「単純作業だから、誰にでもできる」と言われる。
「給料が上がらない」「そのうちソフトに置き換わる」とも書いてある。
建設業界だから覚悟しておけ、という言い方もある。
読むほど、自分に当てはまるのかが分からなくなる。
言われている中身は、5つに分かれます。
6領域——建設技能・職人の20職業の中では、表現するが2位
- 手を動かす
- 3.4317位(同率3)
- 調べて突き止める
- 3.223位
- 表現する
- 3.222位(同率2)
- 人と関わる
- 2.8420位
- 人を動かす
- 2.995位
- 決まった手順を正確に回す
- 3.324位(同率2)
順位は建設技能・職人に収録された20職業の中での順位です。37業界の業界平均の順位ではありません。0.01以内の差は同率として数えています。
満足の置きどころ——11項目のうち、専門性が1位
- 1位
- 専門性 3.64
- 2位
- 達成感 3.60
- 3位
- 自己成長 3.50
11項目は、その職業に就いている人が何を大事にしているかです。何に満足しているかを測ったものではありません。給与・雇用・労働時間・安全そのものの数値でもありません。0.01以内の差は同率として数えています。
同じところに満足を置く職業を、業界をまたいで見る:手に職をつけたい人に向いてる仕事
「CADオペレーターはやめとけ」の中身——並べて裏返るのは、1つ目と4つ目です
| # | 言われていること | 判定 |
|---|---|---|
| ① | 単純作業で、誰にでもできる | 同じ業界の20職業の中では逆に出ます |
| ② | 給料が上がらない | 答えられない |
| ③ | ソフトが進めば、要らなくなる | 答えられない |
| ④ | 建設業界だから、現場のノリに合わせることになる | 同じ業界の20職業の中では逆に出ます |
| ⑤ | 指示どおりに描くだけで、自分では決められない | 向き方なら言える |
比べている相手は、建設技能・職人に分類した20の職業です。大工・とび・解体工のような現場の職業から、測量士・造園工まで、同じ物差しで横に並べています。
5つの答えは、この並びのどこに立っているかで変わります。
① 単純作業で、誰にでもできる——上位に来るのは、表現する側と調べる側です
20職業に並べると、表現する向き方は上から2番目でした。上にいるのは造園工だけで、左官とは同じ値です。
調べて突き止める向き方も、上から3番目に来ます。ここは大工とほとんど並ぶ位置です。
「決められた線を引き写すだけ」を20職業に当てはめると、CADオペレーターはむしろ反対側に立ちます。 図面の形を決める余地が、この2つの領域に表れているという読み方になります。
ただし「誰にでもできるか」そのものには答えられません。能力も、習得にかかる時間も、聞かれていない項目です。
② 給料が上がらない——答えられるのは、条件の側の置きどころだけ
金額も、昇給の幅も、雇用の形も、この調査には入っていません。だから「上がるか」には答えられません。
分かるのは、何をどれだけ大事にしているかの位置です。ここは、はっきりした形になりました。
安全に働けることを大事にする度合いは、20職業の中で最も高く出ています。私生活との両立も上から2番目で、雇用や生活の安定性も上側です。一方で、報酬を大事にする度合いは真ん中あたりにとどまります。
どれも「どれだけ大事にしているか」の値です。実際の給与も、休日の数も、安全対策の中身も、測ったものではありません。
稼ぎの大きさより、続けられる条件の側に重みを置く人が多い職業——この並びから言えるのは、そこまでです。
③ ソフトが進めば、要らなくなる——将来の需要は、測っていません
仕事量の見通しも、技術の置き換わりも、この調査の外にあります。「無くなるか」には答えられません。
言えるのは、いま何が中心にあるかだけです。決まった手順を正確に回す向き方は、20職業の上側に来ます。正確さに重みが置かれている側です。
①のとおり、表現する向き方と調べて突き止める向き方も上位にあります。手順の正確さと、形を決める部分が同居している位置です。
この2つが同居していること自体は、置き換わりやすさの証明にも反証にもなりません。位置の話と、需要の話は別です。
④ 建設業界だから、現場のノリに合わせる——20職業の中で、反対の端に立ちます
人と関わる向き方は20職業の中で最も低く、2番目に低い鉄骨工からも離れています。手を動かして形にする向き方も下側で、防水工や左官とほとんど並ぶ位置です。
ただし、会社ごとの空気も、現場の慣習も、答えられる材料はありません。言えるのは、20職業の並びの中での形だけです。
「建設だから、どの職業も同じ」が、20職業の中でいちばん崩れるのがこの職業です。 大工や建設土木作業員とは、逆の端に来ます。
人と関わる量を減らしたいという理由でここを見ている人にとっては、この20職業の中で最も下がる場所です。
⑤ 指示どおりに描くだけ——決めることへの重みは、20職業の下側です
自分の裁量で決められることをどれだけ大事にしているかは、20職業の中で下から2番目でした。下にいるのは建設土木作業員だけです。
ここは、言われ方と同じ方向に出ます。 大工・送電線工事・造園工といった上位とは、大きく離れた位置になります。
これは「裁量が無い」という測定結果ではありません。裁量をどれだけ大事にしているかの値です。実際に任される範囲は、会社と現場で決まります。
自分で決められることが動機の中心にある人は、この置きどころとずれます。逆に、決める責任を負わずに形を仕上げたい人にとっては、噛み合う側です。
まとめ
- 「単純作業」は、20職業を並べると逆を向く。 表現する向き方も、調べて突き止める向き方も、20職業の上位
- 「給料が上がらない」には答えられない。 言えるのは、安全に働けることが20職業で最も高く、私生活との両立も上側という、条件の側の置きどころまで
- 「ソフトに置き換わる」も答えられない。 需要の見通しは調査の外側。言えるのは、手順を回す向き方が上側にあることまで
- 「建設だから現場のノリ」は、20職業の中でいちばん当てはまらない。 人と関わる向き方は最も低く、手を動かす向き方も下側
- 「自分では決められない」は、向き方なら言える。 裁量を大事にする度合いは下端に近い
同じ「建設技能」の中にありながら、この職業だけ立っている場所が違います。だから「建設はやめとけ」の話をそのまま持ってくると、①と④は行き先を間違えます。
先に決めるのは、形を決める側に立ちたいのか、決めずに仕上げたいのかです。
決めた側を面談でどう伝えるかは、建設技能・職人の転職エージェントの選び方に書いています。
この記事の根拠
数値の内訳をひらく
本文では値を出さず、順位と上下の言葉だけを使いました。使った値をここに置きます。
比べた集合:建設技能・職人に分類した20職業(測量士・CADオペレーター・大工・型枠大工・鉄筋工・鉄骨工・とび・建設機械オペレーター・建設土木作業員・左官・建築板金・サッシ取付・内装工・建築塗装工・防水工・電気工事士・配管工・送電線工事・解体工・造園工)。本文の順位は、すべてこの20職業の中のものです。
人と関わる(社会的)・高い順:造園工 3.70 / 大工 3.52 / 建設・土木作業員 3.41 / サッシ取付 3.37 / 送電線工事 3.35 / 電気工事士 3.33 / 測量士 3.29 / 配管工 3.28 / 建築板金 3.26 / 建築塗装工 3.21 / 解体工 3.21 / 型枠大工 3.18 / 左官 3.18 / 建設機械オペレーター 3.18 / 内装工 3.10 / 鉄筋工 3.09 / とび 3.05 / 防水工 3.00 / 鉄骨工 2.90 / CADオペレーター 2.84
表現する(芸術的)・高い順:造園工 3.66 / CADオペレーター 3.22 / 左官 3.22 / 大工 3.16 / 建築塗装工 3.10 / 建築板金 2.94 / 鉄筋工 2.87 / 防水工 2.86 / 型枠大工 2.85 / 内装工 2.83 / サッシ取付 2.80 / 測量士 2.79 / 鉄骨工 2.78 / 建設機械オペレーター 2.73 / 配管工 2.61 / 電気工事士 2.59 / とび 2.56 / 建設・土木作業員 2.55 / 送電線工事 2.50 / 解体工 2.25
調べて突き止める(研究的)・上から5つ:造園工 3.45 / 測量士 3.40 / CADオペレーター 3.22 / 大工 3.18 / 鉄筋工 3.13(最も低いのは解体工 2.61)。本文の「大工とほとんど並ぶ」は、この 0.04 の差を指しています。
手を動かして形にする(現実的)・下から5つ:とび 3.41 / CADオペレーター 3.43 / 左官 3.44 / 防水工 3.44 / 内装工 3.52(最も高いのは大工 4.21)。とび・左官・防水工とは 0.01〜0.02 差で並ぶため、本文では順位を書かず「下側」としました。
決まった手順を正確に回す(慣習的)・上から6つ:測量士 3.65 / 大工 3.42 / 鉄筋工 3.35 / CADオペレーター 3.32 / サッシ取付 3.31 / 型枠大工 3.28(最も低いのは建設機械オペレーター 2.83)。サッシ取付とは 0.01 差なので、本文では「上側」としました。
自分の裁量で決められることを大事にする度合い・高い順:大工 3.80 / 送電線工事 3.74 / 造園工 3.68 / 建築板金 3.61 / 型枠大工 3.59 / 左官 3.55 / 内装工 3.53 / 鉄筋工 3.46 / 配管工 3.46 / 測量士 3.42 / 電気工事士 3.42 / サッシ取付 3.39 / 建築塗装工 3.37 / 建設機械オペレーター 3.36 / とび 3.32 / 防水工 3.22 / 鉄骨工 3.21 / 解体工 3.21 / CADオペレーター 3.19 / 建設・土木作業員 2.76
労働安全衛生を大事にする度合い・上から4つ:CADオペレーター 3.48 / 送電線工事 3.29 / 大工 3.24 / 型枠大工 3.13(最も低いのは防水工 2.44)。
私生活との両立を大事にする度合い・上から4つ:大工 3.51 / CADオペレーター 3.36 / 造園工 3.30 / 建築板金 3.29(最も低いのは防水工 2.73)。
雇用や生活の安定性・上から5つ:送電線工事 3.68 / 配管工 3.10 / CADオペレーター 3.05 / 電気工事士 3.04 / 建設機械オペレーター 3.03(最も低いのは建設・土木作業員 2.54)。電気工事士とは 0.01 差なので、本文では「上側」としました。
報酬を大事にする度合い:CADオペレーター 2.91 は上から7番目ですが、建設機械オペレーター 2.91・建築塗装工 2.91 と同値のため、本文では「真ん中あたり」としました(最も高いのは送電線工事 3.32、最も低いのは鉄骨工 2.48)。
順位の数え方:同じ値には同じ順位を与えています。0.01以内の差は同率として数え、それより大きい差だけを順位として読んでいます。本文で「ほとんど並ぶ」と書いたのは差が 0.05 未満のところです。
このデータに含まれていないもの:年収・時給や月給の形・残業や納期・休日数・求人の数・未経験からの入りやすさ・使用するソフトの種類・技術の置き換わりの見通し・年齢構成・雇用の形。「報酬」「雇用や生活の安定性」「私生活との両立」「労働安全衛生」「自分の裁量」は、いずれも「どれだけ大事にしているか」の値で、実際の待遇や任される範囲ではありません。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(最終更新 2026年3月17日/制作・著作:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)