」——向き方なら言えます
8職種の中で、調べて突き止める向き方は大きく割れます。
- アクチュアリー — 8職種で最も高い
- 銀行等窓口事務 — 8職種で最も低い
この2職種のあいだの差は 1.79。37業界の平均どうしを並べたときの幅より大きくなります。銀行等窓口事務の値は、営業の業界平均より低い。代わりに、決まった手順を回す向き方が8職種の最高です。「金融=数字」の括りから、この職種は外れます。
調べて突き止める向き方が高く出るのは、数理で突き詰める型だけです。アクチュアリー、ファンドマネージャー、証券アナリストが、そこに入ります。
④ 「金融の外に出られない」——近さの側からは、逆でした
最も近いのは法律・会計(弁護士・会計士)です。37業界のどの2つを比べても、この組み合わせがいちばん近い。 次が公務員(行政)です。そのあとに、営業、士業、管理部門の担当と続きます。
どこへ出るかは、いまの職種で変わります。
- 数理で突き詰める型 → 分析職。メーカー技術職が近い帯にいます
- 人に説明する型・動かす型 → 営業や管理職
- 正確に処理する型 → 管理部門や士業
⑤ 「人と関わらない仕事だと思った」——正反対です
金融で最も高いのは、人と関わる向き方です。調べて突き止めることより上にあります。8職種の中でいちばん低いのは証券アナリストですが、それでもIT・エンジニアの業界平均より高い。
数字は材料で、成果物は相手が下した判断のほうです。 「分析だけをやりたい」で入ると、成果物の定義がずれたまま働くことになるかもしれません。対人の比重を減らしたい場合、調べる仕事の中でもメーカー技術職やIT・エンジニアのほうが低い。
転職で気をつけること——2つの動機が逆方向に引っ張ります
満足の上位3項目は、専門性・自己成長・労働安全衛生です。1位と2位は、専門職として自然な並びです。引っかかるのは3位です。「働く環境の安全さ」が、積み上がる側の項目を押しのけて上位に残っています。伸ばしたい気持ちと、崩したくない気持ちが、1人の中に同居しているようです。
転職の場面では、この2つが別々の方向を向きます。 伸ばすことを軸に選ぶか、崩さないことを軸に選ぶかで、見る求人が変わります。
「やめとけ」が当たる人と、当たらない人
- 分析だけをやりたい人。相手が動くところまでが範囲です
- 自分の見せ方を作りたい人。表現する向き方は37業界で下から5番目で、様式と規程が決まっています
- 手を動かした結果が、形として残ってほしい人。手を動かして形にする向き方は下位です
この5つが当たらないのは、数字を材料として扱える人のほうです。
- 数字を根拠に、相手へ説明するのが好きな人
- 納得した相手が動いたときに、手応えを感じる人
- 専門性と安定の両方を、同時に求めている人
まとめ
- 「数字に強くないと無理」は、向き方なら言える。8職種で大きく割れ、銀行窓口は下端
- 「金融の外に出られない」は、近さの側からは逆。最も近いのは法律・会計で、37業界の中でいちばん近い組み合わせ。営業・士業・管理部門も近い
- 「人と関わらない仕事」は正反対。業界内で最も高いのが、人と関わる向き方
- 専門性と安定が同居していて、転職では逆方向に引っ張る
伸ばすことと崩さないこと、どちらを先に置くか。そこさえ決まっていれば、「やめとけ」が正しいかどうかは、さほど気にならなくなると思います。
先に置くほうが決まったら、金融の転職エージェントの選び方へ。
関連ページ
- 金融に向いてる人——8職種の、4つの型
- 金融の転職エージェントの選び方——型が決まったあとの話
- 法律・会計(弁護士・会計士)は「やめとけ」と言われる——37業界でいちばん近い相手
- 営業は「やめとけ」と言われる——人と関わり、動かす向き方が近い
- 士業は「やめとけ」と言われる——決まった規則を正確に適用する点が共通
- 業界別の向き・不向き一覧——37業界を1枚の表で
- このサイトのデータについて——数値の出典と、測っていないこと
金融の職業を1つずつ見る
金融が出てくる「向き方から探す」のページ
この記事の根拠
判定の元になった数値
このデータが測っているのは、その仕事をしている人の興味の向きと仕事で大事にしたいことです。年収・労働時間・年齢・求人の数は測っていません(→このサイトのデータについて)。
数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。
業界平均(向き方)
| 業界 | 現実的 | 研究的 | 芸術的 | 社会的 | 企業的 | 慣習的 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 金融 | 3.06 | 3.42 | 2.34 | 3.59 | 3.42 | 3.19 |
| 営業 | 3.02 | 2.97 | 2.58 | 3.84 | 3.57 | 3.20 |
| 士業 | 2.60 | 3.26 | 2.26 | 3.86 | 3.49 | 3.50 |
| 管理部門(担当) | 3.09 | 2.98 | 2.47 | 3.13 | 3.22 | 3.36 |
| 管理部門(課長級) | 3.25 | 3.12 | 2.32 | 3.73 | 3.78 | 3.58 |
| メーカー技術職 | 3.61 | 3.54 | 2.55 | 3.04 | 3.08 | 3.01 |
| IT・エンジニア | 3.45 | 3.42 | 2.75 | 3.15 | 3.17 | 2.93 |
| クリエイティブ | 3.58 | 3.40 | 3.93 | 3.41 | 3.33 | 2.91 |
金融の職業別(抜粋)
| 職業 | 現実的 | 研究的 | 芸術的 | 社会的 | 企業的 | 慣習的 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| アクチュアリー | 2.95 | 4.59 | 2.27 | 3.80 | 4.20 | 3.56 |
| ファンドマネージャー | 3.50 | 4.12 | 2.42 | 3.58 | 3.77 | 3.00 |
| 証券アナリスト | 3.40 | 3.78 | 2.47 | 3.20 | 3.29 | 2.78 |
| 銀行支店長 | 2.86 | 2.89 | 2.44 | 3.73 | 3.79 | 3.29 |
| ファイナンシャル・プランナー | 2.50 | 3.07 | 2.28 | 3.83 | 3.50 | 3.03 |
| 銀行等窓口事務 | 3.48 | 2.80 | 2.32 | 3.78 | 2.98 | 3.74 |
8職種すべての数値は 金融に向いてる人 へ。
近い業界の出し方:上の表の6つの向き方を業界どうしで見比べ、離れ方が小さい順に並べたものです。
| 金融から見た隣 | 離れ方 | 共通しているもの |
|---|---|---|
| 法律・会計(弁護士・会計士) | 0.227 | 調べて突き止めることと、規則を人に適用すること |
| 公務員(行政) | 0.47 | 規程に沿って正確に処理する |
| 営業 | 0.59 | 人と関わり、動かす向き方 |
| 士業 | 0.65 | 決まった規則を正確に適用する |
| 管理部門(担当) | 0.70 | 規程に沿って正確に処理する |
金融 ↔ 法律・会計 の 0.227 は、37業界のどの組み合わせよりも小さい値です。 37業界で最も孤立しているのは研究職とコンサルで、いちばん近い相手までがかなりあります。
法律・会計(弁護士・会計士)の業界平均:手を動かして形にする2.96/調べて突き止める3.55/表現する2.45/人と関わる3.62/人を説得し動かす3.36/決まった手順を回す3.28。公務員(行政)は、同じ順で 3.11/3.24/2.44/3.58/3.10/3.46。
仕事価値観(上位3項目):専門性 3.85/自己成長 3.71/労働安全衛生 3.67。
このデータに含まれていないもの:ノルマ・支店や人員の増減・年収・求人数。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)