「自分で応募したほうが早いのではないか」 「エージェントを挟むと、企業側は採用コストがかかるから不利になるのでは」 「結局、求人を横流しされるだけではないか」
どれも、もっともな疑問です。ただ、いちばん大きいメリットは、比較サイトにあまり書かれていません。
よく挙げられるメリットは、4つです
- 非公開求人を紹介してもらえる
- 職務経歴書を添削してもらえる
- 面接対策をしてもらえる
- 年収交渉を代わりにやってもらえる
どれも、たしかにあります。ただ、これだけなら「自分でやればいい」という反論が成り立ちます。 書類は自分で直せます。面接対策も本が出ています。年収交渉も、勇気を出せば自分でできる。
面接官が測る実力に、補正がかかることがありました
私は面接官として、候補者と会っていた側にいました。そこで何度も起きたことがあります。面接で、明らかに緊張している人がいる。話がまとまらない、質問の意図から少しずれる、沈黙が長い。そういうとき、エージェント経由の候補者は、判断材料が1つ多い。
- なぜこの人がうちを受けているのか(本人の言葉とは別に、事前に伝わっている)
- いまの職場で何をしていて、何に詰まっているのか
- 前の選考で、どう見られていたか
3つ目については、私が受け取っていた情報の中に、そう受け取れるものがありました。 各社がどういう手続きでそれを伝えていたのかは、こちらでは確認していません。メリットの根拠として持ち出すつもりはありません。
1つ目と2つ目があると、「今日のこの人は、本来の状態ではないかもしれない」と判断できます。面接という一発勝負の場で、下振れが補正されることがありました。 私が見ていた範囲での話です。
いま書いた「補正」は、エージェントの利点として持ち出しているというより、面接官の側の事情でもあります。緊張で落とした人が実は活躍する人だった、というのは採用する側の損失だからです。
だから、伝わり方が変わる相手を選ぶ
上の補正は、エージェントが「あなたのことを正しく理解している」場合にだけ働きます。理解していない相手だと、逆に働きます。
- 求人票の要件に合わせて話が盛られる → 面接で本人が答えられず、印象が下がる
- 志望動機を作ってもらう → 深掘りされたときに中身が無く、志望が低いと判断される
2つ目は、実際に何度も見ました。型どおりの志望動機を話す人がいる。そこを1段深く聞くと、答えが出てこない。そのときの判断はこうなります。「エージェントに言われただけ、とまでは言わないが、志望は高くない」。
エージェントに志望動機を作らせるのは、逆効果です。 作ってもらうべきなのは動機ではなく、すでにある動機の伝え方のほうです。
見るべきは、知名度でも求人数でもなく2軸です
| 業界の解像度 | 扱う求人のレンジ | |
|---|---|---|
| 総合型 | 低い | 広いが、業界の外へ流れやすい |
| 特化型(上位帯) | 高い | 上に偏る |
| 特化型(幅広) | 高い | 広い |
私はこの2軸で、失敗と成功の両方をしました。どちらも自分に起きたことです。
解像度が低いと、業界の外に流される
業界の中で職種がどう分かれるかが伝わらない相手だと、提案の精度は上がりません。「◯◯業界志望」とだけ伝わって、その先の分岐が抜け落ちます。
解像度が高くても、レンジが合わないと外すことがある
ここが、多くの記事で抜けています。業界特化型でも、扱っている求人のレンジは会社ごとに違います。上位帯の企業に強い特化型に相談すると、「今のご経歴からのステップアップは難しい」という答えが返ってくることがあります。私は実際にそう言われました。その1社からは離脱しています。
「自分のレンジに合う特化型」でなければ、特化型でも外すことがあります。
決め手になったのは、業界の地図を見せて、上位帯から成長中の企業まで幅広く提示してくれたエージェントでした。選択肢の幅が、そのまま自分の可能性の幅になりました。
面談1回で見分けられること
登録後に、職務経歴書などの宿題が出ます。ここで出しっぱなしにするエージェントと、書き方まで伴走するエージェントに分かれます。 私の場合は、この差が面談1回で見分けられました。宿題を渡すときに「では次回までに」で終わるか、「どこから手をつけるか」まで一緒に決めるか。後者を選んだほうがいいです。
私が使ったのは、4社でした
総合型を2社、特化型を2社で、決まったのは、2つ目の特化型でした。これは私の1回の転職での話で、何社が正しいという話ではありません。
「特化型ならいい」ではありません。1つ目の特化型は、扱っている求人のレンジが自分と合っていませんでした。合うかどうかは、話してみるまで分かりません。1社に絞っていたら、外したところで止まっていました。
| 見えるもの | |
|---|---|
| 総合型 | 業界をまたいだ選択肢。いまの市場での自分の位置 |
| 特化型 | その業界の中の細かい違い。企業ごとの実態 |
総合型は2社に聞いても、同じ答えになりました。見えるものが「自分の位置」だからです。特化型のほうは、1社目と2社目で出てくる求人がまるで違いました。
コンサルのときに、実際に起きたこと
社名はすべて伏せます。
総合型で、コンサル以外を勧められた
大手の総合型エージェントに登録したとき、「その経験なら、こちらの業界でも同じことができますよ」と、コンサル以外の業界を勧められたことがあります。しかもそれを「こちらの業界のほうが向いている」という形で提示されました。送客したときの報酬が高い先を勧められているのではないか。そう勘ぐりました。真偽は分かりません。
ただ、業界の解像度が低い相手に相談すると、提案が妥当かどうかを自分で検証できない。 この問題は残ります。
特化型でも、1社は自分から降りた
1社目は、コンサル業界に詳しいエージェントでした。それでも合いませんでした。面談で言われたのは、「正直、コンサル業界は難しいと思います」。当時の経歴からのステップアップは難しく、別の会社を経由してから狙うべきだという提案でした。
理由は後から分かりました。そのエージェントが扱っていたのは、上位帯のファーム中心だったからです。私の位置からは、そもそも射程に入っていなかった。
決まったのは、地図を見せてくれた1社
2社目の特化型は、コンサル業界の地図を見せてくれました。上位帯のファームから、成長中のベンチャーファーム、特定領域に特化した小規模ファームまで。業界にどういう層があるのかを、先に全部見せてくれた。 そこで初めて、自分が入れる場所と、興味が持てる場所が重なる範囲が見えました。
結果として、この1社の紹介で現職に入っています。これは運営者1人の例で、同じ結果を保証するものではありません。
降りるときの伝え方
合わないと分かるのは、たいてい1回目か2回目の面談です。
- 出てくる求人が、自分のレンジと噛み合っていない
- こちらの言葉が、そのまま通じていない
このどちらかが出たら、そのエージェントで粘っても状況は変わりにくいと思います。とくに1つ目は、担当者を変えても、会社が扱っている求人のレンジは変わらないからです。
そのときは、黙ってフェードアウトしないほうがいいです。 「今回は見送ります」と一言だけ伝える。理由まで説明する必要はありません。
まとめ
- 自分でできないのは、面接官の側に判断材料が増えること。私が見ていた範囲では、それで下振れが補正されることがあった
- ただし補正は、相手が自分を正しく理解している場合にだけ働く
- 志望動機を作ってもらうのは逆効果。作ってもらうべきなのは、すでにある動機の伝え方
- 私が使ったのは総合型2社+特化型2社で、決まったのは2社目の特化型。特化型はレンジが合うかどうかが話すまで分からない
エージェントは「求人をくれる人」ではなく、「面接官に自分を正しく伝えてくれる人」です。 自分の理由と適性に寄り添えない相手では、意味がありません。
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