「登記の件数が減っている、と何度も出てくる」 「外を歩き回る体力勝負だ、とも書いてある」 「司法書士を取ったほうが早い、という言い方もある」
測る話と、資格の話が同じ段落に入っている。
言われている中身は、5つに分かれます。
興味の向き——法律・会計(弁護士・会計士)の10職業の中では、手を動かすが1位
- 手を動かす
- 1位
- 調べて突き止める
- 4位(同率2)
- 表現する
- 2位
- 人と関わる
- 4位(同率2)
- 人を動かす
- 7位
- 決まった手順を正確に回す
- 3位
これは同じ業界の職業の中での順位で、37業界を通した順位ではありません。ごくわずかな差は同率として数えています。
満足の置きどころ——いちばん高いのは専門性
- 1位
- 専門性
- 2位
- 達成感
- 3位
- 自律性
これは、その職業に就いている人が何を大事にしているかです。何に満足しているかを測ったものではありません。給与・雇用・労働時間・安全そのものの数値でもありません。
同じところに満足を置く職業を、業界をまたいで見る:手に職をつけたい人に向いてる仕事/マイペースな人に向いてる仕事
「土地家屋調査士はやめとけ」の中身——「測って歩くだけ」の「だけ」が、10職業では消えます
現地で杭を打つ仕事だと聞いて興味を持った人も、書面の上で権利を組み立てる仕事だと聞いて興味を持った人も、どちらもこの職業の中にいます。外を歩く時間の長さだけを理由に避けている人は、机に向かう側の比重を見落とします。
提案して回って仕事を取る形を思い描いている人は、この職業の並びとはずれます。司法書士とどちらが上かで迷っている人は、上下ではなく項目ごとの入れ替わりを見ることになります。
| # | 言われていること | このデータで見えること |
|---|---|---|
| ① | 何年もかけて取る資格なのに、見返りが小さい | 公表資料で確かめる |
| ② | 測って歩くだけの仕事だ | 同じ業界の10職業の中では逆に出ます |
| ③ | 独立しても、営業ができないと仕事が来ない | 向き方なら言える |
| ④ | 登記の電子化で、この仕事は減っていく | これは、この先の話です |
| ⑤ | 司法書士の下位互換だ | 2職業で割れます |
比べている相手は、法律・会計(弁護士・会計士)に分類した10の職業です。土地家屋調査士・司法書士・弁護士・公認会計士・弁理士・不動産鑑定士・中小企業診断士・パラリーガル(弁護士補助職)・企業法務担当・コンプライアンス推進担当です。
① 見返りが小さい——金額と合格率は、公表資料で確かめる話です
報酬額も、試験の合格率も、独立後の売上も、公表されている統計や試験の資料の側にあります。
言えるのは、満足の置きどころのほうです。達成感を大事にしている度合いは、10職業の中で上から2番目。弁理士とほとんど並び、上にいるのは中小企業診断士だけでした。
逆の側に振れている項目もあります。報酬を大事にしている度合いは10職業の中で下から3番目、雇用や生活の安定性を大事にしている度合いは下から2番目でした。
報酬・雇用や生活の安定性・私生活との両立は、いずれも「どれだけ大事にしているか」の値です。実際の収入も、仕事の安定度も、このデータは測っていません。
② 「測って歩くだけ」——歩く前に、資料から突き止める側にもいます
手を動かして形にする向き方は、法律・会計に分類した10職業の中で最も高く出ています。次に来る弁理士との差は小さく、残る8職業とははっきり離れます。
同時に、調べて突き止める向き方も、この10職業の上位5つに入ります。手を動かす側と突き止める側の両方でそこに入るのは、ここと弁理士、企業法務担当の3つだけでした。
ただし、体力の要る仕事かどうかは別で、労働時間も屋外作業の負荷も、このデータには入っていません。
③ 営業ができないと仕事が来ない——押して回る向き方は、下側に出ています
上にいるのは中小企業診断士や公認会計士です。人を説得し、動かす向き方は、10職業の中で下から4番目でした。
人と関わる向き方のほうは、10職業のちょうど中ほどにあります。
④ 電子化で仕事が減る——将来の量は、この先の話です
制度の変更も、仕事の量も、この先の話です。求人の数は、求人票で確かめられます。
見えるのは、決まった手順を正確に回す向き方が、どのあたりにあるかです。10職業の中では上から3番目で、上にいるのは司法書士と公認会計士でした。
ただし、この位置と、仕事が残るかどうかは、別の話です。
⑤ 「司法書士の下位互換」——6つの向き方が、3対3で割れます
興味の向きを6つ並べると、この2職業は上下になりません。
- 土地家屋調査士のほうが高いのは3つ——手を動かして形にする向き方、調べて突き止める向き方、表現する向き方
- 司法書士のほうが高いのは3つ——人と関わる向き方、決まった手順を正確に回す向き方、人を説得し動かす向き方
- このうち説得する向き方の差は、6つの中でいちばん小さく出ています
満足の置きどころは、割れ方が違います。専門性と自律性を大事にしている度合いは司法書士のほうが高く、達成感を大事にしている度合いは土地家屋調査士のほうが高い。
この2職業は、項目ごとに上下が入れ替わる形でした。
まとめ
- 「見返りが小さい」は、金額の側を公表資料で確かめる。 言えるのは、報酬を大事にする度合いが10職業で下側、達成感を大事にする度合いは上側という置きどころ
- 「測って歩くだけ」は、10職業に並べると逆を向く。 手を動かして形にする向き方が最も高く、調べて突き止める向き方も上位——両方が上位5つに入るのは、ここと弁理士、企業法務担当の3つ
- 「営業ができないと仕事が来ない」は、向き方なら言える。 人を説得し動かす向き方は10職業の下側。人と関わる向き方は中ほど
- 「電子化で減る」は、この先の話。 ここで出てくるのは、決まった手順を正確に回す向き方が上側という位置
- 「司法書士の下位互換」は、2職業で割れる。 6つの向き方は3対3。満足の置きどころも、項目ごとに分かれる
5つは、別々の場所から出てきた言葉です。
決めるべきなのは、この資格が割に合うかどうかではありません。現地で確定させる側に立つのか、書面の中で組み立てる側に立つのかです。
どちらに関心が向くのかを面談でどう伝えるかは、法律・会計の転職エージェントの選び方へ。
この記事の根拠
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比べている相手:法律・会計(弁護士・会計士)に分類した10職業(土地家屋調査士・司法書士・弁護士・公認会計士・弁理士・不動産鑑定士・中小企業診断士・パラリーガル(弁護士補助職)・企業法務担当・コンプライアンス推進担当)。本文の「最も」「上から◯番目」は、すべてこの10職業の中での順位です。他の業界や、job tag 全体の中での順位ではありません。社会保険労務士・行政書士・税理士は別の業界(士業)に入れているので、ここでは数えていません。
職業興味(6領域)
- 手を動かして形にする(現実的):土地家屋調査士 3.62 / 弁理士 3.54 / 不動産鑑定士 2.95 / 企業法務担当 2.88 / コンプライアンス推進担当 2.88 / 公認会計士 2.86 / 司法書士 2.80 / 弁護士 2.80 / 中小企業診断士 2.77 / パラリーガル 2.48
- 調べて突き止める(研究的):公認会計士 3.83 / 弁護士 3.76 / 企業法務担当 3.74 / 土地家屋調査士 3.72 / 弁理士 3.72 / 司法書士 3.51 / 不動産鑑定士 3.34 / 中小企業診断士 3.32 / コンプライアンス推進担当 3.26 / パラリーガル 3.25
- 表現する(芸術的):中小企業診断士 2.71 / 土地家屋調査士 2.68 / コンプライアンス推進担当 2.58 / 弁理士 2.54 / 弁護士 2.51 / 企業法務担当 2.44 / パラリーガル 2.37 / 公認会計士 2.29 / 不動産鑑定士 2.28 / 司法書士 2.15
- 人と関わる(社会的):公認会計士 4.18 / 弁護士 3.93 / 司法書士 3.83 / 中小企業診断士 3.68 / 土地家屋調査士 3.67 / 企業法務担当 3.64 / 弁理士 3.34 / コンプライアンス推進担当 3.33 / 不動産鑑定士 3.32 / パラリーガル 3.29
- 人を説得し、動かす(企業的):中小企業診断士 3.93 / 公認会計士 3.83 / 企業法務担当 3.58 / 弁護士 3.55 / コンプライアンス推進担当 3.53 / 司法書士 3.25 / 土地家屋調査士 3.20 / 不動産鑑定士 3.08 / 弁理士 3.03 / パラリーガル 2.62
- 決まった手順を正確に回す(慣習的):司法書士 3.71 / 公認会計士 3.54 / 土地家屋調査士 3.45 / 企業法務担当 3.32 / 弁理士 3.31 / パラリーガル 3.31 / コンプライアンス推進担当 3.25 / 弁護士 3.15 / 不動産鑑定士 3.02 / 中小企業診断士 2.77
満足の置きどころ(仕事価値観のうち、本文で使った5項目)
- 報酬:公認会計士 3.76 / 弁理士 3.57 / 司法書士 3.28 / 中小企業診断士 3.20 / 企業法務担当 3.17 / 弁護士 3.14 / 不動産鑑定士 3.07 / 土地家屋調査士 3.00 / コンプライアンス推進担当 2.98 / パラリーガル 2.51
- 雇用や生活の安定性:公認会計士 3.72 / 企業法務担当 3.59 / 弁理士 3.44 / コンプライアンス推進担当 3.44 / 不動産鑑定士 3.43 / パラリーガル 3.24 / 司法書士 3.23 / 中小企業診断士 3.16 / 土地家屋調査士 3.09 / 弁護士 2.81
- 達成感:中小企業診断士 4.08 / 土地家屋調査士 3.77 / 弁理士 3.76 / 司法書士 3.72 / 弁護士 3.64 / 不動産鑑定士 3.55 / パラリーガル 3.36 / 公認会計士 3.32 / 企業法務担当 3.15 / コンプライアンス推進担当 2.70
- 専門性:弁理士 4.24 / 司法書士 4.23 / 公認会計士 4.20 / 中小企業診断士 4.12 / 弁護士 4.12 / 土地家屋調査士 3.98 / 不動産鑑定士 3.91 / 企業法務担当 3.85 / パラリーガル 3.61 / コンプライアンス推進担当 3.48
- 自律性:司法書士 4.05 / 中小企業診断士 4.04 / 弁護士 3.92 / 弁理士 3.87 / 土地家屋調査士 3.75 / 公認会計士 3.65 / 不動産鑑定士 3.64 / 企業法務担当 3.53 / コンプライアンス推進担当 3.22 / パラリーガル 2.78
手を動かす側と突き止める側、両方の上位5つ:現実的の上位5は 土地家屋調査士 3.62・弁理士 3.54・不動産鑑定士 2.95・企業法務担当 2.88・コンプライアンス推進担当 2.88(6番目は公認会計士 2.86 で、0.01 の帯の外に落ちます)。研究的の上位5は 公認会計士 3.83・弁護士 3.76・企業法務担当 3.74・土地家屋調査士 3.72・弁理士 3.72(6番目は司法書士 3.51)。両方に入るのは 土地家屋調査士・弁理士・企業法務担当 の3職業です。なお現実的で最も高いのは土地家屋調査士で、これは10職業の中で単独です。
⑤で比べた2職業の差:土地家屋調査士が上回るのは現実的(3.62/2.80)・研究的(3.72/3.51)・芸術的(2.68/2.15)。司法書士が上回るのは社会的(3.83/3.67)・慣習的(3.71/3.45)・企業的(3.25/3.20)。企業的の 0.05 が、6領域の中で最も小さい差です。
順位の数え方:同じ値には同じ順位を与えています。0.01以内の差は同率として数え、それより大きい差だけを順位として読んでいます。 差が 0.05 未満なのは、達成感の 3.77 と 3.76、社会的の 3.68 と 3.67 です。
このデータに含まれていないもの:年収・報酬額・労働時間・屋外作業の負荷・休日・求人の数・登記件数の推移・試験の合格率・独立後の売上・年齢構成・事務所ごとの違い。「報酬」「雇用や生活の安定性」「私生活との両立」は、いずれも「どれだけ大事にしているか」の値で、実際の金額や勤務の実態ではありません。能力・スキルも測っていないので、「務まるかどうか」もこのデータでは答えられません。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)