「センスがあるかどうかで決まる」と言われる。
「手先が器用でないと無理だ」とも書いてある。
人と接するのが好きなら向いている、という一文が必ず入る。
どれも聞き覚えはあるけれど、判断の材料にはならない。
「向いてる人」として言われている中身は、5つに分かれます。
「メイクアップアーティストに向いてる人」の中身——報酬の重みは、7職業で2番目
| # | 言われていること | このデータで見えること |
|---|---|---|
| ① | センスがある人が向いている | 向き方なら言える |
| ② | 手先が器用な人が向いている | 向き方なら言える |
| ③ | 人と接するのが好きな人が向いている | 向き方なら言える |
| ④ | 段取りをきっちり回せないと務まらない | 同じ業界の7職業の中では逆に出ます |
| ⑤ | 拘束が読めないから続かない | 求人票で確かめる |
①〜③にある「向き方」は、センスや器用さの有無とは別のものです。いまメイクの仕事に就いている人の関心が、6つの領域のどれに寄っているか——その向きを7職業で並べたときの位置を指しています。
比べている相手は、美容・理容に分類した7つの職業——理容師・美容師・エステティシャン・メイクアップアーティスト・ネイリスト・アロマセラピスト・リフレクソロジストです。
その日の条件で出来上がる形が変わることを、今日の仕事だと読める人。この職業の並びは、そちら側に寄っています。手順が決まっていて、そのとおりに回すことに落ち着きを感じる人には、同じ美容・理容の中ではいちばん遠い位置です。腰を据えた人間関係を軸に選びたい人も、同じ業界の別の職業のほうが近くなります。生活の側を先に固めてから決めたい人にとっては、追い風になりません。
① センスがある人——表現する向きで、上はネイリストだけ
上にいるのはネイリストだけです。 3番目の美容師との間には、はっきり差があります。
関心が向いていることと、形にできることは、別の話になります。
② 手先が器用な人——手を動かす向きで、上に4職業
上に来るのは、ネイリスト・理容師・美容師・エステティシャンの4つです。最も高いのはネイリストでした。
ただし、ここで測っているのは関心の向きです。
手仕事の職業として括られる場所にいながら、手を動かして形にする向き方は業界の下側にある。 ここが、「手先が器用な人」という言われ方とずれます。
道具を手に持って形を作ることそのものに関心の中心がある人は、7職業の中ではもっと近い職業があります。この職業に寄っているのは、手そのものより、出来上がる形の側です。
③ 人と接するのが好き——対人関係の重みは、7職業で最も低い
人と関わる向き方は、7職業の中で上から3番目です。上にいるのはエステティシャンとネイリストで、ネイリストとはほとんど並びます。
ところが、良好な対人関係をどれだけ大事にしているかは、7職業の中で最も低く出ています。 向き方は上側、置きどころは最下位——同じ職業で、二段になっています。
良好な対人関係は「どれだけ大事にしているか」の値です。
④ 段取りを回せないと務まらない——手順の向きで、6番目は美容師
決まった手順を正確に回す向き方は、7職業の中で最も低く出ています。 6番目の美容師との差も、大きく開いています。
その日ごとに変わることを、段取りが崩れたと読むか、今日の仕事だと読むか。この位置の意味は、その読み方で変わります。
⑤ 拘束が読めないから続かない——両立の重みは、7職業の下側
現場の時間も、休みの取り方も、求人票に書いてあります。仕事の入り方は、働いている人に聞くと形が見えます。
そのうえで、何を大事にしているかの側から2つだけ言えます。私生活との両立をどれだけ大事にしているかは、7職業の中では下側です。報酬をどれだけ大事にしているかは、上から2番目に来ます。
生活の側は下げても、受け取るものは下げない——並びとしてはそちら側です。
ただし、この並びが実際の勤務の形を表しているわけではありません。
興味の向き——美容・理容の7職業の中では、表現するが2位
- 手を動かす
- 5位
- 調べて突き止める
- 7位
- 表現する
- 2位
- 人と関わる
- 3位
- 人を動かす
- 4位
- 決まった手順を正確に回す
- 7位
これは同じ業界の職業の中での順位です。ごくわずかな差は同率として数えています。
満足の置きどころ——いちばん高いのは専門性
- 1位
- 専門性
- 2位
- 自己成長
- 3位
- 達成感
これは、その職業に就いている人が何を大事にしているかです。
同じところに満足を置く職業を、業界をまたいで見る:手に職をつけたい人へ、資格から探すと外す
まとめ——「段取り」が逆、対人関係の重みは最下位
- 「センスがある人が向いている」は、向き方なら言える。表現する向き方は7職業の中で上から2番目。ただしセンスの有無は測っていない
- 「手先が器用な人が向いている」は、向き方なら言える。手を動かして形にする向き方は下から3番目。ただし器用さそのものは測っていない
- 「人と接するのが好きな人が向いている」は、向き方なら言える。ただし良好な対人関係を大事にしている度合いは、7職業の中で最も低い
- 「段取りをきっちり回せないと務まらない」も逆を向く。決まった手順を正確に回す向き方は、7職業の中で最も低い
- 「拘束が読めないから続かない」の現場の時間は、求人票で確かめる。ここで見えるのは、私生活との両立を大事にしている度合いが7職業の中で下側にあることです
5つのうち、逆を向くのは段取りの話です。決めるべきなのは、自分にセンスがあるかどうかではありません。その日ごとに作るものが変わることを、面白いと感じるか、落ち着かないと感じるか、です。
メイクアップアーティストを含む7職業の業界で、どちらで感じるほうなのかを面談でどう伝えるかは、美容・理容の転職エージェントの選び方へ。
この記事の根拠
数値の内訳をひらく
比べている相手:美容・理容に分類した7職業(理容師・美容師・エステティシャン・メイクアップアーティスト・ネイリスト・アロマセラピスト・リフレクソロジスト)。本文の「最も」「上から2番目」「下から3番目」は、すべてこの7職業の中での順位です。
職業興味(6領域)
| 項目 | 回答の平均が高い順(左から) | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 表現する(芸術的) | ネイリスト 4.46 | メイクアップアーティスト 4.22 | 美容師 3.82 | 理容師 3.58 | アロマセラピスト 3.23 | リフレクソロジスト 3.08 | エステティシャン 2.85 |
| 手を動かして形にする(現実的) | ネイリスト 3.84 | 理容師 3.58 | 美容師 3.52 | エステティシャン 3.45 | メイクアップアーティスト 3.29 | リフレクソロジスト 3.23 | アロマセラピスト 3.18 |
| 人と関わる(社会的) | エステティシャン 4.49 | ネイリスト 4.31 | メイクアップアーティスト 4.28 | アロマセラピスト 3.94 | 美容師 3.92 | 理容師 3.89 | リフレクソロジスト 3.77 |
| 決まった手順を正確に回す(慣習的) | 理容師 3.26 | エステティシャン 3.25 | ネイリスト 3.22 | リフレクソロジスト 3.18 | アロマセラピスト 3.08 | 美容師 3.01 | メイクアップアーティスト 2.43 |
| 調べて突き止める(研究的) | ネイリスト 3.73 | エステティシャン 3.48(アロマセラピストと同値) | アロマセラピスト 3.48 | 美容師 3.42 | リフレクソロジスト 3.37 | 理容師 3.30 | メイクアップアーティスト 3.25 |
| 人を説得し、動かす(企業的) | エステティシャン 3.32 | ネイリスト 3.21(アロマセラピストと同値) | アロマセラピスト 3.21 | メイクアップアーティスト 3.02 | 理容師 2.99 | リフレクソロジスト 2.98 | 美容師 2.97 |
満足の置きどころ(仕事価値観のうち、本文で使った3項目)
| 項目 | 回答の平均が高い順(左から) | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 良好な対人関係 | エステティシャン 3.82 | アロマセラピスト 3.78 | 理容師 3.76 | ネイリスト 3.69 | リフレクソロジスト 3.67 | 美容師 3.59 | メイクアップアーティスト 3.41 |
| 私生活との両立 | アロマセラピスト 3.66 | エステティシャン 3.54 | リフレクソロジスト 3.51 | ネイリスト 3.45 | 理容師 3.43 | メイクアップアーティスト 3.41 | 美容師 3.24 |
| 報酬 | エステティシャン 2.98 | メイクアップアーティスト 2.91 | 理容師 2.81 | 美容師 2.79 | アロマセラピスト 2.71 | リフレクソロジスト 2.70 | ネイリスト 2.63 |
順位の数え方:同じ値には同じ順位を与えています(調べて突き止める向き方 3.48、人を説得し動かす向き方 3.21 は、いずれも2職業が同値)。0.01以内の差は同率として数え、それより大きい差だけを順位として読んでいます。 差が 0.05 未満なのは、人と関わる向き方のネイリスト 4.31 とメイクアップアーティスト 4.28、私生活との両立のメイクアップアーティスト 3.41 と理容師 3.43 です。
このデータに含まれていないもの:収入・報酬の受け取り方・労働時間・現場の拘束時間・休日数・仕事の受注の仕方・求人数・年齢構成・資格の種類や取得の難易度・独立の条件・使う道具や技術の内容。良好な対人関係・私生活との両立・報酬は、いずれも「どれだけ大事にしているか」の値で、実際の職場の人間関係や休日数、金額ではありません。能力・技術も測っていないので、「務まるか」もこのデータでは答えられません。この記事は、健康や肌への効果について一切何も述べていません。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構/当サイトの取得日 2026年8月13日)