「監査は同じ作業の繰り返しだ、と何度も出てくる」 「繁忙期は生活が消える、とも書いてある」 「あれだけ勉強しても割に合わない、という言い方もある」
どれも監査法人の話なのか、資格の話なのかが分かれていない。
言われている中身は、5つに分かれます。
6領域——法律・会計(弁護士・会計士)の10職業の中では、調べて突き止めるが1位
- 手を動かす
- 2.866位
- 調べて突き止める
- 3.831位
- 表現する
- 2.298位(同率2)
- 人と関わる
- 4.181位
- 人を動かす
- 3.832位
- 決まった手順を正確に回す
- 3.542位
順位は法律・会計(弁護士・会計士)に収録された10職業の中での順位です。37業界の業界平均の順位ではありません。0.01以内の差は同率として数えています。
満足の置きどころ——11項目のうち、専門性が1位
- 1位
- 専門性 4.20
- 2位
- 自己成長 3.78
- 3位
- 報酬 3.76
11項目は、その職業に就いている人が何を大事にしているかです。何に満足しているかを測ったものではありません。給与・雇用・労働時間・安全そのものの数値でもありません。0.01以内の差は同率として数えています。
同じところに満足を置く職業を、業界をまたいで見る:手に職をつけたい人に向いてる仕事
「公認会計士はやめとけ」の中身——人付き合いの話だけ、並べると裏返ります
| # | 言われていること | 判定 |
|---|---|---|
| ① | あれだけ勉強しても、割に合わない | 答えられない |
| ② | 数字と書類が相手だから、人付き合いが苦手でも務まる | 同じ業界の10職業の中では逆に出ます |
| ③ | 監査は同じ手続きの繰り返しで、飽きる | 向き方なら言える |
| ④ | 繁忙期に、生活が消える | 答えられない |
| ⑤ | 弁護士と比べれば、格下の資格だ | 違う |
比べている相手は、法律・会計(弁護士・会計士)に分類した10の職業です。公認会計士・弁護士・司法書士・弁理士・中小企業診断士・土地家屋調査士・不動産鑑定士・企業法務担当・コンプライアンス推進担当・パラリーガル(弁護士補助職)を、同じ物差しで横に並べています。
① 割に合わない——金額の側は、このデータの外にあります
年収も、監査法人の待遇も、試験にかかった年数も、このデータには入っていません。だから「割に合うか」には答えられません。
出てくるのは、満足の置きどころのほうだけです。報酬も、雇用や生活の安定性も、社会的認知も、法律・会計に分類した10職業の中では最も高い側でした。条件と肩書きの3つがそろって上に来るのは、この10職業の中でここだけです。
報酬・雇用や生活の安定性・社会的認知は、いずれも「どれだけ大事にしているか」の値です。実際の年収も、雇用の安定度も、世間の評価そのものも、このデータは測っていません。
逆側に振れている項目もあります。達成感を大事にしている度合いは、10職業の下から3番目でした。
条件が整っているかどうかを先に確かめたい人の関心と、この職業に残っている人の関心は、同じ方向を向いています。ただし、その条件が実際に満たされているかは、別の問いです。
② 「人付き合いが苦手でも務まる」——10職業の並びの上端にいるのは、この職業です
人と関わる向き方は、法律・会計に分類した10職業の中で最も高く出ています。2番目の弁護士とも、はっきり離れています。
「数字と書類だけが相手」という職業像を10職業に当てはめると、いちばん当てはまらないのがここです。
ただし、これは実際に人と接する量を測ったものではありません。誰とどれだけ関わるかは、このデータには入っていません。分かるのは、関心の向きが人の側にも開いている、というところまでです。
もうひとつ、逆を向いている項目があります。良好な対人関係を大事にしている度合いは、10職業の下から3つの中に入ります。これも「どれだけ大事にしているか」の値で、職場の人間関係の良し悪しを測ったものではありません。
人と関わる向き方が高いことと、関係が良いことを重く見ることは、別々に動きます。人と関わるのを避けたくてこの職業を選ぶ人は、前者とすれ違います。
③ 同じ手続きの繰り返し——半分は当たり、半分は外れます
決まった手順を正確に回す向き方は、10職業の中で上から2番目です。上にいるのは司法書士だけでした。
同時に、調べて突き止める向き方も、この10職業の中で最も高く出ています。手順の側と、突き止める側が、どちらも上位に立っている形です。
「手続きが多い」までは向き方から言えます。「それだけ」のほうは、並べた形と違います。
飽きるかどうかは、このデータでは測れません。参考になるのは、自己成長を大事にしている度合いが10職業の中で上から2番目だということくらいです。これも大事にしている度合いで、実際に成長できるかを測ったものではありません。
決まった型で回しながら、その中で確かめにいく——この2つを同時に置ける人は、この職業の形と近いところにいます。
④ 繁忙期に生活が消える——忙しさは、ここには入っていません
労働時間も、繁忙の波も、決算期の集中も、このデータの外側です。「生活が消えるか」には答えられません。
答えられるのは、私生活との両立をどれだけ大事にしているかだけです。10職業の中では下から2番目で、いちばん低い弁護士とはほとんど並びます。
これも「どれだけ大事にしているか」の値です。実際の勤務時間も、休みの取りやすさも、このデータは測っていません。
低いことは、両立できていないという意味ではありません。両立を条件の上位に置いていない人が多い、という読み方までです。
生活の側を動かさない前提で選びたい人が確かめる場所は、この数値の外にあります。
⑤ 「弁護士より格下」——上下に並ぶ2職業ではありません
社会的な評価そのものは、このデータに入っていません。分かるのは、2つの職業が同じ1本の線の上に並ぶ形をしていない、ということだけです。
6つの向き方のうち、弁護士のほうが高いのは表現する向き方の1つです。残る5つは公認会計士のほうが高く出ています。ただし手を動かして形にする向き方と、調べて突き止める向き方の差は小さく出ています。
数値が高いことは、優れていることではありません。関心がその方向に向いている、というだけです。
満足の置きどころのほうは、はっきり割れます。
- 弁護士のほうが高いのは4つ——達成感、自律性、奉仕・社会貢献、良好な対人関係
- 公認会計士のほうが高いのは5つ——専門性、社会的認知、雇用や生活の安定性、報酬、労働安全衛生
- 自己成長と私生活との両立は、差が小さく出ています
ここに並べた項目も、すべて「どれだけ大事にしているか」の値です。収入も、実際の裁量も、このデータは測っていません。
自分の判断で決め切ることと、誰かの側に立つことを重く見るのが弁護士の側。積み上げた専門と、条件のほうも同時に置いておきたいのが公認会計士の側です。格の上下ではなく、重心が別の場所にあります。
まとめ
- 「割に合わない」には答えられない。 金額はこのデータの外側。言えるのは、報酬・雇用や生活の安定性・社会的認知の3つが10職業の中で最も高く、達成感だけが下側という置きどころまで
- 「人付き合いが苦手でも務まる」は、10職業に並べると逆を向く。 人と関わる向き方は最も高く、2番目の弁護士とも離れる
- 「同じ手続きの繰り返し」は、向き方なら半分だけ言える。 決まった手順を正確に回す向き方は上側。ただし調べて突き止める向き方は最も高い
- 「繁忙期に生活が消える」には答えられない。 出てくるのは、私生活との両立を大事にする度合いが下側という一点だけ
- 「弁護士より格下」は違う。 向き方は表現する側だけ弁護士が上、満足の置きどころは4対5で割れる
5つのうち4つは、条件と肩書き、それに手続きの多さの話でした。残る1つだけが、人の側に開いているかどうかの話です。
先に確かめるのは、そちらです。
人の側に開いているかどうかを面談でどう確かめるかは、法律・会計の転職エージェントの選び方に書いています。
この記事の根拠
数値の内訳をひらく
本文には数値を出さず、順位と上位・下位の言葉だけで書いています。元になった値をここに置きます。
比べた集合:法律・会計(弁護士・会計士)に分類した10職業(公認会計士・弁護士・司法書士・弁理士・中小企業診断士・土地家屋調査士・不動産鑑定士・企業法務担当・コンプライアンス推進担当・パラリーガル(弁護士補助職))。本文の「最も」「上から◯番目」は、すべてこの10職業の中での順位です。他の業界や、job tag 全体の中での順位ではありません。社会保険労務士・行政書士・税理士は別の業界(士業)に入れているので、ここでは数えていません。
職業興味(6領域)
- 手を動かして形にする(現実的):土地家屋調査士 3.62 / 弁理士 3.54 / 不動産鑑定士 2.95 / 企業法務担当 2.88 / コンプライアンス推進担当 2.88 / 公認会計士 2.86 / 司法書士 2.80 / 弁護士 2.80 / 中小企業診断士 2.77 / パラリーガル 2.48
- 調べて突き止める(研究的):公認会計士 3.83 / 弁護士 3.76 / 企業法務担当 3.74 / 土地家屋調査士 3.72 / 弁理士 3.72 / 司法書士 3.51 / 不動産鑑定士 3.34 / 中小企業診断士 3.32 / コンプライアンス推進担当 3.26 / パラリーガル 3.25
- 表現する(芸術的):中小企業診断士 2.71 / 土地家屋調査士 2.68 / コンプライアンス推進担当 2.58 / 弁理士 2.54 / 弁護士 2.51 / 企業法務担当 2.44 / パラリーガル 2.37 / 公認会計士 2.29 / 不動産鑑定士 2.28 / 司法書士 2.15
- 人と関わる(社会的):公認会計士 4.18 / 弁護士 3.93 / 司法書士 3.83 / 中小企業診断士 3.68 / 土地家屋調査士 3.67 / 企業法務担当 3.64 / 弁理士 3.34 / コンプライアンス推進担当 3.33 / 不動産鑑定士 3.32 / パラリーガル 3.29
- 人を説得し、動かす(企業的):中小企業診断士 3.93 / 公認会計士 3.83 / 企業法務担当 3.58 / 弁護士 3.55 / コンプライアンス推進担当 3.53 / 司法書士 3.25 / 土地家屋調査士 3.20 / 不動産鑑定士 3.08 / 弁理士 3.03 / パラリーガル 2.62
- 決まった手順を正確に回す(慣習的):司法書士 3.71 / 公認会計士 3.54 / 土地家屋調査士 3.45 / 企業法務担当 3.32 / 弁理士 3.31 / パラリーガル 3.31 / コンプライアンス推進担当 3.25 / 弁護士 3.15 / 不動産鑑定士 3.02 / 中小企業診断士 2.77
②の「2番目の弁護士とも、はっきり離れています」は、人と関わる向き方の 4.18 と 3.93 の差 0.25 のことです。
満足の置きどころ(仕事価値観のうち、本文で使った9項目)
- 報酬:公認会計士 3.76 / 弁理士 3.57 / 司法書士 3.28 / 中小企業診断士 3.20 / 企業法務担当 3.17 / 弁護士 3.14 / 不動産鑑定士 3.07 / 土地家屋調査士 3.00 / コンプライアンス推進担当 2.98 / パラリーガル 2.51
- 雇用や生活の安定性:公認会計士 3.72 / 企業法務担当 3.59 / 弁理士 3.44 / コンプライアンス推進担当 3.44 / 不動産鑑定士 3.43 / パラリーガル 3.24 / 司法書士 3.23 / 中小企業診断士 3.16 / 土地家屋調査士 3.09 / 弁護士 2.81
- 社会的認知:公認会計士 3.72 / 弁護士 3.64 / 司法書士 3.51 / 弁理士 3.48 / 中小企業診断士 3.47 / 不動産鑑定士 3.41 / 企業法務担当 3.26 / 土地家屋調査士 3.18 / コンプライアンス推進担当 2.88 / パラリーガル 2.80
- 達成感:中小企業診断士 4.08 / 土地家屋調査士 3.77 / 弁理士 3.76 / 司法書士 3.72 / 弁護士 3.64 / 不動産鑑定士 3.55 / パラリーガル 3.36 / 公認会計士 3.32 / 企業法務担当 3.15 / コンプライアンス推進担当 2.70
- 良好な対人関係:中小企業診断士 3.94 / 企業法務担当 3.45 / 弁理士 3.37 / パラリーガル 3.36 / 土地家屋調査士 3.34 / 弁護士 3.34 / 不動産鑑定士 3.26 / 司法書士 3.21 / 公認会計士 3.19 / コンプライアンス推進担当 2.77
- 自己成長:中小企業診断士 3.98 / 公認会計士 3.78 / 司法書士 3.74 / 弁護士 3.73 / 弁理士 3.72 / 企業法務担当 3.59 / 土地家屋調査士 3.59 / 不動産鑑定士 3.43 / パラリーガル 3.31 / コンプライアンス推進担当 3.11
- 私生活との両立:パラリーガル 3.56 / 不動産鑑定士 3.52 / 弁理士 3.48 / 企業法務担当 3.45 / 中小企業診断士 3.45 / コンプライアンス推進担当 3.44 / 土地家屋調査士 3.39 / 司法書士 3.30 / 公認会計士 3.02 / 弁護士 2.98
- 自律性:司法書士 4.05 / 中小企業診断士 4.04 / 弁護士 3.92 / 弁理士 3.87 / 土地家屋調査士 3.75 / 公認会計士 3.65 / 不動産鑑定士 3.64 / 企業法務担当 3.53 / コンプライアンス推進担当 3.22 / パラリーガル 2.78
- 専門性:弁理士 4.24 / 司法書士 4.23 / 公認会計士 4.20 / 中小企業診断士 4.12 / 弁護士 4.12 / 土地家屋調査士 3.98 / 不動産鑑定士 3.91 / 企業法務担当 3.85 / パラリーガル 3.61 / コンプライアンス推進担当 3.48
⑤で使った残り2項目は、奉仕・社会貢献(弁護士 3.68 / 公認会計士 3.06)と労働安全衛生(公認会計士 3.39 / 弁護士 2.98)です。
⑤で比べた2職業の差:公認会計士が上回るのは現実的(2.86/2.80)・研究的(3.83/3.76)・社会的(4.18/3.93)・企業的(3.83/3.55)・慣習的(3.54/3.15)。弁護士が上回るのは芸術的(2.51/2.29)。本文で「差は小さく出ています」と書いたのは現実的の 0.06 と研究的の 0.07 です。仕事価値観は、弁護士が上回るのが達成感・自律性・奉仕貢献・良好な対人関係の4項目、公認会計士が上回るのが専門性・社会的認知・雇用や生活の安定性・報酬・労働安全衛生の5項目で、自己成長(3.78/3.73)と私生活との両立(3.02/2.98)は差が小さく出ています。
順位の数え方:同じ値には同じ順位を与えています。0.01以内の差は同率として数え、それより大きい差だけを順位として読んでいます。本文で「ほとんど並ぶ」と書いたのは差が0.05未満のところです(私生活との両立の 3.02 と 2.98、良好な対人関係の 3.19 と 3.21)。順位としては離れていても差が0.05未満の箇所が2つあります——自己成長の 3.78(2番目)と 3.74(3番目)、達成感の 3.36(下から4番目)と 3.32(下から3番目)です。本文の「上から2番目」「下から3番目」は順位の話で、隣との差が大きいという意味ではありません。
このデータに含まれていないもの:年収・監査法人ごとの待遇・労働時間・繁忙期の集中・休日・求人の数・試験の合格率・独立後の収入・年齢構成・社会的な評価そのもの。「報酬」「雇用や生活の安定性」「社会的認知」「私生活との両立」は、いずれも「どれだけ大事にしているか」の値で、実際の金額や勤務の実態ではありません。能力・スキルも測っていないので、「務まるかどうか」もこのデータでは答えられません。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)