「短答と論文で何年も持っていかれる、と何度も出てくる」 「特許事務所は件数に追われる、とも書いてある」 「一日中パソコンに向かって明細書を書くだけだ、という言い方もある」
試験の話と、入ったあとの話が混ざったまま置かれている。
言われている中身は、5つに分かれます。
6領域——法律・会計(弁護士・会計士)の10職業の中では、手を動かすが2位
- 手を動かす
- 3.542位
- 調べて突き止める
- 3.724位(同率2)
- 表現する
- 2.544位
- 人と関わる
- 3.347位(同率2)
- 人を動かす
- 3.039位
- 決まった手順を正確に回す
- 3.314位(同率3)
順位は法律・会計(弁護士・会計士)に収録された10職業の中での順位です。37業界の業界平均の順位ではありません。0.01以内の差は同率として数えています。
満足の置きどころ——11項目のうち、専門性が1位
- 1位
- 専門性 4.24
- 2位
- 自律性 3.87
- 3位
- 労働安全 3.78
11項目は、その職業に就いている人が何を大事にしているかです。何に満足しているかを測ったものではありません。給与・雇用・労働時間・安全そのものの数値でもありません。0.01以内の差は同率として数えています。
同じところに満足を置く職業を、業界をまたいで見る:手に職をつけたい人に向いてる仕事/マイペースな人に向いてる仕事
「弁理士はやめとけ」の中身——「押さない」と「人が出てこない」は、別の話です
| # | 言われていること | 判定 |
|---|---|---|
| ① | 何年もかけて取る資格なのに、報われない | 答えられない |
| ② | 出願が減り、AIが明細書を書くようになる | 答えられない |
| ③ | 人と話さなくていいから、対人が苦手な人の逃げ場だ | 向き方なら言える |
| ④ | 技術も法律も、どちらも中途半端になる | 向き方なら言える |
| ⑤ | 一日中パソコンに向かう、机の上だけの仕事だ | 同じ業界の10職業の中では逆に出ます |
比べている相手は、法律・会計(弁護士・会計士)に分類した10の職業です。弁理士のほかに、弁護士・公認会計士・司法書士・中小企業診断士・土地家屋調査士・不動産鑑定士・企業法務担当・コンプライアンス推進担当・パラリーガル(弁護士補助職)が入ります。
① 報われない——見返りの側は、このデータに入っていません
年収も、事務所の報酬体系も、試験にかけた年数も、このデータの外側です。だから「報われるか」には答えられません。
戻ってくるのは、満足の置きどころだけです。報酬を大事にしている度合いは、法律・会計に分類した10職業の中で上から2番目でした。専門性は司法書士と同率で最も高い側にあり、達成感も上位に入ります。
報酬・専門性・達成感は、いずれも「どれだけ大事にしているか」の値です。実際の収入も、身についた専門も、このデータは測っていません。
つまり、条件の側と中身の側の両方を、上のほうで重く見ている人が多い職業だということになります。どちらかを捨てて割り切る形にはなっていません。
見返りを条件の最上位に置いて選びたい人にとって、この数値は答えを返しません。返ってくるのは、置きどころの傾きだけです。
② 出願が減り、AIが書くようになる——将来の量は、ここでは扱えません
出願の件数も、制度の変更も、技術の進み方も、このデータには入っていません。「仕事が減るか」には答えられません。
このデータが測っているのは、いまその職業に就いている人が何に関心を向けているかです。過去でも未来でもなく、答えた時点の向きだけです。
将来の話を確かめたいなら、見る場所がここではありません。統計と制度の側になります。
③ 対人が苦手な人の逃げ場——並べると、下がる項目と上がる項目に割れます
人と関わる向き方は、10職業の下側4つのひとつです。人を説得し、動かす向き方は下端に近く、これより低いのはパラリーガルだけでした。
「押して契約を取りにいく側ではない」までは、向き方から言えます。
ただし、逆を向いている項目があります。良好な対人関係を大事にしている度合いは、10職業の中で上から3番目です。これは「どれだけ大事にしているか」の値で、実際の人間関係を測ったものではありません。
説得する向き方が低いことと、人と関わらないことは、同じではありません。数値の形は「押していかない」であって、「人が出てこない」ではありません。
人と会うこと自体を避けたくてこの職業を選ぶ人は、ここで想定とずれます。
④ 技術も法律も中途半端——どちらの向き方も、上側から中ほどに出ています
調べて突き止める向き方は、10職業の上位5職業のひとつです。この5つは互いに近い位置にあって、土地家屋調査士とは同率でした。
決まった手順を正確に回す向き方も、中ほどより上にあります。
突き止める側と、手順どおりに収める側の両方に足がかかっている——それが、この10職業に並べたときの形です。
「中途半端」という言葉が指しているのは、たいてい知識の深さです。知識も能力も、このデータは測っていません。だから深いか浅いかには答えられません。
答えられるのは、関心が片方だけに寄っていない、というところまでです。ひとつの領域に振り切りたい人には、物足りなく映ります。突き止めたものを決まった様式に収める往復が苦にならない人は、この職業と近いところにいます。
⑤ 「机の上だけの仕事」——10職業に並べると、いちばん外れます
手を動かして形にする向き方は、10職業の中で土地家屋調査士に次ぐ位置です。この2つだけが、残る8職業から大きく離れています。
表現する向き方も、この10職業の中で上から4番目にあります。書式に収める側だけの職業像には収まりません。
書類とパソコンだけで完結する像を10職業に当てはめると、当てはまりにくい側の上位2つに、この職業が入ります。
ただし、これは働く場所の話ではありません。どこで作業するか、現場に出るかどうかは、このデータには入っていません。分かるのは、関心がモノや仕組みの側にも向いている、というところまでです。
図面や装置の中身そのものに関心が向く人は、この職業の向き方と近いところにいます。文章を整えることだけに関心がある人は、上位2つの意味するところとずれます。
まとめ
- 「報われない」には答えられない。 金額はこのデータの外側。言えるのは、報酬を大事にする度合いが10職業で上側、専門性は最も高い側という置きどころまで
- 「出願が減り、AIが書く」には答えられない。 将来の仕事量は、このデータが扱っている範囲の外にある
- 「対人が苦手な人の逃げ場」は、向き方なら半分だけ言える。 人を説得し動かす向き方は下側。ただし良好な対人関係を大事にする度合いは上側
- 「技術も法律も中途半端」は、向き方なら言える。 調べて突き止める向き方も、決まった手順を正確に回す向き方も、上側から中ほどに同時に出ている
- 「机の上だけの仕事」は、10職業に並べると逆を向く。 手を動かして形にする向き方は上位2つに入り、残る8職業からは大きく離れる
5つは、試験の前の心配と、入ったあとの心配に割れています。並べて何か言えるのは、後ろの3つです。はっきり崩れるのは、その最後の1つだけでした。
先に決まるのは、試験に受かるかどうかではありません。明細書の向こう側にある装置や仕組みに、関心が向くかどうかです。
その関心を面談でどう言葉にするかは、法律・会計の転職エージェントの選び方にまとめています。
この記事の根拠
数値の内訳をひらく
本文には数値を出さず、順位と上位・下位の言葉だけで書いています。元になった値をここに置きます。
比べた集合:法律・会計(弁護士・会計士)に分類した10職業(弁理士・弁護士・公認会計士・司法書士・中小企業診断士・土地家屋調査士・不動産鑑定士・企業法務担当・コンプライアンス推進担当・パラリーガル(弁護士補助職))。本文の「最も」「上から◯番目」は、すべてこの10職業の中での順位です。他の業界や、job tag 全体の中での順位ではありません。社会保険労務士・行政書士・税理士は別の業界(士業)に入れているので、ここでは数えていません。
職業興味(6領域)
- 手を動かして形にする(現実的):土地家屋調査士 3.62 / 弁理士 3.54 / 不動産鑑定士 2.95 / 企業法務担当 2.88 / コンプライアンス推進担当 2.88 / 公認会計士 2.86 / 司法書士 2.80 / 弁護士 2.80 / 中小企業診断士 2.77 / パラリーガル 2.48
- 調べて突き止める(研究的):公認会計士 3.83 / 弁護士 3.76 / 企業法務担当 3.74 / 土地家屋調査士 3.72 / 弁理士 3.72 / 司法書士 3.51 / 不動産鑑定士 3.34 / 中小企業診断士 3.32 / コンプライアンス推進担当 3.26 / パラリーガル 3.25
- 表現する(芸術的):中小企業診断士 2.71 / 土地家屋調査士 2.68 / コンプライアンス推進担当 2.58 / 弁理士 2.54 / 弁護士 2.51 / 企業法務担当 2.44 / パラリーガル 2.37 / 公認会計士 2.29 / 不動産鑑定士 2.28 / 司法書士 2.15
- 人と関わる(社会的):公認会計士 4.18 / 弁護士 3.93 / 司法書士 3.83 / 中小企業診断士 3.68 / 土地家屋調査士 3.67 / 企業法務担当 3.64 / 弁理士 3.34 / コンプライアンス推進担当 3.33 / 不動産鑑定士 3.32 / パラリーガル 3.29
- 人を説得し、動かす(企業的):中小企業診断士 3.93 / 公認会計士 3.83 / 企業法務担当 3.58 / 弁護士 3.55 / コンプライアンス推進担当 3.53 / 司法書士 3.25 / 土地家屋調査士 3.20 / 不動産鑑定士 3.08 / 弁理士 3.03 / パラリーガル 2.62
- 決まった手順を正確に回す(慣習的):司法書士 3.71 / 公認会計士 3.54 / 土地家屋調査士 3.45 / 企業法務担当 3.32 / 弁理士 3.31 / パラリーガル 3.31 / コンプライアンス推進担当 3.25 / 弁護士 3.15 / 不動産鑑定士 3.02 / 中小企業診断士 2.77
⑤の「残る8職業から大きく離れています」は、手を動かして形にする向き方の 3.54 と 2.95 の差 0.59 のことです。③の「下側4つのひとつ」は、人と関わる向き方の下位4職業(弁理士 3.34/コンプライアンス推進担当 3.33/不動産鑑定士 3.32/パラリーガル 3.29)を指しています。
満足の置きどころ(仕事価値観のうち、本文で使った4項目)
- 報酬:公認会計士 3.76 / 弁理士 3.57 / 司法書士 3.28 / 中小企業診断士 3.20 / 企業法務担当 3.17 / 弁護士 3.14 / 不動産鑑定士 3.07 / 土地家屋調査士 3.00 / コンプライアンス推進担当 2.98 / パラリーガル 2.51
- 専門性:弁理士 4.24 / 司法書士 4.23 / 公認会計士 4.20 / 中小企業診断士 4.12 / 弁護士 4.12 / 土地家屋調査士 3.98 / 不動産鑑定士 3.91 / 企業法務担当 3.85 / パラリーガル 3.61 / コンプライアンス推進担当 3.48
- 達成感:中小企業診断士 4.08 / 土地家屋調査士 3.77 / 弁理士 3.76 / 司法書士 3.72 / 弁護士 3.64 / 不動産鑑定士 3.55 / パラリーガル 3.36 / 公認会計士 3.32 / 企業法務担当 3.15 / コンプライアンス推進担当 2.70
- 良好な対人関係:中小企業診断士 3.94 / 企業法務担当 3.45 / 弁理士 3.37 / パラリーガル 3.36 / 土地家屋調査士 3.34 / 弁護士 3.34 / 不動産鑑定士 3.26 / 司法書士 3.21 / 公認会計士 3.19 / コンプライアンス推進担当 2.77
順位の数え方:同じ値には同じ順位を与えています。0.01以内の差は同率として数え、それより大きい差だけを順位として読んでいます。本文で「同率」と書いたのは、専門性の 4.24 と 4.23、調べて突き止める向き方の 3.72 と 3.72 です。達成感の 3.77 と 3.76 も同率にあたるため、本文で達成感を「上位に入る」と書いたのは、土地家屋調査士と並ぶ位置のことです。「この5つは互いに近い位置」と書いたのは、調べて突き止める向き方の 3.83 から 3.72 までの5職業(差は最大で 0.11)です。良好な対人関係の 3.37 と 3.36 も同率にあたるため、③の「上から3番目」はパラリーガルと並ぶ位置を指します。決まった手順を正確に回す向き方の 3.32・3.31・3.31 も同率なので、本文で「中ほどより上」と書いた位置は、企業法務担当・パラリーガルと並びます。
このデータに含まれていないもの:年収・事務所ごとの報酬体系・労働時間・出願件数の推移・制度の変更・技術による置き換わり・試験の合格率・求人の数・年齢構成・受験資格や学歴。「報酬」「専門性」「達成感」「良好な対人関係」は、いずれも「どれだけ大事にしているか」の値で、実際の金額や職場の実態ではありません。能力・スキルも測っていないので、「務まるかどうか」もこのデータでは答えられません。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)