転職エージェントを使うメリット——面接官の側から見ると、話が変わります

この記事の内容(15項目)

「自分で応募したほうが早いのではないか」 「エージェントを挟むと、企業側は採用コストがかかるから不利になるのでは」 「結局、求人を横流しされるだけではないか」

どれも、もっともな疑問です。ただ、いちばん大きいメリットは、比較サイトにあまり書かれていません。


よく挙げられるメリットは、4つです

  • 非公開求人を紹介してもらえる
  • 職務経歴書を添削してもらえる
  • 面接対策をしてもらえる
  • 年収交渉を代わりにやってもらえる

どれも、たしかにあります。ただ、これだけなら「自分でやればいい」という反論が成り立ちます。 書類は自分で直せます。面接対策も本が出ています。年収交渉も、勇気を出せば自分でできる。


面接官が測る実力に、補正がかかることがありました

私は面接官として、候補者と会っていた側にいました。そこで何度も起きたことがあります。面接で、明らかに緊張している人がいる。話がまとまらない、質問の意図から少しずれる、沈黙が長い。そういうとき、エージェント経由の候補者は、判断材料が1つ多い。

  • なぜこの人がうちを受けているのか(本人の言葉とは別に、事前に伝わっている)
  • いまの職場で何をしていて、何に詰まっているのか
  • 前の選考で、どう見られていたか

3つ目については、私が受け取っていた情報の中に、そう受け取れるものがありました。 各社がどういう手続きでそれを伝えていたのかは、こちらでは確認していません。メリットの根拠として持ち出すつもりはありません。

1つ目と2つ目があると、「今日のこの人は、本来の状態ではないかもしれない」と判断できます。面接という一発勝負の場で、下振れが補正されることがありました。 私が見ていた範囲での話です。

いま書いた「補正」は、エージェントの利点として持ち出しているというより、面接官の側の事情でもあります。緊張で落とした人が実は活躍する人だった、というのは採用する側の損失だからです。


だから、伝わり方が変わる相手を選ぶ

上の補正は、エージェントが「あなたのことを正しく理解している」場合にだけ働きます。理解していない相手だと、逆に働きます。

  • 求人票の要件に合わせて話が盛られる → 面接で本人が答えられず、印象が下がる
  • 志望動機を作ってもらう → 深掘りされたときに中身が無く、志望が低いと判断される

2つ目は、実際に何度も見ました。型どおりの志望動機を話す人がいる。そこを1段深く聞くと、答えが出てこない。そのときの判断はこうなります。「エージェントに言われただけ、とまでは言わないが、志望は高くない」。

エージェントに志望動機を作らせるのは、逆効果です。 作ってもらうべきなのは動機ではなく、すでにある動機の伝え方のほうです。


見るべきは、知名度でも求人数でもなく2軸です

業界の解像度扱う求人のレンジ
総合型低い広いが、業界の外へ流れやすい
特化型(上位帯)高い上に偏る
特化型(幅広)高い広い

私はこの2軸で、失敗と成功の両方をしました。どちらも自分に起きたことです。

解像度が低いと、業界の外に流される

業界の中で職種がどう分かれるかが伝わらない相手だと、提案の精度は上がりません。「◯◯業界志望」とだけ伝わって、その先の分岐が抜け落ちます。

解像度が高くても、レンジが合わないと外すことがある

ここが、多くの記事で抜けています。業界特化型でも、扱っている求人のレンジは会社ごとに違います。上位帯の企業に強い特化型に相談すると、「今のご経歴からのステップアップは難しい」という答えが返ってくることがあります。私は実際にそう言われました。その1社からは離脱しています。

「自分のレンジに合う特化型」でなければ、特化型でも外すことがあります。

決め手になったのは、業界の地図を見せて、上位帯から成長中の企業まで幅広く提示してくれたエージェントでした。選択肢の幅が、そのまま自分の可能性の幅になりました。

面談1回で見分けられること

登録後に、職務経歴書などの宿題が出ます。ここで出しっぱなしにするエージェントと、書き方まで伴走するエージェントに分かれます。 私の場合は、この差が面談1回で見分けられました。宿題を渡すときに「では次回までに」で終わるか、「どこから手をつけるか」まで一緒に決めるか。後者を選んだほうがいいです。


私が使ったのは、4社でした

総合型を2社、特化型を2社で、決まったのは、2つ目の特化型でした。これは私の1回の転職での話で、何社が正しいという話ではありません。

「特化型ならいい」ではありません。1つ目の特化型は、扱っている求人のレンジが自分と合っていませんでした。合うかどうかは、話してみるまで分かりません。1社に絞っていたら、外したところで止まっていました。

見えるもの
総合型業界をまたいだ選択肢。いまの市場での自分の位置
特化型その業界の中の細かい違い。企業ごとの実態

総合型は2社に聞いても、同じ答えになりました。見えるものが「自分の位置」だからです。特化型のほうは、1社目と2社目で出てくる求人がまるで違いました。


コンサルのときに、実際に起きたこと

社名はすべて伏せます。

総合型で、コンサル以外を勧められた

大手の総合型エージェントに登録したとき、「その経験なら、こちらの業界でも同じことができますよ」と、コンサル以外の業界を勧められたことがあります。しかもそれを「こちらの業界のほうが向いている」という形で提示されました。送客したときの報酬が高い先を勧められているのではないか。そう勘ぐりました。真偽は分かりません。

ただ、業界の解像度が低い相手に相談すると、提案が妥当かどうかを自分で検証できない。 この問題は残ります。

特化型でも、1社は自分から降りた

1社目は、コンサル業界に詳しいエージェントでした。それでも合いませんでした。面談で言われたのは、「正直、コンサル業界は難しいと思います」。当時の経歴からのステップアップは難しく、別の会社を経由してから狙うべきだという提案でした。

理由は後から分かりました。そのエージェントが扱っていたのは、上位帯のファーム中心だったからです。私の位置からは、そもそも射程に入っていなかった。

決まったのは、地図を見せてくれた1社

2社目の特化型は、コンサル業界の地図を見せてくれました。上位帯のファームから、成長中のベンチャーファーム、特定領域に特化した小規模ファームまで。業界にどういう層があるのかを、先に全部見せてくれた。 そこで初めて、自分が入れる場所と、興味が持てる場所が重なる範囲が見えました。

結果として、この1社の紹介で現職に入っています。これは運営者1人の例で、同じ結果を保証するものではありません。


降りるときの伝え方

合わないと分かるのは、たいてい1回目か2回目の面談です。

  • 出てくる求人が、自分のレンジと噛み合っていない
  • こちらの言葉が、そのまま通じていない

このどちらかが出たら、そのエージェントで粘っても状況は変わりにくいと思います。とくに1つ目は、担当者を変えても、会社が扱っている求人のレンジは変わらないからです。

そのときは、黙ってフェードアウトしないほうがいいです。 「今回は見送ります」と一言だけ伝える。理由まで説明する必要はありません。


まとめ

  • 自分でできないのは、面接官の側に判断材料が増えること。私が見ていた範囲では、それで下振れが補正されることがあった
  • ただし補正は、相手が自分を正しく理解している場合にだけ働く
  • 志望動機を作ってもらうのは逆効果。作ってもらうべきなのは、すでにある動機の伝え方
  • 私が使ったのは総合型2社+特化型2社で、決まったのは2社目の特化型。特化型はレンジが合うかどうかが話すまで分からない

エージェントは「求人をくれる人」ではなく、「面接官に自分を正しく伝えてくれる人」です。 自分の理由と適性に寄り添えない相手では、意味がありません。


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