データサイエンティストは、満足の置きどころ11項目のうち9つを、IT9職業でいちばん重く見ています——調べて突き止める向き方も、この並びでいちばん高く出ています

このページには、書き手の一次体験がありません。公的データだけで書いています。数値は厚生労働省 job tag の調査で、その職業に就いている人が自分の仕事をどう捉えているかを答えたものです(1職業あたり20名以上・標準誤差0.51以下が目標)。年収・労働時間・求人数は測っていません。このサイトのデータについて

この記事の内容(8項目)

「やることの9割はデータの掃除だ」と書いてある。 「ブームが終われば要らなくなる」とも言われる。 高年収というのはごく一部の話だ、と釘を刺す人もいる。

どれも本当に聞こえて、どれが自分の話なのかが決められない。

言われていることは、5つに分かれます。


6領域——IT・エンジニアの9職業の中では、調べて突き止めるが1位

手を動かす
3.365位
調べて突き止める
3.851位
表現する
2.725位(同率3)
人と関わる
3.036位
人を動かす
3.213位
決まった手順を正確に回す
2.728位

順位はIT・エンジニアに収録された9職業の中での順位です。37業界の業界平均の順位ではありません。0.01以内の差は同率として数えています。

満足の置きどころ——11項目のうち、専門性が1位

1位
専門性 4.20
2位
自己成長 4.00
3位
達成感 3.96

11項目は、その職業に就いている人が何を大事にしているかです。何に満足しているかを測ったものではありません。給与・雇用・労働時間・安全そのものの数値でもありません。0.01以内の差は同率として数えています。

「データサイエンティストはやめとけ」の中身——「掃除と集計ばかり」だけは、並べると裏返ります

#言われていること判定
ブームが終われば、要らなくなる答えられない
実際はデータの掃除と集計ばかりだ同じ業界の9職業の中では逆に出ます
事業側との調整に時間を取られる向き方なら言える
高年収というのは、ごく一部の話だ答えられない
プログラマーと、向いている人は同じだ違う

比べている相手は、IT・エンジニアに分類した9つの職業です。データサイエンティスト・プログラマー・プロジェクトマネージャ・基盤システムのシステムエンジニア・受託開発のシステムエンジニア・Webサービス開発のシステムエンジニア・組込みとIoTのシステムエンジニア・パッケージソフトの開発・スマホアプリの開発を、同じ物差しで横に並べています。

① ブームが終われば、要らなくなる——先のことは、このデータの外です

市場の大きさも、求人の増減も、この先どうなるかも、このデータには入っていません。だから「要らなくなるか」には答えられません。

満足の置きどころの側からなら、1つ言えます。専門性を大事にしている度合いが、9職業の中で最も高く出ています。2番目に来る組込みとIoTのエンジニアとも、はっきり離れています。

これは「専門性が実際に積み上がる」という意味ではありません。積み上がるかどうかを重く見ている人が多い職業だ、というところまでです。

先の見通しから決めたい人には、この調査は使えません。聞く相手は、募集している側です。

② 「掃除と集計ばかり」——9職業の中で、いちばん調べる側に出ています

決まった手順を正確に回す向き方は、IT・エンジニアに分類した9職業の中で下から2番目に出ています。調べて突き止める向き方のほうは、2番目のプログラマーより上に立ちます。

定型の処理を回し続ける側に、この職業は寄っていません。言われ方とは、向きが裏返ります。

ただし、実際の作業がどう配分されているかは測っていません。「掃除が9割」が事実として間違っている、とは言えません。 分かるのは、この職業に残っている人の関心の向きだけです。

決まった型を正確に回しているときがいちばん落ち着く人は、9職業の中でここが遠いほうになります。

③ 事業側との調整——人を説得し動かす向き方は、9職業で上から3番目です

上にいるのは基盤システムのエンジニアとプロジェクトマネージャの2つです。受託開発のエンジニアとは、ほとんど並びます。

一方、人と関わる向き方のほうは、9職業の真ん中より下です。説得する側は高めで、人と関わる側は低め——同じ「対人」でも、位置が分かれています。

もう1つ。人の役に立つことを大事にしている度合いは、9職業の中で最も高く出ています。

数字を出したあと、それを誰かに通すところまでを自分の仕事だと思える人は、この向き方と近いところにいます。逆に、分析が終わった時点で手を離したい人には、9職業の中では説得側に寄って見えます。

④ 「高年収は一部だけ」——金額は、このデータに入っていません

年収も、単価も、案件の相場も入っていません。だから「本当に高いのか」には答えられません。

答えられるのは、報酬をどれだけ大事にしているかの位置だけです。9職業の中で最も高く出ています。

これは報酬だけの話ではありません。満足の置きどころは、11項目のうち9つが9職業の最高値でした。残る2つも上位です。

報酬・雇用や生活の安定性・私生活との両立は、どれも「どれだけ大事にしているか」の値です。実際の金額も、休みの取りやすさも、このデータは測っていません。

条件は下げてでも中身を取る、という選び方をしてきた人から見ると、この並びは意外に映るかもしれません。ここに残っている人は、内容の側にも条件の側にも、重い値を置いています。

⑤ 「プログラマーと向いている人は同じ」——高い場所が、入れ替わります

作業の中身が同じかどうかは、このデータでは決まりません。並べられるのは、関心の向きと置きどころだけです。

6つの領域を並べても、この2職業は上下の形になりません。

  • データサイエンティストのほうが高いのは3つ——調べて突き止める向き方、人と関わる向き方、人を説得し動かす向き方
  • プログラマーのほうが高いのは2つ——手を動かして形にする向き方と、決まった手順を正確に回す向き方
  • 表現する向き方は、ほとんど並びます

満足の置きどころのほうは、別の形をしています。11項目すべてで、データサイエンティストのほうが高く出ています。大事にしているものの向きが違うのではなく、重みの置き方が全体に厚い形です。値の高さは、仕事の価値ではありません。

向いている先が同じ、ではありません。 手を動かして形にすることと、決まった手順が自分の側にある人はプログラマーの位置に近く、分からないことを突き止めて、それを人に通すところまでを含めたい人はこちらの位置に近くなります。


まとめ

  • 「ブームが終われば要らなくなる」には答えられない。 市場も求人もこのデータの外側。言えるのは、専門性を大事にしている度合いが9職業で最も高いことまで
  • 「掃除と集計ばかり」は、9職業に並べると裏返る。 決まった手順を正確に回す向き方は下から2番目、調べて突き止める向き方は最も高い。ただし作業の配分そのものは測っていない
  • 「事業側との調整」は、向き方なら言える。 人を説得し動かす向き方は9職業で上から3番目、人と関わる向き方は真ん中より下
  • 「高年収は一部だけ」には答えられない。 金額はこのデータに無い。分かるのは、満足の置きどころ11項目のうち9つが9職業の最高値だということ
  • 「プログラマーと向いている人は同じ」は違う。 6領域は高い場所が入れ替わり、満足の置きどころは11項目すべてが上

数字を出して終わりにできない職業です。突き止めたものを人に通すところまでが、ここでは同じ仕事でした。

そこまでを求められる場かどうかを面談で確かめる手順は、IT・エンジニアの転職エージェントの選び方に書いています。


この記事の根拠

数値の内訳をひらく

本文では数値を出さず、順位と上位・下位の言葉だけで書いています。元になった値をここに置きます。

比べた集合:IT・エンジニアに分類した9職業です。本文の「最も」「上から3番目」「下から2番目」は、すべてこの9職業の中での順位で、他の業界や job tag 全体の中での順位ではありません。以下では、システムエンジニアを「SE」と略します。

職業興味(6領域)

  • 手を動かして形にする(現実的):プログラマー 3.75 / 組込みIoT SE 3.74 / プロジェクトマネージャ 3.57 / 基盤SE 3.45 / データサイエンティスト 3.36 / スマホアプリ 3.32 / パッケージ 3.31 / 受託SE 3.29 / WebサービスSE 3.24
  • 調べて突き止める(研究的):データサイエンティスト 3.85 / プログラマー 3.76 / 組込みIoT SE 3.68 / パッケージ 3.49 / スマホアプリ 3.40 / 基盤SE 3.35 / WebサービスSE 3.24 / 受託SE 3.15 / プロジェクトマネージャ 2.86
  • 表現する(芸術的):スマホアプリ 2.97 / 組込みIoT SE 2.86 / WebサービスSE 2.82 / 基盤SE 2.76 / プログラマー 2.73 / データサイエンティスト 2.72 / 受託SE 2.71 / パッケージ 2.64 / プロジェクトマネージャ 2.52
  • 人と関わる(社会的):基盤SE 3.48 / プロジェクトマネージャ 3.43 / 組込みIoT SE 3.36 / 受託SE 3.24 / WebサービスSE 3.13 / データサイエンティスト 3.03 / パッケージ 3.00 / プログラマー 2.90 / スマホアプリ 2.79
  • 人を説得し、動かす(企業的):基盤SE 3.41 / プロジェクトマネージャ 3.39 / データサイエンティスト 3.21 / 受託SE 3.19 / パッケージ 3.15 / 組込みIoT SE 3.14 / WebサービスSE 3.10 / スマホアプリ 3.03 / プログラマー 2.88
  • 決まった手順を正確に回す(慣習的):基盤SE 3.12 / プログラマー 3.12 / 組込みIoT SE 3.05 / WebサービスSE 3.00 / 受託SE 2.98 / プロジェクトマネージャ 2.91 / パッケージ 2.85 / データサイエンティスト 2.72 / スマホアプリ 2.61

満足の置きどころ(11項目・データサイエンティストの値と、9職業の中での位置)

  • 専門性 4.20(1位。2番目は組込みIoT SE 3.83)
  • 自己成長 4.00(1位。2番目はプロジェクトマネージャ 3.66)
  • 達成感 3.96(1位。2番目はプロジェクトマネージャ 3.75)
  • 自律性 3.92(1位。2番目はプロジェクトマネージャ 3.69)
  • 労働安全衛生 3.80(1位。2番目はパッケージ 3.45)
  • 雇用や生活の安定性 3.54(1位。2番目はスマホアプリ 3.40)
  • 報酬 3.50(1位。2番目はプロジェクトマネージャ 3.39)
  • 私生活との両立 3.48(1位。2番目はスマホアプリ 3.42)
  • 奉仕・貢献 3.26(1位。2番目は受託SE 3.00)
  • 対人関係 3.34(3位。上はプロジェクトマネージャ 3.53 とスマホアプリ 3.50)
  • 社会的認知 3.22(2位。上はプロジェクトマネージャ 3.25 で、ほとんど並びます)

⑤で使ったプログラマーの値:現実的 3.75 / 研究的 3.76 / 芸術的 2.73 / 社会的 2.90 / 企業的 2.88 / 慣習的 3.12。満足の置きどころは 達成感 3.55 / 専門性 3.46 / 自己成長 3.16 / 自律性 3.02 / 労働安全衛生 3.09 / 私生活との両立 2.84 / 雇用や生活の安定性 2.86 / 報酬 2.84 / 対人関係 2.80 / 社会的認知 2.57 / 奉仕・貢献 2.46。11項目すべてで、データサイエンティストのほうが高い値です。

順位の数え方0.01以内の差は同率として数え、それより大きい差だけを順位として読んでいます。 本文で「ほとんど並ぶ」と書いたのは、順位はついても差が 0.05 未満のところです(企業的の 3.21 と 3.19、社会的認知の 3.22 と 3.25)。慣習的の 3.12 は2職業が同値です。

このデータに含まれていないもの:年収・単価・労働時間・残業・求人の数・選考の通過率・将来の需要・企業ごとの違い・実際の作業配分。「報酬」「雇用や生活の安定性」「私生活との両立」は、いずれも「どれだけ大事にしているか」の値で、実際の金額や勤務の実態ではありません。能力・スキルも測っていないので、「務まるかどうか」もこのデータでは答えられません。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)