保険営業は、営業7職業でいちばん「押す」向き方が低い側でした——代わりに上側に来たのは、自分の進め方と積み上げの重みです

ここに出しているのは、いまこの仕事をしている人が、自分の仕事をどう捉えているかを答えた調査の数値です(厚生労働省 job tag。1職業あたり20名以上に聞いています)。年収・労働時間・求人数は測っていません。このページは公的データだけで書いていて、書き手の一次体験は入っていません。このサイトのデータについて

この記事の内容(8項目)

ノルマと自爆営業で辞めた、という話ばかり出てくる。 知り合いを売り先にして関係が切れた、とも書いてある。 押しが強くないと務まらない、と繰り返し目にする。

自分にその押しが無いことだけは、分かっている。

言われている中身は、5つに分かれます。


興味の向き——営業の7職業の中では、表現するが2位

手を動かす
5位
調べて突き止める
4位(同率2)
表現する
2位
人と関わる
7位
人を動かす
7位
決まった手順を正確に回す
4位(同率2)

これは同じ業界の職業の中での順位で、37業界を通した順位ではありません。ごくわずかな差は同率として数えています。

満足の置きどころ——いちばん高いのは専門性

1位
専門性
2位
自律性
3位
達成感

これは、その職業に就いている人が何を大事にしているかです。何に満足しているかを測ったものではありません。給与・雇用・労働時間・安全そのものの数値でもありません。ごくわずかな差は同率として数えています。

「保険営業はやめとけ」の中身——押しの話と、歩合の話が同じ向きに裏返ります

自分の進め方を自分で決めたい人は、この職業の並びの上側と重なります。押しの強さを動機の中心に置いて入る人ほど、営業の内側でここが最も端にいることに気づきます。稼ぎを動機の一番上に置く人も、残っている人の重心とはずれます。積み上がることを条件にしている人にとっては、営業の中では上側の位置です。

#言われていることこのデータで見えること
押しが強くないと務まらない同じ業界の7職業の中では逆に出ます
知り合いに売って、人間関係が切れる働いている人に聞く
ノルマと自爆営業で潰れる働いている人に聞く
何も専門性が残らない向き方なら言える
歩合だから、稼ぎたい人向き同じ業界の7職業の中では逆に出ます

比べている相手は、営業に分類した7つの職業です。商社営業・住宅、不動産営業・自動車営業・広告営業・医薬情報担当者(MR)・銀行、信用金庫渉外担当と、保険営業です。

① 押しが強くないと務まらない——2つの領域が、そろって下端に来ます

人を説得し、動かす向き方は、営業7職業の中で保険営業が最も低く出ています。 人と関わる向き方も、同じく7職業の中で最も低い値でした。

上端にいるのは、動かす向き方が広告営業、関わる向き方がMRで、どちらもはっきり離れています。

いわゆる営業らしさで7職業を並べると、営業の内側で最も端にいるのがここです。

ただし、低いことは「押さなくていい」という意味ではありません。

② 知り合いに売って、人間関係が切れる——誰に売ったかは、働いている人に聞く

誰に売るのかも、そのあと関係がどうなったかも、働いている人に聞くと形が見えます。

隣にある値が1つだけあります。まわりと良い関係でいられることを大事にしている度合いは、営業7職業の中で下から2番目です。

どれだけ大事にしているかの値です。実際に人間関係が良いか悪いかを測ったものではありません。

この位置は「関係が壊れやすい」の証拠にはなりません。もともと重く見ていないとも読めますし、置き去りにしているとも読めます。どちらなのかは、働いている人に聞くほうで見えてきます。

③ ノルマと自爆営業で潰れる——制度の話は、働いている人に聞く

目標の設定も、自社の商品を買う慣行も、辞めた理由も、働いている人に聞くと形が見えます。

この数値が拾っているのは、いま残っている人の答えです。「きつくなかった」の証拠にもなりません。

④ 何も専門性が残らない——重みで見ると、7職業の上から2番目です

専門性が積み上がることも、自分の裁量で決められることも、営業7職業の中で同じ順位に来ます。どちらも上にいるのはMRで、下には商社営業や銀行、信用金庫渉外担当が並びます。

この2つの重みで見えるのは、置きどころの位置までです。 何が身につくかは、働いている人に聞く側にあります。

自分の進め方を自分で決めたい人にとって、この位置は7職業の上側にあります。

⑤ 歩合だから、稼ぎたい人向き——報酬を重く見る度合いは、7職業でいちばん下です

並んでいるのは広告営業です。最も高いMRとは、大きく離れています。

歩合の仕組みは、求人票の給与の欄で確かめられます。

稼ぎを動機の一番上に置いて入ると、この職業に残っている人の重心とはずれます。押しの強さを動機に置いても、①と同じことが起きます。7職業の中でここを選ぶ理由は、その2つの外にありました。


まとめ

  • 「押しが強くないと務まらない」は、7職業に並べると裏返る。 人を説得し動かす向き方も、人と関わる向き方も、営業7職業の中で最も低い
  • 「人間関係が切れる」の相手の話は、働いている人に聞く。 隣にあるのは、良好な対人関係を重く見る度合いが7職業の下から2番目という位置で、これは2通りに読める
  • 「ノルマと自爆営業で潰れる」の制度は、働いている人に聞く。 目標の設定も、辞めた人の答えも、そちらの側にある
  • 「何も専門性が残らない」は、向き方なら言える。 専門性と自律性を重く見る度合いは、どちらも7職業の上から2番目
  • 「歩合だから稼ぎたい人向き」も、7職業に並べると逆を向く。 報酬を重く見る度合いは、広告営業と並んで7職業で最も低い。金額ではない

決めるべきなのは、自分に押しの強さがあるかどうかではありません。押す力を売る場に行くのか、自分の進め方が残る場に行くのか、です。この職業の位置は、後ろのほうに寄っていました。

どちらを求める場なのかを面談で確かめる手順は、営業の転職エージェントの選び方へ。


この記事の根拠

数値の内訳をひらく

元になった値をここに置きます。

人を説得し、動かす(企業的):広告営業 3.97 / 医薬情報担当者(MR)3.77 / 商社営業 3.60 / 住宅、不動産営業 3.52 / 自動車営業 3.47 / 銀行、信用金庫渉外担当 3.43 / 保険営業(生命保険、損害保険)3.22

人と関わる(社会的):医薬情報担当者(MR)4.14 / 住宅、不動産営業 4.01 / 広告営業 3.98 / 自動車営業 3.95 / 銀行、信用金庫渉外担当 3.71 / 商社営業 3.66 / 保険営業(生命保険、損害保険)3.46

保険営業の残る4領域:手を動かして形にする(現実的)2.91(7職業で5番目)/ 調べて突き止める(研究的)2.98(商社営業 2.97 と同率で4番目)/ 表現する(芸術的)2.67(2番目。ただし1位の広告営業 3.44 とは大きく離れます)/ 決まった手順を正確に回す(慣習的)3.18(商社営業と同率で4番目)

専門性が積み上がること:医薬情報担当者(MR)3.90 / 保険営業 3.75 / 自動車営業 3.62 / 住宅、不動産営業 3.59 / 商社営業 3.43 / 銀行、信用金庫渉外担当 3.37 / 広告営業 3.28

自分の裁量で決められること(自律性):医薬情報担当者(MR)3.75 / 保険営業 3.64 / 自動車営業 3.62 / 商社営業 3.61 / 住宅、不動産営業 3.51 / 広告営業 3.48 / 銀行、信用金庫渉外担当 3.04

報酬:医薬情報担当者(MR)3.92 / 住宅、不動産営業 3.47 / 銀行、信用金庫渉外担当 3.19 / 自動車営業 3.17 / 商社営業 3.12 / 保険営業 2.97 / 広告営業 2.96(保険営業と 0.01 差で同率)。この2職業が7職業の下端で、保険営業より下に単独で立つ職業はありません。

良好な対人関係:自動車営業 3.64 / 広告営業 3.60 / 商社営業 3.57 / 住宅、不動産営業 3.55 / 医薬情報担当者(MR)3.51 / 保険営業 3.36 / 銀行、信用金庫渉外担当 3.33

比べている相手:営業に分類した7職業(商社営業・住宅、不動産営業・自動車営業・広告営業・医薬情報担当者(MR)・保険営業(生命保険、損害保険)・銀行、信用金庫渉外担当)。本文の「最も」「上から◯番目」は、すべてこの7職業の中での順位です。他の業界や、job tag 全体の中での順位ではありません。

順位の数え方0.01以内の差は同率として数え、それより大きい差だけを順位として読んでいます。

このデータに含まれていないもの:ノルマの設定・自社商品の購入の慣行・成果報酬の仕組み・年収・労働時間・休日・離職率・辞めた人の答え・求人の数・年齢構成・企業ごとの違い。「報酬」「専門性が積み上がること」「良好な対人関係」は、いずれも「どれだけ大事にしているか」の値で、実際の金額や、職場の人間関係を測ったものではありません。能力・スキルも測っていないので、「務まるかどうか」もこのデータでは答えられません。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)