「独占業務が無いから食えない、と何度も出てくる」 「取っても名刺の飾りだ、とも書いてある」 「結局は営業ができるかどうかだ、という言い方もある」
どの言い分も、資格を取る前の話で止まっている。
言われている中身は、5つに分かれます。
6領域——法律・会計(弁護士・会計士)の10職業の中では、表現するが1位
- 手を動かす
- 2.779位
- 調べて突き止める
- 3.328位
- 表現する
- 2.711位
- 人と関わる
- 3.684位(同率2)
- 人を動かす
- 3.931位
- 決まった手順を正確に回す
- 2.7710位
順位は法律・会計(弁護士・会計士)に収録された10職業の中での順位です。37業界の業界平均の順位ではありません。0.01以内の差は同率として数えています。
満足の置きどころ——11項目のうち、専門性が1位
- 1位
- 専門性 4.12
- 2位
- 達成感 4.08
- 3位
- 自律性 4.04
11項目は、その職業に就いている人が何を大事にしているかです。何に満足しているかを測ったものではありません。給与・雇用・労働時間・安全そのものの数値でもありません。0.01以内の差は同率として数えています。
同じところに満足を置く職業を、業界をまたいで見る:手に職をつけたい人に向いてる仕事/マイペースな人に向いてる仕事
「中小企業診断士はやめとけ」の中身——形が見えるのは、3つ目です
| # | 言われていること | 判定 |
|---|---|---|
| ① | 独占業務が無いから、資格だけでは食えない | 答えられない |
| ② | 難関試験の割に、名刺の飾りで終わる | 答えられない |
| ③ | 報告書を作る、書類の資格だ | 同じ業界の10職業の中では逆に出ます |
| ④ | 中身はコンサルではなく、営業だ | 向き方なら言える |
| ⑤ | 同じ資格を取るなら、公認会計士のほうが上だ | 違う |
比べている相手は、法律・会計(弁護士・会計士)に分類した10の職業です。中小企業診断士と一緒に、弁護士・公認会計士・司法書士・弁理士・土地家屋調査士・不動産鑑定士・企業法務担当・コンプライアンス推進担当・パラリーガル(弁護士補助職)が並びます。順位は、この10職業の中だけの話です。
① 資格だけでは食えない——収入の側は、このデータの外です
売上も、顧問料も、求人の数も、このデータには入っていません。だから「食べていけるか」には答えられません。
答えられるのは、満足の置きどころだけです。報酬を大事にしている度合いは、法律・会計に分類した10職業の中で上から4番目——中ほどでした。雇用や生活の安定性を大事にしている度合いは、同じ10職業の中で下から3番目です。
報酬・雇用や生活の安定性は、どちらも「どれだけ大事にしているか」の値です。実際の収入も、仕事の途切れにくさも、このデータは測っていません。
条件の側が重心になっている職業ではありません。安定した収入を先に確保してから動きたい人の関心と、この職業に残っている人の関心は、同じ方向を向いていません。
② 名刺の飾りで終わる——資格の効き目は、測っていません
資格を持っていると仕事が増えるのか、社内で扱いが変わるのか。どちらもこのデータの外側です。「飾りで終わるか」には答えられません。
代わりに出てくるのは、置きどころのほうです。達成感を大事にしている度合いも、自己成長を大事にしている度合いも、この10職業の中で最も高く出ています。一方で、社会的認知を大事にしている度合いは、法律・会計に分類した10職業の中では中ほどにとどまります。
これらも「どれだけ大事にしているか」の値です。実際の評価も、身についたものも、このデータは測っていません。
肩書きが立つことより、動いたぶんの手応えを重く見ている——数値の形はそちらに寄っています。名刺に書ける肩書きを目的に置いている人にとっては、この職業に残っている人の関心とずれます。
③ 「書類の資格」——数値は、反対の端に出ます
決まった手順を正確に回す向き方は、法律・会計に分類した10職業の中で最も低く出ています。下から2番目の不動産鑑定士とも、はっきり離れています。
表現する向き方のほうは、この10職業の中で最も高い側です。決まった様式に収める側ではなく、形の無いものに形を与える側に寄っています。
10職業を横に見ると、書式と手続きの側にいちばん寄っていないのが、この職業でした。
ただし、報告書を作らないという意味ではありません。作るものの中身も、量も、このデータには入っていません。
決まった型に収めることで安心する人は、この10職業の中では別の職業のほうが近くにいます。
④ 中身は営業だ——押していく向き方は、確かに最も高く出ています
上に来る職業は、10職業の中にありません。次に高いのは公認会計士でした。
「押していく側にいる」までは、向き方から言えます。
ただし、同じ人たちで最も高く出ている項目が、ほかに2つあります——良好な対人関係と、奉仕・社会貢献を大事にしている度合いです。前者は2番目とも大きく離れています。
どちらも「どれだけ大事にしているか」の値です。実際の人間関係も、社会への貢献の大きさも、このデータは測っていません。
説得する向き方が高く、同時に関係の良さと役に立つことを重く見ている。この組み合わせは、契約を押し込む型とは別の形をしています。
相手の側の事情を聞き取ったうえで動かすことに関心が向く人は、この職業の向き方と近いところにいます。数字を取ることだけが動機の中心にある人は、後半の2項目とすれ違います。
⑤ 「公認会計士のほうが上」——同じ物差しの上下には、並びません
6つの領域のうち、公認会計士のほうが高いのは4つです。中小企業診断士のほうが高いのは、表現する向き方と、人を説得し動かす向き方の2つでした。
ここだけ見ると、上下に見えます。ただし数値が高いことは優れていることではなく、関心がその方向に向いているという意味です。
満足の置きどころのほうは、逆に割れます。
- 中小企業診断士のほうが高いのは7つ——達成感、自律性、自己成長、奉仕・社会貢献、良好な対人関係、労働安全衛生、私生活との両立
- 公認会計士のほうが高いのは4つ——専門性、社会的認知、雇用や生活の安定性、報酬
ここに並べた項目も、すべて「どれだけ大事にしているか」の値です。収入も、世間の評価も、勤務の実態も、このデータは測っていません。
会計士の側に寄っているのは、積み上げた専門と、条件や肩書きのほう。診断士の側に寄っているのは、仕事の中身と、相手との関係のほうです。どちらが上かではなく、重く見ているものが入れ替わっています。
まとめ
- 「資格だけでは食えない」には答えられない。 収入はこのデータの外側。言えるのは、報酬を大事にする度合いが法律・会計に分類した10職業で中ほど、雇用や生活の安定性は下側という置きどころまで
- 「名刺の飾りで終わる」には答えられない。 資格の効き目は測っていない。出てくるのは、達成感と自己成長を大事にする度合いが10職業で最も高いという一点
- 「書類の資格」は、10職業に並べると逆を向く。 決まった手順を正確に回す向き方は最も低く、表現する向き方は最も高い側
- 「中身は営業だ」は、向き方なら言える。 人を説得し動かす向き方は最も高い。ただし良好な対人関係と奉仕・社会貢献を大事にする度合いも、同じく最も高い
- 「公認会計士のほうが上」は違う。 向き方は4対2、満足の置きどころは7対4で、逆側に割れる
5つのうち3つは、資格そのものへの心配でした。残る2つが、この職業の形の話です。
見る順番は、そこからです。
資格そのものではなく形のほうを面談でどう確かめるかは、法律・会計の転職エージェントの選び方に書いています。
この記事の根拠
数値の内訳をひらく
本文には数値を出さず、順位と上位・下位の言葉だけで書いています。元になった値をここに置きます。
比べた集合:法律・会計(弁護士・会計士)に分類した10職業(中小企業診断士・弁護士・公認会計士・司法書士・弁理士・土地家屋調査士・不動産鑑定士・企業法務担当・コンプライアンス推進担当・パラリーガル(弁護士補助職))。本文の「最も」「上から◯番目」は、すべてこの10職業の中での順位です。他の業界や、job tag 全体の中での順位ではありません。社会保険労務士・行政書士・税理士は別の業界(士業)に入れているので、ここでは数えていません。
職業興味(6領域)
- 手を動かして形にする(現実的):土地家屋調査士 3.62 / 弁理士 3.54 / 不動産鑑定士 2.95 / 企業法務担当 2.88 / コンプライアンス推進担当 2.88 / 公認会計士 2.86 / 司法書士 2.80 / 弁護士 2.80 / 中小企業診断士 2.77 / パラリーガル 2.48
- 調べて突き止める(研究的):公認会計士 3.83 / 弁護士 3.76 / 企業法務担当 3.74 / 土地家屋調査士 3.72 / 弁理士 3.72 / 司法書士 3.51 / 不動産鑑定士 3.34 / 中小企業診断士 3.32 / コンプライアンス推進担当 3.26 / パラリーガル 3.25
- 表現する(芸術的):中小企業診断士 2.71 / 土地家屋調査士 2.68 / コンプライアンス推進担当 2.58 / 弁理士 2.54 / 弁護士 2.51 / 企業法務担当 2.44 / パラリーガル 2.37 / 公認会計士 2.29 / 不動産鑑定士 2.28 / 司法書士 2.15
- 人と関わる(社会的):公認会計士 4.18 / 弁護士 3.93 / 司法書士 3.83 / 中小企業診断士 3.68 / 土地家屋調査士 3.67 / 企業法務担当 3.64 / 弁理士 3.34 / コンプライアンス推進担当 3.33 / 不動産鑑定士 3.32 / パラリーガル 3.29
- 人を説得し、動かす(企業的):中小企業診断士 3.93 / 公認会計士 3.83 / 企業法務担当 3.58 / 弁護士 3.55 / コンプライアンス推進担当 3.53 / 司法書士 3.25 / 土地家屋調査士 3.20 / 不動産鑑定士 3.08 / 弁理士 3.03 / パラリーガル 2.62
- 決まった手順を正確に回す(慣習的):司法書士 3.71 / 公認会計士 3.54 / 土地家屋調査士 3.45 / 企業法務担当 3.32 / 弁理士 3.31 / パラリーガル 3.31 / コンプライアンス推進担当 3.25 / 弁護士 3.15 / 不動産鑑定士 3.02 / 中小企業診断士 2.77
③の「下から2番目とも、はっきり離れています」は、決まった手順を正確に回す向き方の 2.77 と 3.02 の差 0.25 のことです。表現する向き方の 2.71 と土地家屋調査士 2.68 は差が 0.03 なので、本文では「最も高い側」と書いています。
満足の置きどころ(仕事価値観・11項目すべて)
- 達成感:中小企業診断士 4.08 / 土地家屋調査士 3.77 / 弁理士 3.76 / 司法書士 3.72 / 弁護士 3.64 / 不動産鑑定士 3.55 / パラリーガル 3.36 / 公認会計士 3.32 / 企業法務担当 3.15 / コンプライアンス推進担当 2.70
- 自律性:司法書士 4.05 / 中小企業診断士 4.04 / 弁護士 3.92 / 弁理士 3.87 / 土地家屋調査士 3.75 / 公認会計士 3.65 / 不動産鑑定士 3.64 / 企業法務担当 3.53 / コンプライアンス推進担当 3.22 / パラリーガル 2.78
- 専門性:弁理士 4.24 / 司法書士 4.23 / 公認会計士 4.20 / 中小企業診断士 4.12 / 弁護士 4.12 / 土地家屋調査士 3.98 / 不動産鑑定士 3.91 / 企業法務担当 3.85 / パラリーガル 3.61 / コンプライアンス推進担当 3.48
- 自己成長:中小企業診断士 3.98 / 公認会計士 3.78 / 司法書士 3.74 / 弁護士 3.73 / 弁理士 3.72 / 企業法務担当 3.59 / 土地家屋調査士 3.59 / 不動産鑑定士 3.43 / パラリーガル 3.31 / コンプライアンス推進担当 3.11
- 社会的認知:公認会計士 3.72 / 弁護士 3.64 / 司法書士 3.51 / 弁理士 3.48 / 中小企業診断士 3.47 / 不動産鑑定士 3.41 / 企業法務担当 3.26 / 土地家屋調査士 3.18 / コンプライアンス推進担当 2.88 / パラリーガル 2.80
- 奉仕・社会貢献:中小企業診断士 3.78 / 司法書士 3.68 / 弁護士 3.68 / 土地家屋調査士 3.32 / パラリーガル 3.29 / 不動産鑑定士 3.21 / 公認会計士 3.06 / 弁理士 3.04 / コンプライアンス推進担当 3.00 / 企業法務担当 2.94
- 良好な対人関係:中小企業診断士 3.94 / 企業法務担当 3.45 / 弁理士 3.37 / パラリーガル 3.36 / 土地家屋調査士 3.34 / 弁護士 3.34 / 不動産鑑定士 3.26 / 司法書士 3.21 / 公認会計士 3.19 / コンプライアンス推進担当 2.77
- 労働安全衛生:弁理士 3.78 / パラリーガル 3.56 / 中小企業診断士 3.53 / 企業法務担当 3.47 / 公認会計士 3.39 / コンプライアンス推進担当 3.34 / 司法書士 3.28 / 不動産鑑定士 3.19 / 土地家屋調査士 3.16 / 弁護士 2.98
- 私生活との両立:パラリーガル 3.56 / 不動産鑑定士 3.52 / 弁理士 3.48 / 企業法務担当 3.45 / 中小企業診断士 3.45 / コンプライアンス推進担当 3.44 / 土地家屋調査士 3.39 / 司法書士 3.30 / 公認会計士 3.02 / 弁護士 2.98
- 雇用や生活の安定性:公認会計士 3.72 / 企業法務担当 3.59 / 弁理士 3.44 / コンプライアンス推進担当 3.44 / 不動産鑑定士 3.43 / パラリーガル 3.24 / 司法書士 3.23 / 中小企業診断士 3.16 / 土地家屋調査士 3.09 / 弁護士 2.81
- 報酬:公認会計士 3.76 / 弁理士 3.57 / 司法書士 3.28 / 中小企業診断士 3.20 / 企業法務担当 3.17 / 弁護士 3.14 / 不動産鑑定士 3.07 / 土地家屋調査士 3.00 / コンプライアンス推進担当 2.98 / パラリーガル 2.51
④の「2番目とも大きく離れています」は、良好な対人関係の 3.94 と 3.45 の差 0.49 のことです。
⑤で比べた2職業の差:公認会計士が上回るのは現実的(2.86/2.77)・研究的(3.83/3.32)・社会的(4.18/3.68)・慣習的(3.54/2.77)の4つ。中小企業診断士が上回るのは芸術的(2.71/2.29)・企業的(3.93/3.83)の2つ。仕事価値観は、中小企業診断士が上回るのが達成感(4.08/3.32)・自律性(4.04/3.65)・自己成長(3.98/3.78)・奉仕貢献(3.78/3.06)・良好な対人関係(3.94/3.19)・労働安全衛生(3.53/3.39)・私生活との両立(3.45/3.02)の7項目、公認会計士が上回るのが専門性(4.20/4.12)・社会的認知(3.72/3.47)・雇用や生活の安定性(3.72/3.16)・報酬(3.76/3.20)の4項目です。
順位の数え方:同じ値には同じ順位を与えています。0.01以内の差は同率として数え、それより大きい差だけを順位として読んでいます。本文で「ほとんど並ぶ」に相当する扱いをしたのは差が0.05未満のところです(自律性の 4.05 と 4.04、表現する向き方の 2.71 と 2.68、社会的認知の 3.48 と 3.47)。自律性は司法書士と、社会的認知は弁理士と同率にあたるため、本文ではどちらも順位の数字を書かず「中ほど」とだけ書いています。
このデータに含まれていないもの:年収・顧問料・独立後の売上・企業内での処遇・求人の数・労働時間・試験の合格率・資格の更新にかかる費用と手間・独占業務の有無による影響・年齢構成。「報酬」「雇用や生活の安定性」「社会的認知」「達成感」などの11項目は、いずれも「どれだけ大事にしているか」の値で、実際の金額や評価ではありません。能力・スキルも測っていないので、「務まるかどうか」もこのデータでは答えられません。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)