イラストレーターの「やめとけ」、「直すだけ」が逆——表現する向きは12職業で1位

「自分の仕事をどう見ているか」を聞いた調査(厚生労働省 job tag)の値です。読み方

この記事の内容(3項目)

「絵の仕事はこれから減る、と言われた」 「絵が描けるだけでは無理で、営業ができないと続かないらしい」 「不安定だからやめとけ、というのがいちばん多い」

不安定だからという話と、営業ができないからという話が、同じ1つの「やめとけ」に入っている。

言われ方は、5つに分かれます。


「イラストレーターはやめとけ」の中身——調べる向きは、12職業で2番目

#言われていることこのデータで見えること
絵の仕事は、これから減っていくこれは、この先の話です
描けるだけでは無理で、営業ができないと続かない向き方なら言える
結局は、指示どおりに直すだけの作業になる同じ業界の12職業の中では逆に出ます
不安定だからやめとけ向き方なら言える
Webデザイナーに移ったほうがいい2職業で割れます

②④の「向き方」は、営業が得意かどうかや、不安定さに耐えられるかではありません。いま絵で働いている人の関心が、どの領域に厚く出ているか、それだけを指します。

比べている相手は、クリエイティブに分類した12の職業です。イラストレーター・グラフィックデザイナー・Webデザイナー・広告デザイナー・インテリアデザイナー・ファッションデザイナー・インダストリアルデザイナー・コピーライター・テクニカルライター・雑誌編集者・映像編集者・商業カメラマンです。

自分で立てたものを出したい人は、クリエイティブと呼ばれる職業の中では、ここがいちばん近い位置にいます。逆に、決まった枠の中で仕上げることに落ち着きを感じる人には、遠い場所です。

取ってくるところまでを自分の仕事に含めたい人も、この並びとはずれます。安定を最初の条件にしている人にとっては、ここは正面から向かい風になります。

① 絵の仕事は減る——報酬の重みは、11職業の真ん中より下

仕事の量も、技術がどう変わるかも、この先の話になります。単価は、発注する側に聞くと形が見えます。

何を大事にしているかの側からなら、1つ言えます。報酬を大事にしている度合いは、クリエイティブの11職業の真ん中より下に出ています。満足の置きどころは、値のそろう11職業で数えています。

これは「収入が低い」という意味ではありません。読み取れるのは、稼ぎ以外の何かを先に置く人が、この職業に残っているという位置です。

収入の見通しを最初の条件にしたい人が確かめる相手は、発注する側です。

② 「営業ができない」——説得の向きは、12職業で最も低い

人を説得し動かす向き方は、次に低いテクニカルライターとも、はっきり離れています。人と関わる向き方のほうも、クリエイティブ12職業の下から2番目です。

ここは、5つの中で唯一、言われ方と数値が同じ側を向いている箇所です。

言われていることが本当なら、そこはこの職業に残っている人の関心から離れた場所になります。良好な対人関係を大事にしている度合いも、11職業の下側にあります。

ただし、実際に営業がどれだけ必要かは、働いている人に聞く側の話です。

③ 「直すだけ」——手順を回す向きは、12職業で下から2番目

表現する向き方は、2番目のインダストリアルデザイナーよりも、はっきり上に立ちます。調べて突き止める向き方も、クリエイティブに分類した12職業で上から2番目です。

一方、決まった手順を正確に回す向き方は下から2番目に来ます。渡された仕様をそのとおりに処理していく職業像からは、12職業の中でいちばん遠い側です。

ただし、実際の案件がどれくらい指示で埋まっているかは、働いている人に聞くと形が見えます。

④ 不安定だからやめとけ——安定の重みは、11職業で最も低い

離職率も、収入の変動も、案件の途切れやすさも、働いている人に聞くと形が見えます。

ここで見えるのは、重みの置き方です。雇用や生活の安定性を大事にしている度合いは、クリエイティブの11職業の中で最も低く出ています。

代わりに高い項目があります。自分で決められること、自己成長、私生活との両立——この3つが、いずれも11職業の上から2番目です。達成感は3番目に来ます。

安定に置く重みがいちばん軽く、決めることと積み上がることが上側にある。この形が、「不安定だ」という言葉と重なって見える理由の一部です。

⑤ 「Webデザイナーへ」——満足の重みで上なのは、条件の3つ

同じクリエイティブの中で名前が挙がりやすい相手です。6つの向き方を並べると、こうなります。

  • イラストレーターのほうが高いのは2つ——表現する向き方と、調べて突き止める向き方
  • Webデザイナーのほうが高いのは2つ——決まった手順を正確に回す向き方と、人を説得し動かす向き方
  • 手を動かして形にする向き方はほとんど並び、人と関わる向き方はWebデザイナーがわずかに上です

満足の置きどころのほうは、もっとはっきりしています。11のうち8つはイラストレーターが上でした。Webデザイナーが上回るのは、雇用や生活の安定性と報酬、それに労働安全衛生の3つだけです。

条件の側を取るかわりに、作ることの側の重みを下ろす移り方になります。 それが望みなら噛み合いますし、作る中身のほうを保ったまま安定だけを足したいのなら、別の移り方を探すことになります。

同じ8対3を移った先の側から読んだものは、Webデザイナーの「やめとけ」へ。


興味の向き——クリエイティブの12職業の中では、表現するが1位

手を動かす
4位(同率3)
調べて突き止める
2位
表現する
1位
人と関わる
11位
人を動かす
12位
決まった手順を正確に回す
11位

これは同じ業界の職業の中での順位です。ごくわずかな差は同率として数えています。

満足の置きどころ——いちばん高いのは専門性

1位
専門性
2位
自己成長
3位
達成感

これは、その職業に就いている人が何を大事にしているかです。

まとめ——「直すだけ」が逆、「Webデザイナーへ」は8対3

  • 「絵の仕事は減っていく」は、この先の話。ここで見えるのは、報酬への重みが11職業の真ん中より下にあることです
  • 「営業ができないと続かない」は、向き方なら言える。人を説得し動かす向き方は12職業で最も低い。5つの中で、言われ方と数値が同じ側を向いているのはここだけ
  • 「指示どおりに直すだけ」は、12職業に並べると反対を向く。表現する向き方は最も高く、決まった手順を正確に回す向き方は下から2番目
  • 「不安定」は、重みの話としてなら出る。雇用や生活の安定性を大事にしている度合いは11職業で最も低く、決めることと積み上がることは上から2番目。ただし実際の安定度は測っていない
  • 「Webデザイナーに移ったほうがいい」は、2職業で割れる。満足の置きどころ11のうち8つはイラストレーターが上。移った先で上がるのは条件の側の3項目だけで、作ることの側の重みは下がる

決めるべきなのは、イラストレーターが不安定かどうかではありません。安定を足したいのか、作る中身のほうを変えたいのか、です。この2つを分けないまま「やめとけ」を読むと、どれも自分の話に見えます。

イラストレーターを含む12職業の業界で、分けたうえで面談にどう持っていくかは、クリエイティブの転職エージェントの選び方へ。


この記事の根拠

数値の内訳をひらく

比べている相手:クリエイティブに分類した12職業です。満足の置きどころだけは11職業——テクニカルライターは、この11項目に値がありません。本文の「最も」「上から2番目」「下から2番目」は、すべてこの集合の中での順位で、他の業界や job tag 全体の中での順位ではありません。

職業興味(6領域・イラストレーターの値と、12職業の中での位置)

  • 表現する(芸術的)4.42 — 12職業で最も高い(2番目はインダストリアルデザイナー 4.25、最も低いのはテクニカルライター 3.56)
  • 調べて突き止める(研究的)3.73 — 上から2番目(最も高いのはインダストリアルデザイナー 4.21、3番目はコピーライター 3.52)
  • 手を動かして形にする(現実的)3.59 — 上から4番目(テクニカルライター 3.59 と同値。最も高いのはインダストリアルデザイナー 4.42)
  • 人と関わる(社会的)3.14 — 下から2番目(最も低いのはファッションデザイナー 3.10、最も高いのは雑誌編集者 3.86)
  • 人を説得し、動かす(企業的)2.98 — 12職業で最も低い(2番目に低いのはテクニカルライター 3.11、最も高いのは雑誌編集者 3.68)
  • 決まった手順を正確に回す(慣習的)2.69 — 下から2番目(最も低いのはインダストリアルデザイナー 2.42、上はコピーライター 2.74)

満足の置きどころ(11項目・イラストレーターの値と、11職業の中での位置)

  • 雇用や生活の安定性 2.13(最も低い。2番目に低いのはコピーライター 2.23、最も高いのはインダストリアルデザイナー 3.27)
  • 自律性 3.98(上から2番目。最も高いのはインダストリアルデザイナー 4.00)
  • 自己成長 4.07(上から2番目。最も高いのはインテリアデザイナー 4.10)
  • 私生活との両立 3.60(上から2番目。最も高いのはインダストリアルデザイナー 3.73)
  • 達成感 4.07(上から3番目。上はインダストリアルデザイナー 4.46 とインテリアデザイナー 4.32)
  • 専門性 4.23(上から4番目。最も高いのはインテリアデザイナー 4.29)
  • 社会的認知 3.10(上から4番目)
  • 奉仕・貢献 2.90(上から3番目)
  • 労働安全衛生 3.45(上から5番目。広告デザイナー 3.46 とは 0.01 差で同率)
  • 対人関係 3.18(上から9番目。最も高いのはインダストリアルデザイナー 3.88)
  • 報酬 2.53(上から7番目。映像編集者 2.54 とは 0.01 差で同率、商業カメラマン 2.53 とは同値。最も高いのはインダストリアルデザイナー 3.39)

業界の外まで広げた場合の位置:分母はクリエイティブの11職業に限っていますが、雇用や生活の安定性の 2.13 は、job tag に仕事価値観の値がある318職業の中でも最も低い値です(2番目に低いのは舞台照明スタッフ 2.19)。

Webデザイナーの値:現実的 3.56 / 研究的 3.41 / 芸術的 3.65 / 社会的 3.20 / 企業的 3.26 / 慣習的 3.20。満足の置きどころは 専門性 3.58 / 私生活との両立 3.54 / 労働安全衛生 3.49 / 達成感 3.49 / 自己成長 3.42 / 自律性 3.23 / 対人関係 3.09 / 雇用や生活の安定性 2.86 / 報酬 2.81 / 社会的認知 2.75 / 奉仕・貢献 2.75。

満足の置きどころ11項目の内訳(イラストレーター/Webデザイナー):イラストレーターのほうが高い8項目=専門性 4.23/3.58、達成感 4.07/3.49、自己成長 4.07/3.42、自律性 3.98/3.23、私生活との両立 3.60/3.54、対人関係 3.18/3.09、社会的認知 3.10/2.75、奉仕・貢献 2.90/2.75。Webデザイナーのほうが高い3項目=労働安全衛生 3.49/3.45、雇用や生活の安定性 2.86/2.13、報酬 2.81/2.53。11項目の内訳は 8対3 です。このうち労働安全衛生の差 0.04 は 0.05 未満です。

順位の数え方0.01以内の差は同率として数え、それより大きい差だけを順位として読んでいます。 差が 0.05 未満なのは、現実的の 3.59 と 3.56 です。社会的の 3.14 と 3.20 は 0.06 の差があります。現実的の 3.59 と報酬の 2.53 は、それぞれ2職業が同値です。

このデータに含まれていないもの:収入・単価・案件の量や途切れやすさ・稼働時間・離職率・求人の数・生成AIによる影響・実際の作業内容。「報酬」「雇用や生活の安定性」「私生活との両立」は、いずれも「どれだけ大事にしているか」の値で、実際の金額や勤務の実態ではありません。能力・スキルも測っていないので、「務まるかどうか」もこのデータでは答えられません。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構/当サイトの取得日 2026年8月13日)