プログラマーの「やめとけ」、「書くだけ」が逆——形にする向きはIT9職業で最上位

いまこの仕事をしている人に「自分の仕事をどう見ているか」を聞いた調査(厚生労働省 job tag)の数値で見ます。このサイトのデータについて

この記事の内容(8項目)

「35歳で書けなくなる、と言われた」 「上流に行かないと単価が上がらないらしい」 「言われたとおりに書くだけだから、代わりがきく」という書き方も見た。

同じ言葉に見えて、指しているものがそれぞれ違う。

言われ方は、5つに分かれます。


興味の向き——IT・エンジニアの9職業の中では、手を動かすが1位

手を動かす
1位(同率2)
調べて突き止める
2位
表現する
5位(同率2)
人と関わる
8位
人を動かす
9位
決まった手順を正確に回す
1位(同率2)

これは同じ業界の職業の中での順位です。ごくわずかな差は同率として数えています。

満足の置きどころ——いちばん高いのは達成感

1位
達成感
2位
専門性
3位
自己成長

これは、その職業に就いている人が何を大事にしているかです。

「プログラマーはやめとけ」の中身——「書くだけの仕事」は、置き直すと反対側に出ます

作ったものが動いたかどうかを最初に見る人は、この職業に残っている人の重心と重なります。決める範囲の広さを条件にしている人ほど、この並びとはずれます。

人と関わる量を減らしたい人は、向き方の面では噛み合う側です。ただし、条件の側を最初の基準にしたい人にとっては、正面から向かい風になります。

#言われていることこのデータで見えること
35歳で限界が来る働いている人に聞く
言われたとおりに書くだけの仕事だ同じ業界の9職業の中では逆に出ます
人と話さなくていいから楽だ向き方なら言える
単価が安く、稼げない求人票で確かめる
システムエンジニアの下位互換だ2職業で割れます

比べている相手は、IT・エンジニアに分類した9つの職業です。プログラマー・データサイエンティスト・プロジェクトマネージャ・基盤システムのシステムエンジニア・受託開発のシステムエンジニア・Webサービス開発のシステムエンジニア・組込みとIoTのシステムエンジニア・パッケージソフトの開発・スマホアプリの開発です。

① 35歳で限界が来る——年齢の話は、働いている人に聞く

何歳まで続けているかも、その先どうしているかも、働いている人に聞くと形が見えます。

9職業のうち、大事にしていることの先頭が専門性にならないのは2職業だけで、その1つがプログラマーです。先頭に来るのは達成感です。

積み上がった先に何があるかより、いま作っているものが動くこと。この職業に残っている人の重心は、そちら側にあります。

② 「書くだけの仕事だ」——調べて突き止める向き方は、9職業で上から2番目です

上にいるのはデータサイエンティストだけです。手を動かして形にする向き方も、組込みとIoTのエンジニアと並んで9職業の最上位に来ます。

渡された指示をそのまま形にするだけ、という像から、9職業の中でここが最も遠い場所です。言われ方と、向きが反対になります。

ただし、実際に裁量があるかどうかは別です。自分で決められることを大事にしている度合いは、9職業の中でいちばん下に出ています(基盤システムのエンジニアとほとんど並びます)。

分からないことを自分で潰していく側の関心は高く、決める範囲の広さへの重みは下側にある。 この2つは、同時に成り立ちます。

③ 「人と話さなくていいから楽」——前半は近く、後半は働いている人に聞く

人を説得し動かす向き方は、9職業の中で最も低く出ています。人と関わる向き方も下から2番目で、下にいるのはスマホアプリの開発だけです。

この言われ方は、当たっている側です。 良好な対人関係を大事にしている度合いも、9職業の中で最も低く出ています。

関心が別の側にあることと、負担が軽いことは別の話です。

④ 単価が安く、稼げない——金額は、求人票で確かめる

年収も、単価も、契約の形も、求人票に書いてあります。

ここで見えるのは、報酬をどれだけ大事にしているかの位置です。9職業の中で最も低く出ています。

報酬だけではありません。満足の置きどころ11のうち6つで、9職業の最下位に来ます。社会的な認知、人の役に立つこと、良好な対人関係、自分で決められること、雇用や生活の安定性、そして報酬です。

これは「安く扱われている」証拠ではありません。そこより先に置くものがある人が残っている、という読み方になります。下がった6つと入れ替わりに先頭へ出ているのは、達成感でした。

⑤ 「システムエンジニアの下位互換」——3つと2つで、入れ替わります

受託開発のシステムエンジニアと6つの向き方を突き合わせると、領域ごとに分かれます。

  • プログラマーのほうが高いのは3つ——手を動かして形にする向き方、調べて突き止める向き方、決まった手順を正確に回す向き方
  • 受託開発のエンジニアのほうが高いのは2つ——人と関わる向き方と、人を説得し動かす向き方
  • 表現する向き方は、ほとんど並びます

満足の置きどころのほうは、形が違います。11のうち10で受託開発のエンジニアが上に出て、プログラマーが上回るのは達成感の1つだけです。

達成感だけを他より重く残した形になっています。

要件を聞き、合意を取り、説明するところまでを自分の仕事にしたい人は、受託開発のエンジニアの位置に近い。作ったものが動いたかどうかを最初に見る人は、プログラマーの位置に近くなります。


まとめ

  • 「35歳で限界」の年齢の話は、働いている人に聞く。 ここで見えるのは、大事にしていることの先頭が達成感になる、9職業で2つだけの職業だということです
  • 「書くだけの仕事」は、9職業に置くと反対側に出る。 調べて突き止める向き方は上から2番目、手を動かして形にする向き方は最上位。ただし自分で決められることへの重みは9職業の最下位
  • 「人と話さなくていい」は、向き方なら言える。 人を説得し動かす向き方は9職業で最も低い。ただし実際に人と話す量も、楽かどうかも測っていない
  • 「稼げない」の金額は、求人票で確かめる。 ここで見えるのは、満足の置きどころ11のうち6つが9職業の最下位だということです
  • 「システムエンジニアの下位互換」は、2職業で割れる。 6つの向き方は3つと2つで入れ替わり、満足の置きどころでプログラマーが上回るのは達成感だけ

決めるべきなのは、プログラマーがシステムエンジニアより下かどうかではありません。動いたかどうかを最初に見るのか、決める範囲の広さを先に取るのか、です。この職業では、後者が後ろに置かれていました。

その順番のままでいいのかを面談でどう確かめるかは、IT・エンジニアの転職エージェントの選び方へ。


この記事の根拠

数値の内訳をひらく

比べている相手:IT・エンジニアに分類した9職業です。本文の「最上位」「上から2番目」「最下位」は、すべてこの9職業の中での順位で、他の業界や job tag 全体の中での順位ではありません。以下では、システムエンジニアを「SE」と略します。

職業興味(6領域・プログラマーの値と、9職業の中での位置)

  • 手を動かして形にする(現実的)3.75 — 9職業の最上位(組込みIoT SE 3.74 と同率。3番目はプロジェクトマネージャ 3.57、最も低いのはWebサービスSE 3.24)
  • 調べて突き止める(研究的)3.76 — 上から2番目(最も高いのはデータサイエンティスト 3.85、最も低いのはプロジェクトマネージャ 2.86)
  • 表現する(芸術的)2.73 — 上から5番目(最も高いのはスマホアプリ 2.97、最も低いのはプロジェクトマネージャ 2.52)
  • 人と関わる(社会的)2.90 — 下から2番目(最も低いのはスマホアプリ 2.79、最も高いのは基盤SE 3.48)
  • 人を説得し、動かす(企業的)2.88 — 9職業で最も低い(2番目に低いのはスマホアプリ 3.03、最も高いのは基盤SE 3.41)
  • 決まった手順を正確に回す(慣習的)3.12 — 9職業の最上位(基盤SE 3.12 と同値。最も低いのはスマホアプリ 2.61)

満足の置きどころ(11項目・プログラマーの値と、9職業の中での位置)

  • 達成感 3.55(5位。プログラマー自身の11項目では、これが先頭。最も高いのはデータサイエンティスト 3.96)
  • 専門性 3.46(7位。最も高いのはデータサイエンティスト 4.20)
  • 自己成長 3.16(8位。最も低いのは基盤SE 3.14)
  • 労働安全衛生 3.09(7位。基盤SE 3.09 と同値。最も低いのはプロジェクトマネージャ 3.08)
  • 自律性 3.02(最下位。2番目に低いのは基盤SE 3.05 で、ほとんど並びます)
  • 雇用や生活の安定性 2.86(最下位。2番目に低いのはWebサービスSE 3.06)
  • 私生活との両立 2.84(8位。最も低いのはプロジェクトマネージャ 2.80)
  • 報酬 2.84(最下位。2番目に低いのはWebサービスSE 3.00)
  • 対人関係 2.80(最下位。2番目に低いのは基盤SE 3.00)
  • 社会的認知 2.57(最下位。2番目に低いのは基盤SE 2.83)
  • 奉仕・貢献 2.46(最下位。2番目に低いのはWebサービスSE 2.68)

先頭が専門性にならない2職業:プログラマー(先頭は達成感 3.55、専門性は 3.46)とプロジェクトマネージャ(先頭は達成感 3.75、専門性は 3.51)。残る7職業は、11項目の先頭が専門性です。

受託開発SEの値:現実的 3.29 / 研究的 3.15 / 芸術的 2.71 / 社会的 3.24 / 企業的 3.19 / 慣習的 2.98。満足の置きどころは 専門性 3.59 / 自己成長 3.30 / 自律性 3.25 / 雇用や生活の安定性 3.25 / 労働安全衛生 3.21 / 達成感 3.11 / 対人関係 3.09 / 報酬 3.02 / 奉仕・貢献 3.00 / 社会的認知 2.89 / 私生活との両立 2.86。プログラマーが上回るのは達成感だけで、私生活との両立はほとんど並びます。

順位の数え方0.01以内の差は同率として数え、それより大きい差だけを順位として読んでいます。 差が 0.05 未満なのは、芸術的の 2.73 と 2.71、自律性の 3.02 と 3.05、私生活との両立の 2.84 と 2.86 です。現実的の 3.75 と 3.74 は同率、慣習的の 3.12 は2職業が同値です。

このデータに含まれていないもの:年収・単価・契約の形・労働時間・打ち合わせの時間・年齢構成・求人の数・企業ごとの違い。「報酬」「雇用や生活の安定性」「私生活との両立」は、いずれも「どれだけ大事にしているか」の値で、実際の金額や勤務の実態ではありません。能力・スキルも測っていないので、「務まるかどうか」もこのデータでは答えられません。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)