エンジニアの「やめとけ」、「人と話さない」は割れる——関わる向きの上は基盤SE

中身を先に(5項目)

「未経験からエンジニアはやめとけ、と書いてある」 「35歳で限界が来ると言われた」 「勉強し続けないと死ぬ、という言葉を何度も見た」

調べるほど不安になって、結局その日は何も決めなかった。そういう読み方になっているなら、言われていることを4つに分けたほうが早いと思います。


「エンジニアはやめとけ」の中身は、だいたい4つです

#言われていることこのデータで見えること
①勉強し続けないといけない満足の置きどころなら言える
②人と話さなくていいと思ったら違った職種による。業界をまたぐ差の4割超が、業界の中で開く
③35歳で限界が来る向き方なら言える
④給料が上がらない/上がる満足の置きどころなら言える

表の「向き(向き方)」は、その職業に就いている人がどんな方向に興味を持つかを数値にしたものです。人と関わる・調べて突き止める、といった6つの向きがあります。

① 「勉強し続けないといけない」——7職種の満足1位は専門性

読み方が逆だと思います。IT・エンジニア系9職種のうち7職種で、満足の1位は「専門性が積み上がること」です。勉強を強いられている、という数字ではなくて、積み上がること自体が、満足の中心に来ている形です。

  • 積み上がることが嬉しい人にとって — これは条件ではなく、報酬のほう
  • 積み上がることに関心がない人にとって — これは終わらない宿題になる

「やめとけ」が当たるのは後者で、満足の中心が別の場所にある、というだけの話です。これまでの仕事で「できるようになった」と感じた瞬間を思い出せるか。思い出せないなら、そこは動機の中心ではないのかもしれません。

② 「人と話さなくていいと思ったら違った」——職種によります

この誤解がいちばん多くて、いちばん実害があるようです。IT・エンジニア9職種の「人と関わることへの向き方」は上と下で大きく割れています。業界をまたぐ差の4割を超える分が、IT業界の中だけで起きています。

  • 基盤システムのエンジニア — 9職種で最も高い
  • プロジェクトマネージャ — その次
  • プログラマー — 下から2番目
  • スマホアプリ開発 — 9職種で最も低い

「人と関わりたくないからIT」は、職種まで決めないと成り立ちません。受託開発のSEのように、要件を聞き、仕様を合意し、進捗を説明する職種もあります。

面談では、1つだけ聞いてみてください。「この職種は、1日のうちどれくらいが打ち合わせですか」。

③ 「35歳で限界が来る」——マネジメントへは向きが別物

ここで見ているのは、向き方です。プロジェクトマネージャは、9職種の中で「調べて突き止めることへの向き方」が最も低く、代わりに人を動かす向き方が高い。よく言われる「歳を取ったらマネジメントへ」は、同じ仕事の延長ではありません。 求められる向き方が別のものに変わるので、そこを一続きだと思っていると、移った先で手応えを失うかもしれません。

移らないという選択もあります。データサイエンティストや組込み・IoTのように、突き止める向き方が高いまま続く職種が、業界の中にあります。

④ 「給料が上がらない/上がる」——満足の1位は、収入ではない

年収の帯なら、求人票で確かめるほうが早いです。ここで言えるのは重みのほうで、9職種のうち7職種で、満足の1位は「専門性」です。収入や地位ではありません。収入が動機の中心にある場合、この業界の人たちの満足の置きどころとは重なりません。 重なるのは、積み上がる感覚のほうです。


「やめとけ」が当たる人と、当たらない人

  • できるようになった瞬間に、手応えを感じない人
  • 人と関わる量を減らしたくて来た人
  • 決まった手順を正確に回したい人。その向き方は37業界の下位で、やり方は毎回変わります

基盤システムのエンジニアとスマホアプリ開発を別々に見ている人には、この4つは当たりません。

  • 分からないことが残ったままだと、先に進めない人
  • 手を動かして確かめないと納得できない人
  • 身についた技術が増えていく感覚のほうを、役職より大事にできる人

まとめ——自分がどの型に近いか

  • 「人と話さなくていい」は職種による。スマホアプリ開発から基盤システムのエンジニアまで、業界内で割れる
  • 「勉強し続ける」は、満足の置きどころなら言える。9職種のうち7職種で、満足の1位は「専門性」
  • 「35歳で限界」は、向き方なら言える。マネジメントへの移行は、求められる向き方が別物になる

「やめとけ」が正しいかどうかは、後回しでいいと思います。自分がどの職種の型に近いかが分かれば、4つのうちどれが当たるかは、そこから読めます。

型が決まったら、エンジニアの転職エージェントの選び方へ。


関連ページ


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この記事の根拠

判定の元になった数値

このデータが測っているのは、その仕事をしている人の興味の向きと仕事で大事にしたいことです。年収・労働時間・年齢・求人の数は測っていません(→このサイトのデータについて)。

数値が高いほど、その方向への興味が強いことを示します。

IT・エンジニアの職業別(向き方)

職業現実的研究的芸術的社会的企業的慣習的
システムエンジニア(基盤システム)3.453.352.763.483.413.12
プロジェクトマネージャ(IT)3.572.862.523.433.392.91
システムエンジニア(組込み、IoT)3.743.682.863.363.143.05
システムエンジニア(受託開発)3.293.152.713.243.192.98
システムエンジニア(Webサービス開発)3.243.242.823.133.103.00
データサイエンティスト3.363.852.723.033.212.72
ソフトウェア開発(パッケージソフト)3.313.492.643.003.152.85
プログラマー3.753.762.732.902.883.12
ソフトウェア開発(スマホアプリ)3.323.402.972.793.032.61

表の太字はIT・エンジニア9職種の中での最大・最小であって、37業界での順位ではありません。

業界平均との比較:IT・エンジニアの、決まった手順を正確に回す向き方は 2.93 で、37業界では下から4番目です(最低はコンサル 2.69)。

業界間の幅:37業界の平均を並べたとき、人と関わる向き方の幅は 1.55(リハビリ・治療 4.20 ←→ 組立・生産ライン 2.65)。IT・エンジニア9職種の中の幅 0.69 は、その4割を超えます。

仕事価値観:9職種のうち7職種で1位が「専門性」。外れるのはプログラマー(達成感3.55)とプロジェクトマネージャ(達成感3.75)の2職種。

このデータに含まれていないもの:年収・労働時間・年齢構成・求人数。

近い業界の出し方:上の表の6つの向き方を業界どうしで見比べ、離れ方が小さい順に並べたものです。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)